1.プレイヤーに優しく
VRゲームを開発中、プレイヤーは長時間オキュラスリフトを装着して、開発途中のゲームを視聴しています。そのため調整不足のゲームでも、脳が慣れてしまうのです。一方でプレイヤーは常に新鮮な気持ちでゲームに接します。VRゲームに対して、かなり期待値を高くもって望むでしょう。その時に調整不足のゲームを提示したら、一気に熱を冷ましかねません。二度とプレイしてもらえないでしょう。
逆にびっくり箱のように、とにかく刺激的な要素を入れすぎるのも考え物です。できるだけ刺激を抑えて、マイルドな表現を心がけるのがオススメです。またVRゲームでは圧倒的な没入感が得られる一方で、複雑なストーリーやゲームシステムを体験するには向いていないため、注意が必要です。
2.VORゲイン
人間は目と耳でモノを見ています。網膜が光を捉える一方で、頭の動きを内耳が察知し、両方の情報が脳で統合されてモノを認識するのです。そのため目と耳の情報は完璧に同期させる必要があります。逆にグラフィックの表示で遅延が発生すると、それがわずかでも3D酔いにつながる危険性があります。
また新しい眼鏡を装着すると、しばらくの間、頭がふらふらするものです。これは(近視矯正の場合)実物よりもモノが小さく見えることが原因です。通常は脳が学習するのですが、VRゲームではその時間がないため、開発にはより注意が必要です。大前提として固定されたモニタ画面と頭部の動きで移動するVR画面では、グラフィックの考え方を変える必要があります。
3.IPDとヘッドモーション
立体視のゲームでは人によって立体感が異なります。両目の間の距離が異なることが原因です。そのため多くの場合で、立体視調整機能がついています。またモニタを縦にしたり、寝っ転がったりすると立体視の効果が薄れます。オキュラスリフトには立体視でゲームを遊べますが、頭部をさまざまに動かすことが多くなるため、この点について配慮が必要です。
4.世界の物差しの変化と、プレイヤーの身長はどれくらい?
人間の脳は床からの高さによって世界の広がりを想定的に捉えています。極端な話、立ってプレイするのと座ってプレイするのでは、登場人物の主観的な身長の高さが、異なって感じられるのです。テレビ番組や通常のゲームではまったく気になりませんが、VRゲームのようなコンテンツでは、これが実感されます。ドライブゲームのように常に主人公を座らせておくか・・・まだまだ研究が必要な分野です。
5.アニメーションの変更
VRゲームではカメラを変な風に動かすべきではありません。しかし車に乗り込んだり、ベッドに横たわったりと、ゲームの進行上でカメラ位置を動かしたい場合も出てきます。その際は慎重な配慮が必要です。こうした不意のカメラ移動は、多くの場合プレイヤーにとって刺激が強すぎるのです。極端な話、一回画面をブラックアウトさせてもいいかもしれません。1人称視点から2人称視点への変更なども注意が必要です。
6.肉のつり下げ式アバター
VRゲームは一人称視点で大きな効果を発揮します。目の前の登場人物とハイタッチしたり、顔の前に手をかざされたり、肩に止まらせたオウムを見たりするのは、これまでにない驚きの体験です。この時カメラはプレイヤーの視点と忠実に一致させましょう。でなければ脳が混乱し、不快感を発生させてしまいます。しかし、プレイヤーの頭の動きにカメラが忠実すぎると、これまた不快の素となります。
解決策の一つとして、キャラクターの頭に針をひっかけて、ぶらぶらとつり下げている状況を想定してみましょう。このつり下げられたポイントにカメラを設置するのです。実際にはへんてこな動きになりますが、主観視点なのでプレイヤーは自分の体を見ることはできません。
7.フレームレートの調節
VRゲームのキモは存在感です。ピーキーなFPSなどで最大の効果を発揮します。そのためにはフレームレートをできるだけ高くする必要があります。しかし実際問題として、立体視では通常の倍のフレームレートが必要になるので、結構な難題です。そのためにはドローコールを出来るだけ減らす努力をしましょう。目の前の表示に必要でない描写の計算なども、出来るだけ省きましょう。
本セッションはオキュラスリフトのスポンサードセッションでしたが、内容に宣伝臭さがなく、その分野の第一人者が知見を共有して、VRコンテンツ全体のレベルアップをめざそうという、清々しいものでした。また同社にさまざまなノウハウが蓄積されていることに、改めて驚かされました。なおサイト上で「Oculus VR Best Practices Guide」を随時更新しているので、ぜひ検索してダウンロードし、活用して欲しいとのことです。
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