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【特集】『バトルフィールド 1』の舞台「第一次世界大戦」を学べ!―戦争背景・火器編

2016年5月に『バトルフィールド 1』というタイトルと、その舞台が「第一次世界大戦」となることが正式に発表されました。今回は本作の予習として、「第一次世界大戦」を武器や兵器を中心に解説/紹介していきます。

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かねてより、そのテーマとなる時代設定が注目の的となっていた新作『バトルフィールド』。2016年5月に『バトルフィールド 1』というタイトルと、その舞台が「第一次世界大戦」となることが正式に発表されました。AAA級FPSタイトルでは久々となる「遥か過去の戦争」をテーマとした本作は大きな期待と注目を浴びています。

本稿では、『バトルフィールド 1』の予習として、第二次世界大戦と比べてあまり馴染みのない「第一次世界大戦」の背景と、武器(主に小火器類)を中心に、ゲームのトレイラー映像やスクリーンショットを交えながら解説していきます。「第一次世界大戦はどんな戦争だったの?」「どんな武器が使われていたの?」という基本的な情報が知りたい人向けの内容です。


■第一次世界大戦の概要

2016年から100年ほど前、1914年から1918年にかけて勃発した第一次世界大戦は、ドイツ帝国/オーストリア=ハンガリー帝国/オスマン帝国/ブルガリア王国からなる「中央同盟国」と、三国協商を結んでいたイギリス帝国/フランス共和国/ロシア帝国を中心とした「連合国」の2つの陣営に分かれた戦争とされています。世界中の多数の国が連合側として参加したほか、後に日本、イタリア、アメリカが参戦。全列強国が参戦し、まさしく人類史上初の世界を二分した戦争でした。ちなみに、戦端となったのはオーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者が暗殺される「サラエボ事件」ですが、それ以前からも複雑な要因を持った戦争の火種はくすぶっており、その原因については今なお研究の対象となっています。


塹壕陣地は有刺鉄線などで防御され、無数の砲弾が降り注いだ。

戦争は当初の「クリスマスまでには終戦」という人々の楽観的な予想とは裏腹に国家間の総力戦となる長期戦の様相を呈します。ヨーロッパで起きた大規模な戦争「普仏戦争」から数十年後に起きた第一次世界大戦ですが、特に西部戦線では、ライフルの精度の向上と長射程化、機関銃の信頼性向上と本格的な導入による弾幕形成によって防御側優位となり、銃撃を避けるために穴を掘りながら進む「塹壕戦」が主体になりました。戦車や航空機といった新兵器が開発/発達したものの、こうした防御陣地を突破する効果的な手段は中々登場せず、両陣営共に攻勢時の歩兵突撃は多大な損害を生んでいます。


一方、東部戦線や中東戦線、アフリカ戦線では「塹壕戦」とは違う形の戦闘が繰り広げられています。また、大戦全体で見れば小規模ながら、日本軍も中国のドイツ租借地「青島」を攻略。インド洋および地中海に艦隊を派遣し、輸送船団を護衛するなどの任務についています。

長引く戦争に主戦場となった国々は疲弊。東部戦線のロシアでは革命の発生により、帝政ロシアが崩壊、新政権とドイツの間で講和が成立しました。最終的にはアメリカの参戦、人的資源の枯渇、軍事的敗北、経済的消耗とドイツ革命による社会的混乱などでドイツの敗北が決定的となり、1918年11月11日に締結された休戦協定を経た後、1919年6月28日に締結されたヴェルサイユ条約を持ってドイツと連合国との間に講和が成立。史上類を見ない世界規模の大戦が終結しました。


◆第1次世界大戦で使われた火器

■機関銃

それまでの戦争の様相を一変させた兵器である機関銃。1904年に勃発した日露戦争においてロシア軍と日本軍は双方共に機関銃を導入し、特に旅順攻略戦においてその真価を発揮しました。防衛兵器として運用することで従来の歩兵突撃が無力化されたことは、ヨーロッパ各国から訪れていた観戦武官により本国へと報告されました。しかし、一定の効果は認めたものの重視されず、第一次世界大戦において歩兵突撃が敢行され、多大な被害を生じさせる一因となりました。


ブリストルファイターと思しき機体の後部席に据えつけられているルイス軽機関銃

大戦時における最も代表的なものはマキシム機関銃で、旧来の機関銃と一線を画する信頼性を持っており、いくつかの欠点があったものの補って余りある性能を発揮します。本銃の再設計によって、イギリスでヴィッカーズ重機関銃が誕生した他、ドイツのMG08重機関銃、ロシアのPM1910重機関銃などが開発されました。こうした開発競争は機関銃を急激に進化させ、戦前から戦中にかけてルイス軽機関銃に代表される攻撃時の機動性を重視したもの、アメリカのブローニングM1918自動小銃(B.A.R.)といった新兵器が生み出されていきました。


■無煙火薬と新式ライフル

19世紀から20世紀初頭にかけて、歩兵が携行する主力武器であるライフルは劇的な進化を遂げます。前装式から後装式、紙薬莢から金属薬莢、黒色火薬から無色火薬などの新機軸/新技術の開発により、ライフルの性能は飛躍的に向上。日露戦争や第一次世界大戦初期では直接照準砲撃を実施する砲兵に対して大きな戦果を挙げたことでも知られています。歩兵の火力向上は塹壕による防御陣地化を推し進め、結果として機関銃と共に戦場を膠着状態へと導いたのでした。


スコープ付きライフル。当時の技術では個体差が存在しており、特に精度の良い銃は狙撃用として使われた。

当時の主力小銃としては、フランスのルベルM1886小銃、イギリスのリー・エンフィールド小銃、アメリカのスプリングフィールドM1903小銃、ドイツのGew98、日本の有坂銃などが有名。『Battlefield 1』のトレイラーでもリー・エンフィールド小銃が登場しています。


■短機関銃の誕生

『Battlefield 1』トレイラー公開当日にも紹介したように、ドイツ軍は1918年に世界初の歩兵携行短機関銃ベルグマンMP18を開発しました。拳銃用の弾薬である9mmパラベラム弾を使用する本銃は、小型軽量で取り回しもよくフルオート射撃が可能となり、塹壕内で高い火力を発揮できました。1918年のドイツ軍の春季大攻勢時に使用され、諸兵科との連携もあり大きな戦果をあげています。


狭い塹壕内では短機関銃やショットガンが猛威を振るった。

拳銃弾を使用する武器には他に、アメリカのスプリングフィールドM1903小銃に取り付ける「ピダーセン・デバイス」が開発されています。簡単な加工で取り付けることが可能で、フルオート射撃能力こそないもののセミオート射撃による火力増強が図られました。このユニットは終戦間際の1918年にはブローニングM1918自動小銃と共に実戦配備されています。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

今回は第一次世界大戦の概要から小火器までを紹介しました。本稿にて多少なりとも第一次世界大戦に興味を持ってもらえればと思います。今後、「戦車」や「航空機」「艦船」といった兵器について執筆する予定です。

史実から見れば第一次世界大戦の主力火器はボルトアクションライフルで、連射性能の乏しいものでした。しかしながら、本文中にも記したように戦前から「連射機構を持つ銃」が次々に開発されており、短機関銃やオートマチックライフル、軽機関銃が誕生しています。

『Battlefield』シリーズは時代に合わせた兵器や火器が登場しますが、ゲームとしての楽しさを重視しており、『Battlefield 1』がボルトアクションライフルだけで戦うゲームにはならないと明言されています。実際、第二次世界大戦時も主力火器はボルトアクションライフルでしたが、『Battlefield 1942』では突撃兵の武器としてStG44や九九式軽機関銃が登場する前例もあります。

『Battlefield 1』がどういったゲームとなるのか、今はまだ不明な部分も多いですが、今後の情報公開で明らかになっていくことでしょう。数ヵ月後の2016年10月21日、戦場で皆さんと会える日が楽しみです。

【参考資料】
第一次世界大戦 上・下 /リデル・ハート
銃と戦闘の歴史図鑑: 1914→現在 / マーティン・J. ドアティ, マイケル・E. ハスキュー
《水京》
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