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【特集】『クーロンズゲートVR』で挑む「ゲーム作りを“同人”に戻す」試みとは─ユニークな「VR酔い対策」やイベント進行なども体験

初代プレイステーションに登場し、独創性が高く個性的な世界観で多くのユーザーを魅了した『クーロンズ・ゲート-九龍風水傳-』。発売から今年で20年を数える本作は、この記念すべきアニバーサリーイヤーに、また新たな可能性の扉を開きます。

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◆「ゲーム作りを“同人”に戻す」という試み


──発売が間近へと迫りましたが、改めて『クーロンズゲートVR suzaku』のテーマを伺ってもよろしいでしょうか?

井上氏:今回の『クーロンズゲートVR suzaku』は、「再現」がテーマだったんですよ。リファインではないですし……。

吉岡氏:続編でもない。

井上氏:ハイレゾ化でもなく、当時の絵をVRで再現する。そしてこれは、作っているチーム側が思っていたことなんですけど、当時歩けなかった場所を歩いてみたかったんですよ。現代のCG表現とすれば甘いところもあると思うんですけども、そこも理解した上で、敢えて「味」として落とし込んでいます。

──開発に当っている人数は、かなり少ないんですよね?

吉岡氏:『クーロンズゲートVR suzaku』は4人のチームを中心に、約1年をかけて作っています。またウチの会社はゲーム開発だけをやっているわけではなく、他の案件も並行してこなしつつ『クーロンズゲートVR suzaku』を作っています。

井上氏:コンシューマタイトルのVR作品を、少人数で作る。こういうやり方もアリだと、業界に提案できたらいいなと思っています。だから今回は、切り売りなんです。

作ってる方は全部てんこ盛りにするじゃないですか。そういうことではなく、「適切な内容に絞って、適したスケジュールでやってみる」という実験も行いたかった。ユーザー動向も知りたかった。だからこそ、クラウドファンディングでお金を集めたんです。

インディーズも、今は拡大傾向です。インディーズと言いながらメーカーになってきていますし、予算も膨らみ続けてる。でも昔は、本当にインディーズでしたよね。

──昔はそれこそ、「同人」という言葉で表現されていましたしね。


井上氏:私達は、「同人」に戻って(コンシューマ的なモノ作りを)できないかなと考えています。国内においては、インディーズはなかなか盛り上がりづらい環境ので、なんとかして若い子たちの発表の場にしたいという、ゲーム制作を教える教員としての気持ちもありますね。

──コンシューマだからお金をかけないといけない、人を増やさないといけない、というのは、言ってしまえば固定観念ですよね。

井上氏:そういう感じになってますよね。予算も人数も、作品のサイズと期間に合わせて考えればいいだけなのに。

──本作は、「4人でVR作品をリリースした」という前例を作り、こういう形もアリだよと提案しているわけでもあるんですね。

井上氏:今回の取り組みに関して我々は、「うまくいくだろう」という読みはあったんです。というのも、『クーロンズ・ゲート』を作った後に、4人で「是空」という会社を立ち上げ、プレイステーションソフト『プラネットライカ』を1年で開発したという経験があったからです。

プレイステーション時代のような玉石混合というか、当時あった勢いや意気込みが、また戻ってきて欲しいですね。

──当時は、名作も怪作もゴロゴロしてましたよね。

井上氏:あれが、ゲーム業界をすごくいい方向に持っていったんだと思うんです。

──最近は、奇をてらったもの作品などはあまり見かけません。優等生なゲームが多いというか。混沌とした感じがあまりありませんね。

吉岡氏:我々がフルで全部を作ったのは、14年ぶりくらいです。

井上氏:ウチみたいな小さな企業がコンシューマーゲームのデベロッパー&パブリッシャーなんて、当時は出来るわけありませんでした。でも今は、それが可能な時代になっているんです。

吉岡氏:ダウンロード専売でやらせていただいてるので、感覚的にはスマートフォンのアプリと同じくらいの感覚ですね。

あらゆる面の全てを4人でやったとまでは言えませんが、常時動いている人数は4人くらいで、こういったもの(『クーロンズゲートVR suzaku』)を作ることはできます。VR専用だと、採算の面で難しいところもあるので、二の足を踏んでいるメーカーさんも少なくないと思いますが……。

井上氏:だからこそ、僕らみたいな奴らしか作れないだろうという話になり、「じゃあ、やってみようか」と。

──若いクリエイターの方々が後に続ける様な道を切り開くのも、『クーロンズゲートVR suzaku』が目指すポイントのひとつなんですね。

吉岡氏:少人数で作れたのは、ゲームエンジンのおかげでもあります。PS2やPS3の頃だと、小さい会社がやろうと思っても機材が高いですしね。

井上氏:それに、自前で開発ツールを作らないといけなかったんですよ。

吉岡氏:絵を出すまでがすごく大変だったという記憶があります。でも今回は、アンリアルエンジを使っているおかげもあり、以前ほどの苦労はありませんでしたね。

井上氏:なので、少人数でも作れているんです。ゲーム開発は、すごくやりやすい時代になりましたね。でも、みんな優等生なものばかり作ってくるので、ちょっと揺らしてあげたいなと(笑)。

一番最初の、ファミコンの頃なんかは全部自分たちでやってましたよね。開発も営業も宣伝もPV制作も。それがまたできる時代になってきたので、そこは“先祖返り”していいんじゃないかなと思います(笑)。ゲームエンジンのパワーがあるので、手軽に作れますね。

──今は、小学生がプログラミングをしてもおかしくない時代になってますしね。

吉岡氏:(開発して販売する場合)会社としての体裁はないと大変ですけどね。開発費も、クライドファンディングで全てまかなえているわけではありませんが、そこから購買層の分母を予測することができました。

──購買層の分母が予測できれば、見通しも立てやすいですしね。その点でも、ゲーム制作が行いやすい時代になっているんだなと実感します。

吉岡氏:これくらいの規模でやっていけば会社を潰さずに済む、と(笑)。


井上氏:あと、クラウドファンディングを行うことで、支援した方々を巻き込むことができるんです。そして、更なる拡がりに繋がると思うんですよ。「俺もゲームに出たんだよ」って。

──作品が作られていく中で、支援者は受け手や傍観者ではなく、当事者のひとりになると。

吉岡氏:モニターの中だったりポスターだったり、また写真といった形で、支援者からのフィードバックが反映されています。自分がアバターになって出てくるというケースもあります。


井上氏:オリジナルアバターの方は、30万円を支援したリターンとして、ゲームの中に登場します。ちなみにそのアバターの活躍ぶりは、予想を超えていると思います(笑)。フラグになっている人たちですから。

──自分のアバターが、憧れの世界にいるだけでなく、重要な役割をになってるというのは、他ではそう味わえない満足感ですね。そうなると確かに、他人事ではいられません。

吉岡氏:念写のターゲットになっていたりもしますから。

──それは嬉しいですね! SNSとかで拡散したくなります。

井上氏:その反応を期待していますし、こういうアプローチは今後も続けていこうと思っています。

◆『クーロンズゲートVR suzaku』の先に広がる世界

──気の早い話になりますが、『クーロンズゲートVR suzaku』がリリースされた後は、更なる展開を構想されているのでしょうか?

吉岡氏:そうですね。両親が『クーロンズ・ゲート』を持っていたからみたいな形で、割と若い方たちも知ってくれているんですよ。世代交代というか、次の時代が来ているように感じています。

──あくまで可能性という前提で、次の段階で実現しそうなものは、『クーロンズゲートVR』の続編になりますか?

井上氏:一番ストレートに行くとそうでしょうが、VRの今後がどうなるかよく分かりませんしね(笑)。VRを外した環境でのゲームになるのかもしれません。

──では、一度VRから外れるかもしれないし、VRが更なる進化を迎えた時には、またVRで展開するかもしれない、と。

井上氏:今回はゲームという形になぞらえてはいますが、このレールから外れた新しい体験ができるものに発展していくかもしれませんね。

──ちなみに、今現在注目されているVRの作品や展開などはありますが?


井上氏:僕が個人的に注目しているのは、VRによる医療の遠隔操作ですね。

吉岡氏:ホロレンズとかもそうですけど、実世界と連動しているものが気になりますね。以前からありますが、最近また技術的に一段上がった感じがするので。

井上氏:実世界との連動という点について、我々もすでに研究を始めていますし、次はそちら側のものになるかもしれません。

──実世界と連動したVRによる試み、ですか。

井上氏:PSVRにこだわっているわけではないので。

──今回は『クーロンズ・ゲート』なので、PSVRだったということですね。

井上氏:分かりやすく言うと、そうですね。

──では、今後はPSVRではなくほかのハードと繋がるVRかもしれないし……。

井上氏:そもそも、VRではないかもしれませんね。。

──可能性もですが、夢が広がりますね。

井上氏:ただ、『クーロンズ・ゲート』がカルチャーとして根付けば、もっと色んな展開ができるかなとも思っています。

──ユーザーさんが能動的に『クーロンズ・ゲート』を楽しむことで、更に広がっていく可能性が高まっていくんですね。『クーロンズ・ゲート』は、似ているものがない唯一無二のゲームなので、忘れられません(笑)。

井上氏:忘れられないように、僕らも頑張らないといけませんね(笑)。

吉岡氏:10年や20年という間隔になってしまっていますが(笑)。「Second Life」で「kowloon SIM」を公開したのが10年前ですから。

井上氏:ちなみに、はい島邦明さん(“はい”は、くさかんむりに配)の新しいアルバムも今度出るんですよ。どうやら今、制作中らしいですよ。


吉岡氏:今回の『クーロンズゲートVR suzaku』に用意していただいたものも新曲なんです。前の曲と同じように聞こえるかもしれませんが、聞き比べていただくと全然違う曲になっています。

井上氏:いいオジサンたちが、「もう1回やってみたいね」と言って色々と動き出しています(笑)。

──その活動や展開を見た若い方々が、更なる活動に繋げてくれると嬉しいですね。

井上氏:薄い本もいっぱい出して欲しいですね(笑)。

──薄い本も大歓迎、と(笑)。

井上氏:20年前の当時はいっぱい出ていたんですよ。

──考察系の本とかも結構出ていましたね。薄い本が作られた際には、読んでみたいですね(笑)。

井上氏:魔改造とかね。ぜひ、お待ちしています(笑)。

──それでは最後に、リリースも間近に迫ってきた『クーロンズゲートVR suzaku』を待ち望む方々に向けて、メッセージをお願いします。

吉岡氏:前みたいに何年もお待たせせず、今回はちゃんと出ると思うので(笑)、ぜひ買って楽しんでもらえると嬉しいです。

井上氏:(開発からリリースするまで)1年と決めていたので、このアニバーサリーイヤーにしっかりと出します。

──今一番お伝えしたいことは、「出ます」と(笑)。

井上氏:はい(笑)。その後については、みんなで楽しむことで色々と広がっていくので、まずは触れていただければ何よりです。

──リリース日を楽しみにしています。本日はありがとうございました!

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《臥待 弦(ふしまち ゆずる)》
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