ギャルゲー百人百景:第五景『Screen』高坂舞子 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ギャルゲー百人百景:第五景『Screen』高坂舞子

季節は巡り、春、夏、秋、冬。季節の数だけ景色がある。そして景色の数だけ、ギャルゲーもまた存在する……この連載はギャルゲーのヒロインを百人攻略するという妄念に取り憑かれた男の飽くなき挑戦の記録である。

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季節はめぐり春、夏、秋、冬。季節の数だけ景色がある。そして景色の数だけ、ギャルゲーもまた存在するのだ。ギャルゲーの主役といえばなんと言っても多種多様なヒロイン達……。この連載はギャルゲーのヒロインを百人攻略するという妄念に取り憑かれた男の飽くなき挑戦の記録である。


ごくごく局所的に大好評だった『恋愛講座 Real Age』を終え、今回からは次のゲームの攻略に移ることになったオレ、文章書く彦。第零回の悲劇を繰り返さないためにも今回は入念にリサーチを重ね、初回購入したゲームのうち使えるものはそう多くなさそうという結論に至ったので、今回は無難に(現代ギャルゲーはほとんどこのような形式になっている)テキスト主体のゲームである『Screen』を選択することにした。


『Screen』はPCで発売されたアダルトゲーム『Campus ~桜の舞う中で~』の移植作で、今回入手したのは「SuperLite 1500シリーズ」で再販されたもの。今では珍しくもないどころか、コンシューマで発売されるギャルゲーのほとんどがアダルトゲーム移植という印象だが、当時はまだこういう移植作品はポツポツ出始めのころだった……と記憶している。

PCからPSに移植された代表的なアダルトゲームで思いつくのは、『同級生2』や『ToHeart』や『ONE』といったところだろうか。恥ずかしながら、この『Screen』という作品は購入するまで存在を知らなかったし、アダルトゲームの移植だとも思わなかった。言われてみれば、ジャケットにどことなく感動系アダルトゲーム、通称「泣きゲー」のバイブスを感じる。何を隠そう、オレはKeyで育った大の泣きゲーファンなので期待は高まる。


ゲームを開始すると白背景のポエトリーリーディングで期待を高める演出が入る。開幕ポエトリーリーディングのゲームって昔結構あったよね。


ポエトリーリーディングパートを抜け、最初に表示される開幕テキストはこれだ。最初に表示される文章が断言調の大嘘なので、ものすごい衝撃をうけた。いや、信仰は自由だと思うんですが……。『恋愛講座 Real Age』がすごく強いゲームだったので、その次となる本作はどうなんだろうなと不安に感じていたところもあったが、最初の最初からこんな調子なので期待できそう。


主人公の文章書く彦(デフォルトネームは高坂隆景)は都内在住の大学生。幼馴染の省吾と麻由美とつるみながら割と充実したキャンパスライフを送っている。原題の『Campus』はここから来ているのだろう。ちなみにPS版タイトルである『Screen』だが、今回のシナリオでは何を指しているのか全くわからなかった。充実した大学生活を送るオレであったが、一人暮らしするにあたって別れてきた義理の妹、舞子のことをずっと気にかけていた。


物語は、舞子が主人公の住む実家へ上京してくるところから始まる。と、書くと「もともと実家に住んでんじゃないの?」「主人公は実家で一人暮らししてるの?」と疑問に思われる方も多そうだが、実はこの兄妹には非常に複雑な事情があるのだ。

主人公の父親と義妹の母親は再婚した後事故でこの世を去っており、二人とも父方(つまり主人公と血縁があるほう)の伯父伯母に引き取られ実家を離れて育ってきたのである。舞子はパッケージにもなっているメインヒロインなので、このゲームは大まかにいって「妹ゲー」であると言えるだろう。


舞子は妹属性かつ病弱、薄幸、献身的という美味しいところを揃えた手堅いキャラクターだ。当時こういう妹キャラクターって人気あったなということを久々に思い出させられた。最近でも妹キャラはまだ人気があると思うが、ここまで典型的なのは逆に珍しいのではなかろうか。


話を進めていくと主人公はなにやら意味深な「夢」を見るように。前述の『ONE』(とそれに続く一連の作品群)でも見られた、とても「当時っぽい」演出である。おそらく何かストーリー上の展開を象徴しているのであろう。逝くとはいったいなんなんだろうか。ギコハニャーンだろうか。



「夢」シーンには「過去の回想」や「意味深なポエトリーリーディング」など、いくつか種類があるのだが、特に印象に残ったのは「主人公は高校時代不良と親友で、そのせいで妹が隣校の不良どもに拉致されてしまったので、そいつらをボコしてやった」というクソイキリエピソードだ。まったくなんの伏線にもなっていない挿話なので、マジで単なるイキリとしてしか機能していないのがすごい。

ちなみにこの主人公には街で強面とぶつかった挙げ句ビビり散らかすという一面もあるので、このエピソードまるごとウソの可能性が高いと個人的には思っている。プレイヤーに対してイキるってなんなんだ。


地元へ久々に帰ってきた舞子は、今までできなかった墓参りを通して、ようやく両親の死と向き合う。血縁のない父方に引き取られたこともあって、家庭内で疎まれてきた可哀想な舞子のことをずっと守ってきた書く彦。しかし、舞子の書く彦に向ける感情は肉親へのそれを超えていたのだ……。うっすらそのことにも気づきながら自分を抑える書く彦であった……。

そういえば舞子のデフォルトネームはタイトルにもあるように高坂舞子なのだが、今回の彼女は文章舞子となっている。



そんな舞子であるが、大学生らしく急になにか小難しいことを言い出すときがある。ここらへん、知識ひけらかし大会という感じもしなくはないが、実はストーリーとちょっとした関係がある。舞子は夢の中で、「金色の少年」とよく出会うという。そして、「金色の少年」と夢で出会った人間は、近く天に召されるらしいのだ。不穏な展開である。なにやら泣けることになりそうだぞ!


さて、このゲーム、実はストーリーの本筋とは関係ない日常シーンがそこそこ充実している。というかプレイ時間のほとんどがそれだ。現代のテキスト型ギャルゲーにも結構そういうところがあると思うので、前回プレイした『恋愛講座 Real Age』が「今はすっかり見ない感じのゲーム」なのと好対照になっている。

クイックセーブ/ロードやスキップなど主要な機能も充実しているのでとてもプレイしやすい。ちなみに上記の画像は舞子にパソコンを買い与えてあげたときのリアクションである。インテリっぽいことを急に言い出す文系大学生とは思えないボケかたである。


セクシーシーンもあります!アダルトゲーム時代はおそらく裸だったのであろうが、ここまで布面積が大きいと正直、服を着ているのとあんま変わらないよね。こうして意味深な「夢」パートと日常パートを交互にプレイしているところ、あまりに唐突にそれは訪れる。




ある日、主人公はまったく何の前触れもなくトラックにはねられ(本人の弁でいえば)暗黒空間に囚われてしまう。どっちかというと妹のほうに死亡フラグがビンビンに立っていたので、主人公が先にはねられるという展開には正直かなり虚をつかれた。



その後ほどなく、事故で死んだ書く彦のあとを追うように、舞子も衰弱死してしまう。ものすごいバッドエンドだが、実はこのゲーム、一度このバッドエンドを見ないとトゥルーエンドに到達できないしくみになっている(ちなみにこれはバッドエンドではなくノーマルエンド相当)。

あまりに悲惨すぎる展開だが、唐突に起こるので「泣ける」というよりはむしろ呆気にとられる。泣きゲーじゃなくけ呆気ゲーだった。一旦ここで終了し、他ヒロインを攻略してから舞子トゥルーに戻ってこようかとも考えたが、後味が悪すぎるのでプレイを続行する。


二週目になると、一周目とは少々違った展開になってくる。このゲーム、スキップ機能がいわゆる「未読スキップ」なので、注意してプレイしないと新規テキストを拾いこぼしてしまうのだ。二週目では、実は妹とおなじように、書く彦も義妹に恋愛感情を持っているということが明らかになる。


二週目の特徴はミニゲームだ。これがかなりの難易度で、しかもあとからわかることだが、好成績を残さないとトゥルーエンドが見られない仕様となっている。よって何度もバッドエンドを迎え、何度もこのゴキブリのミニゲームを繰り返しプレイすることになった。キャプチャーユニットを使ってプレイしているのでラグもあり、正直運ゲーだったし、っていうか、ゴキブリのミニゲームでエンディングが分岐するってなんなんだよ。メチャメチャだ。



そして二週目の後半で、書く彦はようやく舞子と結ばれ、兄妹ではなく男女の関係となる。舞子も感激のあまり文系っぽく詩的な表現で応えてくれるが、例えとして適切かどうかはかなり疑問の余地があるように思う。


妹と結ばれた書く彦はすっかり一人で盛り上がりまくり、プレイヤーが引くほど妹に結婚を迫る。今のままでも別に幸せだと主張する舞子に対してあまりに強固に結婚を要求するこのシーンは、マジで見ものなのでぜひともプレイしていただきたい。

このあと何度もミニゲームのハイスコアを目指してリプレイして、ようやくトゥルーのフラグが立つころにはプレイ開始から8時間が経過していた。『恋愛講座 Real Age』で言えば、全ヒロインが攻略できてもおかしくないプレイ時間である。やりながら「なかなか大変だぞこれは」などと考えていたが、本当に大変なのはこの後だった。


トゥルーエンド突入寸前でPS2が突如応答しなくなり、黒い画面が表示されるだけになってしまったのである。何度も同じシーンでゲームがフリーズするのでおかしいと思い、ディスクを確認すると、円周型の傷が入ってしまっていた(写真では分かりにくいかもしれませんがご容赦を)。元からあった傷かどうかは確認しようもないが、これでは続きがプレイできない。


と、いうことですぐに買いました。今は本当に翌日届くから便利だよね。傷の心配もあったので、なんと新品を購入した。久々に初代PSのゲームを新品で買うという体験をしたので、開封のときは少しだけ手が震えた。「充実の¥1500」というシールがいい感じである。


ちなみに比較はこちら。中古の方は若干黄ばんでいるのがわかる。古いゲーム機でプレイしている以上こういったことはこれからも起こるだろうと思うので、こうしたリカバリーを早いうちに体験できてよかった。ちなみに800円でした。


事故に遭うところまではバッドエンド(繰り返しになるがノーマルエンド相当)と同じだが、トゥルーエンドでは妹の声が聞こえ、意識を取り戻す。王道の展開だが、ゴキブリを倒すミニゲームで時間をかけすぎると、ここで妹が助けてくれないと考えると、なにやらモヤモヤするものが腹の底に残る。


前述の「金色の少年」絡みのモヤモヤしたエピソードもあったりしたのだが、よくわからない(ネタで言ってるのではなく、本当にどういうことなんだかよくわからない)ので割愛させていただく。

事故から奇跡的に回復した書く彦。「奇跡だ。九死に一生を得たようなものだ」という医師からの事務的なコメントもいただけたし、妹も喜んでるし、良かったね!結婚の話とか全部どっか行っちゃったけど!!


物語はこう締めくくられる。青空がバックなのでなにやら清々しい感じなのだが、バッドとトゥルーの差が「死んだ」と「生き返った」ぐらいしかなく、意表をつくような後日談もないので、「まあそうなるだろうよ」という印象だったのは否めない。二週目でないとトゥルーが見られないというほど大したトゥルーではなかった。とはいえ他のヒロインもなかなか異常なやつらなので、次回以降も期待できそうである。

ちなみに、エンディングの曲がちょっと今では考えられないクオリティーなのも、この当時の様子がうかがい知れてとても楽しい。今回は紹介できないのだが、もし皆さんが昔のギャルゲーをプレイするときは、音楽に注目するのも一つの面白さかもしれないですよ。
《文章書く彦》
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