米ロサンゼルスにてE3にあわせて実施されたユービーアイソフトの『ウォッチドッグス レギオン』の体験会場にて、本作のゲームデザイナーディレクターを務めるケン・ハドソン氏(以下、敬称略)へのインタビューを実施。本作の特徴や前作から変化、そしてなぜゲームに実際の社会問題であるブレグジットを盛り込んだのか訊いてきました。
――本作は前作の『ウォッチドッグス2』からどのような進化を遂げているのでしょうか。
ケン私たちは、テクノロジーと監視社会をテーマにするという過去の『ウォッチドッグス』の遺産は継承しつつ、人々の生活をハッキングすることで世界がどこへ向かっているのかを考えることができるゲームを作りたかったのです。
システムの面では、人々をハッキングしてプロファイリングを行えるようにしています。過去作では表面的なものでしたが、もっと現実的でゲームに影響を与えるものにしています。誰かをプロファイリングすれば、その人がどんな仕事をしていているかや、どんな場所に行っているかを特定できますし、そうすれば彼らの行動を予測することができるのです。
それらは、『ウォッチドッグス 』というブランドに根ざした進化であると考えています。
――ゲーム内のロンドンのマップの広さはどれくらいなのでしょうか。
ケン具体的な数値ではわからないのですが、今回の体験会でプレイできたもの(トラファルガー広場などのロンドン中心部)は全体の20%ほどです。
――本作には、過去作のキャラクターは登場するのでしょうか。
ケン現在のところはないでしょう、としか言えません。
――ゲームエンジンやNPCなどのAIはどのように進化しているのでしょうか。
ケン本作でも、『ウォッチドッグス』と『ウォッチドッグス2』と同じゲームエンジン(Disrupt)を使用していますので、過去作で培った技術を引き継いでいます。ゲームプレイの特に戦闘においては、AIを進化させることに注力しました。敵はキャラクターごとに個性があり、カバーを取ることがあります。また、偵察タイプのキャラクターは特殊な能力を持っていたりもしますよ。
また、銃を使ってカバーシューターのようなプレイはもちろん可能ですが、一切敵を殺すことなく進むステルスプレイでの攻略など、プレイヤー自身がどう進めていくかを選ぶことができるのも特徴です。
――本作の開発スタジオを教えてください。
ケン本作は、私が所属するユービーアイソフトのトロントスタジオが主軸となって開発していますが、世界中のスタジオと提携して制作しています。モントリオールやキエフ、パリのチームをはじめとした世界中のスタッフが関わってます。
――本作の舞台設定に「ブレグジット」という要素を盛り込んだ理由は。
ケンまず、ロンドンを選んだのは、世界で最も監視下に置かれた社会の一つであることが理由です。実際に街中至るところに監視カメラが設置されていますが、そうした現状を踏まえロンドンを舞台に開発を始めた頃にブレグジットが起こりました。ですからロンドンをストーリーの中心に据える上で、ブレグジットは考慮する必要があったのです。ゲームの要素として取り入れることに物議を醸すトピックであることも認識しています。
ただ、私たちは立場など関係なく仲間になって集まり、ゲーム世界の政治的な勢力に対して反抗できる環境を作りたかったのです。このゲームはフィクションですし、未来に起こることを予見しているわけでもありません。このゲームは、そういった背景が人々を結びつけ、政治的な格差を埋めることをテーマにしたゲームだと言いたいだけなのです。
――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
ケン私たちは、ゲームを楽しめる要素をたくさん用意しています。ロンドンを舞台にした理由も、世界でもっとも多様な都市の一つだからです。ロンドンには世界中から来た人がいるので、あなたがゲームをプレイしているときに、日本人のバックグラウンドをもつキャラクターも見つけることができるでしょう。そういった仲間を集める時に、あなたが望むようなあなただけのキャラクターをカスタマイズすることもできるでしょう。
発売を楽しみにしていてください!
――本日はありがとうございました。
現実の社会情勢も盛り込まれ、ゲームシステムも様々な進化を遂げた『ウォッチドッグス レギオン』。本作は、PS4/Xbox One/PC/Stadia向けに海外で2020年3月6日発売予定です。
ブレグジット(Brexit)とは…?
イギリスのEU離脱問題のことで、Britain(イギリス)とExit(退出する)をかけあわせた言葉。2016年6月に行われた国民投票でEUからの離脱が決まったものの、2019年3月29日までが期限だったEUとの離脱交渉はまとまらなかった。16年の国民投票で敗北したデビッド・キャメロン首相(当時)が退任し、EU離脱を目指したテリーザ・メイ首相も議会の意見をまとめられなかった責任を取り6月7日に与党党首を辞任した。7月末に新政権が発足予定だが、離脱方法や時期を巡ってはいまだに見通しがたっておらず混迷を極めている。
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