『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】

東京ゲームショウ2019、PrivateDivisionビジネスミーティングブースで『アウターワールド(The Outer Worlds)』のマシュー・シング氏、『Ancestors: The Humankind Odyssey』のパトリス・デジーレ氏にインタビューを行いました。

連載・特集 インタビュー
2019/09/16
  • 2019/09/16
  • 『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】
  • 『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】
  • 『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】
  • 『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】
  • 『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】
  • 『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】
  • 『The Outer Worlds』『Ancestors: The Humankind Odyssey』のPrivateDivision開発者インタビューを一挙にお届け!【TGS2019】
東京ゲームショウ2019ビジネスミーティングエリアには『アウターワールド(The Outer Worlds)』『Ancestors: The Humankind Odyssey』を手がけるPrivate Divisionが出展しており、開発者へ直接インタビューする機会を得られました。

本稿では『アウターワールド』シニアプロデューサーのマシュー・シング氏と、『Ancestors: The Humankind Odyssey』を手掛けたクリエイティブディレクターのパトリス・デジーレ氏とのインタビューを紹介します。

『アウターワールド』は同日の東京ゲームショウ2019で実施されたハンズオン記事も掲載しています。また、『Ancestors: The Humankind Odyssey』につきましても、先行プレイレビューを掲載しているので、合わせてお読みください。


『アウターワールド(The Outer Worlds)』シニアプロデューサーのマシュー・シング氏

――まず『アウターワールド』の概要について教えてください。

マシュー・シング氏(以下、シング氏)70年以上もコールドスリープしてしまった主人公が目覚めるところから物語は始まります。コロニー「ハルシオン」へ向かっていた船に問題が生じ、主人公はとある人物から起こされて、その解決に向けて半ば強引に旅立つことになるのです。

『アウターワールド』の特徴は自分でストーリーを組み上げていけるという点にあります。様々な出会いを通して、複数のコンパニオンを連れながら旅を続けていくことになります。プレイヤーが操作するキャラクターには固定されたクラスといったものはありません。そのかわりに、スキルの値を少しずつ強化していったり、パークを獲得することで個性を演出していきます。


――個性はそれだけにとどまらないと伺っています。

シング氏フローシステム」と呼んでいます。いわゆるレベルアップといった側面だけで個性が作られるのではなく、キャラクターを取り巻く環境から受けた影響が積み重なっていくというものです。

例えば、ロボットとの交戦が続いていたとします。ロボットからの攻撃を受け続けていると「ロボフォビア」といった状態になり、ロボットへの恐怖心を持つようになるなどといったシステムです。頭部へのダメージが続くと悪影響が発生するなど……様々なステータスへの影響が出るようになります。あらゆる経験や行動がキャラクターの個性として価値を持つという訳です。

また戦闘では「タクティカル・タイム・ディレイション」というシステムを利用可能です。短時間ではありますが、スローモーションの中でアクションできるようになるというもので、戦闘を有利にすることができます。


――これまで数多くのRPGを制作してこられました。これらに比べて、本作が最も強みとするのはどんな点でしょうか?

シング氏プレイヤーの「選択」による分岐や、コンパニオン達は特に力を入れています。確かに過去の作品に通じた側面はありますが、私たちはあくまでも新規IPとして、クラシカルな部分は踏襲しつつも、新たな世界観をしっかりと構築することを目標としました。

私たちの得意とする分野でもある「人間のダークな側面」を描いているのも強みだと自負しています。

――選択による分岐が複雑になったということは、会話の「場合分け」がとても多くなるので、かなりの文章量だと思います。ローカライズについては相当大変だったのではないかと推察しますが、どのように取り組まれたのでしょうか?

シング氏60万ワードものデータになりました。また、9つの言語に対応することとなり、その分作業が膨大であることは確かです。私たちはローカライズに対応するための専用のシステムを作りました。その中で表現の揺れを発生させないために、同じ単語を確実に使うようチェックしたり、単独のセンテンスだけを翻訳者に渡すといったことではなく、会話の流れを鑑みた作業が可能となるような体制を構築しています。


――Modについてはどのようにお考えでしょうか?

シング氏私たちは文化としてModに関わるコミュニティにリスペクトを持っています。また、そうしたコミュニティからのModに対する要望が多いことも承知しています。しかしながら私達は、まずは本作の枝分かれするストーリー、多様な体験を楽しんで頂きたいという思いがあるのです。ですので、Modサポートは現時点で行う予定はなく、今後もその方針は変わらないだろうと思います。

――個人的な視点ですが、日本市場は重厚な海外RPGのプレイヤーが少ない印象があります。その日本市場についてどのように見ていますか?

シング氏私たちが東京ゲームショウへ出展したのは、日本の皆様にもこうしたRPGを触れていただきたいという強い思いがあるからです。更に、日本のプレイヤーの方々は濃いストーリー・濃いキャラクターを好まれる方が多いと考えていますから、本作も楽しんで頂けると考えています。

――最後に、日本のプレイヤーの方々へメッセージをお願いします。

シング氏皆さまと一緒に『アウターワールド』の旅ができることを楽しみにしています!


『Ancestors: The Humankind Odyssey』のパトリス・デジーレ氏

――まずはPanache Digital Gamesと本作について教えてください。

パトリス・デジーレ氏(以下、デジーレ氏)私たちの本拠地はモントリオール・ケベック州にある35人ほどのスタジオです。『Ancestors: The Humankind Odyssey』は1000万年前、アウストラロピテクスの時代から始まる舞台で、人類の祖先、その始まりと進化をテーマにした作品です。

――『アサシン クリード』シリーズを担当されたデジーレ氏が作るとあれば、時代考証に力を入れるという印象があります。本作は大きく異なる時代が描かれることとなりますが、時代考証はどのように進められたのでしょうか?

デジーレ氏2年間、とにかく本を読みました!私たちには考古学の専門家がいたわけではありませんが、それらに迫るつもりで勉強を重ねてきました。しかしながら、知識をそのまま使ってゲームに落とし込むというよりは、これを土台にしてクリエイティブに表現するスキルの方が要求されましたね。

(ゲーム画面を起動し、言語設定オプションを開きつつ)複数の言語を選択している今この瞬間がとにかく嬉しくてたまりません!今回は日本の東京ゲームショウですが、このようにローカライズされることは、自分達の作ったゲームがまさに世界中に広がっていくことを実感するからです。


――率直にお伺いします、なぜこのようなゲームを作ろうと考えたのでしょうか?

デジーレ氏私はTPSゲームかつ歴史を扱った制作が多く、得意分野としています。次の作品はどのようにすべきかと考えていたのですが、やはり歴史を扱ったものにしようとは思っていました。とにかくある時突然ひらめいたのです。次々に世代を超えて進化していくものにしようと!

――ひらめきから、なんですね。

デジーレ氏今操作しているエイプ達ですが……見てください!森の中のちょっとした枝など、様々な箇所に捕まったりして移動の足がかりとなるようなシステムは、特に注力した部分です。基本はサバイバルが中心となるゲームではありますが、複雑なHUDは使用せず、出来るだけ簡単な画面になるようにしています。


――ゲームの基本の流れはどういったものになるのでしょうか?

デジーレ氏『マリオ64』のように、自由に移動して、様々なものへ自由にアプローチしてください。時には危険な動物に襲われることもありますし、何か見知らぬものを手に入れられるかもしれません。そのようにして「自らの手で未知に出会うこと」が本作の基本となります。

――そうしてどんどん進めていくと、最終的には人間に近づくのでしょうか?

デジーレ氏すみません!それはちょっと言えません、ネタバレになってしまいます。本作は1000万年前の時代から始まりますが、最終的には200万年前まで……その800万年間が舞台となるでしょう。様々な経験によって主人公は──それこそ初めは物を持ち替える程度のことすらいちいち気がつくような状態で──少しずつ広がりを持っていきます。進化の過程とは、何か別のものから与えられたものではなく、自らの経験の蓄積にこそあることを体験してほしいと考え、ゲームシステムとしてはやや不親切かもしれませんが、多くを語らない設計としています。


――「自ら掴みとる体験」を主軸としたゲームということですね。私自身もサバイバル系のゲームを多くプレイしますし、少ないヒントから「こうなっていたのか」という発見の驚きがあるタイプは好きでもあります。しかしながら、現代のゲームプレイヤーを広く眺めた時には、「目的のなさ」を避ける傾向にあるだろうとも考えます。制作に当たっては、そうした壁は見えていたと推察しますが、そのジレンマに対してはどう向き合われたのでしょうか?

デジーレ氏確かにそうした面で、ゲームデザインにはギリギリのラインというものがあるかと思います。ゲームを遊んでもらう以上はあくまでも「プレイヤーの為のゲーム」ですから、これを無視した制作をするわけにはいきません。

あまりにもヒントの少ないゲームプレイが続くことは厳しい……という声も多く頂いています。ですから、コンソール版ではもう少しヒントとなる表示を増やすなどの調整を行う予定です。しかしながら、私自身は「プレイヤー自身が苦労した上で得る体験」を積んでほしいのです。進化の難しさを体験する上で、ここは外せない要素だと考えている為です。

私たちはプレイヤーの皆様にも『Ancestors』の共同開発者のような立場になっていただきたいと考えています。例えば同じ一つの「ボール」でも、様々なスポーツに派生していくように、遊び方を無限に考え出すことができるはずです。

『Ancestors』は、多くのゲームのように次の目標を提示し続けるものではありません。当然ながら、中には受け入れがたいと感じられるプレイヤーの方もいらっしゃるでしょう。しかし、「自ら求め、自ら工夫しようとする」方々には楽しんでいただけると思います。


――最後に日本のプレイヤーの方々へメッセージをお願いします。

デジーレ氏人類の歴史を体験したければ、ぜひ本作を遊んでみてください!


『アウター・ワールド』は、PS4/Xbox One/PCを対象に2019年10月25日より発売予定、『Ancestors: The Humankind Odyssey』PS4版は2019年12月に発売予定です。
《Trasque》

一般会社員 Trasque

会社員兼業ライターだけどもうすぐ無職になりそう

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top