豪華声優!関西弁!すべてが違うPS2日本版!
次は、セガ版『デストロイオールヒューマンズ!』の内容紹介です。前ページで触れましたが、残虐すぎる内容で拒否されたPS2で発売するために「ゲーム内容をバカゲーにしてしまおう!」というコンセプトで作られた本作。SFの考証やアレンジのため「と学会」初代会長であるSF作家の山本弘氏などをスタッフとして招き、残虐さを少しでもギャグとして緩和するためにセリフをすべて関西弁にするなどの工夫が行われました。
また、主人公の声優に山口勝平氏、相方には大塚芳忠氏を起用。ほかにも広川太一郎氏や青野武氏、富田耕生氏、田中敦子さんなど超豪華メンバーによる掛け合いやアドリブとしか思えないようなセリフを披露しています。
オリジナル版の映像などをそのままに日本で出すため、恐ろしいほどに豪華で苦労の跡が見えてくる本作。プレイしてみると一層「どうやって全力で大人がバカになろうとしたのか」が見えてくるようです。
オリジナル版と基礎設定から違う!?
まず『デストロイオールヒューマンズ!』はストーリー導入がオリジナル版と異なります。1947年(日本版説明書では明記、ちなみに「ロズウェル事件」の発生年)に「クリプト-136」が地球に墜落して捕獲される導入部は同じなのですが、その後の「クリプト-137」と「オーソポックス」の目的やキャラクターがまったく違うものとなっています。
まず、オーソポックスの目的が「天然ものは同量の黄金に匹敵する」と言われる人間の生成する脳内麻薬エンドルフィンを集めることに変更。貧乏科学者であるオーソポックスは生計を立てるためのエンドルフィンを稼ぐ「クリプト-136」が音信不通になったため心配しており、主人公クリプトは行方不明の兄を探し出すため志願した幼い弟という設定になっています。ただ、冒頭でオーソポックスがクリプトに「兄ちゃんと違って出来が悪い」と言うシーンもあるため、クローン劣化の設定自体は活きているのかもしれません。
また、集めるものがエンドルフィンになった結果として地球人の頭が弾け飛ぶ演出が基本的に無くなり、オリジナル版では飛び出る脳みそだったアイテムがひし形のキューブに変更されています。そのため、DNAを使ってクローンをアップグレードではなく、貴重なエンドルフィンで買い物する形式になっています。
このあたりはあくまでゲーム設定をマイルドにするための工夫部分。ゲーム内容はグロ要素は減っているものの、やはり地球の人間を殺すことに変わりはありません。本作を語る上でどうしても外せないのが「バカゲー」の極み、パロディ部分です。
大人の全力の「バカ」を極めた!押し寄せるパロディ!
まずは何も言わずにミッション開始画面をご覧ください。
「クリプト大地に立つ!」いいですよね、どこかで聞いた音楽が流れてきそうです。その他もどこかで見たようなタイトルが並んでいます。このパロディは全ステージで採用されており、ちょっと元ネタがわからないようなものも。
ゲーム中NPCの会話やスキャンする脳内にも「やりすぎだろ!」となるようなパロディやネタが大きなものからちょっとしたものまで溢れています。
また、ベース画面での「資料室」や「広報資料」などはもはや別世界。「大怪獣ガメラ」ってなんだろうと思って選ぶと本当に 「大怪獣ガメラ」(1965年)が見れたりもします。そして何よりも日本語版スタッフで流れる日本版オリジナルテーマ曲「馬鹿がUFOでやってくる」が本作を語る上で絶対に外せない部分です。
「日本で出せなかった残虐ゲーをバカゲーにアレンジして発売する」という、おそらく今後二度と現れないであろう経緯を持った本作。ゲーム部分の完成度が高く、これだけふざけていても破綻していない奇跡のようなバランスを持っていることに驚きます。また、発売されたオリジナルリメイク版はミッション関係システム部分などで改善が行われており、より遊びやすくなっています。
なお、今回のリメイク版発売に合わせては、15年前にクリプト役を務めた山口勝平氏による応援映像も公開されており「偽物が出回っていた」「15年遅れで日本人にも楽しませてやる」と素敵なコメントに溢れています。