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『Subnautica』圧壊深度に注意! 潜水艇を押し潰す水圧の力を体験してみよう【ゲームで世界を観る#2】

水圧の力がどのように働くのか、実験で確かめてみましょう。

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『Subnautica』圧壊深度に注意! 潜水艇を押し潰す水圧の力を体験してみよう【ゲームで世界を観る#2】
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Subnautica』の世界は様々な危険に満ちています。窒息、飢え、渇き、生物からの攻撃。そしてもう一つ忘れてはならないのは「水圧」です。深く潜れば潜るほど物体の表面にかかる圧力は増していき、建造物や乗り物にとって油断できない脅威になります。最初の潜水艇であるシーモスの初期限界は200mで、平均水深が3,800mといわれる広大な海の中では表層部分に過ぎません。拠点作りの時に水圧を甘く見ていると吉田ビル水没のような憂き目に遭うでしょう。

海遊びに精通した人はさておき、陸上で生活しているとこの水圧がどんな力を持っているのかなかなかイメージできません。そこで今回は、水圧の基本が理解できる簡単な実験をやってみます。

用意するものは水を溜める器、透明なビニール袋、中に入れるおもりの3点。今回はヒバニー君に手伝ってもらいます。ものを水に沈める時にどんな働きがあるのか観察してみましょう。

ビニール袋におもりを入れて、水中に入れます。大丈夫、痛くないよ……

しかし軽すぎたのか、ヒバニー君だけではなかなか沈みなせん。

急遽この子にも協力を要請。陶器製で重量は十分です。

2回目は問題なく成功。月とヒバニー君のツーショットが上手く撮影できました。

ここで注目してもらいたいのはビニール袋の状態です。まるで真空パックのように中の空気が絞り出されていますね。これは空気のように密度が低いものを、密度の高い水が押す力がかかったからです。これが水圧の基本的な原理です。

もしご家庭に薄いビニール手袋があれば、それを着けて水の中に手を入れてみましょう。同じように空気が押し出されて強い圧迫感があるはずです。水深が下がるにつれてこの力はどんどん強力になり、10m深くなるごとに1気圧分増加します。1気圧とは、1平方cmに1kgの力がかかる、ということですから、大体指先に何kgの重さが乗るか、と想像したら分かりやすいですね。それは、自分の上に何リットルの水が乗っているかに等しいです。

下に行くほど圧力が強くなるということは、物体の上部と下部で僅かに圧力の差が生じるということです。そのため、下側からの力は上側からの力に勝り、押し上げようとする動きが生じます。これが「浮力」の働きであり、生じる浮力よりも物体が重ければ沈み、軽ければ浮き上がるのです。

一般の生活圏では対処できるこの水圧が、光の届かない深海になるとどれほどの暴力性を帯びるのか、こちらの実験をご覧ください。発泡スチロール製の容器があっという間に縮んでいきますね。発泡スチロールはメレンゲのように細かい気泡が含まれていますが、それは人力では押せない弾力性があります。それが前面から圧倒的な力で押し潰された結果こうなりました。

水深1000mであれば、上記の計算に当てはめると約100気圧。親指の爪に100kgの物体を乗せるに等しい圧力です。生身の人間であれば真っ先に肺が潰されてしまいます。実験では与圧水槽で700m相当が限界だったとのこと。

この水圧を回避する方法としては、違う密度の気体や水分を身体の中に保持しないことです。水上に適応した生物では不可能ですが、深海に住む生物は高密度の水をそのまま利用しているため、内外の差が生まれず水圧は関係なく生きています。逆に、深海魚を陸上に引き揚げると密度が下がってパンパンに膨れ上がってしまいます。

同様に、一旦深い水圧になれたダイバーの身体も上昇する際に同じ現象を受け、これを「減圧症」と言います。最悪のケースだと血管内に溶けていた窒素などが一気に気体化、水揚げした深海魚のような状態になり、死に至るケースも少なくありません。検索するとかなりショッキングなものも出てくるので注意してください。

水圧と拮抗できるだけの空気を内側に入れる「与圧」も手段ではあるのですが、水圧と同じく人間が耐えられる気圧にも限界はあるので、ほどよく与圧をした上で頑丈な構造を維持するのが通常です。「しんかい6500」などの潜水艇内は気密性が高く、一度オペレーションを開始すると8時間近くトイレもない空間に閉じ込められます。搭乗前は水分を控え、オムツを着用するのが義務とのこと。そういえば『Subunautica』にはトイレが無かったような…?

ちなみに水圧実験に使われるのは、現在ではこの「ブタメン」がほとんどです。以前は一番有名なあのカップ麺でしたが、紙容器に変更したことで成立しなくなってしまいました。発泡スチロール容器で手軽に手に入るこのブタメンが今では最適なのですね。販売元が実験用に提供していることもあって、今はこれが定番になっています。

油断をすればいつでも潜水士の命を奪う水圧ですが、その力の源は周囲に広がる膨大な海水です。惑星を満たす広い海との繋がりがその重さに込められているのかもしれません。

参照
NHK高校講座 | ベーシックサイエンス | 第30回 鉄をもつぶす怪力 ~水圧~
水深10000メートル!?-ダイジェスト/大科学実験 | NHK for School
第2回 「しんかい」に乗って奇跡の旅へ | ナショナルジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)

《Skollfang》

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