スクエニ新作『DUNGEON ENCOUNTERS』徹底した“シンプル”の積み上げが、攻略の思考を心地よく刺激する─これは間違いなく「時間泥棒」RPG | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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スクエニ新作『DUNGEON ENCOUNTERS』徹底した“シンプル”の積み上げが、攻略の思考を心地よく刺激する─これは間違いなく「時間泥棒」RPG

スクウェア・エニックスの新作であり、大胆な切り口による意欲作でもある『DUNGEON ENCOUNTERS』。その魅力にノックアウトされたプレイレポをお届けします。

連載・特集 プレイレポート
スクエニ新作『DUNGEON ENCOUNTERS』徹底した“シンプル”の積み上げが、攻略の思考を心地よく刺激する─これは間違いなく「時間泥棒」RPG
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『ファイナルファンタジー』シリーズをはじめ、様々なタイトルで最高のグラフィック表現を追求してきたスクウェア・エニックス。ドット絵時代から実写さながらのCGが実現した現在まで、描画表現の追求は長きにわたって行われてきました。

そんな同社が放つ新規タイトル『DUNGEON ENCOUNTERS』(PS4/ニンテンドースイッチ/Steam)は、“進化を目指すビジュアル表現”という視点から見ると、対極に近いかもしれない──それが、発表に先駆けてプレイする機会に恵まれた筆者が、本作に抱いた最初の印象でした。

本作は、ビジュアルによる表現をかなり削ぎ落としており、見た目はもちろんゲーム性を支える各要素まで徹底的にシンプルを極めたような作りになっています。ゲーム内容を簡単に説明すると、地下深くまであるダンジョンに挑み、その踏破を目指すというRPG。この目的もシンプルですが、そのダンジョンを表現する手段として用いられたのは、シンプル極まりない「マス目」という表現でした。

ダンジョンRPGと言えば、主観視点の3Dダンジョンやフィールド探索型など、連想するイメージはそれぞれ異なることでしょう。ですが多くは、ダンジョン自体が具体的に描画され、怪しげな空間を突き進む雰囲気を見た目でも表現していることと思います。

ですが本作は、視点として見下ろし型を採用していますが、ダンジョンの壁や通路を全てマス目で描写。探索中に見つける施設や情報などは「白い数字」、シンボルエンカウント形式で遭遇する敵は「黒い数字」で表現されています。

プレイヤーが操作するキャラのみ、その姿がしっかり描かれていますが(パーティメンバーの先頭キャラがマップに登場)、そのほかは数字とマス目が広がるばかり。相当昔の作品ならいざしらず、昨今ではかなり珍しいシンプルな表現です。しかも、それをスクウェア・エニックスがリリースする、という点も気になるところです。

しかし、一足先に体験したひとりのゲームユーザーとして、あらかじめお伝えしたい点があります。この見た目が物足りなく感じ、本作への興味を持てない方がいるかもしれませんが、シンプルであることを利点にし、「時間泥棒」と言いたくなるくらい、延々プレイしてしまう魅力を秘めた作品でした。つまり、「シンプルを侮ることなかれ」。

マップの探索は、マス目を歩いて白い数字をチェックするのが基本中の基本。白い数字は、武器屋や体力回復、蘇生といった施設であったり、後述するアビリティの入手や付け替え、敵情報の入手など、攻略に役立つもの。その数字の上に立つとチェックできるので、見かけたらまず立ち寄るべきマスです。

何よりも、ダンジョンを降りていく「階段」も白い数字で表現されているので、白い数字を探索しないと文字通りの意味で先に進めません。ちなみに数字の数と内容は結びついており、例えば「01」なら下りる階段です。パーティが半壊などの窮地に陥った時のためにも、回復や蘇生などの施設の番号はしっかり記憶しましょう。

一度通過した階に戻ることも可能なので、敵が強いと感じたり誰か倒れたら、階を上がって(=戻って)LVを上げたり、見つけた蘇生施設まで引き返すのがお勧めです。

探索面では、その階の全てを踏破したり、一定の踏破数を超えることで得られる「アビリティポイント」も、攻略に関わる重要なポイントです。ダンジョンを進んでいると、アビリティを見つけることがあります。

例えば、最序盤で獲得できる「バトル番号表示」をセットすると、敵が黒い数字として視覚化。逆を言えば、このアビリティをセットしないと敵が見えず、いつ敵と戦うか分からない状態で探索しなければなりません。

このように、ダンジョン攻略を助けてくれるアビリティが数多く存在しますが、各アビリティにはそれぞれコストがあり、「アビリティポイント」以内に収まる合計値までセット可能。アビリティは探索を続ければ必然的に増えていくので、踏破によるポイント入手は非常に大事なポイントです。

ですが、踏破するためには敵との戦闘もやむなし。アビリティをセットしていれば、可視化されている黒い数字と重なることで、戦闘が始まります。未セットの場合も、見えていないだけで敵がいるので、そのマスに乗った瞬間に戦いがスタート。

戦闘画面に入ると、ここは比較的描写が多く、敵や味方の見た目がそのまま表現されています。とはいえ、過剰なアニメーションが入ったりはしないので、今どきの感覚で言えばこちらもシンプル。そして、戦闘におけるシンプルさは、そのバトル性にも込められています。

味方キャラクターに攻撃力の概念はなく、与ダメージは装備している武器や魔法(各キャラ2個まで装備可能)に依存します。誰が持っても、その武器や魔法で与えるダメージは同じ。また、ダメージの算出方法は「固定」と「ランダム」があり、例えば固定で「30」の武器は常に30ダメージ。ランダムで「60」の場合は、1~60のダメージをランダムで与えます。

そして、与ダメージがそのまま相手のHPを削る……わけではなく、まずは相手の「防御力」が立ちはだかります。防御力はいわゆるシールドのようなもので、防御力が残っているとHPを減らすことはできません。また防御も2種類あり、武器は「防」、魔法は「魔防」を削っていきます。

「防」もしくは「魔防」を削り、そしてHPを0にして倒す。このルールはひどくシンプルですが、決して単純ではないのがミソ。例えば、残り防御が「5」の時に「30」のダメージを与えたら差し引きで25残りますが、残った数字は無効。この相手にダメージを与えられるのは、次の攻撃からになります。

いわゆるオーバーキル分が無駄になるルールなので、仮に「固定:30」の武器と「ランダム:90」の武器を持っていた場合、一見すると平均値が高い後者の方が強そうですが、敵の防御が「30」よりも低かったら、前者は1回で防御を削りきれます。が、後者は1回で済む場合もあれば、運次第では2回、3回と回数が嵩む可能性があります。

これだけ見ると「確実に計算できる固定の方が良さそうだ」となりますが、逆に防御「40」の場合は、前者だと2回かかりますが、後者なら1回で済む可能性が生まれます。この差が明暗を分ける場合もあるので、どちらにもしっかりと長所があります。

ちなみに、「防」が0で「魔防」が「10」の時、魔法で攻撃しても「魔防」が減るのみ。敵を攻撃する場合は、状況に応じて「防」か「魔防」のどちらかに集中して攻撃するのが吉です。

全員の装備を「武器」もしくは「魔法」に偏らせると、どちらを削るか悩まなくて済みますし、各キャラに「固定」と「ランダム」の装備品をそれぞれ持たせれば、変化する戦況に対応しやすくなります。が、敵によって「防」が得意だったり「魔防」に長けていたりするので、注意が必要です。

攻撃の属性を偏らせ、相性の悪い敵からは逃げるのも戦略ですし、黒い数字の数で敵の素性が事前に分かるので、敵に合わせて装備を変えるのもひとつの手。また、装備しない状態=「素手」は1ダメージしか与えられませんが、「防」と「魔防」を無視して直接HPを削れるので、HPが1しかない敵だと1回で撃破できます。

──と、本作のゲーム性や戦闘のルールを紹介しましたが、おそらく途中からルールの把握に手こずったのではないでしょうか。文章での説明なので、余計にわかりにくい部分もあるかと思いますが、振り返ってひとつひとつだけ見ると、各要素はひどくシンプルです。

・味方の攻撃力は装備品に依存。
・「武器」と「魔法」があり、武器は「防」を削り、魔法は「魔防」を削る。
・与ダメージは「固定」と「ランダム」の2種類。
・「防」もしくは「魔防」が0になると、その次の攻撃からHPが減る。
・武器もしくは魔法などを装備していない場合、「素手」の攻撃が可能。その場合、直接HPを1減らす。

戦闘面の主だった点を改めてまとめると、やはりシンプルなことが分かります。ですが、ひとつひとつはシンプルなのに、積み重なることで複雑さを増し、気づけば脳がフル回転している自分に気づきます。しかも複雑さが増すといっても、各要素はやはりシンプルなので、暗中模索で手探りといった感じではなく、最適の計算式を探求するようなクリアな思考が楽しめます。

シンプルが重なり合うその複雑さは、ゲームファンにとって適切な負荷とも感じられ、今回のプレイで用意された1時間があっという間に過ぎました。思考はすれどシンプルなので負担は少なく、しかしバランスは手強く歯応えたっぷり。この絶妙なゲーム性は、プレイヤーの時間を没入によって奪う時間泥棒のような作品です。本当に、延々と遊んでしまいそう……!

しかも、今回はシンプルにゲームの概要やルールに絞って紹介しましたが、本作の戦闘は同社お馴染みのアクティブタイムバトルシステム(以下、ATB)を採用。各キャラの速度によって行動順が変わるので、状況と戦略は更に変化します。ちなみに、本作を手掛けているのは、ATBの生みの親・伊藤裕之氏。名クリエイターによる意欲作となれば、この出来栄えも納得です。

今回のプレイでは、地下10階にたどり着くことができました。ですが、本作のダンジョンは地下99階まであり、今回紹介した内容はほんの一部。全体を攻撃できる武器や魔法もありますし、便利なアビリティも多数用意。と同時に、敵も手強さを増すので、思考を走らせる楽しさに際限はありません。もっと刺激が欲しい方は、パーティの人数を減らしたり、レベルアップを控えて挑むのも一興でしょう。

シンプルなのに複雑で、だけども最適解を模索する道筋は明確。自分の判断が即結果に反映される醍醐味も、シンプルな作りならでは。描写を極力省いたシンプルさは、「=単純」という図式とは真逆の、時間泥棒なダンジョンRPG。発売日は、2021年10月14日発売です。プレイを一考する価値アリなので、リリースをお楽しみに。

《臥待 弦》
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