『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】

ギフトは人同士を繋ぐ縁結びそのもの。

連載・特集 特集
『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】
  • 『DEATH STRANDING』道は人と人との“縁”「贈る・送る」から繋がりを考える【ゲームで世界を観る#8】

お届け物は縁結びそのもの 日本の贈答にあるストランディング

10月に入り、百貨店では間もなくお歳暮商戦が始まりますね。冬場はクリスマスやおせちなど、配送業にとっては書き入れ時と同時に想像を絶する修羅場の季節です。暦の節目に行う習慣が重なったためですが、近年では「虚礼廃止」ということで贈答や年賀状をやめる風潮も出てきました。皆さんは今年の夏にお中元を贈りましたか?

ネットで挨拶が出来るなら負担がかかる習慣は必要が無い、という「虚礼廃止」ですが、人々が孤立しやすい今だからこそ、ものを送り合う習慣はむしろ重要なことではないでしょうか。

日本の贈答品には2色の紐を結んだ「水引」があり、封をすると同時に、贈り物によって縁が結ばれることを表しています。現在の贈答では略式的に印刷した掛け紙で代用していることがほとんどですね。

最もよく使われるのは「紅白・蝶結び」のタイプで、慶事のお祝い、季節のご挨拶に付けられます。これは蝶結びは何度も結び直せることから、回数が多いほど良いという意味です。

弔事(仏式)の場合は、白黒(地方によっては灰黄)の結び切りです。これは一度結べば解けないことから、不幸な出来事は繰り返さない、そして一度結ばれた縁を長く保つということです。『DEATH STRANDING』では人々の繋がりを「STRAND(なわ、ひも)」でなぞらえるように、日本の贈り物も水引の「ひも」で縁結びを表しています。

また、弔事では文字を書き入れる時には灰色の「薄墨」を使用します。これは、墨を擦る時に涙で薄くなったことを表現するのですが、劇中で登場人物が涙を流す時に、カイラル物質のため僅かに灰色を帯びていますね。これも薄墨のイメージと重なります。

中元や歳暮の起源は、元々商人が得意先への挨拶回りに始めたものとされ、顧客が離れないようつなぎ止める役割もありました。それが民間に広まり時節の挨拶に取り入れられるようになります。今でこそ百貨店を通じて一度に発送できますが、新型コロナウイルスが落ち着いたら、直接手渡しに行っても良いかもしれませんね。

伝説の配達人は実在した!?江戸の世を駆け抜ける飛脚

日本全国への配達網が整ったのは全国平定が完了した江戸時代から。駅伝制は飛鳥時代からありましたが、権力の範囲は行き届いておらず、戦国時代には大名の領地が激しく移り変わり、路の途絶も珍しくありませんでした。反乱勢力を駆逐し、街道の整備が進んでようやく実現したのです。

当時の大きな荷物は船や馬で運んでいましたが、やはり己一つのみで走る「飛脚」が配達の花形でしょう。インターネットも電報も無い時代では情報を伝えるのも人間の足、主に重要な書類や小さな荷物を届けるメール便のような役割でした。各地に配置された詰め所をリレーで繋ぎ、江戸から堺までの約500kmを最速3日で届けられたと言います。整備の進んでいない山道に、盗賊に襲われる危険性もあり、雨が降れば増水した川を突っ切ることも。そんな無茶も引受けるために、その料金は現在の価値に換算して数十万円にもなりました。

本来は何人も継ぐ長距離の配達ですが、秋田(久保田)藩の那珂与次郎は秋田~江戸間の約500kmを単独かつ片道僅か3日、往復6日の行程を完遂したという話が残っています。まさに「伝説の飛脚」と呼ぶに相応しく、その正体は忍者、あるいは化けギツネとも言われています。秋田には当人を祀った与次郎稲荷神社があり、陸上アスリートにも人気のスポットです。

『DEATH STRANDING』ではとあるミッションにおいて、まさしく伝説級の飛脚仕事を請け負うことになります。パワースケルトン一つで大陸を一気に横断するその姿は、アメリカに降臨した韋駄天その人に違いありません。

ものが届くとは、相手の住所を正確に知っていると言うことです。情勢の変化で転職、あるいは失業して住所が変わったという人も多いですから、住所録を更新する意味でも年賀状や暑中見舞いだけでも重要なのです。

これがもし宛先で受け取られず、住所不明で戻ってきてしまったら?電話番号やSNSで連絡が取れなければ、その人とはもう縁が切れてしまいます。インターネットはスピードの点ではこの上なく便利ですが、アカウント変更などで簡単に繋がりを切ってしまえる面もあります。

ものが届くとは、「道が繋がっている」と言うことであり、機会があれば直接会いに行けるのです。それが人と人を繋ぐ「縁」であり、ものが届く道筋、すなわち配送によって「縁」が結ばれているのですね。配達の仕事は大変ですが、荷物の一つ一つに託された想いを感じられた時にはその「縁結び」の苦労が報われた気持ちになるでしょう。

住所を書いた配達表を箱に貼れば、世界中のどこにでも物が届く。お金さえ払えば地球の裏側にある品物が買える。今では当たり前になったこのシステムも、歴史的に観ればごくごく最近に出来上がったばかりです。交通網の発達、政情の安定、共通規格、様々な要素が整えられて初めて、その当たり前が成立することを忘れてはいけません。

参照

大昔の通信手段・飛脚は速かったの? 東京から大阪まで飛脚になって手紙を届ける -TIME&SPACE

郵政研究所月報 附属資料館

驚異的な飛脚、与次郎を祀る「与次郎稲荷神社」 -にゃんと!?また旅

《Skollfang》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top