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都会の激務に疲れた若者が会社を辞めて地方移住!サバイバル生活シム『小生活(Graduated)』【中華ゲーム見聞録】

「中華ゲーム見聞録」第105回目は、都市での激務に疲れた若者が、地方移住して経済的独立を勝ち取るサバイバル生活シミュレーションゲーム『小生活(Graduated)』をお届けします。

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都会の激務に疲れた若者が会社を辞めて地方移住!サバイバル生活シム『小生活(Graduated)』【中華ゲーム見聞録】
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中華ゲーム見聞録」第105回目は、都市での激務に疲れた若者が、地方移住して経済的独立を勝ち取るサバイバル生活シミュレーションゲーム『小生活(Graduated)』をお届けします。

本作はLove7が開発し、BD Gamesによって、2022年7月29日に早期アクセス版がSteamで配信されました。中国では近年、競争社会に嫌気が差し、消費を極力抑えてあくせく働かない「寝そべり主義(躺平主義)」と言われるライフスタイルが若者の中で広まってきました。これまでの家や車の購入、結婚、子育てなどの高コスト生活を捨て、資本主義社会の価値観に毒されないよう生きていくというものです。

これは中国に限った話ではなく、世界でも同じようなことが起こっています。日本でも米国株や仮想通貨ブームとともに、「FIRE(Financial Independence Retire Early(経済的独立と早期リタイア)」がムーブメントとなりました。節約・貯金をして、全米・全世界株式インデックスに連動する投資信託やETFを購入し、その運用益で自由に暮らしていくというものです。年間4%の運用利回りがあれば、1億円の投資で年収400万円です。毎年4%ずつ取り崩せば、元本を減らさずに運用が続けられます(理論上は)。

高度経済成長期の「がむしゃらに働く」というスタイルから、現在の衰退する経済や少子化、既得権益有利な社会に対する諦めもあり、「そこそこ稼げれば十分。多くは望まない」という若者は年々増え続けています。仕事がすでに自分の人生にとって重要なものではなくなり、労働に対するモチベーションが失われているのですね。

本作ではそんな中国の現状を反映したかのような内容で、主人公は都会での激務に嫌気が差し、地方移住をして生計を立てようとします。一見のどかな地方生活ですが、食べていくためにはやはり仕事をしなければなりません。一体どんなゲームなのか、早速プレイしていきましょう!

会社を辞めて地方移住!

まずはキャラメイクから。男性・女性どちらでもプレイ可能。髪型や顔、上着、ズボン、星座など、細かくカスタマイズできます。とりあえずキャラ名を「スパくん」としました。

スパくんと友人・小婉との会話からゲームは始まります。小婉は卒業後「地元に戻って喫茶店を開きたい」とのことで、これから旅立とうとしています。スパくんは「お金持ちになっても、俺のことは忘れないでくれよ」と小婉を見送りました。

そして2カ月後。スパくんは、見るからにブラックな企業に入社し、夜遅くまで頑張って働いていました。会社内で仮眠を取っている人もいますね。中国では、「朝9時から夜9時まで、週に6日間働く」という「996」が社会問題になっていました。

特にIT企業は能力主義なので、頑張れば高給取りになれますが、その分労働時間も凄まじいものがあります。「必死で稼いでお金持ちになる」というライフスタイルが、現代の若者には段々合わなくなってきて、自分らしく生きる「寝そべり主義」がもてはやされてきたのですね。

上司から仕事内容の修正や仕上げを、チャットでせっつかれるスパくん。そんな中、小婉から2カ月ぶりの連絡が入ります。「ついに地元で喫茶店を開店!」とのこと。「羨ましい」とスパくんが言うと、「それだったらこっちで暮らしたらどう?」と誘われます。そこへ上司からの連絡が……。「もうやってられない」と思ったスパくんは、上司からの通話を拒否し、会社を辞めて地方移住を決めるのでした。

地方生活の始まり

一大決心をしたスパくんは、荷物もほとんど持たずに小婉の地元へやってきました。農村地ではなく、中途半端に都市化された街並みが何かリアルですね。道行く人達とは会話や取引をしたりできます。

しばらく待っていると、小婉がやってきました。町の感想を聞かれ「きれいで良い所だけど、思ったより都市化しているね」と答えるスパくん。小婉は「地元はいろいろ新しいものが増えたけど、その分、商売の機会も増えた」と言います。どちらにしろ生活費を稼がなくてはなりません。選べる仕事は多い方がいいですね。

まずは住む場所を探しましょう。メインクエストとして「住居を探す」が発生。本作は自由度の高いゲームとなっていますが、何をしていいのかわからないという人のためにクエストも設けられています。最初の内はクエストに従った方が良いでしょう。ちなみに小婉は店の仕事があるので、帰ってしまいました。

町中をうろついて、住居になりそうなアパートを発見。中にいる王英という管理人と話をすると、「一カ月600元」とのことです。安い。早速契約しました。ちなみに町の人達とは、物を送ったり交流したりして、仲良くなることもできます。管理人と仲良くすると、何か良いことがあるのでしょうか。

部屋は3階の303号室。エレベーターに乗って向かいます。なかなか広い部屋ですが、家具がほとんど無く殺風景。調理器具も無いので、料理が作れませんね。後で買いに行きましょう。と言っても先程600元払ったので、残ったお金は300元だけです。さすがにこの移住は無謀すぎる気も……。

住む場所が決まったので、小婉へ報告に行きます。なかなか良いお店ですね。中国では喫茶店というよりも、「ミルクティー店」という言い方が一般的ですね。この手の店舗は、台湾のタピオカミルクティー店が元になっています。日本でも一時期流行っていましたね。

小婉はスパくんを電動スクーターに乗せ、海まで案内してくれました。道具さえあればダイビングもできるそうです。海辺の町なので、環境はなかなか良さそうですね。日が暮れてしまったので、仕事探しは明日からにしましょう。

生計を立てよう!

自宅のベッドで目を覚ましたスパくん。腹が減っていたので、昨日小婉から貰ったミルクティーを飲みます。本作では「心情」「空腹度」「精力」「気血」「気」の5つのパラメータがあり、食事をしたり睡眠を取ったりすることで回復させられます。これらは行動や学習に影響を与えるので、できるだけ高い数値をキープしておくのがいいでしょう。

近所のスーパーに入ってみました。野菜や肉、魚介類などが売っています。ただ調理器具が無いので、食材だけ買ってもどうにもなりませんね。まずは調理器具を手に入れることからです。外食は高いので、できるだけ避けたいところ。節約生活と言えば、やはり自炊ですしね。

小婉に話を聞くと「移住者のための支援金がシティーセンターでもらえる」とのこと。日本でも東京一極集中を避けるため、地方移住支援制度がありますね。「貰える物は貰っておこう」ということで、さっそくシティーセンターへGO!

シティーセンターに到着。「毎月600元の支援金を1年間貰える」そうなので、早速申請しました。シティーセンターでは土地使用権を購入可能。中国の土地は政府のものなので購入はできず、「70年間借りる」という形になります(建物の所有権は制限無し)。土地使用権は地方政府の財源にもなっており、近年は行き過ぎた投資で不動産バブル問題を引き起こしていますね。

シティーセンター前の掲示板で仕事を探します。「竹林内の田園の管理」というスローライフゲーム的に分かりやすい仕事がありました。これをやってみましょう。それと家具量販店のIKEAならぬ「AKEA」がありますね。時間がある時にでも覗いてみましょう。

竹林に行ってみると、陶林という老人がいました。中国の有名な詩人・陶淵明の子孫だそうです。竹林が荒れているので、「雑草と竹を刈り取って、農作物を植えてほしい」とのことです。鎌と斧を貰ったので早速作業開始!

作業やクラフトなどをすることで、「活力」「インスピレーション」の経験値とレベルが上がっていきます。レベルを消費することでスキルツリーを解除可能。最初のスキルを解除するにもレベルが10必要なので、結構時間が掛かりそうですね。

釣竿を貰ったので、釣りをしてみましょう。クリックで釣り糸を垂らし、魚が食い付いたタイミングで引き上げればOK。魚は先程のスーパーで売れますので、しばらくこれで生計を立てるのも良いかもしれません。

竹林内の機械でクラフトもできます。斧や鎌には耐久度があるので、壊れたら新しいのを作らなければなりません。材料の「木材」は竹林で取れますが、問題は「鉄板」ですね。陶林に聞いたところ、「町の廃品回収業者で仕入れられる」そうです。

ウーバーイーツ的な仕事もありますが、バイクが無いとできないとのこと。お金を貯めてバイクを買うところから始めないといけませんね。中国ではコロナ禍の不景気で、宅配サービス業が労働者の受け皿となっていました。しかし事故の多発や保険が不十分なことから、現在、社会問題化しています。

「AKEA」を見に行きました。家具は結構値が張るので、今の資金では買えませんね。とりあえず炊飯器が199元なので、これを購入。家に持ち帰って設置しました。レシピが無いのですが、水と米を組み合わせたところ米を焚き上げるのに成功!外食はお金が掛かるので、やはり自炊できた方が良いですね。

寝る前に、書店で購入した「卵チャーハンの作り方」の本を読みます。「精力」と「時間」を消費するので、毎日ちょっとずつ読み進めていくのが良さそうです。部屋が殺風景なので、お金を貯めていずれグレードアップしていきましょう。果たしてスパくんの地方移住は成功するのか、続きはぜひ自身の手でプレイしてみてください。

リアリティのある地方移住サバイバル

本作は、いわゆる「スローライフゲーム」の舞台を現代に持ってきたような内容になっています。地方と言っても、半都市化された場所で、そこでどう立ち回っていくかといった斬新さと面白さがあります。筆者が初めて中国・鄭州に住んだ時の状況に似ている感じですね。その時も炊飯器を買ったりなど、生活基盤を整えるところから始めていました。本作はそんな状況も再現されており、妙なリアリティがあります。

本作は、人との交渉時に『Slay the Spire』のようなローグライトカードゲームっぽいミニゲームがプレイできたり、海に潜って探索をしたり、トレーニングジムで体を鍛えたりなど、遊び心満載で作られています。スローライフゲームの新たな方向性にもなりそうなポテンシャルがありますね。現在、中国語以外に英語でのプレイも可能です。まだ早期アクセス版ですが、今後の展開に期待できる作品になりそうです。

製品情報

『小生活』
開発・販売:Love7、BD Games
対象OS:Windows
リリース日:2022年7月29日
サポート言語:中国語(簡体字、繁体字)、英語
通常価格:1,420円
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1070260/_/
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字・繁体字を日本の漢字に置き換えています。

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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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