今回は、月刊湿地帯、Studio Dragonetが手掛け、わくわくゲームズから発売された『ファミレスを享受せよ』のPC(Steam)版をプレイ!本作は、時間が止まった不思議なファミレス「ムーンパレス」が舞台のアドベンチャーです。
ファミレスは、出先でちょっと仕事をする時なんかによく利用しています。最初は「仕事しながらだし、ドリンクバーとポテトくらいでいいや」と思うのですが、気がついたらあれやこれやと注文してしまう魅力がありますよね。そして結局ろくに仕事もせず、普通に食事をして、お腹をパンパンにして満足して帰っています……。
◆ここは不思議なファミレス「ムーンパレス」
夜遅くまで勉強をしていた主人公は、部屋の窓から見える綺麗な月に導かれるようにファミレスへと足を運ぶ。そのファミレスの名は「ムーンパレス」。
主人公は席に付き、ソフトクリームとドリンクバーを注文する。
主人公は強いエビアレルギー持ちなので、入ってないとは思いつつも一応確認する。最近の飲食店のメニューには、アレルギー物質や塩分量が書いてあって親切だよね。
注文を終えて勉強に集中していると……あれ、座席の風景が違ってないか?それに注文したソフトクリームもまだ来ていないぞ。
「ソフトクリームにエビが入っているか」なんてトンチンカンな注文を忘れられるわけないだろう。なんならあだ名とかつけられてそうだし。ちょっと様子を見に行こうかな。
店内マップのマークをクリックすると、各場所へ移動が出来る。とりあえずエントランスに行ってみよう。
出入り口のドアは閉鎖されていた。店員さんも居ないし、入ってきた時と外の風景が違っている。明らかにおかしな状況だ。もしかして、異世界のファミレスにでも転送されちゃった系なのか?
お、ドリンクバーがあったぞ!一応最初にドリンクバーを注文していたし、勝手に飲んじゃっても怒られないよね?いい年こいたおっさんだけど、色んなドリンクをミックスして変な飲み物作っても怒られないよね?
生臭いけど美味しい第一のスープや、とろみのあるガラスシロップ、肉の味のする強炭酸のペンギンソーダという、ミックスする前からぶっ飛んだラインナップだ……。
◆他の客は個性派揃い!何をして暇を潰す?
このファミレスには、僕以外にも客が居るようだ。彼の名前はR・スパイク。フォースプーンという国の王らしい。本当に王様なのかはわからないが、大仰な話し方をするので確かにそれっぽい。悪い人では無さそうだ。
所有している話題アイコンを選択すると、それに応じた会話が出来るのか。
そして会話をすると新しい話題が入手出来るので、その話題でまた話しかけて……といった具合にゲームを進めていく。
彼女の名前はガラスパン。このムーンパレスの古株で、数千年前からここに閉じ込められているらしい……って、数千年!?
いくら飲んでも無くならないドリンクバーって、最早楽園じゃん!
彼はセロニカ。図書館の事務員で、好きなものは歴史や鳥、食べ物ではカブが好みのようだ。職場の同僚には「明日世界が滅びるとしても歯磨きをしてそう」と言われているらしく、おそらく生真面目な性格なんだろうな。
そしてツェネズという女性は、何かしらの事情により、部屋にこもってドア越しでしか会話が出来ない。以上がムーンパレスに囚われた客たちだ。
それぞれから見たお互いの印象や、ここに来るまではどんな仕事をしていたか、好きな飲物について聞いたり、「みんなでTRPGでも作っちゃう?」と雑談に興じたりする。友達とファミレスでダラダラしながら、意味があるようでないような会話をしているユルさが心地良い。
と思ったら、自分の首にペンを刺して自殺を試みた人も居るらしい。ムーンパレスに来たばかりの主人公と違って、ここで何百、何千年と囚われ続けている彼女らは、すでに色々試して現在に至っているのだろう。
ある時、主人公が故障中の札が貼ってあるドリンクバーのボタンを押すと、コップの容量を越えてコーヒーが溢れ出してきた。
主人公は、足元にまでコーヒーが流れ出してパニックになるのだけど、他の客たちがやってきて「だいぶ前の私と同じことしてる」とか「やがてなんとかなるから」とか「好奇心に負けて押さなくてよかった」など口にしながら、溢れたコーヒーを拭くのを手伝ってくれた。
手伝ってくれたのは嬉しいけど、張り紙に「故障中」とだけ書いて、押すとどうなるかは書いていなかったし、いつか新入りがやって来た時にやらかしちゃうのを期待していたのだろう。なんて気の長いドッキリなんだ。
僕もいつか新入りがやって来た時、同じことをしてやろう。そうニヤニヤするのであった。ムーンパレスの夜はまだまだ続いていく……。
エンディングは複数用意されており、全てクリアするのに2時間半ほどかかりました。
当然だけど、同じ質問でも人によって返答が変わるので、色んな側面から物事が見れるのが良かったですね。数千年にも及ぶファミレス生活を続けているからか、どのキャラクターもみんな達観したような落ち着きがあり、結構ヤバめな状況にも関わらず、ユルい雰囲気で楽しめました。
移植版である本作は、キャラクターの雑談やクリア後の特典などが追加されているので、無料版をプレイ済みの方もぜひプレイしてみてください。
深夜にリラックスしながらプレイしたいゲームでした。
わくわくゲームズ版『ファミレスを享受せよ』は、PC(Steam)向けに8月1日より配信中。スイッチ版は今夏にもリリース予定です。