今や生活に欠かせなくなった通信アプリ「LINE」ですが、もしもこの日常的なメッセージのやり取りが恐怖の世界への入口となっていたとしたら…アナタはどうするでしょうか。
今回は、そんなLINE風メッセージを駆使したギミックと、“呪われたガラケー動画”の謎を追う「リング」的なストーリー設定が融合し、2025年7月3日よりPC(Steam)向けに発売された新作ホラー『ノロイヅキ(呪イ憑キ)』のプレイレポートをお届けします!
不気味な夜の学校を探索するホラーサスペンス

本作は、悪夢遊行(あくむゆうこ)氏が手がける一人称視点のホラーアドベンチャーゲームです。
地方の高校に通う主人公は、突如姿を消した妹のあかねの行方を追うために、不気味な田舎の学校を探索。プレイヤーは、リアルタイムに届くLINEメッセージでのやりとりなどをヒントに、25年前に起きた事件と「呪われたガラケー動画」の真相を解き明かしていくことになります。

「リアルタイム」で進行する独特の臨場感
本ゲームは、スマートフォンのLINEメッセージを軸にストーリーが展開されます。現実の時間とゲーム内時間が連動して刻々と流れ、メッセージがリアルタイムで届くことで独特の緊張感と没入感をゲームプレイに生み出していることが特徴的でした。

また本編はプレイ時間約1~2時間ほどですが、複数のエンディングが存在し周回プレイが前提です。サクッと何度も遊べるカジュアルなゲームプレイも魅力でした。
操作方法、オプションについて

操作は、キーボード&マウスおよびコントローラーに対応しています。筆者は今回Xboxコントローラーでプレイしましたが、操作感については特に問題なくキビキビ反応してくれます。探索中の移動やスマホの取り出しなど、それぞれのアクションもスムーズでした。
言語に関してはもちろん日本語字幕対応ですが、それに加えてLINEメッセージの表示言語、字幕の大きさなど細かく調整が行えます。

本作は、丁寧に作り込まれた背景や環境も素晴らしい出来栄えです。グラフィックに関しては、描画品質から最大フレームレート、アンチエイリアスまで幅広く設定することができて満足でした。
刻一刻と死が近づく…!「呪われた動画」の場所を突き止めろ


本編が開始すると、まず「動画の場所 探し出さないと 死ぬんだって」という不穏なメッセージが流れます。謎の動画、見つけないと死ぬ…筆者がふと思ったのは、言わずと知れたジャパニーズホラーの金字塔「リング」です。もしや貞◯みたいな怪物が襲いかかってくるのか……?
そして次は、見知らぬ学校が映し出されます。屋上には人の姿が…と思った次の刹那、その人物が突然飛び降り自殺してしまいます…!なんとも衝撃的な展開ですが、この事件をキッカケに物語の幕が上がります。

さて、場面が一気に変わってのどかな田舎の風景が広がります。LINEで微笑ましいやり取りをしているのは、地方の学校に通う高校2年生の主人公「辻沢 啓一」と双子の妹「辻沢 あかね」。

どうやら、あかねは忘れ物を啓一に持って帰ってもらおうとしているようです。本作は、こうしてリアルタイムにLINEメッセージを通して他のキャラクターと会話しながらストーリーを進めていきます。
Yボタンでスマホを出し、Aボタンでメッセージの返信を行います。やり取りの内容は現実世界でもありそうな感じで、それがゲームへの没入感を高めていました。

会話が終わり、周辺を探索してみます。ここは架空の「魚見台駅」という設定ですが、鳥取県気高町には「魚見台」という展望台が実在します。



古びた商店の前には、レトロなガチャガチャやアーケードゲームが佇んでいて懐かしい気分になります。田舎のほうでよく目にする「マルフク」の看板や広告など、世界観やグラフィックはかなり作り込まている印象です。


一通り見て回ると、駅に電車が到着。あかねのカバンが気にかかりますが、とりあえず帰宅します。


部屋でゴロゴロしていると、「ヤバい おにい帰れん なんかヤバい」と冗談にしては奇妙なLINEメッセージがあかねから入ります。
すかさず「どうしたんだ?」と返す啓一。すると今度は「ガラケーの動画」と短いメッセージが。あかねの意味不明な言動にとまどいますが、彼女の身に何かが起こっているようです。

それ以降あかねからの連絡は途絶えてしまいます。不安を加速させるように、今度は啓一の彼女である「澤北 綾(さわきた あや)」からLINEメッセージが……!なんと啓一の通う高校の屋上で、飛び降り自殺があったとのこと。

こうして、不穏なLINEメッセージを最後に行方がわからなくなった妹を探しに行くため、夜の学校へと向かうことにした啓一。果たして彼女は見つけ出すことはできるのか。


学校の正門にたどり着くと、ここでまた綾から情報が。どうやら、飛び降りたのは「鳴海 玲奈(なるみ れいな)」という同級生で、他にも2人の同級生と連絡が取れずに行方不明のようです。


LINEでのやり取りから次の目的地が判明し、その場所を探していくというウォーキングシミュレーターに近いプレイフィールです。基本的に戦闘などはありませんので、じっくりとストーリーに没入できます。


正門近くの飛び降り現場にいくと、一台のガラケーを発見。いったいんぜここに…?そして、ふと屋上のほうを見上げると、得体のしれない人影がこちらを覗き込んでいます……!思わずゾッとした瞬間、人影はどこかへ消えていきました。


ガラケーには動画ファイルが残されており、これがあかねの言っていた「ガラケーの動画」でしょうか?とりあえず再生してみると、ノイズの混じりの映像にはプールの風景が映し出されています。この映像はなんなのか謎は深まるばかりです。


ガラケーの動画を見たと綾に報告すると、衝撃的な事実が判明します。なんと、ガラケーの動画を見てしまうと呪われてしまい、最終的に死んでしまうというのです。その証拠に同じように見てしまった生徒が行方不明になったり、遺体で発見されたりしていた模様。
ということは、あかねや飛び降りた玲奈たちは動画を見てしまったのか…?とにかく呪いを解くためには動画が示す場所を探さねば…!死は刻一刻と近づいてきます。

目的地はゲーム画面に表示されているので、あまり迷うことはないでしょう。夜の学校の探索はリアルなグラフィックのおかげかメチャクチャ不気味。恐る恐る進んでいくと、校舎裏にプールを発見します。

しかし、鍵が掛かっていて入れません。まずは鍵を探すしかないのか…と振り向いた瞬間、血まみれの服を着た女の姿が現れます!それは一瞬で消えましたが、もしや今回の事件となにか関係があるのでしょうか。

ということで、次はいよいよ校舎に入り職員室に向かいます。ここまでのプレイで感じたことは、LINEメッセージでのやりとりが意外と面倒くさいのが正直な感想です。たしかに、このシステムは本作独自の要素としてオリジナリティがあるし、物語を進めるコアな部分でもあるし、何よりゲームへの臨場感や緊張感が高まります。

とはいえ、シリアスな場面であってもストーリーに関係のないやり取りが挿入されることも多く、没入感を台無しにしています。

加えて、プレイヤーが何か行動を起こすたびにLINEメッセージのやり取りをしなければならず、ゲームプレイのテンポを非常に悪くしていたことも良くなかった点でした。鍵を見つけるにも、綾にLINEメッセージで場所を教えてもらわないと入手できません。これもプレイの自由度を大きく損なっていました。


こうして職員室に隠されていたプールの鍵を入手します。ちなみに、画面には呪いが発動し死に至るまでの時間がリアルタイムでカウントダウンされていきます。これはプレイヤーに焦りと不安感を駆り立てゲームプレイに緊張感を与える良いシステムだと思いました。


さて、校舎を抜け問題のプールへとやってきました。奥の更衣室には、なんとあかねのスマホだけがポツリと残されていました。周囲を見渡しても本人の姿は見つからず……果たして、啓一は無事動画の呪いを解き、行方不明のあかねや同級生たちを見つけることは出来るのか。ぜひプレイヤー自身で体験してみてください。
本作は、「LINEメッセージ」を使った探索システムと、夜の不気味な学校を舞台に“リアルタイム”で呪われた動画を見つけ出す臨場感が上手く落とし込まれたホラーゲームでした。
LINEメッセージのやり取りは、ゲームプレイのテンポ感を確かに損ねていましたが、無駄なジャンプスケアもないので、苦手なプレイヤーにはホラーゲーム入門編としてオススメできる作品です。
タイトル:『ノロイヅキ(呪イ憑キ)』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
著者プレイ時間:5時間
価格:920円
スパくんのひとこと
LINEメッセージでやりとりしながら探索を進める緊張感がたまらなかったスパ!夜の学校ってやっぱ独特の恐怖があるスパね……!














