Game*Sparkレビュー:『シチズンスリーパー2: スターワードベクター』傑作RPG/ADVの続編は不確実な未来と仲間との絆を体感するSF逃亡劇 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『シチズンスリーパー2: スターワードベクター』傑作RPG/ADVの続編は不確実な未来と仲間との絆を体感するSF逃亡劇

2025年10月30日に日本語ローカライズが実装された『シチズンスリーパー2: スターワードベクター』をレビュー!

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Game*Sparkレビュー:『シチズンスリーパー2: スターワードベクター』傑作RPG/ADVの続編は不確実な未来と仲間との絆を体感するSF逃亡劇
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『シチズンスリーパー2: スターワードベクター(以下、シチズンスリーパー2)』はJump Over The Ageが開発し、Fellow Travellerがパブリッシングを行う“ダイスが運命を決める”TRPG風アドベンチャーです。2022年に発売された『シチズン・スリーパー』の続編であり、2025年2月にリリースされましたが当初は日本語対応していませんでした。そのため、筆者のようにローカライズを今か今かと楽しみにしていたプレイヤーも多いでしょう。

今回は2025年10月30日に行われた日本語対応にあわせて、Steam版のプレイを通してゲームの紹介を行いつつ、「前作とは何が違うのか?」「本作ならではの面白さは?」などに迫っていきます。なお、レビュー執筆においてはパブリッシャーよりSteamキーの提供を受けています。

※以下のレビュー本文ではストーリーの核心は執筆しませんが、物語の展開や登場キャラクターなどに触れるため、未プレイの方はネタバレには留意してください。

“居場所”の在り方が変化した理想的な続編

本作の主人公は、人工の身体に人間の擬似精神を宿した生命体「スリーパー」です。自らを開発した企業「エッセンアープ」の支配から逃げ出した先で、「ダークサイド」を牛耳るギャング「ウツボ」の幹部・レインに言いように使われていました。自由を求めて自らのシステムをリブートするも、妨害により中途半端な状態で終わってしまい、代償として記憶喪失に陥ってしまいます。

これまでの仕事仲間で友人だと名乗るパイロット「セラフィン」と合流し、二人の関係性に困惑しつつも盗んだ旧型船「リグ」でへクスポートへ脱出。スリーパーを追うレインの追跡を振り切りつつ、小惑星帯に点在する入植地群「スターワードベルト」で逃亡劇を繰り広げます。

本シリーズはプレイヤーがゲームシステムについて習熟していく過程と、スリーパーが生活の基盤を安定させて世界が広がっていく過程のシンクロが特徴で、『シチズン・スリーパー』とも共通するプレイフィールです。ただ大きく異なるのが“居場所”の違いで、前作はスペースコロニー「アーリンの瞳」という一拠点で交流を深めて故郷を見出していく物語でしたが、本作は「逃亡劇」というテーマである以上、さまざまな場所を行き来するため土地への思い入れが生まれにくいです。

その分濃密に描かれるのが、各地で出会う仲間との絆です。各キャラクターは思惑や問題を抱えており、中にはスリーパーを利用して漁夫の利を得ようとしている人物も当然います。ただし主人公たちも生きていくために依頼をこなして、クルーを増やしたり日銭を稼いだりしなければならず、あえて懐に爆弾を抱えるような行動をしなければならない時も……。

ただし最初は「いけ好かない」と思っていたクルーが、ふとしたときにこぼした弱音や本音と向き合ったり、危険な任務に共に出かけて一緒に死にかけるような目にあったり。そういった行動の積み重ねが絆を構築していき、いつの間にかにかけがえのない仲間だと考えている主人公とプレイヤーに気づきます。言い換えると前作は物語を通して広大な「アーリンの瞳」で居場所を確立していく話でしたが、本作は狭い「リグ」の中で構築される仲間という関係性に居場所を見出していくストーリーと言えるでしょう。

また各地を転々とするということは、大型ステーションで序盤の拠点となる「ファースピンドル」、緑化された小惑星「グリーンベルト」など、それだけ個性豊かなロケーションを発見できるということ。専門的なSF用語が多いシリーズですが、この“オンボロ船で仲間を見つけながら宇宙を旅する”というコンセプト自体はシンプルで分かりやすく、聞いただけでワクワクする人もいるのではないでしょうか。

そして本作は1個の新作タイトルとしての面白さと、“理想的な続編”の側面を兼ね備えているのも特徴。同じ世界を舞台にした物語であれば、「前作のキャラクターはどうなったのだろう」と思うのがプレイヤーの心情でしょう。そこに100点で答えてくれるのが『シチズンスリーパー2』です。たとえば序盤に爆破されたへクスポートの余波で、ボロボロになったスリーパーとセラフィンを助けてくれるのが、前作では丸刈りの女性メカニックとしてサブイベント的に登場した「ブリス」。

おそらく明言されてはいませんが、本作は前作のエンディングから数年~十数年後の話だと思われます。心身ともにたくましくなった姿で登場したブリスが、「以前もスリーパーと一緒に作業したことがある」とこぼす場面は、前作プレイヤーにとって“自分の意思が物語に息づいていたんだ”と感じ入るものがありました。

さらにブリスと一緒にアーリンの瞳を飛び出した傭兵「アンキータ」は?、弟を探しに旅に出たバーの店長「タラ」は今なにしている?といった疑問も、ストーリーの盛り上がりと共に解答してくれるのは興奮せざるを得ません。一個のSFタイトルとしても完成度が高いのは前提として、その分物語の読解に前作知識が必要だと感じたことも多く、世界観を徹底的に味わうには本作のプレイ直前に『シチズン・スリーパー』を(再)プレイすることをおすすめしたいです。

筆者が前作をプレイしたのは1年半前でやや記憶が薄れていたため、気づかなかった匂わせなどもおそらくあるでしょう。つまりはプレイヤーごとに展開が変化するシナリオ構成に共鳴するように、『シチズン・スリーパー』への愛のぶんだけ『シチズンスリーパー2』への見え方が変わる、とも言えるかもしれません。

クルーとの交流と負荷が生む逃亡劇の臨場感

『シチズンスリーパー2』の面白さは、シナリオ上の逃亡劇や人間関係の描写に留まらず、ゲームシステムが物語と密接に結びついている点にあります。ゲーム内では1日の単位を「サイクル」と呼び、プレイヤーは毎サイクルで何をするのか行動を選びます。

各サイクルで消費される「活力」は、空腹や疲労という形でスリーパーの“生活基盤”を表しており、単なる体力のようなステータスではなく、「日常」と「生存」をゲームプレイに置き換えたものだと言えます。「技術」「電脳」「忍耐」「直感」「交流」に分類された5種のアクションを行うたびに振られるダイスは、所持スキルの補正によって成功率は変動するため、プレイヤーは「報酬が大きいが自分の能力ではリスクも高い」という判断をリアルな感覚で迫られます。

クラス選択の差異が明確になったのも大きな特徴です。前作にもクラス選択はありましたが、マイナス補正からスタートした不得意スキルも強化することができました(強化ポイントに限りがあるので現実的ではありませんでしたが)。しかし本作ではたとえば筆者の選択した「電脳」が得意な「操縦士」だと、どんなに頑張っても「忍耐」スキルを上げることができません。

そこで頼りになるのがクルーの存在です。依頼ではスリーパーだけでなく、クルーを二人まで同行させることができ、彼らの固有ダイスを使ったアクションが可能になりました。そのおかげで何とか依頼を完遂できた場面も多く、足りない部分を補い合いながら仲間と共に困難を乗り越える感覚を味わえます。いわばクルーの拡充はストーリー上の展開に留まらず、ゲームシステムにも直結しており、仲間が増えるたびに行動・選択肢の幅も広がっていきます。

「負荷」という新システムは、スリーパーが抱えるストレスや故障をプレイヤーが直接感じられる仕組みになっています。負荷はダイスアクション、活力が尽きる「空腹状態」などの要素によって溜まり、負荷レベルに応じてサイクル開始にダイスにダメージを与えることがあります。ダイスの体力が尽きてしまうと当然ダイスが壊れてしまい(難易度“注意”以上だと全ダイス破損でスリーパーが死亡)、リソースをつぎ込んで修復するまで行動回数は減ってしまいます。こうしたスリーパーの身体的・精神的な限界が“数値化される”ことで、逃亡生活の張り詰めた空気をより強く感じられるシステムとなっています。

さらにダイスの修復時や時おり発生するレインからのハッキング時に、「グリッチ」というペナルティが蓄積。グリッチダイスというスキルやアクション種類に関わらず、“良い結果20%・悪い結果80%”をもたらす特殊ダイスが配布されます。また「プッシュ」と呼ばれるクラス固有の能力は、使用するたびに負荷が蓄積する代わりに、ダイスを振り直すなどの一か八かの選択が可能です。難局を打開するために無理を押し通す――そんな“生きるか死ぬか”の感覚を、ゲーム越しに体験できます。

特筆したいのは、前作と『シチズンスリーパー2』で示される“時間の重み”の違いです。前作において、スリーパーは身体の劣化を抑える「安定剤」という救済手段が生存に直結する目標でしたが、安定剤の入手手段が確立できる中盤以降はシステムが形骸化しまっていたのも事実です。

対して本作では「負荷」「ダイス破損」「グリッチ」といった、自らの行動に関わるじわじわと積み重なっていく危険と不安が常に背後にあり、“先の見えない未来を不安に思いながら逃げ続ける”という逃亡劇とシステムがリンク。プレイヤーは「次のサイクルも生きていけるだろうか」「ダイスを振ったらどうなるだろうか」といった不安をリアルタイムで感じながら、操作を続けることになります。このように本作のシステムは「TRPG風アドベンチャー」と表現される通り、物語とゲームプレイの境界が曖昧になる一体感と没入感が最大の魅力です。

逃亡と絆が生む“自分だけの物語”

『シチズンスリーパー2』は、名作アドベンチャーゲームの続編というだけではなく、「追われながらも生き抜こうとする」スリーパーたちの姿を通して、“生きること”の意味を問いかける作品です。印象的なのは逃亡劇という状況下で築かれる仲間との信頼関係で、クルーの個性を考慮しながらストーリーやダイスを振っていくことで、成功も失敗も“自分だけのストーリー”として積み重なります。

前作が“居場所を築く”物語だったのに対し、本作は“居場所を探し続ける”物語として、安定ではなく不安定さこそが本作の核です。ゲームを進めるほどに逃亡生活の緊張感と、仲間と一緒に生き抜く喜びが実感でき、TRPG的なダイス判定やリソース管理は単なるゲームシステムではなく、生きることの不確実性を体験する装置だと言えます。

Game*Spark レビュー 『シチズンスリーパー2: スターワードベクター』 PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ 2025年2月1日(日本語ローカライズ:2025年10月30日)

逃亡劇と仲間との絆が交差するSFアドベンチャーの傑作

GOOD

  • 逃亡劇と仲間との絆が密接にリンクした読み応えのあるシナリオとシステム
  • TRPG的なダイス判定やリソース管理の面白さ
  • 前作との繋がりによって世界観に厚みと感動が生まれている

BAD

  • 前作未プレイだと完全にゲームを楽しめない点
ライター:SIGH,編集:みお


ライター/RPGとADVに強いと自称するライター SIGH

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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