
2025年のシューティングゲームジャンルは豊作と言える年でした。移植作が多いのはほぼ例年通りと言えるものの、これまで移植困難だったタイトルが復活したり、期待の完全新作もリリースされ良い評価を得たことが大きな変化だと思えます。
本記事はそんな2025年におけるシューティングゲームシーンを振り返る内容です。
人気作の現行機移植が多く実現した年―2025年のSTG発売タイトルを振り返ろう
ここからは、今年にリリースされたSTGタイトルの一部を挙げ、どんな特徴があったかを語ります。1月にはグレフのニンテンドースイッチ版『星霜鋼機ストラニアEX』や、2月にはシティコネクションのPC(Steam)版『アンダーディフィート』、3月にはコスモマキアーのPC(Steam)版『式神の城III』がリリース。4月には、コスモマキアー移植によるニンテンドースイッチ版『トリガーハート エグゼリカ エンハンスド』が発売された事に加え、exA-Arcadiaの『アクウギャレット EXA LABEL』がアーケードで稼働しています。
5月にはシティコネクションの『スチーム・ハーツ サターントリビュート』やサクセスの『ソニックウィングスリユニオン』がPC/コンソール向けにリリース。加えて、『ソニックウィングスリユニオン』はアーケード(APM3筐体)向けにも同時リリースされたのがこれまでにない変化でした。
7月にはアケアカ移植となる『エアーコンバット22』や、アーケードアーカイブス版『超時空要塞マクロスII』とTOZAI GAMESの『アイレムコレクションVol.3』が発売。7月末にはサクセスの『コットンリブート ハイテンション!』とメビウスの『鋼鉄帝国-STEEL EMPIRE-クロニクル』がリリースされるなど、移植だけでなく新作の存在も所々現れるようになりました(加えて、アーケード版『アーシオン EXA LABEL』も稼働)。
8月にはエムツー開発の『オペレーション・ナイトストライカーズ』や『グラディウス オリジン コレクション』、上海アリス幻樂団の『東方錦上京』、エディアの『テレネット シューティングコレクション II』、シティコネクションの『東亜プラン アーケードコレクションVol.1/Vol.2』がそれぞれ発売しています。
9月にはSUPERDELUXE GAMESの『アーシオン』とシティコネクションの『まものろKAI! ~まもるクンは呪われてしまった!~』、10月にはエムツーの『ナイトストライカーGEAR』、シティコネクションの『ファイナルフォーメーション』が発売。
11月にはPOLYGON BIRDの『BIRDCAGE』やシティコネクションの『R-Type Delta: HD Boosted』、RS34の『カラス』に加えて、ハード的な問題から移植困難だった『タイムクライシス』AC版を含むガンシューティングゲーム4作品を同梱した達成電器の「G'AIM'E(ジーエイム)」がリリース。そして、12月にはピクセルの『バウンティシスターズ』も発売されました。こうして俯瞰してみると、毎月何かしらの注目作があったように思えます。
全体としては、特定の月にSTGが多く発売されたというわけでなく、注目タイトルは比較的分散していた印象です。専用機器「ジーエイム」を使用したガンSTGや『エアーコンバット22』が復刻されたことも、2025年の特徴と捉えても良いかもしれません。
アケアカの移植タイトルにおける傾向では、5月と7月にナムコの『ネビュラスレイ』と『エアーコンバット22』がリリースされるなど、他のジャンルにおいても90年代で稼働したタイトルの移植が本格的になってきたことが一つの特徴と言えるでしょう。この流れからAC版『ゼビウス3D/G』のアケアカによる移植も期待したいところ。
また、アーケードにおいてはexA-Arcadiaシステム向けタイトルが中心ですが、『アーシオン』や『アクウギャレット』などアーケード展開も同時に行うものも増えている印象です。
2025年を代表するSTGは『グラディウス』と『R-TYPE』、そして『アーシオン』
シューティングジャンルにおける2025年で存在感が大きかったのは、筆者の主観にもよりますが『グラディウス オリジン コレクション』と『アーシオン』、そして『R-Type Delta: HD Boosted』の3タイトルだったようにも思えます。
特に3月末に「Nintendo Direct 2025.3.27」で発表されたエムツー開発『グラディウス オリジン コレクション』の衝撃は大きいものでした。幻だったAM版『グラディウスIII』や完全新作『沙羅曼蛇III』の収録も合わさったことで大いに盛り上がったことを記憶しています。
『グラディウス オリジン コレクション』はシリーズ全タイトルを網羅したものではありませんが、1998年までのアーケードタイトルを総まとめにした移植作で、長年燻っていた『グラディウス』界隈が大きく動いたような感覚がありました。特に完全新作となった『沙羅曼蛇III』は、プレイヤーや他のメディアのやりこみ具合がとても深い所まで及んでおり、筆者が追いつけそうにないと思えるゲームプレイが数多く登場し、ただただ驚くしかなかったのを覚えています。
また『R-TYPE DELTA』はシリーズ作の1つとして人気がありながらも、これまで現行機/PC移植を含めたHDリマスターも実現できておらず約27年ぶりの移植となりました。これ以前より移植を希望する声が常に出ていたために、シティコネクションの『R-Type Delta: HD Boosted』はSTGファンやシリーズファンからの注目度が高いタイトルであったと思えます。
HDリマスター化による処理落ち無し+視認性の向上によって全体的なゲームプレイが快適となった衝撃は大きいものでした。なお『R-Type Delta: HD Boosted』の評価は、こちらのレビューで詳しく語っているので是非お読み下さい。
最後はエインシャント開発の『Earthion(アーシオン)』です。古代祐三氏がBGMを手掛けるメガドライブ風のグラフィックを備えたシューティングゲームで、クオリティを含めた高い完成度から評判も上々。PC/コンソール、さらにアーケード版も含め話題に事欠かなかったタイトルであると思えます。
これら2025年を代表する3作品を挙げてみると、どれも横スクロールSTGであることが特徴の一つでしょう。その中で各タイトル共に現れた特徴としては、『グラディウス オリジン コレクション』では4:3のメイン画面左右の黒枠に情報を表示してゲーム展開をわかりやすくしましたし、『R-Type Delta: HD Boosted』は描画領域を拡張して現行の16:9ディスプレイに適応。さらに『アーシオン』では豊富で高品質な画面フィルターを充実させるなど、4:3比率で表示するSTGとして各タイトルの特徴に応じた表現をしていたことが共通点と言えそうです。
2025年のシューティングゲームシーンで感じる変化
2025年のシューティングゲームは、ファン待望の移植作が立て続けにリリースされたことに加え、中小企業による完全新作STGが話題を呼んだ年だと思えました。加えて、ここ数年の完全新作STGにおいて、グラフィックは80~90年代チックであれど最新技術や新しい表現を用いていたり、ゲームバランス的に理不尽過ぎないように作られていることから、ドット絵表現というだけでプレイヤーのノスタルジーに訴えかける時代が過ぎ去りつつあるようにも感じます。


また2025年の移植タイトルの中でも、ソースコードが不完全/紛失していた『トリガーハート エグゼリカ エンハンスド』と『R-Type Delta: HD Boosted』がリリースされたことも象徴的でしょう。「移植困難だけど、移植のやりようがある」そんなことを表現してくれた2タイトルであると思えます。

高クオリティなタイトルが移植/完全新作問わず発売された一方で、ゲームプレイのクオリティが水準に到達しておらず、注目したユーザーからの期待に応えられないタイトルがあったことが心配なところです。
特に久々の完全新作となった『ソニックウィングスリユニオン』は、クオリティの面でSTGファンからの期待に応えられていないタイトルとなってしまったのが残念です。筆者も稼働後にアーケードでプレイしてみましたが、ちゃんとプレイ出来るタイトルではあるものの、エフェクト類などが十分でなく、遊んでいて物足りなさを感じてしまったのを覚えています。エフェクト類を追加し、完成度を高めるアップデートがあればと思いましたが、10月のアプデ以降途絶えているので厳しいのかもしれません。
他にも、2025年内に発売を期待されていたタイトルの一部は、2026年発売へ結果的に伸びてしまったものもありました。例えば、MOSSの『ライデンファイターズ リミックスコレクション』は発売日が2026年2月26日に決定していますし、コンパイルの新作STG『ザレスタ』も2026年発売となってしまっています。加えてTATSUJINの『TATSUJIN EXTREME』は未だ発売日の詳細は出ていません。今後の続報に期待したいです。
2026年期待のタイトル『R-Type Dimensions III』や『エースコンバット8』など―移植・リメイク・完全新作がバランス良く発売することに期待
2025年内に発表済みタイトルで、来年の注目作品の1つといえば2026年5月発売の『R-Type Dimensions III』でしょうか。『R-TYPE III』移植でありつつも、ディメンションズ化されたことでオリジナルのドット表現だけでなく現代的なポリゴン表現も楽しめる、古くも新しいゲームプレイ体験を与えてくれることに期待したいタイトルです。
また、12月12日に開催されたTGA2025では待望のシリーズ最新作『ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE(エースコンバット8 ウイングス・オブ・シーヴ)』が発表。6年ぶりとなる新作に大きな反響がありました。筆者自身も『エースコンバット』ファンであるために注目しておきたいタイトルです。なお、発表トレイラーから内容を分析した記事もあるので是非お読み下さい。
他にも、ゲームセンター秋葉原Heyで度々ロケテストを実施していた『超翼戦騎エスティーク』のPC/コンソール移植版や、『ライデンファイターズ リミックスコレクション』、そして久々のガンシューティング新作となる『BIOHAZARD RE:2 ARCADE(仮称)』も楽しみにしたいところ。2025年で高まったSTGの熱量はそのまま2026年にも受け継がれそうなので待ち遠しい気持ちがあります。
シューティングゲームジャンルは、2025年でもそうでしたが数多くの現行機移植タイトルが存在し、新作もそこそこリリースされているものの、リメイクがほとんどないために今現在のユーザーに向けた施策がまだまだ足りないようにも感じます。過去の名作でもグラフィックを現代的に刷新し、ゲームバランスも見直して理不尽さを小さくし納得性があるものを提供できれば、より触れやすく親しみやすいジャンルに近づくことが出来るのではと思えるのです。
2026年は完全新作とリメイク作、そして移植作がバランス良く登場することに期待出来る年になったら嬉しいです。












