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北欧神話やアーサー王伝説で読み解く『エースコンバットZERO』。ADFX-02は何故「モルガン」なのか?【年末年始特集】

『エースコンバットZERO』のモチーフは3に分けられる、北欧神話、アーサー王伝説、第二次世界大戦だ

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北欧神話やアーサー王伝説で読み解く『エースコンバットZERO』。ADFX-02は何故「モルガン」なのか?【年末年始特集】
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ADFX-02の名前は最後にアーサー王と刺し違えた「モードレッド」でなく、なぜ「モルガン」なのか?今回はそんなことを考えて掘り下げる回です

2006年3月に発売したナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)のPS2向けフライトシューティングゲーム『エースコンバットZERO』。シリーズの中でもコアな人気を持つ本作は、リリース当初から北欧神話とアーサー王伝説要素が強い事が言及されていました。

実際にトマス・マロリー版「アーサー王物語」や、ニール・ゲイマンやパードリック・コラムの「北欧神話」などを読んでみると、『エースコンバットZERO』における神話要素に繋がりがあるとわかりました。全てが繋がるわけではありませんが、知っているとゲームプレイ時の解釈を広げ、遊んだ時の面白さを広げるものであると思ったのです。

本記事は、筆者が様々なアーサー王伝説に関する本や北欧神話関連の本を読んだ内容を元に、「ここはこういうことじゃないか?」と照らし合わせて得た1つの解釈です。そのため、北欧神話やアーサー王伝説を良く知る人からは、足りない説明や解釈に違いを感じるかもしれません。そのため、「こういった解釈もある」ということを念頭に本記事を楽しんでいただけたらと思います。

アーサー王伝説、北欧神話、第二次世界大戦など…、様々なモチーフが入れ込まれた『エースコンバットZERO』

まず本作の立ち位置から説明しましょう。2006年に発売された『エースコンバットZERO』は、海外のみの『ACE COMBAT ADVANCE』を含めてシリーズ7作品目のタイトルで、これまでのシリーズ作より神話や伝説などのモチーフが本格的に導入されたものでした。

過去作では、エイギル艦隊を筆頭に名前を引用したものがありますが、あくまでも名前を引用のみで留まっており、そこからキャラクターとしての性格やストーリー展開、そして世界設定まで発展していません。シリーズ作としても『エースコンバットZERO』は、神話などのモチーフを名前の引用だけに留まらず、設定や物語にまで導入した本格的なタイトルです。

特にミッション2冒頭の映像で流れる像はレオナルド・ダ・ヴィンチの「スフォルツァ騎馬像」をベースにアレンジしたものです(なお名古屋国際会議場に「スフォルツァ騎馬像」を復元したものが展示されている)。

『エースコンバットZERO』で導入されたモチーフには、大きく分けてプレイヤー側が北欧神話で、ベルカ側がアーサー王伝説です。気を付けなければならないのは、プレイヤーを除く連合軍側は全て北欧神話の枠組みに収まっていないということ。ベルカの超兵器としてフレズベルク(北欧神話に登場する巨大な鷲の巨人)が登場することも含め少し曖昧さがあります。

ベルカ側には円卓やエクスキャリバー、アヴァロン、グラティサントなどアーサー王伝説を構成する単語が使われており、戦闘中の無線でも騎士を彷彿とさせるものが多くあります。また、各ミッションの作戦名や戦闘のモチーフには第二次世界大戦からのものが多く盛り込まれています。

ミッション11「焔」はWW2におけるドレスデン爆撃がモチーフとも言われる

ここからはキャラクター設定からその設定を探してみましょう。プレイヤーが所属するガルム隊は、もちろん北欧神話における世界の1つヘルヘイムの番犬ガルムからですが、単語のスペルが「GALM」と本来の単語「GARM」より1文字表現を変えたものとして表現。また、プレイヤーであるサイファーは、ゲーム開始時の映像でも語られる通り「存在自体があやふや」であることが、実在だったか否か定かでないアーサー王そのものに近いものとして表れていると解釈できます。

一方の相棒となるピクシーは、ミッション1より過去の戦闘で片羽になっていたことへの言及や、最後にガルム1と敵対することを考えると北欧神話の軍神テュールに該当するのではないかと思われます。

細かな状況は省きますが、戦いの神であるテュールが片腕となったのは、ロキの子供である狼のフェンリルを魔法の紐グレイプニルで拘束しようとした時の代償でした(激しい戦いがあったのではなく、神々側が約束を反故したから腕を食われた)。加えて、詳しい事は後述しますがピクシーにはアーサー王伝説における、謀反と最後の一騎討ちをするモードレッド的(モードレッドは、アーサー王とモルガンの不義の子)な要素も持ち合わせているキャラクターです。

一方で北欧神話において主要な登場人物であるオーディンやトール、ロキなどに相当するキャラクターが出ていないことや、アーサー王伝説での主要人物である魔術師マーリンやランスロット、パーシヴァルなどに相当する人物が登場していないことをを考慮すると、『エースコンバットZERO』において北欧神話とアーサー王伝説は限定的な使われ方をしています。

特定ミッションに強く現れるアーサー王伝説と北欧神話要素

『エースコンバットZERO』においてアーサー王伝説や北欧神話要素は、特定のミッションに強く現れています。ミッション全体を通してみても名前だけ引用しているものも多く、常に何かしらの形でモチーフが登場しているわけではありません。

例えば、ミッション1「凍空の猟犬」は、まさに北欧神話における氷(霧)の国ニヴルヘイムやヘルヘイムと表現しても良い極寒の地ですが、次のミッション2「171号線奪還」では特に北欧神話やアーサー王伝説に該当する表現はないためです。

しかしながら、名前のみ引用という点ではミッション7「ハードリアン線攻略」の遺跡要塞グラディサントは、アーサー王伝説で言及される「唸る獣(吠える怪獣)」のイメージそのものを表現。トマス・マロリー版ではパロミデス卿などが追っていましたが、ついぞ見つけることができなかった怪獣です。

また、ミッション3「円卓」とミッション10「B7R制空戦」、そしてミッション16「円卓の鬼神」でベルカ絶対防衛戦略空域B7Rこと「円卓」が登場します。トマス・マロリー版「アーサー王物語」で円卓は、魔術師マーリンが世界に似せて作りだしたもので、アーサー王に集える騎士としての象徴でもありメンバーも数多く増えます。

『エースコンバットZERO』において円卓は、仲間を示すアイコンというより闘技場としての性質が強く、若干意味が異なります。アーサー王伝説でも円卓の騎士同士が常に決闘をしたり、馬上槍試合もしているため、それらを汲んだも解釈なのかもしれません。

ピクシーは円卓において上座も下座もないというが、説明的には闘技場のリングに近い。「ファイトクラブ」的とも言える。
エクスカリバーを持ったアーサー王は特段に強く、合戦では数百人以上の敵を倒したという

次に強くアーサー王伝説モチーフが表れるのは、ミッション8「空中回廊」とミッション9「巨神の刃」に登場する本土防衛型化学レーザー兵器「エクスキャリバー」です。トマス・マロリー版「アーサー王物語」において、エクスカリバーは「岩に刺さった剣」と「湖の乙女から受け取る剣」、さらにアーサー王の姉であるモルガン・ル・フェによって作られた偽物を合わせると3本ほど存在します(「岩に刺さった剣」は最終的に壊れてしまうため、エクスカリバーの本数は諸説あり)。

またエクスカリバーは松明30本分の輝きを持つ剣として特徴付けられているため、『エースコンバットZERO』のエクスキャリバーが巨大なレーザー砲台なのは、それを拡大解釈したものとして捉えても良さそうです。また、ミッション8ではマップ東側に湖が配置されているため、薄らと「誰かが湖の乙女から受け取った」的な解釈も出来ます。

空中回廊ベータ方面隊ではミッション開始時に湖上空を飛行する

加えて、エクスカリバーは剣本体より鞘の方が重要度高いものとして扱われており、所有者は決して傷を負わない魔法が込められたものであるからです。それを表現するようにミッション9のエクスキャリバー攻略へ向かう道中にはミサイルのロックオンを不可能にさせるECMが配置しています。

最終的に1本目のエクスキャリバーはガルム1のサイファーによって破壊されてしまいますが、トマス・マロリー版でも1本目は壊れてしまうためこれが「王者の剣を抜いた」と解釈できてしまいますが、同時に破壊しているため王であることを拒否したとも捉えられます。

またミッション12「臨界点」におけるベルカの7つの核は、ラグナロクで炎の巨人スルトが放ち巨木ユグドラシルを含め世界を焼き払った炎に相当するものといえるでしょう。北欧神話では、ラグナロク最後にスルトの炎で全ての世界が焼き尽くされて(オーディンその他ほぼ全て斃れる)、僅かに残った人間と神々が後の世界を作ります。ベルカ戦争におけるアーサー王の物語はまだ終わっていませんが、ベルカの7つの核の炎はピクシーの離脱も合わせて文字通りベルカ戦争を終焉に向かわせてしまうからです。

ミッション14の戦闘以降は、劇中の説明でもある通り半年間の空白が存在し、ここに描かれた円卓にはオーシアの席にワイングラスがあることから、聖杯探求的な出来事があったと推測することができます。ここで「最大の要因とも言われる地下資源」というセリフとオーバーラップしますが、地下資源が聖杯なのかは不透明です。

単純に地下資源が聖杯と考えられるかもしれないが…

そもそも聖杯自体がとても曖昧なもので、トマス・マロリー版でも手に入れることが栄誉でありますが、どんな効果を持つのかは具体的に書かれていません(アーサー王学会の解説が詳しい)。少なくとも、この半年間は戦闘機が活躍するのか否かの、聖杯探求に相当するアクションが何かあったのかもしれないと想像を巡らすぐらいしかできません。

「国境なき世界」が狙うラグナロクの再演―なぜADFX-02は「モルガン」なのか?

ミッション15以降、ゲーム内の時系列としては半年後の12月から展開されるクーデター軍「国境なき世界」による蜂起は、再びラグナロクを想起させると共に、アーサー王伝説におけるモードレッドの反乱とも位置づける事ができます。

トマス・マロリー版「アーサー王物語」においては、アーサー王の妻であるグィネヴィア王妃とランスロット卿の不倫がモードレッド卿などによって発覚し、アーサー王の見て見ぬ振りが出来なくなったことで円卓の騎士崩壊へ至ることになりました(「ブリタニア列王史」では、アーサー王がローマへ移動中に、モードレッドが傭兵だけでなくアーサー一族を敵視するスコット人やサクソン人などと同盟を結んで蜂起する)。

アーサー王はフランスへ遠征しランスロット討伐をしている最中にモードレッド卿が蜂起。ランスロット卿討伐を中断し、ブリテンへと帰りモードレッド卿と決戦を果たします。

『エースコンバットZERO』においてもクーデター軍「国境なき世界」はオーシアやサピン、そしてベルカ軍の将兵などが集った組織で、V2の核によってオーシア大陸の主要都市を破壊し文明レベルを後退(リセット)させるたことが目的です。ある意味、ベルカ戦争におけるラグナロク的状況の再現であると共にモードレッドの蜂起と密接にリンクし始めます。

特にそれを象徴するのがミッション17「王の谷」のアヴァロンダムにおける状況でしょう。状況からみれば連合軍vs国境なき世界であるためにアーサー王物語におけるアーサー王vsモードレッドとの戦地である「カムランの戦い」であると共に、北欧神話ラグナロクの決戦地ヴィーグリーズをも連想させてしまいます。連合軍は決死の攻勢で「国境なき世界」の野望を阻止しようと努めますし、「国境なき世界」は巨人機フレズベルクまで持ち出して蜂起を成功させようとします。

最終的には解き放たれたガルム隊がV2制御装置を破壊し、「国境なき世界」の野望を崩すことに成功します。しかし、これだけでは終わりません、ガルム1に敵対するピクシーが登場します。

ここで、ミッション18で登場するADFX-02モルガンを考えてみましょう。モルガンは前述の通りアーサー王の姉であるものの、弟であるアーサー王にはエクスカリバーを偽物にすり替えたり、寝室に忍び込んで大事なエクスカリバーの鞘を盗んで湖へ捨てたりと、あわよくばアーサー王を間接的に殺そうとする油断ならない人物です。

モルガンは魔法が使えることから妖精とも表現されていることが多く、ラリー・フォルクのTACネームがピクシーであることを考慮すると(ピクシーはイギリスのコーンウォールに現れる妖精)、ただの妖精だったピクシーが最終的に魔女モルガンへと変貌した…、と解釈することもできます。

ADFX-02は、エクスキャリバー的な小型レーザーを持つだけでなく、敵を一網打尽に出来るV2的なMPBMを持ち、さらに正面以外からのダメージを寄せ付けないエクスカリバーの鞘的能力もつECMを持っていることを考えると確かに魔女モルガンの力を得ていると解釈しても良いのかもしれません(また、ある意味ベルカの象徴を全て背負った機体でもある)。

ここで、ピクシーの片羽という設定も意味が生まれてきます。前述の通り、ピクシーは軍神テュール的な存在でもあり、ラグナロクにおけるテュールとガルムの一騎打ちの再現でもあります。

戦闘は、1vs1による戦いでガルム1がモルガン(テュール、モードレッド)の装備を次々と剥いでいき、最後は馬上槍試合的なヘッドオンを行うことで決着がつきました。北欧神話でもアーサー王伝説でも、ガルムvsテュール、アーサー王vsモードレッドの戦いはどちらも相討ちする形で終わってしまいます。

しかしゲーム的に、明確に敗れたのはピクシーの方でした。その結果モルガンは傷ついた状態のまま爆心地まで飛行。ピクシーは脱出に成功し、ADFX-02モルガンと切り離されたことで、只の妖精に戻ることが出来たと考えても良さそうです。サイファーは後に消えてしまうものの、「国境なき世界」が振りまいた絶望渦巻く戦場は、その怨念を消し去ることで幕を閉じたのです。

スパニッシュな音楽はどこから来たのか?薄らと見える「ドン・キホーテ」要素

本作のストーリーはOBCという劇中に登場するTV局が制作したドキュメンタリーという形でプレイヤーに物語が届けられます。この設定やストーリーの語り方は、セルバンテスによる17世紀小説「ドン・キホーテ」における、設定と近いものであると思えます。

なぜなら、「ドン・キホーテ」はアラビア人歴史家のシデ・ハメーテ・ベネンヘーリがドン・キホーテの旅を記した本であるという設定のもと、スペインの作家であるミゲル・デ・セルバンテスが翻訳した本というものだからです。

スパニッシュな雰囲気があるサピンとエスパーダ隊の存在もドン・キホーテ的な要素を強くしたのかもしれない

「ドン・キホーテ」は、飽くまで他人が書いたノンフィクション本の翻訳という設定で書かれているために、情報がないという形でバトルシーンを途中で切り取って結果だけを書いたり、情報盛り込んで劇中劇を始めたりしてしまっています。この情報の受け取り方が『エースコンバットZERO』と近く、ある意味で「ドン・キホーテ」的と言えるのです。

「ドン・キホーテ」は、17世紀以前から氾濫していた騎士道物語のパロディ作ではありますが(ドン・キホーテが風車に突撃するシーンがとても有名)、ある意味で騎士道物語の批評を劇中でも行っている作品でもあります。

余談に近いものとなってしまいますが、騎士道物語の典型として騎士と姫の恋愛というのがあります。『エースコンバットZERO』においてそれが該当する人物は、基地(城)に恋人がいるPJだけです。『エースコンバットZERO』では多くの軍人や騎士的性格を持った人物が複数いますが、家族がいたり恋愛をしているような素振りもないことから、飽くまでも軍人に留まってしまっています。つまり名実共に、騎士道物語の典型を表現していたPJですが最後に斃されてしまうことで、そんな騎士の時代の終わりをも描いているようにも思えます。

なんとなくPJにはアーサー王物語におけるトリスタン的なものを感じるが、劇中ではそれを想起させるものがないのが気になる

これらの視点を考慮してみると、まるで「ドン・キホーテ」を書いたセルバンテスのように、OBCのレポーターによる彼の視点から想像した戦いなどが本作のスパニッシュな音楽に現れているのではないかと思います。

「ドン・キホーテ」下巻では主人公の対となる鏡の騎士も登場する。ここのセリフから、そういったドン・キホーテ的なエッセンスが無意識に入っているとも読み取れる。

『エースコンバットZERO』のコンセプトは「原点回帰」であるために、当初から意識されていたものでもなく、内容も沿うものではありませんが、スパニッシュな音楽が重なったことで「ドン・キホーテ」的と思える内容となったことは珍しいことだと思えます(サントラのライナーノーツによれば、小林啓樹氏は糸見ディレクターから「今回はフラメンコではどうだろうか?」というコンセプトを前々から聞いていたそう)。

かつて存在した騎士的な軍人達との戦いを描いた『エースコンバットZERO』のベルカ戦争は、後世の人物からみるとドラマチックに感じられる戦いの積み重ねでもあったと批評しているようです。

モチーフを辿り、作品への理解を深める面白さ

作品の深掘りというのは難しく、多くの時間を費やしたものの、モチーフとなったものを知って作品にどう反映されたかを分析するのがとても面白く、飽きることはありませんでした。しかしながら、北欧神話が書かれた本を読み内容をある程度理解したと思っても、他の解説記事などで読み知ったものと違う説明がされていたり、大体一定ではありません。

加えてアーサー王伝説では、初期に登場した「ブリタニア列王記」から、全ての話をまとめた「アーサー王物語」へと変貌する過程で設定や人物、そして物語などが節操なく新たに追加されていたりと…、作品ごとに設定だけでなく内容も違うため、これが正解であるという確信は持てないと思えました(そもそも物語が脱線したり、似たような記述が続いて読みにくかったりと大変だった)。

『エースコンバットZERO』自体も、数ヶ月だけ空に存在したサイファーを追う内容ですが、どことなく曖昧さが見えるような神話チックなのも、モチーフによる影響というのもあるかもしれません。

アサルトレコードにも戦後の物語が書かれており、物語自体は隙間無くギチギチに詰め込まれている。ストーンヘンジ開発に関わったとなれば、小さくも魔術師マーリン要素なのかもしれない

『エースコンバット7』ではより北欧神話要素が強くなり、ミッション4で計略によって斃されてしまうハーリング元大統領は「バルドルの死」と似た状況ですし、ミッション18「王無き国」のフェンリル的なトリガーと、オーディン的なミハイはまさにラグナロクの決戦の一つと言えるでしょう。また機会があれば、『エースコンバット7』の北欧神話要素の深掘りなどをやってみたいと思えます。

『エースコンバットZERO』それ自体をプレイするには、PS2実機や初期型PS3を用意する以外の方法がなくハードルはそこそこ高いです。また、アーサー王伝説に関しても関連本がとても多く、筆者が読んだものはトマス・マロリーによる全5巻の長編だったので簡単に勧めることはできません(「ドン・キホーテ」も同様で脱線や長すぎる会話が読んでいて厳しい)。

一方で北欧神話関連は、古い本も比較的新しい本も読みやすい物が多く、近年のものであればニール・ゲイマンの「物語北欧神話」がオススメです。上下巻に分かれていますが、読みやすいことによって最後まで興味を持ち続けられるからです。『エースコンバット』以外のタイトルでも北欧神話はモチーフとしてよく使われているために、一度読んでみてはいかがでしょうか。


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ライター:G.Suzuki,編集:みお

ライター/ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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