スタジオ活動終了も…名作は色褪せない。ステルスゲーム『Shadow Tactics』スイッチ2に登場!開発者が語る「複雑さを削ぎ奥深さを残す」設計思想【インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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スタジオ活動終了も…名作は色褪せない。ステルスゲーム『Shadow Tactics』スイッチ2に登場!開発者が語る「複雑さを削ぎ奥深さを残す」設計思想【インタビュー】

スタジオは閉鎖してもクリエイティブは残り続ける

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スタジオ活動終了も…名作は色褪せない。ステルスゲーム『Shadow Tactics』スイッチ2に登場!開発者が語る「複雑さを削ぎ奥深さを残す」設計思想【インタビュー】
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Mimimi Gamesが2016年に送り出した名作リアルタイムタクティクス『Shadow Tactics: Blades of the Shogun』。江戸の世を舞台に、5人のキャラクターを操って暗殺任務をこなすステルスゲームです。

2016年に発売された本作ですが、本日3月19日、拡張版『Akio's Choice』とあわせてニンテンドースイッチ2版がリリース。すでに開発元は活動を終了していますが、何故このタイミングで移植を行ったのか?そして、この作品はどのような思いで作ったのか?Mimimi Gamesの創設者兼クリエイティブディレクターであるDominik Abé(ドミニク・アベ)氏がメールインタビューに応じました。

――この機会に改めて本作をプレイしましたか? 今プレイして本作をどう感じましたか?

Dominik Abéまるで家に帰ってきたような感覚でした。このゲームは、私の人生に本当に大きな影響を与えた作品なんです。さまざまな意味で特別な存在ですし、このジャンルで私たちが作ってきたゲームの中でも、今でも一番好きな舞台設定ですね。世界観がとても魅力的で、すぐに没入できるんです。今回の移植では、私自身も積極的に開発の一部に関わり、マウス操作のデザインも担当しました。

――元々パッド向けのキーアサインを意識した作品でした。これはやはりコンシューマ機での発売を意識して初めからそう作っていたのでしょうか?

Dominik Abéはい。『Shadow Tactics』を開発する際の重要なデザイン方針のひとつが、「コンソールでも違和感なく遊べるゲームにする」ということでした。

当時は『ディアブロ』がコンソールに登場したことが大きな刺激になりました。うまく設計すれば、ほとんどどんなゲームでもコンソールで成立するのだと学んだのです。

また、このアプローチはゲーム全体のデザインにも良い影響を与えると思っています。コントローラー向けに設計すると、使えるショートカットの数がどうしても限られます。だからこそ、本当に重要な要素に集中せざるを得ない。結果として、その制約がデザインを引き締め、すべての要素をより意味のあるものにしてくれるのです。

――スイッチ2版ならではの特徴はありますか。

Dominik Abéはい。新しいマウス操作はこのバージョンならではの要素です。基本的にはPC版のキーボード&マウス操作をベースにしていますが、いくつか独自の利点もあります。

たとえば追加されたジョイスティックによって、いつでもより正確にカメラを操作できるようになりました。他の操作方式では、カメラを動かすにはまず専用のカメラモードに切り替える必要があります。

――Gamesmarktの記事では携帯モード:1080p / 30FPS・TVモード:4K / 30FPSとのことですが、60FPSにするのは技術的な問題があったのでしょうか。それともゲームの作り的に30FPSのほうが都合が良かったのでしょうか?

Dominik Abé正直に言うと、60FPSを安定して実現するのは難しいです。DLSSのような技術やそれに類するソリューションがない場合、安定した60fpsでゲームを動かすのは非常に大変です。特に独自エンジンではない場合はなおさらです。古いタイトルであっても、ゲーム内のすべての要素が高度に最適化されていなければなりません。

実際、グラフィックを少し落とせば60fpsにかなり近いところまではいけました。しかしすべての状況で安定させることはできませんでした。この視点のゲーム、そしてこのジャンルでは、フレームレートの不安定さは特に違和感が強く出ます。60fpsで動いていても、時々大きく落ち込むようではプレイ感覚がよくありません。そのため、全体の体験としては安定した30fpsの方が良いという判断になりました。

――『Shadow Tactics』のゲームデザインはどういった作品やジャンルから影響を受けたのでしょうか?

Dominik Abé私は『Commandos』シリーズや『Desperados』シリーズの大ファンなんです。あのゲームプレイが本当に好きでした。子どもの頃は、あのゲームこそが最もリアルで現実的な体験だと感じていました。あの「超リアル」なグラフィックや、プレイヤーを実際に視認してくる敵のシステムなどですね。

ただし、舞台設定は私の好みではありませんでした。第二次世界大戦にはあまり興味がありませんし、カウボーイもステルスゲームにはあまり自然に感じられなかったんです。

大学でゲームデザインを学んでいた頃、後にデザイン責任者となるモーリッツ・ワグナーと一緒に、これらのゲームについてよく話していました。そのとき私が言ったのを覚えています。

「どうして忍者版のこういうゲームがないんだろう?絶対そっちの方が自然だよ。いつか自分たちで作るべきだ」

当時はただ笑っていただけで、本当に実現するなんて思ってもいませんでした。

――リアルタイムタクティクス(RTT)というジャンルを現代に蘇らせようとしたきっかけは何だったのでしょうか?現代化するにあたり、どういった気持ちを持って開発していましたか。

Dominik Abé私は昔からRTTのクラシック作品をプレイするのが大好きでした。古いゲームではありましたが、きっと今でも楽しんでいる人は自分だけではないと思っていたんです。また当時、『ダークソウル』のようなゲームが登場して、「難しいゲームプレイでも楽しく、意味のある体験になり得る」ということを改めて示してくれました。だから今こそ、そのタイミングだと感じたんです。

もちろん昔のRTTには欠点もありました。UI、フィードバック、そしてゲームの分かりやすさといった点で、より遊びやすくすることは重要な課題でした。あのジャンルには非常に精密で、プレイヤーの行動から自然に展開が生まれる奥深いゲームプレイがありますが、それが非常に高い学習コストの裏に隠れてしまっていたんです。私たちの目標は、そのエッセンスを取り出し、無駄に複雑にするのではなく「誰が見ても分かる形」にすることでした。新しいプレイヤーでもすぐ理解して楽しめるようにすることです。

――『Shadow Tactics』のビジュアルやストーリーの影響元はありますか?

Dominik Abé私たちは、ひと目で分かる印象的なアートスタイルを目指していました。フォトリアルな表現を目指すことは、いくつかの理由から最初から選択肢にありませんでした。

その代わりに、日本の伝統的な墨絵から多くのインスピレーションを受け、独自のスタイルを作り上げました。約10年後の今振り返ってみても、「最先端のフォトリアルを追う」のではなく「独自性のある表現を目指す」ことが、時代を超えて残る作品にする上で重要だったと感じています。

ストーリーについては、江戸時代の歴史的出来事からインスピレーションを得ています。異なる背景や目的を持つキャラクターたちを描く舞台として、とても魅力的だと感じました。また、この時代は記録も豊富で、多くの人に敬意を持って語られる時代でもあります。そのため、物語を作る上で豊かな土台がありました。

――『Shadow Tactics』における日本文化の描写について、リサーチはどのように行ったのでしょうか?また、日本を舞台にするうえで特に注意した点はありますか?

Dominik Abé完全に史実通りの世界を目指していたわけではありません。私たちは忍者に関するおなじみのイメージも取り入れたかったからです。

ですが、自分たちが何を描いているのか、そしてなぜそうするのかを理解することはとても重要でした。そこで、この時代や忍者の役割について多くの文献を読み、日本史の専門家にも外部アドバイザーとして協力してもらいました。このリサーチのおかげで、どこを史実通りに描くか、どこをゲームプレイのためにアレンジするかを意識的に判断できるようになりました。ゲームには、とても感情的に重要なシーンがあります(ここではネタバレできませんが)。

それは特に西洋の現代のプレイヤーにとって非常に馴染みのない文化的要素を扱っています。そのシーンに至るまで、プレイヤーが理解と文脈を持って受け止められるよう、慎重かつ敬意をもって構成しました。

――Mimimi Gamesは、2023年に活動終了しましたが、お二人は今何をなされていますか。

Dominik Abéヨハネス・ロート(※編注 Mimimi Games創設者のひとり)と私にとって、その過程はとても長く、非常に消耗するものでした。しばらく時間をかけて生活を立て直し、エネルギーを取り戻してきました。今はようやく再び未来を自分たちで形作れる段階に来ています。そしてどうやら、私たちはまだゲームを作りたいようです 😊

――ニンテンドースイッチ2に進出したのを機に、本作の精神的続編や新たなRTTを開発したい気持ちや動きなどはありますか?

Dominik Abé現時点では具体的な計画はありません。ただ、このジャンルのゲームは私の心の中で特別な存在であり続けると思います。これまでにも、Mimimiのチームと私はジャンルの発展形や続編の可能性についてたくさん考えてきました。実は古いものから比較的新しいものまで、いくつかのプロトタイプがサーバーに眠っています。

とはいえ、少なくとも今後数年間は、さらにほこりをかぶることになりそうですね 😉

――ちなみに現在はどんなゲームを開発されているのでしょうか。もしくは今後どういったタイトルを作りたいと思っていますか?

Dominik Abé今は私たちにとって一種の完全なリセットなので、いろいろ試しながら進んでいく段階です。個人的には、Mimimi Gamesの枠組みではなかなかできなかったようなことにも挑戦してみたいと思っています。ヨハネスはすでに、小さくて情熱的なプロジェクトを一人で進めています。

私は『Commandos』が大好きでしたが、彼は『Commander Keen』(※)が大好きなんです 😉彼にとってはそのゲームへのラブレターのような作品で、ぜひニュースレターにも登録してみてください。

※『Commander Keen』:『DOOM』『Wolfenstein 3D』などで知られるid Softwareが開発した2Dプラットフォーマー。一部はシェアウェアとして配布された。『スーパーマリオブラザーズ3』に影響を受け、当時のPCでは困難とされていた滑らかな横スクロール表現を実現した。

――Mimimi Gamesのタイトルがここまで愛されるようになった要因は何だと思いますか?

Dominik Abé私たち自身が、本当に心からそのゲーム作りを愛していたからだと思います。ゲームプレイ、ストーリー、アート、音楽、技術――すべてに対して本気で向き合い、チーム全員がお互いに刺激し合いながら作っていました。プレイヤーはそういうものを必ず感じ取ってくれると思います。

――『Shadow Tactics』から『Desperados III』『Shadow Gambit』へと続く作品群には、共通するゲームデザイン哲学があるように感じます。Mimimi Gamesが最も大切にしてきた開発理念とは何だったのでしょうか?

Dominik Abéこれらのゲームは、まさにゲームデザイン主導の作品です。私たちにとって重要なのは、ゲーム内のすべての要素が明確な目的を持ち、意味のあるものとして感じられることでした。常に「最大限の奥深さ」を目指しながら、「不要な複雑さ」は避ける。それが私たちの基本理念でした。

――初めて遊ぶプレイヤーにメッセージをお願いします。

Dominik Abéプレイヤーに対して真剣に向き合ってくれる、奥深い体験を楽しんでください! 😊

古いジャンルを復活させた経緯から、自分たちの創作に対する情熱と、非常に胸打たれる内容のインタビューでした。すでにいくつかのプロトタイプが存在していることも知ることができました。これは近い将来、新作が期待できる……かも?

「Mimimi Gamesの枠組みではなかなかできなかったようなこと」と称する、彼らの次なる一歩を、スイッチ2で『Shadow Tactics』を遊びながら待つことに致しましょう!

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ライター:各務都心,編集:みお

ライター/ 各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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