
「ロボットアニメ」をテーマにし、振り切ったその熱量でカルトな人気を誇る横スクロールSTG『70年代風ロボットアニメ ゲッP-X』。
同作の原案者でもあるイラストレーターの八的暁(やまとあきら)氏とBliss Brainの手により、PS5/PS4/Xbox Series X|S/スイッチ/Steam対応として2026年7月16日、令和の世に復活することになった同作について、今回Game*Spark編集部ではご厚意によりメールインタビューを実施することができました。
本稿では、同作の復活に情熱と血肉を注いだ、八的氏とBliss Brainの長沢靖英氏によるメールインタビューへのご回答をお届けいたします。
『ゲッP-X』復活にあたって
――復活にあたってはいくつもの壁があったと思いますが、同作の権利関係は現状どうなっているのでしょうか?
八的暁(以下、八的):仰るとおり、本タイトルは権利者が多く連絡をとるのが大変でした。デザイン、音源、キャスト等の関わった方々にひとつひとつ連絡させていただき、許諾を得ています。当時は手弁当でご協力させていただきましたが、現在も益々のご活躍なさっており、ひと筋縄ではいきませんでしたが、最終的には快諾していただきました。
しかし……実は役者様の中でどなたに確認しても連絡が取れなかった方がいます。その方については、引き続き、お探ししたいと思っています。
――『ゲッP-X』といえば、CD4枚の入れ替えが特徴的な作品でした。当時CD4枚の入れ替えをよしとしたのはどういう設計思想の元だったのでしょうか?
八的:当初はCD2枚組を覚悟していましたが、甘かったですね。実際に計算してみると4枚でも微妙に足りなくなりました。
そこで、泣く泣くストーリーの一部を削って収めました。
つまるところ私たちの製作現場には「設計思想」などという高度な意識は無く、ただただ自分たちが再現できうる限りの物語と演出を届けたいという一心でした。有り体に言ってアホですね。まぁ、その、若くて勢いがあった、ということかなと。ポジティブに。

――今作のコンセプトは体験するロボットアニメのようなものであるとされています。また、当時いくつかの続編や同コンセプトの作品の構想があったようですが、もし令和のこの先になんらかの同コンセプトの作品を作るとしたらどのような形になると考えていますか?
八的:続編の構想はいくつかあります。
99年当時のスタッフの間では、主人公を宇宙悪魔帝国側にしてはどうか。題して『宇宙悪魔帝国の逆襲』なんていうアイデアもありました。
ちなみにアローマ販売の『新戦記ヴァンゲイル』というロボットアクションゲームが存在しますが、別チームの製作であり、『ゲッP-X』製作チームのスタッフは一切関わりがありません。
『ゲッP-X』は99年当時の目線で70年代を中心としたアニメ漫画文化史を少し批評的に概観する構成でした。
今後何か新たに企画するならば、製作規模によりますが、可能なら「2020年代のユーザーに向けた『ゲッP-X』」を描きたいですね。昨今はとんと少なくなってしまった、娯楽最優先で挑戦的なロボットアニメ物語を目指せればと思います。
もちろん、DLCのような形で追加のストーリーやサブクエストのようなものを作っていくのも楽しいと思います。
『ゲッP-X』ではアトランジャーのゲスト出演という栄誉を預かりましたが、他にも時代を彩った様々なロボット達が数多く存在します。そういった既存キャラクター達とのコラボレーションなども可能になれば、夢が広がります。


どんなかたちであれ、ゲッPのようなコンテンツは、楽しく良いものを製作できると思いますし、ロボットアニメファンの人々もそれに応えてくれると確信します。
人類には、ロボットアニメでしか得られない栄養が必要なのです。
リマスター版『ゲッP-X』により深く迫る
――本作をリマスターするにあたって、気を付けたことはどういったことなのでしょうか?
長沢靖英(以下、長沢):ゲームは当時のまま、それでいて、いまの方にもプレイしやすくなるようにしています。
たとえば、今のゲームですとシステムデータにオプション設定やアンロックの状況が保存され、ゲーム進行のセーブデータは別、というのが当然ですが、元のゲームはそうではありませんでした。ゲームの進行のセーブデータにビーストライブラリ(ギャラリーモード)のアンロック状況などが保存されていますので、前のセーブデータを読むとアンロック状況が戻るとか、アンロック状況がゲーム起動時に自動で読み込まれないとか、いろいろ不便でした。そういったところは改善して、プレイしやすくしています。

――システムと言えば、CD入れ替えの部分はどうなっているのでしょうか。すべて自動で処理をしてくれるのか、あるいは入れ替えボタンのようなものがあるのでしょうか?
長沢:CD入れ替えは自動です。入れ替えを促す画面はあリますのでお楽しみにしてください。
――リマスターという機会に際し、ゲーム部分についての調整などの考えはあったのでしょうか。また、本作のゲームとしての手触りについてどう考えていますか
長沢:ゲームの中身は、そのままです。
お話をいただいたとき、リメイク的な開発をする選択肢もありましたが、『ゲッP-X』がレアなゲームで触ったことのあるかたは少ないであろうこと、また海外向けには初の発売であることから、アレンジするよりも、まずは「ありのままを触ってもらう」のがふさわしいと考えました。
『ゲッP-X』マニアに気になるあれやこれ
――本作には幻の前身『ゲッPロボ』が存在していることが知られています。いったん開発中止になった後に再構築された『ゲッP-X』のチームとは直接のつながりがないとも聞いていますが、内容面ではどのようなゲームだったのでしょうか?
八的:私は『ゲッPロボ』の企画スタッフの一人でした。『ゲッPロボ』製作当時は「ゲームに物語は不要」「企画立案時に脚本から作り始めるのは無能」というような奇妙な意識が製作現場に蔓延していました。
そのせいか『ゲッPロボ』にはこれといって決まった物語やテーマはなかったように思いますし、おそらくは脚本らしい脚本も存在してませんでした。私は細々とした製作進行などをしていたのですが、ついぞ全体像を詳しく知ることはなく、ゲームがあらかた仕上がったら、「断片的なシーンをなんとかつなぎ合わせて物語をでっち上げろ」というような指令が来るんだろうなー、と漠然と考えていました。
まぁそうなる前に製作凍結になったのですが。
一方で、『ゲッP-X』では『ゲッPロボ』とは逆に、まず最初に脚本を書きました。そうすることで物語テーマの背骨を作りました。
その上でなるべく『ゲッPロボ』のエッセンスを継承するよう努めています。
製作凍結という失意に見舞われた『ゲッPロボ』製作スタッフの意志に応えたいという思いからです。私自身も『ゲッPロボ』の完成した姿を見てみたかったですね。

――ところで、本作には幻の続編『ゲッP-XX 対 合体ロボ アトランジャー』の存在が知られています。同作関連については、いくつかのビジュアルやシナリオが後年、書籍にて発表されていますが、これらは今回の特典などに収録されるのでしょうか?
長沢:残念ながら入りません!
実は、今回ムービーのアップスケールに使用した元のベーカムテープには、『ゲッP-XX 対 合体ロボ アトランジャー』のロゴが表示されるムービーがあり、これも含めてアップスケールしたものが納品されたのですが、元のゲームでカットされていたため、残念ながら今回も該当のムービーからロゴはカットしました。ロゴ以外の残りの部分はゲームに使用されているので、どれがそのムービーか想像してみてください。
――同様に、八的氏がブログなどで長年描かれてきた『ゲッP-X』関連イラストについても特典への収録はあるのでしょうか?
長沢:当時の資料だけでも膨大なものをお借りしていてそれもとても全部は載せられない状態なので……まずは当時の資料を楽しんでいただければ幸いです。

最後に
――まだ『ゲッP-X』を覚えてくれている多くのゲーマーたちと、新たに『ゲッP-X』を知ってくれたゲーマーたちへのコメントをお願いします
八的:99年発売の『ゲッP-X』は、まさに「知る人ぞ知る」ゲームでした。ぶっちゃけ商業的には大失敗作です。
しかし、市場に流通した少数のゲームを手に取り、プレイし、内容を気に入ってくれた少数の人達からは熱烈な支持をいただけました。作品的には、大成功作と言って良いと思います。
そんな少数のファンの人達は、まさに選ばれし「娯楽の精鋭」です。
ゲーム製作を通じてそんな精鋭の方々の琴線に触れることのできた私は、本当に幸せ者です。
もしリマスター版がウルトラヒットして続編製作!などということになった暁には、また最高に熱いシナリオを書かせていただきたいと思います。
男と男のやくそくだ。

『ゲッP-X』っていうヤバいゲームに興味はあるけど中古で3万円超などという理不尽な値段にプレイしたくてもできなかった皆様、本当にお待たせしました。
ようやくビール数本ぐらいの値段で『ゲッP-X』をお届けできます。
超一流のスタッフが膨大な予算をつぎ込んで完璧無双な作品を仕上げた、とは申しません。
やはり前世紀に中小規模のゲーム製作現場が作り出した作品です。現代の洗練されたゲーム作品と比べると、どうしても見劣りする部分もあるでしょう。
しかし、本編のアニメは25年以上経った今でも全く見劣りしないクオリティです。35ミリフィルム撮影された「本物」画質でお届けできます。
この日のためにマスターテープを自宅に隠匿していた甲斐があったというものです。
そして99年当時でしか成しえなかった、二度と無い、奇跡のキャスティングと音楽もお楽しみください。
当時の製作者である私たちが、使って良いと思われる予算と労力よりもずっと多くをつぎ込んだ、常識を無視した熱意。どうかそれを汲んでいただきたい。
結果、私たちが注ぎ込んだリソースよりもずっと大きな娯楽が実現できていると思います。

また、『ゲッP-X』はコアなゲームファン、電子のアスリートさん達がシビアなゲームのクリアを目指すレースマシーンのようなゲームではありません。
『ゲッP-X』は、60~80年代の日本の漫画、アニメ、特撮など日本の娯楽文化に楽しくライドする、ファンライドマシーンです。つまり、シューティングゲームとしては「ヌルい」です。
そう。『ゲッP-X』は「演じる」ゲームなのです。分岐する物語を周回する間、あえて効率の悪い機体や武装を「演じて」みてください。
それこそが70年代ロボットアニメ番組を追体験する真髄。
「カネと効率」が、さもアタリマエな顔で支配する現代で。
効率よりも楽しさを欲望する精神こそが娯楽の真髄。自由への突破口なのです。
少なくとも、ぼくはそう思います。
良いライド体験を!
『70年代風ロボットアニメ ゲッP-X』は、PS4/PS5/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ/PC(Steam)向けに7月16日発売予定。価格は、PS5/ニンテンドースイッチ向けのパッケージ版の通常版は4,400円(税込み)、限定版は8,580円(税込み)です。

¥8,580
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













