
4月16日、ハムスターのコンソールアーカイブスにて『維新の嵐』が配信されました。
光栄(現コーエーテクモゲームス)が開発したリコエイションゲームで、舞台は幕末。坂本龍馬、勝海舟、桂小五郎、そして来年のNHK大河ドラマの主役・小栗忠順も主人公として操作することができる豪華仕様です。ゲームの目的は全国の雄藩を自分と同じ政治思想にして、新しい日本を作るというもの。そのためには武力に物を言わせるだけでなく、自分が勉強して思想の異なる他者を説得する必要があります。
この「説得システム」を有した『維新の嵐』は、それ故に一癖も二癖もあるゲームとして今も根強い人気を維持しています。
3通りの思想が激闘を繰り広げる!
徳川家康の江戸開府以降、日本は250年に渡る長い平和期を実現させました。
江戸時代と同時期のヨーロッパでは、三十年戦争、ルイ14世による各地の継承戦争、スウェーデンとロシアの台頭、7年戦争、ナポレオン戦争、クリミア戦争と、欧州全土を巻き込む戦争が50年に一度ほどのペースで発生しています。それだけアジア地域が無風状態だったとも言えますが、同時にヨーロッパは頻発する戦争が結果として科学技術の進歩と国際政治学の確立を実現させ、より洗練された力を手にするに至りました。
その力が日本に押し寄せてきた時代が、いわゆる「幕末期」です。
旧態依然とした江戸幕府を倒して天皇中心の新生日本を作るか、幕府を近代化させるか、それとも幕府、天皇、雄藩が連合した公議体制を構築させるか。日本が欧米列強の植民地にならないようにするため、数々の志士が互いに激論を繰り広げ、同時に日本の歴史の転換点を作り上げました。

『維新の嵐』も史実と同様、「尊王」「佐幕」「公議」の3思想が実装されています。プレイヤーは日本全国を巡り、また拠点で活動しつつもそこにやって来る志士を説得し、少しずつ自説を広げていきます。

その上で、尊王思想プレイの場合は軍を率いて幕府を倒すのが最終目標。佐幕思想プレイの場合は、幕軍を率いて長州を征伐すればゲームクリアです。公議思想プレイは全ての雄藩を同じ思想にした上で、将軍と天皇に面会することがクリア条件。こちらは武力征伐の必要はありません。う~~ん、歴史マニア狂喜乱舞間違いなしの仕様!
時代背景を反映したゲーム

光栄の『信長の野望』は、兵力を使って他の国を征服するゲームです。『信長の野望』の内政は、つまるところ兵を動員したり鉄砲を購入するための資金を作るための下地づくりとして行います。
一方『維新の嵐』は「個人の議論」が状況を変えるゲーム性。思想の異なる相手を説き伏せ、自分の同志にした上で雄藩に影響を与えるほどの一大言論勢力を築いていきます。逆に、他のキャラに説得されて思想を変えてしまうとゲームオーバー。勝海舟が尊王派になってしまう、ということもあり得ます。

此度のコンソールアーカイブスはファミコン版の移植ですが、ニューゲームで用意されている時代区分は2つ。「新時代の幕開け 1858年6月19日」と「明治維新の戦乱 1863年5月10日」です。たった5年の違いと思うなかれ。1858年6月19日といえば、日米修好通商条約が締結された日。これは明確な不平等条約で、国内の尊攘派を刺激させるきっかけにもなりました。ここから各地で攘夷が実行されます。
その攘夷実行が最高潮に達したのが1863年5月10日。この日、長州藩は外国船の排除を決定し、それを実行します。ですが、間もなく欧米列強諸国の反撃に遭い、ヨーロッパの最新技術に驚愕します。ここから長州は刀を使った攘夷を諦め、外国の最先端テクノロジーを積極的に取り入れる方針に転換しました。
こうした時代背景がきちんと反映されているのも、『維新の嵐』の大きな特徴です。
どうして久坂が今ここにいるの?

ただ、この作品はいかんせん古いゲーム。操作性は今の視点から見れば良好とは言い難く、またチュートリアルもないため『維新の嵐』を知らない人にとっては「何をすればいいのか分からないゲーム」になってしまいがちです(昔のゲームはチュートリアルではなく、紙の説明書が用意されていました)。
また、「史実の出来事を背景にしている」という点は評価できますが、多少の作り込みの甘さも見られます。というのも、上記のシナリオ「明治維新の戦乱」開始時点で京都に久坂玄瑞がいました。これはおかしい! 久坂はまさに下関戦争を始めた張本人で、5月10日時点では長州に帰藩していたはずだからです。にもかかわらず、『維新の嵐』ではなぜか京都にいます。ここで近藤勇を主人公キャラに選択していると、タイミングがよければ通りすがりの久坂と出くわして彼に斬りかかることも。

なお、戦闘に持ち込めるのは「思想の異なるキャラ」だけではありません。近藤勇を使って、同じ新選組の沖田総司に襲いかかる遊び方も可能です。近藤さん、アンタ発狂したか!? ただし、新選組の詰め所には芹沢鴨もいて、近藤と芹沢を軸にした新選組の内部闘争も再現されている点は高評価に値します。
当時のハードの限られた性能を駆使して、激動の幕末を可能な限り克明に再現した『維新の嵐』。21世紀の現代においても、十分な娯楽性を有した良作です!
『コンソールアーカイブス 維新の嵐』は、PS5/ニンテンドースイッチ2向けに配信中です。











