ローグライク・ローグライトというジャンルは、インディーゲームの中でもかなり人気の高いジャンルです。ランダムに提示されるカードやアイテムを選び、自分だけのビルドを作り上げ、強敵を倒していく。毎回違う展開が生まれるため、気がつけば「もう1回」と繰り返し遊んでしまう魅力があります。
しかし、その一方で作品数が増えたことで、少し新鮮味が薄れてきたと感じることもあります。そんな中で登場した本作『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』は、各所で手に入れたアイテムをクレーンゲームで掴み、それを使って戦っていく、ひと味違った趣向のローグライクです。
本レビューにあたり、Stray Fawn Studioより提供を受けています。
クレーンゲームで戦う異色のローグライク
本作は、ギャンブルに負けて奪われた片腕を取り戻すべく、ダンジョンに潜っていくデッキ構築型ローグライクです。
戦闘が始まると、画面にはクレーンゲームのようなエリアが表示されます。そこには剣、盾、特殊効果を持つアイテムなどが入っており、プレイヤーはクレーンを動かしてそれらを掴みます。
掴めたアイテムが、そのまま攻撃や防御、回復といった行動になるのが本作の特徴です。
剣を掴めば敵にダメージを与え、盾を掴めば防御値を得る。特殊なアイテムを掴めば、それぞれの能力が発動する。普通のデッキ構築型ローグライクであれば「手札からカードを選ぶ」部分が、本作では「クレーンでアイテムを掴む」行為に置き換わっています。

クレーンゲームというものには、取れそうで取れないもどかしさがあります。狙った景品にアームが届いたと思ったら、持ち上げた瞬間にポロッと落ちる。逆に、適当に狙ったものが思いがけず取れてしまうこともある。あの独特の感覚が、ローグライクの戦闘と絶妙に噛み合っていました。
本作でも、狙った武器が取れなかったり、逆に思わぬアイテムを巻き込んだりする場面が多々あります。通常のデッキ構築型ローグライクでいう手札事故のような展開もありますが、自分でクレーンを操作しているため、ただ運が悪かっただけではなく「もう少し右を狙えばよかったかも」「次はあのアイテムを巻き込むように狙おう」と思えるのが面白いところです。
完全な運任せではなく、操作の工夫である程度結果を変えられる。そのため、失敗しても理不尽さより「次はもっと上手くやれるかも」という気持ちが残るのが本作の特徴になっています。

ローグライクらしいビルドの楽しさもしっかり
クレーンゲームという見た目のインパクトが強い本作ですが、中身はしっかりローグライクです。ただアイテムを掴んで攻撃するだけのゲームではなく、どのアイテムをクレーンの中に入れていくか、どんな効果を組み合わせるかといったビルド構築が非常に重要になります。
道中では、戦闘報酬やショップなどを通じて新たなアイテムを入手できます。攻撃用の武器を増やすのか、防御や回復を重視するのか、特定の状態異常や追加効果を狙うのか。この選択によって、全体の方向性が大きく変わっていきます。
たとえば、攻撃アイテムを多く入れれば一気に敵を倒しやすくなりますが、防御が薄くなると強敵相手に削り負けることがあります。一方で、防御に寄せすぎると安定はするものの、火力が足りず戦闘が長引いてしまい、敵のバフが凄まじいことになる場面もあります。

さらに本作では、クレーンゲームである以上、強いアイテムを入れたからといって必ず毎回それを使えるわけではありません。どれだけ優秀なアイテムでも、掴めなければ意味がない。逆に、単体ではそこまで強く見えないアイテムでも、掴みやすいという点で活躍することがあります。
そのため本作では、単純に強いアイテムを選ぶだけではなく、「クレーンで掴みやすいか」「複数のアイテムを巻き込めるか」「盤面の中で邪魔にならないか」といった、クレーンゲームならではの視点も求められます。
この独自のビルド構築の感覚がかなり楽しいです。シナジーが噛み合い、クレーンで大量のアイテムを一気に掴めた時の気持ちよさは本作ならでは。ローグライクにおける“壊れたビルドを作る楽しさ”をクレーンゲームという形でしっかり味わえます。

キャラクターごとに変わる攻略の個性
本作は、使用できるキャラクター数が多いのも魅力です。キャラクターごとに固有の能力があり、それぞれ違った方向性のビルドを組むことができます。
デッキ構築型ローグライクにおいて、キャラクターの違いはリプレイ性に直結する重要な要素です。同じアイテムやシステムを使っていても、初期能力や固有効果が変わるだけで、選ぶべきアイテムや狙うべきシナジーは大きく変わります。
本作でも、キャラクターによって得意な戦い方が異なります。攻撃的にガンガン押していけるキャラクターもいれば、回復や防御を活かして粘り強く戦うキャラクターもいます。特定のアイテムや効果と相性の良いキャラクターもおり、誰を選ぶかによってプレイ感はかなり変化します。
これにより、一度クリアしたあとも「次は別のキャラクターで遊んでみよう」と思える作りになっています。最初は扱いやすいキャラクターで基本を覚え、慣れてきたらクセのあるキャラクターで尖ったビルドを狙う。こうした遊び方ができるのは、ローグライクとして何度も遊びたくなる魅力がありました。
また、キャラクターごとの能力を見れば、ビルドの方向性が掴みやすくなっているのもポイントです。固有能力を確認し、その長所を伸ばすようにアイテムを選んでいくだけでも、ある程度強いビルドを組めるため、ローグライク初心者でも遊びやすいと感じました。

さらに、クリア後には「幸運の手」というシステムが解放されます。これは最大3つまで付け替えられる特殊効果のようなもので、強力な効果を常時発動できます。これは一度クリアしたキャラクターの固有能力をほかキャラクターにも付与できるもので、ビルド構築の楽しさをさらに加速させる要素になっています。
キャラクターごとに違うビルドを試し、アイテムとの相性を探っていく。その試行錯誤が、本作の大きな魅力になっています。

難易度は若干低め。ただし“負債”で歯ごたえも調整可能
ただ、全体的な難易度が若干低めに感じました。もちろん、何も考えずに進めば負けることはありますし、ボス戦ではしっかりとしたビルドが求められます。
運が絡みづらい分、最大限に能力を発揮できるので、その点が本作の難易度を下げているのかなといった印象で、ローグライクに慣れている人や、歯ごたえのある攻略を求める人にとっては、通常の難易度だけではやや物足りなく感じるかもしれません。
そこで用意されているのが「負債」というシステムです。これは、一度クリアしたキャラクターで使用できるシステムで、ゲームに追加の制約や不利な条件を加えることで、難易度を上げられるようになります。
いわゆる高難易度モードや縛りプレイに近いもので、クリア後や慣れてきたプレイヤー向けのやり込み要素になっていますが、そこまで高難易度にはならない印象です。高難易度で歯ごたえのあるバトルを楽しむというよりは、ビルドを楽しむといった遊び方が本作では向いているのかなといった感じになっています。

『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』は、クレーンゲームの“取れそうで取れない”感覚を、ローグライクのビルド構築やランダム性としっかり噛み合わせた作品です。
狙ったアイテムが取れない悔しさ、偶然掴んだアイテムから生まれる逆転、シナジーが完成した時の爆発力。そうした要素が、本作ならではのプレイ感を作り出しています。
キャラクター数も多く、それぞれの個性を活かしたビルドを組めるため、リプレイ性も十分です。難易度はやや低めに感じる部分もありますが、その分、「幸運の手」などによってビルド構築をとことん楽しめる要素があり、ローグライクに慣れたプレイヤーでもやり込みがいはあります。
クレーンゲームが好きな人、デッキ構築型ローグライクが好きな人、そしていつものカード選択型とは違う作品を探している人には、かなりおすすめできる一本です。
『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』は、PC(Steam)、PS5、Xbox Series X|S、ニンテンドースイッチ、スマホ(iOS/Android)にて配信中です。
Game*Spark レビュー 『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』 PC(Steam)、PS5、Xbox Series X|S、ニンテンドースイッチ、スマホ(iOS/Android) 2026年5月1日
運をそこまで必要としない分やや難易度は低めのクレーンゲームローグライク
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GOOD
- クレーンゲームという新鮮さ
- キャラクターごとの能力がビルドの方針になる
- 運がそこまで絡まないゲーマー性
BAD
- 全体的な難易度がそこまで高くない
- 能力など説明不足なものがいくつかある











