
先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。
弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
現代における『MechWarrior』の復活と、過去から受け継いだ制約
先週のコラムでは、『MechWarrior 2』が大成功を収め、アメリカなどの地域における「メカとは何か」という認識をどのように形作ったのかを取り上げました。それを踏まえ、今回は現代の『MechWarrior』シリーズについて、なぜ近年まで苦戦していたのか、そしてなぜ今なお過去から受け継いだ制約をある程度抱えているのかをお話ししたいと思います。
『MechWarrior 2』の成功後、『MechWarrior 3』と『MechWarrior 4』はいずれもアメリカとヨーロッパで売上を落としました。その大きな要因は、家庭用ゲーム機の台頭と、よりシンプルで直感的な操作が好まれるようになったことでした。
さらに、『MechWarrior』の非常に複雑な物語や世界設定は、シリーズのファンにとっては大きな魅力であった一方、時が経つにつれて新規プレイヤーを惹きつけるうえで、むしろ不利に働くようになりました。複雑な世界設定は、やがて新規プレイヤー、特に家庭用ゲーム機でのプレイに慣れた層にとって、参入の障壁となってしまったのです。
このことは、初代Xbox向けに発売された2作の『MechAssault』が大成功を収めたことからも裏付けられています。これらは、よりシンプルな家庭用ゲーム機向けの作品で、新たなプレイヤー層を惹きつけました。この点については、次回のコラムで取り上げる予定です。
しかし、よりシミュレーション志向の『MechWarrior』シリーズは、2009年に状況が再び一変するまで、約10年にわたって眠りにつくことになります。
『MechWarrior』の復活
そして2009年頃、Unreal Engineで制作された新作『MechWarrior』と思われる映像を披露するティーザー映像が公開されました。この時点では、最後の『MechWarrior』が発売されたのは2002年で、シリーズは事実上姿を消していました。
そのため、このティーザー映像がオンラインで公開されると、アメリカでは誰もが熱狂し、大いに盛り上がりました。
しかし、これが実際には『MechWarrior Online』という基本プレイ無料の運営型ゲームであり、最終的に2013年にリリースされることが分かると、その熱狂もいくらか落ち着きました。
『MechWarrior Online』は決して悪いゲームではなく、現在でもプレイできます。しかし、それまでのシリーズ作品は一貫してストーリー重視のゲームだったため、ティーザー映像が公開された際、ファンは同様の作品を期待していました。
実際のところ、『MechWarrior』の新たな開発拠点となったPiranha Gamesは、当初からシングルプレイヤーゲームを制作したいと考えており、『MechWarrior Online』はその目標を実現するための第一歩にすぎませんでした。
そんななかでPiranha Gamesが当初直面した障害の一つは、初代『BattleTech』に登場するメカの起源を巡り、Harmony Goldから起こされた訴訟でした。
実は私も2017年に、この訴訟に関してPiranha Gamesを支援するために雇われました。当然ながら、私が担当した業務の内容を明かすことはできませんが、この訴訟の結果、その後さらに多くの『MechWarrior』作品を制作できるようになりました。
(編注:2017年に始まり、2018年に和解で終わっています。)
『MechWarrior 5』と今後の展望

Piranha Gamesが長年にわたって目標として開発を進めていた大作が、2019年に発売され、Unreal Engine 4を採用した『MechWarrior 5: Mercenaries』でした。本作は、シリーズのうち同じサブタイトルを冠した過去作品と同様に、傭兵部隊のマネジメントやロングキャンペーンの要素を採用した、ストーリー重視のシングルプレイヤーゲームでした。
本作はかなりの人気を博しましたが、クラシックな『MechWarrior』作品から受け継いだゲームシステムと、そのファン層の存在が、ある意味で成功の規模を制限することにもなりました。
というのも、新しい『MechWarrior』作品には、プレイヤーが一方向へ移動しながら別の方向を狙うことができる、上半身をひねる操作システムが引き続き採用されていたからです。これは、高速で移動する相対的な標的に対応するため、1990年代の作品で採用された解決策であり、その後、ファンが強い愛着を持つようになった、『MechWarrior』やそのフォロワーに共通する特徴的な要素でもありました。
しかし実際には、この上半身をひねる操作システムこそが、過去の『MechWarrior』作品の成功を制限し、より大きな成功を収めた『MechAssault』シリーズを生み出すきっかけとなりました。この点については、次回のコラムで取り上げます。
『MechWarrior 5: Mercenaries』に続き、2024年にはUnreal Engine 5を採用した新作が発売されました。それが『MechWarrior 5: Clans』であり、シリーズの世界設定として有名な、クラン(氏族)によるインナー・スフィア(中心領域 )侵攻を描いた、『MechWarrior 5: Mercenaries』よりさらにストーリー重視の作品です。
また、『MechWarrior 5: Mercenaries』のDLCでは、アメリカで人気を博した初代『BattleTech』アニメの一部も再現されており、ファン層は当然ながら、そうした場面がゲーム内で再現されたことを大いに喜びました。
2作の『MechWarrior 5』はいずれも好調で、『MechWarrior 3』や『MechWarrior 4』を上回る成功を収めたことは間違いありませんが、それでも『MechWarrior 2』で見られたほどの成功には、いまだ達していません。
一方で、『MechAssault』シリーズは、その『MechWarrior 2』の遺産を受け継ぎ、さらに『War Robots』のようなゲームに影響を与えることにもなりました。この点については、次回のコラムでお話しします。
いずれにせよ、これら2作の新作には多数のDLCも用意されていますので、『BattleTech』の世界のファンであれば、熱心なファンにとって本当に素晴らしいコンテンツが数多く揃っています。
最後にもう一つ……
これは『MechWarrior』のゲームではありませんが、『MechWarrior Online』と同じ頃の2018年には、Harebrained Schemesというスタジオから、新たな『BattleTech』のタクティクスゲームも発売されました。
これは比較的小規模なゲームでしたが、熱心なファンに支持されており、この小規模なスタジオによって非常に丁寧に作り上げられていました。
私自身もこのゲームとは多少縁があります。本作のディレクターであるマイク・マケイン(Mike McCain)は、私が当初リードデザイナーを務めていた『Strike Suit Zero』で、ストーリー用のアートワークを担当してもらうために私が起用した人物でもあります。ただ、私は同作を自分が意図していた形で完成させることはできませんでした。
いずれにせよ、『スーパーロボット大戦』のようなゲーム(に『XCOM』のような隊員のパーマデスや部隊マネジメントを加えたもの)がお好きであれば、この『BattleTech』は強くおすすめできます。
オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。








