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この体験、唯一無二!些細な選択ミスで即死、ギャンブル要素たっぷりな「遊べる本」ことゲームブックが令和の世に『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』として顕現

デジタル化によって、かつて少年たちが行ったチート「指栞」も気軽に可能。ゲームブックのアナログの魅力が、快適性を備えたまま現代に蘇える。

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突然ですが、読者の皆さんは「ゲームブック」というものをご存知でしょうか。

若いゲーマーの中には、今までゲームブックに触れたことのない方もいるかもしれないので、簡単に説明しましょう。

ゲームブックとは、読者の選択によって展開や結末が変わるように作られた、いわゆる“遊べる本”です。普通の本であれば最初から最後のページまで直線的に物語が進んでいきますが、ゲームブックではページの中に選択肢が登場し、「〇〇するならば~ページへ」というふうに(これは見たことのある人が多いかも)、読者の選択によって様々に物語が変化していきます。

さらに作り込まれたゲームブックであれば、サイコロや鉛筆などの筆記具、あるいは付属のシートなどの小道具を使って、さながらTRPGのような本格的な冒険を楽しめるものまで存在します。

ゲームブックが流行したのは主に1980年代から1990年代頃、テレビゲームが生まれて徐々に発展していく最中の時代。意外にもコンピューターゲームと同時代に存在していたので、マリオやドラクエなどの版権モノ作品も多く、幼少期にこれらのゲームブックで遊んだことがある、という人も多いのではないでしょうか。

そんなゲームブックですが、ゲームというものがアナログからデジタルへと移行していく過程で、他のアナログゲームと同様コンピューターに取って代わられていくこととなり、現在では書店でもほとんど見かけることがなくなってしまいました。

しかし! この令和の世に、そんなゲームブック文化を再興すべく一つのゲームがリリースされます。

それが、『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』です。

本作はゲームというよりも、一冊の本を読み進めていくかのような、まさに「デジタルゲームブック」とも言うべき体験を味わえる一冊(一作)となっており、昔懐かしのあの感覚を現代でも味わうことができます。

本稿では、そんな本作のプレイがどのようなものになっているのか、プレイレポートの形でお届けします。ちなみに、Game*Sparkでは開発元・ジギタリス出版の西村芳雄氏へのインタビューも行っているので、そちらの記事も併せてご覧ください。


それでは、早速ゲーム内容を紹介していきましょう!

些細な選択ミスで即死亡!? 知恵と運を使って、ハードなファンタジー世界を生き抜け!

本作のゲームプレイは、全てが画面内にある1冊の本の中で進行していきます。ゲーム中で用意されている本は2冊で、それぞれの本で主人公が異なります。

勇敢な戦士「ハヴェロック」か、可愛らしい女魔法使い「パネリ」か、プレイヤーはどちらかを選んで冒険へと旅立ちます。つまり実質シナリオは2本分、かなりのボリュームです。

主人公を選べば、あとはひたすら本を読み「選択」をおこなっていくのみ。プレイヤーの選択によって自動で本のページが遷移し、あなただけの物語が紡がれていきます。

それだけではありません。メイン画面の左側には専用の冒険手帳(キャラクターシート)が用意されており、ここには体力や持ち物、そしてぬるぬると動く主人公のイラストが常時表示されています。

他にも、机を見渡すとサイコロや鉛筆、コインなどゲームで使用する道具が置かれており、これらはゲーム中いつでもインタラクト可能。本作のアナログ感を演出するのに一役買ってくれています。

そして肝心のゲーム体験について、今回のプレイで筆者が感じた特徴は、“とにかく急に死ぬ”ということ。

ゲーム中プレイヤーにはあらゆる場面で常に選択肢が提示されるのですが、ちょっとでも選択をミスると即、デッド。

「あれ?こっちの選択だったかな?」と選び直しても、次の選択肢でデッド。正しい選択肢を選んでも、その後の正否を決めるサイコロの出目が悪くてデッド……という具合に、とにかく自キャラが頻繁に、そして唐突に死んでいきます。

最近のゲームでは考えられないほど、この世界では死が身近なのです。さっきまで順調だと思っていたのに、気づけば14ページ(死亡シーン)に飛ばされている……なんてこともしばしば。

そしてもう一つ気づいたのは、本作は(というよりもゲームブックというものが)かなり運に左右されるゲームだということ。

TRPGや他のアナログゲームに慣れている方にとっては普通のことのように感じられるかもしれませんが、本作ではあなたの選択と同じぐらい“運”が重要。どれほど知恵と勇気を備えたプレイヤーでも、運がダメなら全てが台無し……というと言い過ぎですが、それくらい運が重要なのです。

なにせ、敵との戦闘は基本的にほとんどがダイスの出目まかせ。もちろん攻撃や防御などのステータスを伸ばしたり、強力なアイテムを冒険の途中で手に入れたりしていれば話は別ですが、そういったものに頼らず普通にプレイしていくとなると、ひたすらダイスの出目が良いことを祈るというプレイングになりがちです。悪運続きになると、人によっては「運ゲーじゃねえか!」と言いたくなるかも……。

と、ここまで見るとかなりシビアでデンジャラスなゲームに見えるかもしれませんが、あえて言いましょう。

これこそが「ゲームブックなのだ」と!

そう、ゲームブックとは本来こういうものなのです。いつ訪れるか分からない死。決して安心できない、運がモノを言うギャンブルの綱渡り……こうしたシビアさ、生と死が直結した選択の緊張こそが、ゲームブックという遊びを構成する重要な要素であり魅力。

実際にこれらの要素を体験してみると、非常に面白い。どの場面も手に汗握るシーンの連続で、本の中で起きている物語であるはずなのに、まるで骨太のRPG作品を遊んでいるかのように錯覚してしまいます。

かつて子供の頃にゲームブックを読んでいた少年たちの脳内では、きっと私と同じことが起きていたのでしょう。そんな感覚が現代で味わえるのは、なんとも貴重で感動的です。

デジタルゲームだからこその利便性も

そうはいっても、やはり毎回毎回死んでは1ページ目に戻されるのは流石に辛いもの。実際のゲームブックでも、あまりに死に過ぎた少年たちはどこかのタイミングで、「前のページに指を挟んで結果だけを見る」という禁じ手に手を染めることもあったとか。

しかし、本作はあくまでデジタルゲーム。かつて少年たちが手を染めたそんな「ズル」の要素も、快適性マシマシで実装済みです。

ゲーム中には、オートセーブや手動セーブのほか、直前のページで死んでしまった場合には「直前の選択肢」まで巻き戻す機能も最初から解放済み。こうしたデジタルにならではの利点が、シビアなゲームプレイの快適性を高めてくれています。

また、操作ミスなどで読み飛ばしてしまったテキストはいつでもバックログで確認できるほか、作中に出てくるキーワードの説明、各種アイテムの管理・効果の確認もカーソル一つで可能に。そしてなにより、物理媒体ではないので部屋が暗くても遊べるという、デジタルの魅力も詰まっています。

W主人公が絡み合う、壮大なダークファンタジー

ストーリーについても紹介しましょう。本作の物語は、J・H・ブレナン著「暗黒城の魔術師」から影響を受けた、ダークな世界観が売りの硬派なファンタジーとなっています。

魔法と共に発展した世界、とある魔女の陰謀によって亡者の蔓延る地獄と化した国を舞台に、2人の主人公の視点から、魔女が乗っ取った巨大な城「暗黒城」の秘密へと迫っていきます。

当然、それぞれの主人公でシナリオ展開は大きく変わります。生い立ちや冒険に出る理由も異なる「ハヴェロック」と「パネリ」ですが、物語が進み2人にまつわる真実が明らかになってくると、別々だったストーリーはやがて一つの感動的な結末へ……。

と、これ以上はネタバレになるので言えませんが、とにかくテキスト単体での面白さも保証された作品であることは間違いありません。

最後に、本作のストアページから、本作の物語について述べた部分を一部抜粋しましょう。重厚で深みのあるファンタジーの世界を味わいたいのであれば、まず間違いないと感じられる作品です。

『エルデンリング』『バルダーズ・ゲート3』『ダンジョン飯』――いま私たちが熱狂しているファンタジーの源流には、ゲームブックやTRPGの時代があった。本作は、そのような時代に確かに存在した「剣と魔法の本来の重さと手触り」を再現している。「ファンタジー」と呼ばれてきたものの原点を、紙の質感とともに、味わってみないか。

ゲームプレイも、物語も、そしてプレイヤーが触れる紙の質感まで、とにかく「あの頃」の少年たちが味わった体験がたっぷりと詰まった本作。ゲームブックに触れたことのない人も、かつてゲームブックに熱中していたあなたも、ぜひこの「カルチャー」に一度触れてみてはどうでしょうか。

『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』は、PC(Steam)向けに発売中。体験版も無料配信されています。


ライター:植田亮平,編集:八羽汰わちは


編集/ 八羽汰わちは

はちわたわちは(回文)Game*Sparkの共同編集長。特技はヒトカラ12時間。

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