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「冷コー」って知ってる?『コーヒートーク トーキョー』から知るシアトルと日本のカフェ文化【ゲームで世界を観る#133】

気候や社会によってカフェに求められるものは変わります。

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「冷コー」って知ってる?『コーヒートーク トーキョー』から知るシアトルと日本のカフェ文化【ゲームで世界を観る#133】
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あの話題のコーヒーショップがついに日本上陸!アーバンファンタジーの日常風景を描いた『コーヒートーク』シリーズの最新作『コーヒートーク トーキョー』が5月21日に発売しました。旧2作のパブリッシャーだったコーラス・ワールドワイドが自ら制作に乗り出すという経緯があり、ジャズ喫茶やアイスコーヒーといった日本のエッセンスが加わってより親近感がある物語になっています。

コーヒーショップは世界各地にあれど、その土地の風土や歴史によって多種多様。『コーヒートーク』シリーズはいわゆる「シアトル系」のスタイルで、エスプレッソマシンを扱うバリスタが客の好みや様子に応じて柔軟にカスタマイズしていくのが特徴です。日本の純喫茶スタイルに慣れた人からすると、チェーン店で見られる呪文注文に面食らうでしょうが、その起源はまさに『コーヒートーク』にあるような客とバリスタの近さにあるのです。

シアトルは北緯47度と高緯度に位置している都市で、意外にも北海道よりも更に北。雨が多いこともあって気候は年間を通して寒冷です。第1作では9月になっていましたが、その頃には平均気温が15度ほどまで下がり、上着が必要なほどの冷え込みも珍しくありません。

冬場は5時にもう日が沈んでいて、冬至には夜が16時間まで延び、シアトルは冬季鬱になりやすいことでも知られています(バリスタさん、ワンオペ大丈夫ですか?)。こうした背景から、シアトルのカフェは「寒さを凌いでコミュニケーションを楽しむ体と心を温める場所」として、アメリカ指折りのコーヒー文化が発展していきました。1970代の高級焙煎豆の定着を経て、1980年代になると、言わずと知れたスターバックスがイタリアンバルのエスプレッソマシンを導入し、現在のシアトル系スタイルを作っていきました。

また、「シアトルフリーズ」という言葉もあるほど、シアトルの新参者は地元民と打ち解けるのが難しいと言われています。そういった都会ならではの冷たさと気候の寒さを温めてくれるのがシアトル系コーヒーの魅力と言えるでしょう。

一方、日本におけるコーヒー文化は常に「西洋」「欧米」への憧れを伴って歩んできました。コーヒー豆は江戸時代より舶来の品として時折持ち込まれていましたが、商業として定着したのは文明開化の波に乗った明治時代のこと。日本の「カフェ」は文化人の集まるサロンやコーヒーハウスをモデルとして出発し、料理や酒も提供するラウンジのような空間でしたが、大正時代になるといわゆる「女給」で客寄せをする風俗的な側面が強くなっていきます。当時を描いたドラマでも見かけたことがあるかもしれません。

カフェは風紀を乱す悪い場所と言うイメージが社会問題に発展する中で、真面目にコーヒーを提供したい店を「純喫茶」として区別するようになります。マスターこだわりのレコードと共に、より格調高い「洋」の雰囲気を求めるコア向けの文化が育まれ、これが日本独特の昭和的な「喫茶店」の原形になったのです。この「カフェ」と「喫茶店」の区別は法律にも影響し、2021年まで存在していた喫茶店営業許可はアルコール提供不可、加熱調理のみと言う条件で取得できました(現在は廃止)。

戦時中の喫茶店はコーヒーもレコードも「敵性文化」として攻撃の対象になり、スパイとして密告されるなど、喫茶店文化を守るには文字通り命がけの時代が続きます。戦後間もなくオープンした老舗の「純喫茶」「ジャズ喫茶」には、戦争で奪われた文化を渇望していた人がようやく取り戻した自由そのものが宿っていました。老舗喫茶店にある独特の空気はそうした戦中戦後の影響も含まれています。

日本の喫茶店独自の者として、アイスコーヒーとモーニングサービスが挙げられます。『コーヒートーク トーキョー』でもアイスメニューが登場しており、寒いシアトルとは注文の傾向も異なります。冷たいコーヒー自体は日本だけでなく暑い地方では自然に発生するので、アイスコーヒーが日本発かどうかは諸説ありですが、少なくとも欧米のカフェでアイスは邪道とされてきたのは確かです。水出しのコールドブリュー(ダッチコーヒー)と違って、氷を入れて味の変化も大きいため、アイス用のブレンドや淹れ方が独自に発展してきました。チェーン店はともかく、しっかりしたコーヒーハウスでレギュラーメニューにアイスコーヒーが並んでいる、欧米から見るとそこに日本らしさを感じるのだそうです。

落ち着けるいつものコーヒーも良いものですが、たまには冒険していつもと違うスタイルの店を開拓してみませんか?


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ライター:Skollfang,編集:宮崎 紘輔

ライター/好奇心と探究心 Skollfang

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編集/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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