Game*Sparkレビュー:『冒険家エリオットの千年物語』2D『ゼルダ』ライクなHD-2Dの異色作。意外にも戦闘ではなく探索に重きを置く | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『冒険家エリオットの千年物語』2D『ゼルダ』ライクなHD-2Dの異色作。意外にも戦闘ではなく探索に重きを置く

同じマップでも時代ごとに変化し、少しずつ行動範囲が広がっていく体験がめちゃくちゃ面白い!

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スクウェア・エニックスより、『冒険家エリオットの千年物語』が6月18日にリリースされます。

『オクトパストラベラー』以来、ゲームのグラフィック表現に新たなスタンダードを作り上げた「HD-2D」シリーズの最新作であり、また同シリーズとしては初のアクションRPG、そして完全新規IPという、同社としても挑戦的なタイトルとなっています。

とにかく新しいこと尽くめの作品であり、まだ誰もその全容については知らないゲーム。さまざまな期待の声を受けているそんな本作を、なんと今回、発売に先立って遊ぶ機会を頂くこととなりました。

そこで、本稿では本作を事前に遊んだ筆者による感想を、点数レビューという形でお届けします。グラフィック、ゲーム全体のシステム、戦闘、ストーリーの4つの観点から、本作の魅力と正直な感想を語ろうと思うので、ぜひお付き合いください。

HD-2Dはやっぱり凄い!

それでは、早速グラフィックの面から触れていきましょう。

プレイヤーがゲームを起動して最初に感動するのは、やはりなんと言ってもグラフィックの面ではないでしょうか。

本作のグラフィックには、同社の『オクトパストラベラー』や『ドラゴンクエストI&II』などでお馴染みのHD-2D技術が採用されています。

ドット絵と3DCGを融合し、まるでジオラマの中を覗いているかのような独特の質感を持たせるこのHD-2Dですが、その美しさは本作でも遺憾なく発揮されていました。

光源に対してリアルに光を反射する水面、空気中を舞う様々なパーティクル、強めにかけられた被写界深度、そしてそれらの中を縦横無尽に動くドット絵のキャラクターたち……。

クラシカルな要素と新しさを融合させたこの唯一無二のグラフィックには、何度見ても「やっぱりHD-2Dはすごい!」とつい溜息を漏らしてしまうほどのパワーが宿っています。

また、各種カットシーンや特定のポイントでのカメラワークも非常に良好。崖に立った時に少しだけ上下に移動したり、マップの奥に巨大な構造物がある場合はその対象を際立たせるために画面全体のカメラを大きく引いたりと、とにかくこだわり抜かれた画作りが、プレイヤーをこの世界へと没入させてくれます(スクリーンショットも非常に捗る)。

こうした「見た目の部分」が、本作の大きな魅力であることは間違いないでしょう。

ゲーム体験はアクションRPGというよりもアクションアドベンチャー的

それでは、いよいよ実際のゲームプレイについて触れていこうと思います。

本作はHD-2Dシリーズとしては初の“アクションRPG”を掲げた作品であり、敵との戦闘は全てリアルタイム、攻撃もコマンドを選ぶのではなく、直接ボタンを押して行うという仕組みになっています。

初め、本作のジャンルがアクションRPGであるということを聞いたとき、筆者は頭の中で本作のゲームプレイを「キャラクターのステータスをアップさせて強くなりつつ、アクションで敵を突破する」というタイプのものとして想像しました。

しかし実際に遊んでみると、本作のゲーム体験は筆者の想像とは大きく異なるものでした。まずはそれについてお話しましょう。

まず、基本的に本作にはレベルやステータスといった概念が存在しません。プレイヤーが管理、装備するべきものは、主人公である「エリオット」の体力と武器、相棒である妖精「フェイ」が使う魔法とそのリソースである魔力、そして各武器に装備できる「魔石」と呼ばれる強化アイテムのみです。

敵を倒しても経験値は得られず、少量のお金や魔石生成用のリソース(後述)、そしてたまに体力回復のハートをドロップするのみとなっています。

攻撃力とあるが、基本的には同じ武器種が更新されたら、新たに入手したほうを装備すれば問題ない。

また、こうした武器や魔法などの基礎的な装備品やスキルに関しても、敵を倒すことでは入手できないようになっています。

ハンマーや爆弾などの各武器や、フェイの使う着火(チャッカ)や高速ダッシュ(シッソー)といった魔法、そして体力の強化は、ストーリー中に訪れる各ダンジョンの最奥部や、「鍛錬の間」と呼ばれるマップ各所に点在する施設を攻略することによってのみ手に入る仕組みです(プレイヤーに特殊な効果を付与するアクセサリ装備もありますが、これもサブクエストなどのイベントで入手することになります)。

さらに、そうして手に入れた新しい武器やフェイの魔法は、単なる戦闘だけではなく探索にも用います。

道を塞いでいる岩を爆弾で壊したり、フェイのチャッカの魔法でダンジョン内の仕掛けを解いたり……そうしたパズル的な要素が、マップの各所に散らばっているのです。

そして、ここまでの説明でお気づきの方もいると思いますが、こうした本作のゲーム体験は、一般的なRPG像である「数値を上げて(育てて)戦う」ゲームではありません。というよりも、探索とアクションの開放が直接的に結びついた「2Dゼルダ」的な、つまりアクションアドベンチャー的な色がかなり濃いものとなっています。

特に「鍛錬の間」を巡る体力強化については、かけらを4つ集めると体力上限が一つアップするという、かなり見覚えのあるシステムになっているのも印象的です。本作を遊んで、まず筆者はこの点に非常に驚かされました。

マップは1つ、時代は4つ。少しずつ探索範囲が増えていく面白さ

では、そんなアクションアドベンチャー的な要素の出来はどうなのかと言うと、これがめちゃくちゃ面白い!

本作のマップは箱庭程度の中規模マップが一つ、というかなりコンパクトなものなのですが、実はこれに仕掛けが用意されているのです。

本作の主人公「エリオット」はゲーム中、ストーリーを進めるうえで4つの時代を行き来することになります。

元々エリオットが暮らしていた「加護の時代」から、一つ前の「再建の時代」、さらに前の「魔法の時代」、そして最も古い「萌芽の時代」という、この4つの時間軸を、ストーリー上何度も行き来するのです。

時間の移動は全て同一の地域で行われるので、どの時代においてもプレイヤーが探索するのは先ほど紹介した中規模のマップ……なのですが、実はこの1つのマップはそれぞれの時代によって微妙に姿かたちが異なっており、各時代ごとに探索できる範囲やダンジョン内の構造が変化しています。

つまり、実質的にプレイヤーが探索することになるのは元のマップ4つ分、最初に見渡せるマップが最終的には4倍にまで広がっているということになります。

時代が変われば、街の様相も様変わり。

この「時代ごとに異なるマップの差異」というギミックが、本作の探索における最も楽しい部分であり、ゲームプレイをとても楽しく、ワクワクするものにしているのです。

例えば、あちらの時代では地形が崩れていたのに、こちらの時代では通れるようになっている。今の時代では鍵がかかっている扉を、過去の時代で手に入れたカギを使って開ける……等々、同一のマップに様々な変化を加えることで、プレイヤーを飽きさせないようなシステムになっています。

様々な時代を巡ってアクションやアイテムを開放していきながら、徐々に行ける範囲を増やしていく。そうして新しく辿り着いた場所で、さらに次のアクションや手がかりを……というゲームフローは、非常に馴染み深いながらも高い完成度に仕上がっており、ゲームとしてとても満足のいく体験が出来ました。

魔石カスタマイズで戦闘にもバラエティが

以上のように、戦闘よりも探索によってステータスと装備が拡充していくシステムの本作ですが、その中で唯一、ストーリーの進行と切り離してプレイヤーが自由に強化できるのが、「魔石」の要素です。

「魔石」とは各種装備(剣や弓、爆弾など)に装着できる強化アイテムであり、これを付け替えることでそれぞれの武器の威力を上げたり、特殊な追加効果を付けたりすることが可能となっています。

この魔石は敵モンスター(蛮族)がドロップする「魔石のかけら」から生成することが可能で、かけら5つにつきランダムな魔石一つを生み出せます。

魔石による効果はさまざま。純粋に威力を上げるものやクリティカル率を上昇させるもの、さらには武器のため攻撃の挙動を変えるものまで、とにかく多くの種類が用意されており、プレイヤーのスタイルに応じたカスタマイズが可能です。

また、魔石を装備できるスロットは魔石の個数ではなくそれぞれの魔石のコストによって管理されており、この上限コストを引き上げるリソースはアイテム購入などに使うお金と共通のため、やろうと思えば序盤から無限に武器の強化ができます。

この魔石によるカスタマイズが本作の戦闘における目玉要素であり、どのような魔石を装備につけるかで戦い方も大きく変化します。

例えば弓に「炎上中の敵を攻撃すると追加ダメージを与える」魔石をつけて、フェイのチャッカの魔法と組み合わせれば、遠距離から敵を燃やしつつ削るという遠距離重視の戦い方ができますし、ハンマーに「ため攻撃中にスーパーアーマーを付与する」魔石と「ため攻撃中に攻撃を受けると次の攻撃強化」の魔石を装備すれば、敵の攻撃を無視してため攻撃を繰り出すバーサーカー的な立ち回りも可能となります。

このように、各魔石の能力を活かして戦闘を有利に進めることや、ひたすら自分の追求したい要素を追い求められるため、魔石の存在は戦闘を単調にしないようバラエティを与える、非常に面白いシステムだと感じました。

アクション自体はかなりシンプルなつくり

一方で、魔石以外の戦闘要素はかなりミニマムな作りとなっています。

基本的に攻撃は近距離武器と遠距離武器の2種のみで、攻撃方法も普通にボタンを押すかためるかの2種のみ。魔石によって若干挙動が変わったり特別なエフェクトが出ることはあれど、アニメーションが変化することはありません。

他のアクションには、先述したように相棒であるフェイの使う「魔法」があります。炎を出す、フェイのいる地点にワープする、フェイを自分のコピーにして分身するといった多彩な魔法の中から一つを選んでセットすれば、あとはワンボタンでセットした魔法を使えます。

また、本作には「回避」に該当するアクションが無く、基本的に敵の攻撃は全てスティックによる移動かジャンプで避けることになります。

盾を入手して以降はパリィも追加されますが、だからといってパリィゲーになるということもなく(難易度も関係してくるので一概には断言できませんが)、やはり基本的には移動と攻撃を繰り返すというシンプルなものです。

そのため、アクション性を求めて本作を遊ぼうとすると、かなり肩透かしを食らうことになるかもしれません。

しかし一方で、この簡単さがゲーム全体の敷居を下げることにも寄与しているので、アクションの苦手なRPGユーザーにとってはちょうどいいバランスとも言えるでしょう。これに関しては良い点と悪い点が同じなので、ユーザーの好みによる部分だと筆者は思いました。

ただ、明確に欠点だと感じた点ももちろんあります。

ステータスによる成長がないので、その辺にいる雑魚敵と戦うメリットがほとんどない(魔石が揃ってくる後半になるほどなおのこと)、強い魔石はコストも低いためこだわりが無い場合は結局強い魔石に次々入れ替えるだけなど、細かい欠点もあるのですが、それ以上に特に欠点だと感じたのは各ダンジョンにいる「ボスたちとの戦闘」です。

本作にはそれぞれ特色ある武器と、いつでも好きなタイミングで切り替え可能なフェイの魔法という要素があります。

これらは戦闘にも道中のパズルにも使える非常に面白い要素で、なおかつストーリーの進行によって順次解放されていく、いわば「追加のアクション」としての側面もあるのですが、肝心のボス戦ではこれらはほとんどフィーチャーされることがありません。

ボス戦が必ずしも新しい武器や魔法のチュートリアルを兼ねる必要はないのですが、それにしてもせっかく手に入れた面白い新アクションを活かす機会があまりに無視されすぎているように筆者は感じました。

開発側がそもそも「ギミックでしか倒せないボス」が嫌いなのか、それともそこまで魔法の使い道について練る必要性を感じなかったのかは分かりませんが、ただでさえ操作がシンプルな本作で、特に多彩なアクションを活かすことなくひたすらボスの横に張り付き攻撃ボタンを連打するのは、令和のアクションRPGにしてはかなり単調なものだと感じた部分です。

ただ、難易度設定があるので手応えのあるバトルをしたい人は、ぜひ「ベリーハード」に挑戦してみましょう。

一部には特定の武器や魔法を使って倒すボスも存在する。

過去へと遡り、未来を救うストーリー

最後に、本作のストーリー部分についても語ろうかと思います。

本作のシナリオは、各種トレーラーや公式サイトで大々的に推されている通り、主人公で冒険者である「エリオット」があるきっかけから様々な時代を巡ることとなり、そしてゆくゆくはこの世界を脅かす脅威と自身の運命に立ち向かうという、非常に王道でヒロイックな内容の物語となっています。

中でも目を引くのは、やはり「過去の時代に遡る」という部分。この設定から、スクウェア・エニックスの名作RPG『クロノトリガー』『ライブアライブ』などの、時代を超えた壮大なSFストーリーを連想した方も多いのではないでしょうか。

実際、本作もいくつかの部分ではこれらの作品と共通する要素を持ち合わせています。例えば、主人公エリオットが過去の時代である出来事に介入したことによって、エリオットが住む時代の人々のセリフが変わったり、過去から現在へある一連のフラグを立てることによって初めて遭遇できるイベントがあったりなど、過去が変わることで未来が変化していくという「プロットの一番おいしい部分」は至る場面で登場します。

本作の設定にそうした要素を求める方にとっては、こうした描写は特に嬉しい部分でしょう。

しかし、そういった「過去改変」要素がゲームのメインストーリーに大きく絡んでくるかというと、そういった展開は実はあまり見受けれらません。

というよりも、本作ではそうした過去改変展開については「意図的に外している」という印象さえ受けました。過去の時代で何か大きな出来事に介入しても、それにより現在の時代の様子が大きく変わるということはなく、エリオットの目的やメインとなる登場人物たちの性格がガラッと転換するような急展開もあまり見受けられません。

このことからも、あくまで本作で魅せたい部分はエリオットの「千年の時を越えて繰り広げられる愛と勇気の冒険物語」であって、SF的なタイムリープのロマンではない。そのような明確な方向性を私は本作のシナリオから感じ取りました。

過去に介入することで現在の状況が大きく変わるという展開は、むしろサブクエストに集中している。

ただ、だからと言って本作のシナリオがつまらないと言っているわけではありません。物語中盤から終盤にかけての伏線回収や、伏線回収を経てからラストの大団円に至るまでの展開は、それ単体として見れば非常に良くできたもので、「そういうことだったのか」と膝を打つ場面が何度かありました。

また、それぞれのキャラクターの血筋が現在までのどのような系譜をたどってきたのか、どのようにして今の立場に成り上がり、没落していったのか。

そうした過程を辿り、考察しながら一つ一つ謎を解いていく爽快感も、非常に見ごたえのあるもの。物語全体として見れば、新規IPとしては期待以上のものだったと感じました。

ただ、一点だけ気になる点もあります。

シナリオの都合上か、メインストーリー中に過去の時代でエリオットと会ったことのある人物が、後の時代でエリオットと再開した際、明らかに初対面の反応をする場面がありました。

その際、単なる記憶喪失なのかあるいは過去改変によって世界線自体が変わったのか(そういった設定があるのかは語られないので不明)、とにかく判然としないまま会話が進んでいくので、「どういうことなんだろう」とこちらが混乱させられることがありました。

そういった細かい設定上の粗をスルーすることさえできれば、非常に感動できる物語だったと思います。

HD-2D初のアクションRPG作品であり、スクウェア・エニックスとしても新たな挑戦となる『冒険家エリオットの千年物語』。

その実際の内容は、当初の筆者が予想していたものを良い意味で大きく裏切るものとなりました。シンプルなアクション、コンパクトにまとまったカスタマイズ要素、そして戦闘ではなく探索に重きを置いたゲームプレイは、RPGファンというよりもアクションアドベンチャーや「2D『ゼルダ』ライク」ファンにぜひともおススメしたいものに仕上がっています。

もちろん、美麗なグラフィックや重厚なストーリーを目的にしても十二分に楽しめるゲームだと思いますし、アクション難易度も『オクトパストラベラー』や『ドラゴンクエストI&II』などのコマンドRPGを好むゲーマーにとって手軽に楽しめるものとなっています。

この記事で紹介した各種システムが好きという方には、間違いなく良い作品になるでしょう。ぜひ一度、手に取って遊んでみてはどうでしょうか。

冒険家エリオットの千年物語』は、2026年6月18日にニンテンドースイッチ2/PS5/Xbox Series X|S/Steam/Windowsで発売予定です。

GameSpark レビュー 『冒険家エリオットの千年物語』 ニンテンドースイッチ2/PS5/Xbox Series X|S/Steam/Windows 2026年6月18日

意外にも戦闘ではなく探索に重きを置いた、2D『ゼルダ』ライクなHD-2Dの異色作。
多少の粗が気にならないのであれば、シナリオ・システム共にコンパクトにまとまった良いゲーム

GOOD

  • 何度見ても美しいHD-2Dグラフィック
  • 4つの時代ごとに1つのマップが変化する探索メインのゲームフロー
  • 魔石による戦闘のカスタマイズと、武器・魔法の組み合わせによる戦闘のバラエティ

BAD

  • シンプル故にやや単調ぎみな戦闘
  • SF的な発想を避けたことによって粗も目立つシナリオに

冒険家エリオットの千年物語 -Switch2
¥6,589
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
冒険家エリオットの千年物語 -PS5
¥6,365
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:植田亮平,編集:八羽汰わちは


編集/ 八羽汰わちは

はちわたわちは(回文)Game*Sparkの共同編集長。特技はヒトカラ12時間。

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