『GTA』シリーズを筆頭に、『エルデンリング』や『紅の砂漠』など、いわゆる「オープンワールド」を舞台とした大型タイトルが現在まで数多く発売されており、ジャンルとしても定着しているのは皆さん御存知かと思います。
オープンワールドゲームといえば、広大でシームレスな世界をどこへでも気ままに行ける「圧倒的な自由度」がとても魅力的です。

とはいえ一口にオープンワールドゲームと言っても、そのコンセプトや世界観は作品ごとに異なります。しかし、やはりプレイヤーを惹きつけるのは、さまざまな環境や自然、文化が混然一体となった、その「ごった煮感」にあると筆者は思うわけです。

今回筆者は、兵庫県姫路市に実在する一風変わった巨大なテーマパーク「太陽公園」に向かい、取材という名の旅行に出かけてきました。
「太陽公園」は、フランスの凱旋門をはじめ、モアイ像、万里の長城、ピラミッドなど、世界の建造物や石像が乱立するケタ違いのスケール感と、文脈をいっさい無視した「ごちゃまぜ感」のカオスっぷりがめちゃくちゃ面白いテーマパークで、まさに「リアルなオープンワールド」といった趣きがある場所です。

というわけで本稿では、この「太陽公園」の面白さと、オープンワールドというゲームジャンルとの共通点や魅力についてお届けいたします。
◆太陽公園とは?

さて、まずは今回訪れた「太陽公園」についてざっくりとご紹介します。
太陽公園(たいようこうえん)は、兵庫県姫路市にある、世界の石造建造物や建築物を再現した異色のテーマパークです。約4万坪という広大な敷地は、「城のエリア」と「石のエリア」という主要な2つのエリアに分かれています。

山頂にそびえ立つ城のエリアに鎮座する「白鳥城」は、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城を3分の2スケールで極めて精巧に再現した白亜の古城です。
一方、麓に広がる石のエリアには、フランスの凱旋門、イースター島のモアイ像、エジプトのスフィンクス、そして圧巻の1,000体の秦始皇帝兵馬俑坑など、世界中の遺跡や歴史的建造物のレプリカが脈絡なく配置されている、混沌としたエリアです。

また近年では、コスプレ撮影、ドラマ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』や特撮『牙狼〈GARO〉』シリーズのロケ地としても使用されており、熱狂的な支持を集めています。
所在地:兵庫県姫路市打越1342-6
営業時間:平日 10:00~18:00 / 土日祝 9:00~18:00(チケット販売は17:30まで。季節により変更あり)
入場料:大人(高校生以上) 1,500円 小人(小学生及び中学生)・高齢者(75歳以上) 700円
※20名以上は団体割引あり。
定休日:不定休(荒天時以外は原則毎日営業)
公式サイト:太陽公園オフィシャルサイト
◆城のエリア:山頂にそびえる迷宮を攻略せよ!

某月某日、ナビを頼りに兵庫県は姫路市にある「太陽公園」に向けて出発。3時間ほど車を走らせると、突如山の頂上付近に巨大な城のようなモノが見えてきました。
もう直感的にここが「太陽公園」なんだと確信。その異様とも言える光景に興奮気味の筆者でしたが、遠目からでも一発で分かるくらいのデカさがとにかく凄い……!

というわけで、無事目的地である「太陽公園」に到着。予想した通り、駐車場を含めて敷地面積はかなりの広さです。

まずはチケットを買うために「ウェルカムハウス スワン」へ。ここはレストランやカフェ、お土産ショップが併設されている無料エリアです。


城のエリアには、専用のモノレールで出発!周辺に広がるのどかな田園風景を眺めながら、約3分ほど登ってゆきます。これだけでもかなりワクワクしますね。

モノレールから降りて石畳の坂道を少し歩いていくと、ついに現れたのは「白鳥城」!太陽公園の中でも一際目立つ存在で、ランドマークでもあります。


白鳥城は、ドイツに実在する「ノイシュヴァンシュタイン城」をモチーフに建造された西洋風の巨大なお城で、その圧倒的なスケール感と冷徹なまでの美しさは、まるで『ソウルシリーズ』や『ブラッドボーン』に登場するような、プレイヤーの行く手を阻むダンジョンそのものといった印象です。


実際に城内を見学することが出来ます。西洋式の甲冑や、巨大な辞典、世界の民族衣装、くるみ割り人形など、多くの展示物があって歩くだけで楽しくなってきます。

白鳥城は全7階建になっており、順路の案内やエレベーターでの移動も可能で快適に見て回ることができます。とはいえ、各部屋はそれぞれ複雑に繋がっているため、ちょっとしたダンジョン探索をしている気分になりました。

白鳥城でとくにオススメのスポットは、「玉座の間」です。荘厳な絵画を背景に、実際に王の椅子に座って記念撮影することができます。
豪華絢爛な作りの王の椅子は、なんとなく『エルデンリング』のボス「メスメル」が腰掛けていたものに似ている気がします。SNS映えしそうな良い場所でした。


2つ目は、不思議な写真が撮れる「3Dトリックアートミュージアム」です。平面の絵が立体的に見えるアートや、専用アプリを起動してAR(拡張現実)で動く写真を撮って楽しめます。

白鳥城を探索して感じたのは、このエリアはオープンワールドにおける「広大な世界そのもの」というよりは、プレイヤーを旅へと誘う「巨大なランドマーク(目印)」であり、攻略対象の「大型ダンジョン」としての機能を持っていました。

たとえば、『ゼルダの伝説 BotW』のハイラル城や、『エルデンリング』の黄金樹のように、「あそこには何があるんだろう?」「どうやって行くんだろう?」と、プレイヤーの視線を奪い、移動の目的を自動的に生み出すような設計です。この遠景の配置の妙は、まさに超大作RPGのオープニングに出てくる巨大な城と変わりません。

また、モノレールという名のロードを挟んで城内にエントリーすれば、そこは立体的な3D迷宮!外観の圧倒的な没入感(AAA級グラフィック)とは裏腹に、中では「トリックアート」という名の環境パズル(ミニゲーム)がこれでもかとプレイヤーを待ち受けています。外見はガチなのに中身は全力でエンタメに振り切っているこの緩急も、非常にゲーム的なダンジョン体験であって、とても満足できました。
◆石のエリア:無秩序に広がるカオス空間を堪能せよ!

さて、続いてやってきたのは太陽公園のもうひとつの目玉「石のエリア」です。第一駐車場から北西に向かって5分ほど歩いていけば到着します。
甲子園球場約3個分という広大な敷地の中に、世界中の有名な遺跡や石の建造物、彫刻のレプリカが立ち並ぶミステリー&フォトジェニックなエリアです。

まず見えてきたのは、巨大なパリの「エトワール凱旋門」。実物と変わらないんじゃないか?と思うくらいスケール感があります。よく見ると、左右の彫刻も安っぽい素材ではなく、しっかり大理石で再現されているようで、迫力満点。初手から圧倒されてしまいます。

そして門をくぐり抜け、整備された遊歩道の両脇は、メソポタミア文明の石像や、ポリネシアの神像ティキ、マヤ文明のアーチ遺跡など、世界各地の遺跡文明のレプリカが乱立しているゾーンです。

それぞれに解説文が用意されているので、世界史の勉強にもなりますね。

でたー!!モアイ像だ!……でもなぜここに?

次は唐突に「自由の女神」が出現。さすがに実寸ではないですが、その精巧な作りは本物と変わりないクオリティで一見の価値ありです。
前述したように、「石のエリア」の良さはこの猥雑さというか、古代から現代までの建造物がごちゃまぜで展示してあること。「次は何があるんだろう」とワクワクする気持ちは、オープンワールドゲームの未知なるエリアに進むときと同じ感覚だと思いました。

そのまま順路を歩いていくと、雰囲気がガラリと変わり、今度は古代中国風の石像がいくつも現れてきます。いったいこの先に待ち受けてるモノとは…!?

なんと約1000体もの立像が並ぶ「兵馬俑」を再現した、ド迫力の空間が出現ッッ
いわゆる「兵馬俑坑」とは、秦の始皇帝の陵墓を守るために地下に造られた巨大な副葬坑のことで、等身大の兵士や馬の素焼き(俑)が総計8,000体以上眠っており、その規模と精巧さから「20世紀最大の考古学的発見」とも称されているAAA級の遺構。皆さんも歴史の授業で一度は習ったかと思います。

その圧倒的なスケール感と再現度に、もはや「すげえ…!」と言うしかありません。まさか日本の、それも姫路にミニチュア版兵馬俑坑があるなんて誰が想像しただろうか。

ちなみに、本物の兵馬俑坑は損壊している像もあったらしく、太陽公園の兵馬俑でもコナゴナに壊れた像が置かれているという、徹底したリアリティにも脱帽です。

石のエリアはまだまだ続きます。次に現れたのは、「万里の長城」。再現がなかなか難しそうな歴史的建造物ですが、石像を配置して良い感じに仕上げていました。

石のエリアはとにかく敷地面積が広く、リアルなオープンワールド世界に迷い込んだような感覚になります。


他にも、「天安門広場」があるかと思えば、スフィンクスと巨大なピラミッドが何の脈絡もなく鎮座していたり、すぐ側には500体もの石仏が置かれている「五百羅漢」いたり…さまざまな地域や時代を超えた建造物が一面に広がっており、見ていて飽きません。

筆者がとくに気に入ったのは、「石貨神殿」と呼ばれる激アツスポット。ここは、西太平洋のミクロネシア連邦に属するヤップ島をモデルにしているらしく、世界中の硬貨が巨大な石に刻まれた「石の貨幣」がゴロゴロ転がっていました。

もうひとつは、「磨崖仏」という、切り立った自然の岩壁や大きな石の表面に直接彫刻された仏像です。インドの「アジャンター石窟」や中国の「雲岡(うんこう)石窟」など、アジアの仏教圏で広く見られる様式とのこと。
いやしかし、実物を見るとそのスケールのデカさに驚かされます。いちテーマパークとは思えないほどの情熱と熱量はどこから来るのか?不思議でなりません。

城のエリアが王道のメインクエストなら、この「石のエリア」は、プレイヤーの好奇心だけが道標となる、広大なフリーフィールドです。
特筆すべきは、そのレベルデザイン(マップ設計)のテンポの良さです。入り口の「フランス・凱旋門」をくぐると、その先には「イースター島のモアイ像」、さらに進めば「秦始皇帝兵馬俑坑」や「万里の長城」「ピラミッド」が次々に姿を現します。

オープンワールドの魅力は、単に「広いマップを自由に歩けること」だけではありません。「目的地に向かう途中で、別のものが気になってつい寄り道してしまうこと」、そして「次は何があるんだろう」、とワクワクさせられ続けること」にあると筆者は思います。

一方で石のエリアは、歴史的な文脈こそ完全に崩壊(バグ)していますが、オブジェクトの配置密度がとにかく絶妙でした。1つのスポットに到達すると、そこから必ず「次の怪しいスポット」が視界に入るように作られているため、探索欲がかなり刺激され、ノンストップで歩き続けたんだなあと、振り返ってみて思いました。
◆おわりに:オープンワールドの「自由奔放さ」が詰まった太陽公園

こうして、半日ほど太陽公園の散策をしましたが、白鳥城の美しい外観に誘われて中に入れば、そこには脈絡もなくトリックアートが並び、石のエリアの奥地へ進めば、整合性を完全に無視した大量のオブジェクトに圧倒され、筆者の脳みそと感覚は揺さぶられ続けたのでした。
しかしながら、この「突き放されたカオス」の中に放り込まれたとき、自ずと「なぜここにモアイがあるのか」を自分なりに考察したり、絶景をフォトモードのようにカメラで切り取ったり、唯一無二の世界観に対してツッコミながら歩く楽しさがあるのが良かったですね。

誰もが驚く白亜の城から、歴史の文脈を無視した石像の群れまでが「ワンマップ」に詰め込まれたその場所は、まさにリアルなオープンワールドを体験しているよう。
そして「オープンワールドゲーム」の面白さとは、広さや自由度だけでなく、予想外のものに出会い、自分で面白がり方を見つけることにもあるのかもしれない、ということに今回気付かされました。一歩足を踏み入れれば、そこには“プレイヤー自身の好奇心”を存分に試す「太陽公園」という、広大な世界が広がっていたのでした。

近郊にお住まいの方や、姫路にお越しの方はぜひ立ち寄ってみてください。












