日本と海外の悪趣味表現の違いに、JRPGから乙女ゲーまで。
みお:ちなみに、初めてに関わらず他に好きな悪趣味なゲームはありますか?
難波:『ニーア』とかは皆さんもう殿堂入りなのかなと勝手に思ってたんですが、どうですか?
タケダだいゆう:殿堂入りですね。
もぐ水:『ニーア オートマタ』だけやってます。
みお:私、まだやってないんですよね。いいんだろうなと思ってはいるんですが。
羊めり:私もまだプレイできてないです。
難波:そうなんですね。私はとても好きで、ヨコオタロウさんの作品はやっぱり揺さぶられるものが多い。

タケダだいゆう:『ドラッグオンドラグーン』とか『Voice of Cards』とかもですかね。『Voice of Cards』はカードゲームっぽい感じなんですが、村人ごとにフレーバーテキストがあって、例えばそこで「パン屋の女が実は……」みたいな裏設定があったりします。
難波:また~ヨコオさんはそんな~。
羊めり:私は、日本一ソフトウェアもけっこうやらかしてると思ってます。『htoL#NiQ -ホタルノニッキ-』とか、『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』とか。例えば『ホタルノニッキ』では、女の子が廃墟みたいな所にいて、プレイヤーはホタルを操作して女の子を誘導しながら逃げ出すっていうゲームなんですよ。

女の子には角が生えているんですが、その角が生えた原因や女の子に待ち受ける結末がもう徹底してかわいそうで。本当に1ミリも救いのない作品なんですね、これは。
難波:こんなに可愛いイラストなのに……。
タケダだいゆう:確かに、『夜廻(よまわり)』とかもそうですよね。
羊めり:そう、『ホタルノニッキ』で味をしめて『夜廻』を開発したんだと思っています。
タケダだいゆう:『ほの暮しの庭』でも、色々ありそうですもんね。
みお:『夜廻』はチュートリアルが有名ですからね。動物が死ぬ系のやつで。
難波:趣味悪いですね~。
羊めり:『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』は、DRPGっていう『ウィザードリィ』のようなDRPGというジャンルのゲームで、地下迷宮を探索しながらストーリーを進めていくんですね。その地下迷宮は瘴気がひどく、普通の人間は入れないんですよ。なので、地下迷宮の探索自体は「人形」がやり、プレイヤーはその人形を使役する存在、さらにそのプレイヤーを使役しているのが魔女である「ドロニア」様っていうキャラクターがいるんですけれど。

そのドロニア様がものすごく横暴で。プレイヤーや弟子である「ルカ」という女の子にひどい扱いをするんですが、その理由が後々明らかになって……というシナリオなんです。
それだけでなく、全体的に容赦のないエログロ要素を匂わせていたり。それこそさっき話に出た「本当は怖いグリム童話」が好きな人が気に入る雰囲気が随所にある作品になってます。
みお:やっぱり日本一ソフトウェアくらいの中規模な日本のメーカーならではのクリエイティブってあるなと思っていて、そういうところはちょっと倫理観のタガが外れていがちなんですよね。多分、大手だったら今はさすがにやらないだろうな、というものを出す日本ならではのゲームがあるなと思っています。
もぐ水:そうですね。私も、「グラスホッパー・マニファクチュア」作品が悪趣味なものが多くて好きです。何がって言われると、全体的になので難しいんですが……。

難波:悪趣味にもいろんなカテゴリがありますからね。
もぐ水:日本のゲームではなく、いわゆる「洋ゲー」の話になるんですが、私は洋ゲーに触れ始めた時期に『バイオショック』をプレイしたんですよ。『バイオショック』自体は悪趣味かと言われると違うかもしれないんですが、3作目の『バイオショック インフィニット』というのがありまして。
主人公の「ブッカー」は「娘を連れてくれば借金は帳消しだ」という依頼で天空都市「コロンビア」を訪れるんですが、そのコロンビアはとても華やかで美しい場所なんですね。ですが、そこは暴力や人種差別の元に出来上がった場所だった……という設定で。
まだ成人する前あたりにプレイしたので内容はちょっと難しかったんですが、ただそのシナリオに「こんなひどい目に合わせるんだ」って衝撃を受けたんですね。本編もすごいんですが、特にDLCの『べリアル・アット・シー』が凄まじいんです。

タケダだいゆう:DLCってエリザベスが主人公になるやつでしたっけ、プレイしたのだいぶ昔なので「あったな」と思いながら聞いてるんですが。
もぐ水:それです。まあ悪趣味と一言で言っていいお話ではないんですが、エンディングを見て「なんでこんなことになっちゃったんだろう」ってめちゃくちゃ泣いて、その後も一週間くらい落ち込んでしまって……。
難波:だいぶ胃もたれしてますね。
もぐ水:日本のゲームの容赦のなさと洋ゲーの容赦のなさって、レベルというか種類が違うなと。その容赦のなさを味わった作品として今でも印象に残ってますし、違いも面白いなと思います。
『アサシン クリード』も洋ゲーをやり始めた頃に触れたんですが、当時はそれほど他のゲームを遊んでいなかったこともあって、「こんなにリアルな人殺していいんだ」と驚いたというか……世界が広がった感じがありましたね。
みお:海外ゲームだと、『ファークライ3』が好きだったことを思い出しました。作品全体としては、ゲームで暴力を行使することの是非を問うてくるゲームなんですけど、それも好きなんですが、特にオープニングの嫌な感じが好きで。
主人公は南の島に仲間と一緒に遊びに来て、ダイビングしたりパーティしたりワイワイとハメを外してるんですね。そのハメを外している様子がテンポよく連続で流れてたらカメラが引いて、それが実はスマートフォンで取った映像を見せられていたことが分かるんです。そして場面が変わると、主人公たちは島を支配するヤバいギャングに捕らわれてひどい目に遭っている、というオープニングの流れがめちゃくちゃ良くて。
ちょっとハメ外して調子こいてる人達が痛い目を見るところから始まる、という尖り方が好きなゲームですね。
タケダだいゆう:『ファークライ』のオープニングは4も5もいいですよね。

もぐ水:3は特にスピード感が気持ち良いというか、さっきまで「イェーイ」って言ってたのに急に地獄に落ちちゃった、って叩き落とされる感じがいい。
難波:今出ていないジャンルの「乙女ゲー」で思い出したものがあったので、紹介させてください。以前、「相手の意に沿わない選択肢を選んで洞窟に置き去りにされた」というようなポストがバズって、そこから「乙女ゲーでひどい目にあった」大喜利が流行ったんですが、その中で名前が挙がったタイトルに『絶対階級学園』というのがあるんです。
学園が舞台なんですが、タイトルの通りカースト制が敷かれていて、上の階級の学生達は傲慢に振る舞って、下の階級を奴隷みたいに蔑んでいる世界観なんですね。よくある学園恋愛かと思いきや、実はその裏に不穏な真実が隠された作品なんですが、各キャラクターのバッドエンドが、ただ恋が成就しなくて終わるというものではなく、けっこう悲惨な内容で。「乙女ゲーでこんな思いさせられるんだ」って思ったんです。
少しネタバレになってしまうんですが、あるキャラクターのバッドエンドで、体の自由が利かなくなってしまうという展開があって。話すこともままならなくなった彼が辛うじて何かを訴えようとする場面があるんですが、その言葉が「生きたい」なのか「死にたい」なのか判然としない。 男の子に生きていてほしいヒロインは、「生きたい」と言っていると思い込み、黒幕に「殺さないであげて」と懇願する……というバッドエンドなんです。
彼は役者になりたいという夢を持ったイマドキな男の子だったので、「もうこんな身体ではとても生きていけない。いっそ殺してくれ」という風にも捉えられるシナリオと演出になっているんですよ。絶望する彼の姿も十分に悲惨なんですが、個人的には、「死にたい」という彼の本心だったかもしれない願いが、ヒロインの善意によってかき消されてしまうように見えるところが一番きつかったですね。
あと、家族を壊した宗教をずっと憎んでいた男の子が、最終的にはその宗教に取り込まれてしまうようなバッドエンドもあって。『絶対階級学園』は、“そのキャラクターが一番恐れていたものに落ちていくタイプの地獄”を味わわされたのが印象的でした。

タケダだいゆう:すごいゲームですね……。
難波:絵も綺麗で、人気の声優さんを使っているんですけど「え、こんな……え!?」みたいな、「じゃあどうすればよかったんだよ」っていうバッドエンドが各キャラクターにそれぞれのカテゴリで用意されています。乙女ゲーではちょっと珍しい、ギャグにならないパンチの効いた後味悪いものかな、と思い出したので紹介させていただきました。
もぐ水:乙女ゲーはあまりプレイしたことがなかったので初めて知ったタイトルなんですが、そういうえげつないのもあるんですね。
難波:もちろん、苦難を乗り越えて男の子とハッピーになるエンディングもあるんですが、バッドエンドはバッドエンドでキャラに沿った悲劇が描かれていて、すごく読み応えがあるんです。唯一無二の体験ができると思うので、機会がありましたら触れてみてください。
もぐ水:お話聞いてるだけで、悪趣味のすごさに嬉しい気持ちになりました。
羊めり:あと、『ファイアーエムブレム 風花雪月(以下、風花雪月)』とかもそうかなと思ってます。
みお:確かにそうですね。
羊めり:『ファイアーエムブレム』って、歴代シリーズでは敗戦国側の主人公が祖国を取り戻すっていうストーリーだったんですね。ただ、『風花雪月』のプレイヤーは主人公が士官学校の先生になって、一年間先生を担当するんですよ。
3つのクラスから担当する学級を選べるんですけど、それが3つの大きな国の出身国ごとに分かれてまして。ストーリーの1部では学園生活を送るんですが、5年後の2部では戦争をするんです。
Game*Sparkの「なんでこんなことをするんですか」でバズった作品でもありますね。
その2部で、プレイヤーは担当していたクラスに所属して戦うんですが、シリーズ通り敗戦国側として侵略されるクラスもあれば、逆に侵略する側のクラスもいるんですね。それで、キャラクター同士を戦わせると特殊会話が発生したりとかして。それが組み合わせで一つとかじゃなく、キャラによっては自軍側と敵軍側で変わるものもあるんです。今までのシリーズではできなかった体験だったので、頭を抱えながらプレイしたことを覚えています。
難波:みなさん『風花雪月』はやられた方多い感じですかね?私はプレイしてます。
みお:私はやりました。
タケダだいゆう:同じく。
もぐ水:私だけやっておりません……!
難波:私は初めてプレイした時、エーデルガルトちゃんの担任になったんですが、このゲーム引き抜きができるので好みの子をどんどん勧誘してしまったんです。まさか戦争するなんて知らなかったので……。
この子可愛いからうちのクラスに、って入れてたら戦争になってしまって、同郷同士の生徒たちに殺し合いをさせることになり、特殊会話を見て「なんてことをしてしまったんだ」って経験をしたので、今言われて「ああ」ってなりました。
羊めり:それぞれの学級に幼馴染とかライバルとかがいたりするんですよね。

もぐ水:うわあ、意地悪ですね。それと似た感じでいうと、私は『真・女神転生』シリーズが好きで。簡単に言うと、崩壊した東京を舞台に神や天使、悪魔たちがそれぞれの思惑で動く中、じゃあ人間の主人公たちはどうするかという話なんですが、だいたいのナンバリングはロウ(秩序)とカオス(混沌)とニュートラル(中庸)の3ルートに分かれるんです。ロウルートは神や天使側で、カオスは悪魔側、ニュートラルはどちらも否定してどちらも殺す。

それぞれのルートには担当キャラクターがいて、Ⅰの頃から主人公と行動を共にする仲間が主に2人いるんですが、途中でその2人はロウとカオスに分かれてしまう。終盤になると敵対したルートのキャラクターを殺さないといけないので、心が痛むんですよね。
特にⅠとⅣが顕著なんですが、ロウルート側のキャラクターはかわいそうな目に遭うことが多くて。例えば神様の言う通りにした結果「もう本人の意思ってどこにあるんだろう」という状態になってしまったりとか。そのまま最後まで進めたら、幸せってなんなんだろう、と思うような世界で終わるエンディングで。特にⅣはロウルートのキャラクターが好きだったので、ひどくショックを受けました。

ただ、辛いんですけどそれはそれとしてこういう終わり方も好きなので嬉しい気持ちもあって。ATLUSはオカルト系を扱ったものが多いので、元々悪趣味な設定のものは多いですね。
羊めり:私も『真・女神転生Ⅳ』をプレイしたことがあるからわかるんですが、キャラクターたちの末路もですが、物語の真相もけっこう凄い……じゃないですか。あれも頭を抱えた覚えがあります。あと、Ⅳのオススメポイントとして、主人公のスキルにカツアゲというお金を巻き上げるものがあるんですが、それぞれのルートに入った時に敵対したキャラクターにもカツアゲが出来るというよく分からないものがあります(笑)。台詞が都度変わるっていう手の込み具合もあって印象に残っていますね。
もぐ水:ありましたね。「これ出来るのかな」ってやってみたらできちゃうんだ。みたいな。
タケダだいゆう:Ⅳって3DSのやつですよね。
もぐ水:そうです。他のナンバリングは現行機で遊べるのに、Ⅳ系だけ3DSに閉じ込められているんですよね。私はすごく好きなナンバリングなので、今遊びづらくなっているのが辛いです。
みお:作品ではないんですが、自分の趣味に影響を与えたものとして、ニコニコ動画に昔「あなたのトラウマゲーム」という動画があって、シオンタウンや『かまいたちの夜』SFC版OPの曲とか、とにかく不気味な曲を流しながらいろんなゲームの気持ち悪い場面を流しまくるネタバレ満載の動画なんですけど、これも中学生くらいの頃に見て「これはすごい」って思った覚えがあります。世の中こんなに気持ち悪いゲームたくさんあるの、って。
2011年の動画なので、PS1・PS2あたりのグラフィックからくる不気味さがあって、それがまたいいんですよね。本当にネタバレ全開なんですが(笑)。
あと『MOTHER2』も好きなんですが、悪趣味という点では『MOTHER3』が一番好きです。特に終盤あたり。3は悪趣味好きなら絶対に刺さるところがあるので、スイッチオンラインでぜひ遊んでみてください。

もぐ水:私はまだ2までしかプレイしてないので、あとはもう起動してやるだけですね。今までと違う系統のものを挙げると、私は『ボーダーランズ』がすごく好きで。あれは鬱屈としたタイプの悪趣味ではなく、ハイテンションギャグ系の悪趣味なんですね。
難波:ああ、言われてみればその系統もありますよね。
もぐ水:たとえば2の有名なサブクエストに「あの顔を撃つのはあなた」というものがあって。本来なら襲いかかってくるはずの「サイコ」という仮面をつけた敵が、一人で「顔だ!顔顔顔!顔を撃ってくれ!」とずっと叫び続けているんです。台詞もすごい長くて。で、言われたとおりに撃ったら「サンキュ!」と言いながら死んで終わり、っていう「なにこれ」みたいなものがあるんですよ。
そういう、シュールな面白さを体験したゲームとしては『ボーダーランズ』が自分の中では大きいのかなと思ってますね。














