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「革新的でありながら、紛れもない『SILENT HILL』」―シリーズ最新作『SILENT HILL: Townfall』開発陣が語る新たな恐怖のかたち

CRTVの誕生秘話から“正解のない”マルチエンディング、スコットランドへのこだわりまで

連載・特集 インタビュー
「革新的でありながら、紛れもない『SILENT HILL』」―シリーズ最新作『SILENT HILL: Townfall』開発陣が語る新たな恐怖のかたち
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2026年9月24日に「SILENT HILL」シリーズ最新作『SILENT HILL: Townfall』が発売されます。

本作のメディア向け先行体験会にて、株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI) 「SILENT HILL」シリーズプロデューサーの岡本基氏および、開発会社・Screen Burn所属で『SILENT HILL: Townfall』のライター兼ディレクターを務めるJon McKellan氏へのインタビューが実施されました。

本作を試遊して気になった点や、舞台である「セントアメリア」のスコットランドについて、新要素の「CRTV」や開発についてなどをお聞きしました。

先行プレイ記事はコチラ

※画面は開発中のものです。


――本作は長編では初の主観視点で進む「SILENT HILL」です。開発会社が違うのであまり関係無いかもしれませんが、同じく主観視点で進む短編作品の『SILENT HILL: The Short Message』(以下、『The Short Message』)で培われたノウハウや影響があったのでしょうか。また、主観視点の「SILENT HILL」というところで、どういった部分で「SILENT HILL」らしさを出そうと考えているのでしょうか。

岡本基(以下、岡本):開発の時期が違うので、直接的にノウハウをやり取りしたことはありません。たまたま偶然、主観視点で作ってみようとなったものが『The Short Message』と『SILENT HILL: Townfall』でした。

Jon McKellan(以下、Jon):『The Short Message』と『SILENT HILL: Townfall』の間に直接的な接点はなかったため、私たちも他のプレイヤーの皆さんと同様にリリース時に『The Short Message』を体験しましたが、それは私たちにとって素晴らしい経験でした。一人称視点という点では、当然ながらゲームプレイの仕組みが大きく変わります。私たちのゲームにおいて特に重要だった要素の一つに「CRTV」がありますが、これは一人称視点だからこそ機能するものでした。

しかし、これまで何度かお話ししてきたように「SILENT HILL」というシリーズの一貫性を保っているのは、その根底にあるテーマなのだと思います。雰囲気やトーンといった要素は、あらゆるゲームプレイの仕組みを通じて響き合っています。それによって、それぞれ異なる形で「革新的なゲーム」でありながら、同時に「紛れもない『SILENT HILL』」であるという感覚を実現できているのです

――今回試遊させていただいたところ、これまでの作品以上にクリーチャーが手強いと感じました。本作は倒して進むよりステルス重視のゲームバランスになっているのでしょうか。

Jon:用意されている選択肢はどれも重要です。敵の反応や行動パターンを、時間をかけて把握すれば、攻略をより有利に進められるでしょう。ステルス、近接攻撃、遠距離武器といった要素にはそれぞれ役割があります。どの状況で何が最適か、プレイヤー自身がいろいろと試しながら、それらを使いこなす方法を見つけていくことが大切だと思います。

――ラジオがCRTVに変わった狙いや着想を得たきっかけについて教えていただけますか。

Jon:開発の初期段階における最初の課題は、過去の作品に見られたような受動的なものではなく、もっと能動的に関われるラジオをどう作るかということでした。当初は単に周波数を合わせるだけのラジオを想定し、すぐにその実装に取り掛かりました。単なるラジオから音だけでなく映像も見える視覚的なデバイスにすることによって、ストーリー上での演出の使い方や、ゲーム性への組み込み方といった、さまざまな可能性が広がったと感じています。

さらに、Screen Burnが過去の作品で実現してきた、アナログのVHSのような懐かしい雰囲気を取り入れた演出も重要です。プロトタイプを作成した瞬間、「これだ!」という手応えを感じ、これがゲーム内のストーリー要素を表現する新たな手法として最適だと確信したのです。

――CRTVでないとこれは絶対に成立しなかったというようなシーンを一つ挙げるとしたらどのようなものが挙げられますか?

Jon:CRTVの仕組みは開発のかなり早い段階で考案されたものなので、それを使って何ができるか、あるいはそこからどのような物語が生まれるかという点は最初からこの体験の一部として組み込まれていました。ネタバレはしたくないのですが、CRTVの使い道や、ゲームの進行に伴ってそれがどう重要になっていくかという点には、さらに奥深い要素があります。ただ、そうですね……「もしCRTVがなかったら」という状況は、私たちには想像しにくいですね。プレイヤーを新しいメカニクスや新しいタイプのストーリーテリングの世界へと誘うには、これがまさに最適な方法だと感じています。

――本作は赤と黒が印象的に使われていますが、これらの色を選んだ理由は何ですか?

Jon:この2つが一番良い色だからという理由もありますが、ネタバレにならない範囲で言えば「赤」という色や異世界の描かれ方にはある重要な意味があります。ゲームを最後までプレイすればその意味がより深く理解できるはずです。サイモンが体験するあらゆることは何らかの形で意味を持っており、ゲームを終える頃にはすべてがつながって納得できるものになっていると思います。

――Screen Burnは『Stories Untold』の頃から古いガジェットにこだわっている印象があります。それは何故なのでしょうか。「SILENT HILL」とは、どういった相乗効果が生まれると考えていますか。

Jon:そうした要素は長年にわたりスタジオのDNAの一部になっており、チーム一同にとってもそうしたガジェットを扱うことや、それらがプレイヤーに与える感覚を大切にしています。先ほど「ノスタルジーを武器にする」という話をしましたが、子供時代や過去の記憶にある馴染み深いものを使って心地よさを感じさせつつ、それを逆手に取って恐ろしい存在へと変貌させる手法は、プレイヤーの期待を裏切り興味深い形で恐怖を与える素晴らしい手段です。

ただ、「セントアメリア」の物語という文脈においては、時代設定も非常に重要です。コンピューターやテレビといった機器が持つアナログな質感には、どこか不完全で信頼できず、脆く壊れやすいといった印象があります。つまり、テクノロジーがこの旅で自分を救ってくれるとは感じられないのです。情報は得られるものの、それ自体が救いにはならない、というわけです。

――なぜ本作の舞台はスコットランドになったのでしょうか。

Jon:やはり私たち自身がスコットランド出身であることが大きいです。そのおかげで、こうした町に本物らしさやリアリティを与える要素を深く理解できていたのだと思います。ライターとして、そしてチームとして目指したのは、プレイヤーが愛着を抱き、そこに住む人々に共感できるような、説得力があり、かつ細部まで作り込まれた町を築き上げることでした。

それに、やはり自分のよく知っていることを書くのが一番ですし、それが最も適切な選択だと感じました。もしスコットランドの開発者である私たちがニューヨークを舞台にしたゲームを作ったとしたら、どこか本物らしくないものになっていたでしょう。私たちにはニューヨークでの生活経験がありませんから。一方で、セントアメリアのような町であれば、自分たちの記憶や、こうした町で育ったそれぞれの過去の経験を活かすことができます。そうして、真にユニークで、かつゲームの世界ではこれまであまり描かれてこなかったような場所を作り上げることができたのです。

――馴染みのあるスコットランドが、「SILENT HILL」という凄惨なことが起こるゲームの舞台になることに対して、物語を書く上で何か思ったことはありましたか?

Jon:そうですね……スコットランドは元々、霧やモンスターがつきものの場所と言えますから、舞台として選ぶのは非常に理にかなっていると思います。スコットランドでは頻繁に霧が発生するのですが、そんな時によく「まるで『SILENT HILL』の世界に住んでいるみたいだね」なんて冗談を言い合うことがあるんですよ。ですから、まさにうってつけの場所だと感じます。

真面目な話をすると、あの土地の町並みには独特の閉塞感があるんです。夏の晴れた日には趣があって可愛らしい雰囲気ですが、霧が立ち込め、湿気が多く、そこにモンスターがうろついているとなると非常に息苦しく恐ろしい場所に一変します。そういった意味で、「SILENT HILL」という体験を作り出すのに適した環境だと言えるでしょう。

――今回はいわゆる「UFOエンディング」はあるのでしょうか、またマルチエンディングに対するスタンスをお聞かせください。

Jon『SILENT HILL』のファンなら期待されるであろう「隠しエンディング」は、本作にもちゃんと用意されています。具体的な内容については伏せますが、プレイすればきっと分かるはずです。

メインストーリーのエンディングに関しては、プレイヤーがサイモンとしてどのようにプレイし、どのような体験をしたかによって決まります。ゲームの結末を左右する要素は多岐にわたります。攻撃的なプレイスタイルだったか、あるいは探索を重視したかなど、あらゆる行動がその後の展開を変えていくため、単なる「AかBか」という二択の選択ではありません。プレイヤー1人ひとりの体験に寄り添った、より個人的な結末になるようにしています

ですから、目指すべき「正解のエンディング」というものは存在しません。サイモンとして「こうあるべきだ」と感じるままにプレイし、その結果としてどのような結末にたどり着くかを見届けていただければと思います。

岡本:メインのエンディングに関しては、1周目からどのエンディングでも到達可能になっています。隠しエンディングはニューゲーム+で到達するようになっているので、どちらかというと従来の『SILENT HILL』や『SILENT HILL 2』に近い構造です。『SILENT HILL f』のようにメインのエンディングを4つ全て見るためには2周も3周もしないといけない、というゲームではありません。

――Screen Burnはこれまで中小規模のゲームを出してきましたが、その知見やノウハウが「SILENT HILL」という世界的な人気のあるIPにもたらした視点や影響があれば教えてください。

Jon:ええ、間違いなくあります。『SILENT HILL: Townfall』は、スタジオとして過去11年間に積み重ねてきた仕事の集大成のような作品だと感じています。プロジェクトを重ねるごとにチームの規模や能力が向上し、それによって私たちが本当に実現したかったことを形にできるようになりました。これまでのタイトルから学んだ最大の教訓は、物語の語り方についてです

具体的には、ストーリー展開とパズルをうまく融合させ、ゲームのあらゆる要素が物語に寄与するようにすること、そしてプレイヤーが常に物語に没入できるようにすることです。単にゲームを進行させるためだけの要素は一つもなく、すべての要素が何らかの形で意味を持っていました。そうした体験のあり方こそが、『Stories Untold』から『SILENT HILL: Townfall』へと受け継がれているものだと思います。

――本作の初報は2022年の10月頃でしたが、開発はいつ頃から動いていたのでしょうか。もし開発初期から大きく変わった点などがあれば教えてください。

岡本:開発時期に関しては具体的には申し上げられませんが、2022年より前とお考えください。 初期から変わったことというと、本当の初期のピッチ段階ではCRTVはありませんでした。ただ、初期のモックアップやアーリープロトタイプの段階で、Screen BurnとAnnapurna Interactive、KONAMIでゲームを評価している中で新しいアイデアが生まれてきました。

Jon:2022年の発表以来、私たちは長い時間をかけてこのプロジェクトに取り組んできました。ゲーム開発の道のりとしては珍しいことかもしれませんが、最終的に私たちが作りたかった通りのゲームを世に送り出すことができたと感じていますし、開発の歩みも非常に一貫したものだったと思います。当初から自分たちが思い描いた通りの方法で、この物語を伝えたいという強い思いがありました。開発中も常に最初の企画案に立ち返って確認を行ってきました。つまり、開発の重要な節目ごとにKONAMIに提示した当初の企画案を見直し、自分たちが実現したかったものを確実に形にできているか、当初の構想から大きく逸れていないかを確認していたのです。

――今作は非常にスコットランドらしい雰囲気があるということですが、車のナンバープレートといった分かりやすい要素以外に、現地の人なら「ここはスコットランドだな」とすぐにピンとくるようなディテールはあるのでしょうか?

Jon:そういった要素はいくつもあります。チーム内でも、特に若いメンバーからするとピンと来ないようなものがいくつかありました。例えば、ゲーム序盤で遭遇するパズルの一つに「電力メーター」が登場するのですが、当時のスコットランドでは実際にチャージ式のカードを使わないと電力供給が出来なかったんです。ですが、チームの多くのメンバーはあのような仕組みが実在するとは知りませんでした。スコットランド以外の地域の人からすれば、「本当にチャージ式の電力カードを買って差し込む必要があったの?」と驚かれますよね。

キッチンの形状やサイズ、壁紙の種類に至るまで、プレイヤーは「この家やこの町に来たことがある」という感覚を覚えるかもしれません。実際には全く新しい場所なのですが、スコットランドのプレイヤーの心に響くような、現地の生活感あふれる要素を数多く盛り込んでいます。

――本作を試遊してみて、『SILENT HILL 2』にあった自身に向き合うようなストーリーと、「SILENT HILL」の町に隠された真実に迫っていくような話があると感じました。 Jon氏が本シリーズに感じている魅力と、本作に込めた思いを聞かせてください。

Jon:そうですね、もちろん物語の重要なネタバレは避けたいと思いますが、ゲームを終える頃には、プレイヤーの皆さんがサイモンの置かれた状況に思いを馳せ、「もし自分が彼の立場だったらどうするか」を考えたり、自分自身との何らかのつながりを感じたりしてくれたらと願っています

私たちが描く物語は非常にゆっくりと展開していきますが、誰にとっても何らかの形で共感できるものになっていると思いますし、プレイヤーの皆さんにもそう感じていただければ嬉しいです。このゲームには、プレイヤー1人ひとりが自分事として捉えられるような「曖昧さ」や「主観的な余地」が十分に用意されています。ですから、物事が実際に何を意味するのかについて、プレイヤーそれぞれが独自の解釈や意見を持つことができるはずです

――ありがとうございました!


『SILENT HILL: Townfall』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5にて2026年9月24日発売予定です。

©Konami Digital Entertainment
©2026 Annapurna Games, LLC
©2026 Screen Burn Interactive Ltd. "Screen Burn" is a registered trademark of Screen Burn Interactive Ltd.

ライター:もぐ水,編集:みお

ライター/カントウ25区 もぐ水

主にアクション・シューター・ADVなどジャンル気にせずいろいろ遊びます。 サウンドがカッコいいゲームやロボットが出てくるゲーム、血みどろなゲームが特に好きです。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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