『太古の神:哪吒』は「神々の激突」をドラゴンボールばりの激しいアクションで描く3Dアクション。『黒神話:悟空』以降の中国ゲーム開発者が抱く“野心”とは【インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『太古の神:哪吒』は「神々の激突」をドラゴンボールばりの激しいアクションで描く3Dアクション。『黒神話:悟空』以降の中国ゲーム開発者が抱く“野心”とは【インタビュー】

『黒神話:悟空』が開いた扉の先で、中国創世神話を“体験する”AAAアクションRPGへ。中国のGenigods Labが開発する『Genigods: Nezha』は、女媧、盤古、后羿、哪吒といった中国の創世神話を題材にしたシングルプレイヤー向けアクションRPG。Genigods LabのCEO兼プロデューサー、Young Lau氏にインタビューした。

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中国のGenigods Labが開発する『太古の神:哪吒(Genigods: Nezha)』は、女媧、盤古、后羿、哪吒といった中国の創世神話を題材にしたシングルプレイヤー向けアクションRPGです。

プレイヤーは女媧によって土・水・火から生み出された「Spirit Pearl」となり、やがて最初の人間、そして神へと成長していきます。巨大な神の身体そのものを戦場とするボス戦、地上と空中をシームレスにつなぐ高速戦闘、そしてブルース・リーの「Be Water」に着想を得た“水”の哲学など、スケールの大きなアイデアが詰め込まれています。

今回Game*Sparkでは、Genigods LabのCEO兼プロデューサーであるYoung Lau氏にインタビュー。本作でなぜ中国の「創世神話」を描くのか、『黒神話:悟空』以降の中国ゲームをどう見ているのか、そして『ゴッド・オブ・ウォーIII』『ストリートファイター6』「ドラゴンボール」などから受けた影響について話を訊きました。

gamescom 2026では、インタビューに先立ってLau氏によるプレゼンテーションと試遊も行われました。そこで見えてきたのは、本作が単に「哪吒を主人公にした中国神話ゲーム」ではなく、中国の創世神話そのものを巨大なアクションゲームとして再構築しようとしていることです。

『太古の神:哪吒』とは? 中国創世神話を巨大アクションRPGへ

Lau氏はプレゼンの冒頭、自身が約20年間ゲーム開発に携わってきたと紹介しました。3歳でゲームに触れ、6歳で絵を描き、15歳でプログラミングを始め、18歳で「遊ぶ側から作る側へ行こう」と決めたとのこと。60歳まではゲーム開発者を続け、その後はゲーム教育に携わりたいと話し、「自分の人生はゲームのためにある」というほどの熱量を見せます。

本作でプレイヤーが演じるのは、最初から伝説の神・哪吒ではありません。生命の女神・女媧が土、水、火から生み出した「Spirit Pearl(霊珠)」として誕生し、最初の人間へ、そしてやがて哪吒へと至っていきます。公式説明では、創世神・盤古が眠りについた後の混沌とした世界を舞台に、10の太陽が大地を焼き、神々の戦争によって天空が裂け、天柱が崩壊。プレイヤーは五色石で空を修復し、自らの出自を探りながら、世界を侵食する時空の裂け目を封じることになります。

ゲームプレイの柱となるのは、地上と空中を行き来する「Dual Stances」、水の力を武器や能力へ転じる「Fluid-mystic」、そして神話上の宝具同士を組み合わせる「Relic-Fusion」です。たとえば后羿の弓と多腕の力を組み合わせ、矢を一斉に放つような能力へ変化させることも可能。単に武器を持ち替えるだけでなく、神話の逸話そのものを“戦闘能力として合成する”ような発想になっています。

巨大な神々との戦いも、本作を象徴する要素です。公式には、山のように巨大な古代神の身体をよじ登り、その身体そのものを足場に戦う場面が紹介されています。巨人・夸父の助けを借りて、人界と天界をつなぐ巨大な「Sun Tree」を登り、弓で太陽を射落とすという神話的なシチュエーションも実際のゲームプレイになります。会場でのプレゼンでは、約25時間規模のゲームを想定し、複数の結末を用意する構想も語られていました。

プレゼンで特に繰り返されていたのが「水」というキーワードです。Lau氏はブルース・リーの有名な「Be Water, My Friend(友よ、水になれ)」を引き合いに出し、形を変え、状況へ適応していく水の性質を、主人公の身体や戦闘システムへ取り込んだと説明。公式ページでも、截拳道の思想を取り入れたパリィやカウンター、アーマーを崩す一撃、群衆を制御する蹴り技などが紹介されています。

技術面ではUnreal Engine 5を採用。会場では昼夜の変化に加え、砂嵐、雹、雷などを含む動的な天候システム、大型建造物や樹木、岩などの破壊表現、MetaHumanを基盤にしたフェイシャルキャプチャやモーションマッチングなどが紹介されました。さらにビジュアル面では、敦煌石窟の彫刻表現や中国の伝統的な磁器の曲線から着想を得ているといいます。

実際の試遊では、弓と槍を切り替えながら遠距離と近距離を行き来し、回避や複数のスキルを組み合わせて巨大な敵と戦う場面を体験できました。別のデモでは巨大な樹を登って太陽を射落とす場面も披露され、地面に立ってボスの足元を攻撃するだけではない、本作が掲げる「Colossal Gods」との戦いの方向性がかなり分かりやすく示されていました。

「ドラゴンボール」ばりの急接近から空中コンボ! 爽快感重視の手触り

実際に触ってみると、見た目から受ける印象以上にスピード感が強い作品でした。いわゆるスタイリッシュアクションのように連撃をつないでいくゲームかと思いきや、敵との距離を一瞬で詰めるような動きも可能で、その感覚はまさに『ドラゴンボール』の高速戦闘を思わせます。離れた位置から一気に懐へ飛び込み、そのまま攻撃へつなげられるため、戦闘のテンポが途切れません。

なかでも気持ちよかったのが、敵を空中へ打ち上げてからそのまま連撃を叩き込む場面です。地上で仕掛け、空へ持ち上げ、逃がさずボコボコにする一連の流れが非常に爽快。地上戦と空中戦を別々のものとして扱うのではなく、そのままひとつのコンボとしてつながっていくため、本作が掲げる「地上と空中のシームレスな戦闘」は、実際に操作してみてもかなり分かりやすく伝わってきました。

また、見た目や巨大ボスとの戦いから近年の高難度アクションRPGを連想するかもしれませんが、少なくとも今回触れた範囲では、いわゆる“ソウルライク”的な慎重さや緊張感を前面に出した作品というより、まずは自分から攻め込み、派手なアクションを決める爽快感を重視している印象です。その一方で、回避のタイミングを見極めたり、敵の攻撃に対応したりする必要はしっかりあり、ただボタンを連打するだけではない歯ごたえも感じられました。爽快さを優先しつつ、アクションゲームとしての手応えもきちんと残している――今回の試遊では、そんなバランスが印象に残りました。

こうしたプレゼンと試遊を踏まえ、ここからはLau氏に、本作が描こうとしている中国神話、アクションゲームとしての狙い、そして日本のプレイヤーへの思いを詳しく訊いていきます。

中国創世神話を『ゴッド・オブ・ウォーIII』のように“体験する”

――まず、『太古の神:哪吒』では哪吒だけでなく、中国の“創世神話”そのものを大きな題材にしています。なぜ数ある中国神話の中でも、世界の始まりを描く物語をゲーム化しようと考えたのでしょうか?

Young Lau氏:これは、私たちが構想している「中国神話ユニバース」の一部です。私は20年ほど前にも、中国の創世神話を扱った『Pangu』というゲームを作りました。それから20年ほど、このような題材をゲームにする人はほとんどいませんでした。私は子供のころから、こうした物語をたくさん聞いて育ったんです。盤古が世界を作り、その後に女媧が生命を生み出す。そうした物語を、もしプレイヤー自身が『ゴッド・オブ・ウォーIII』のように体験できたら、とてもエキサイティングだと思いました。

それに、ここ数年では私の友人でもある『Black Myth: Wukong』のプロデューサー、Feng Ji氏が『Black Myth: Wukong』を作りました。それを見て、私も自分が夢見てきたゲームを作ろうという大きな刺激を受けました。

本作には、羿が太陽を射落とす神話や、黄帝、炎帝など、中国では非常に有名な神々も登場します。大規模なボスは8~10体ほどを予定していて、それぞれ中国ではよく知られている存在です。そしてこれは1作品だけではなく、3部作として構想しています。本作がその最初の作品で、その後に第2作、第3作と続けていく予定です。

――中国では女媧、夸父、后羿、哪吒などは非常によく知られていますが、日本や欧米では必ずしもそうではありません。海外プレイヤーが原典を知らなくても楽しめる物語にするため、どのような工夫をしていますか?

Young Lau氏:もちろん、その点は考えています。たとえばゲームには巨大な樹木が登場します。樹木であれば、神話について知らなくても誰にでも理解できますよね。それぞれの神にも、ひと目で特徴がわかるようなビジュアルを与えています。たとえば巨大な翼を持つ神がいたり、9匹の龍がそれぞれ太陽をつかんでいたりする。そしてプレイヤーは弓を使って太陽を撃ち落とす。

その神話そのものを知らなくても、「弓で9つの太陽を撃ち落とす」というシチュエーションを見れば、「これはすごい」と理解できると思うんです。私たちはこうした表現を「Wonders」「Colossal Beings」と呼んでいます。巨大な存在や壮大な光景を、一種の“ビジュアル・ランゲージ”として使っています。

地上と空中をシームレスにつなぐ「神々の激突」

――今回のトレーラーでは、地上と天空を自在に行き来する非常に大規模な戦闘が印象的でした。“中国神話の神々の戦い”を、一般的なファンタジーのボス戦とは違うものにするため、最も意識していることは何ですか?

Young Lau氏:私たちは『Street Fighter』からもアイデアを得ています。格闘ゲームでは、地上で戦って、ガードして、ジャンプして、空中にいる相手を攻撃したりしますよね。本作でも地上で戦うだけではなく、そのままジャンプして空中で戦えますし、神となって雷のような力を使うこともできます。格闘ゲームのような感覚を持ちながら、地上戦と空中戦の両方を滑らかにつなげられることが、本作ならではの特徴だと思っています。まさに「神々の激突」のような戦いです。

――近年は高難度アクションRPGが非常に増えています。本作も“hardcore action RPG”とされていますが、単に難しいゲームではなく、『Genigods』ならではの高難度アクションとは何でしょうか?

Young Lau氏:実際には、難易度そのものはもう少し遊びやすいものにしたいと思っています。ARPGとして、それほど難しすぎるものにはしません。ただ、戦闘前に自分でコンボチェーンを設定できる仕組みがあります。プレイヤーの反射神経だけではなく、自分がどう戦いたいかを事前に考えて構築できるんです。

そして実際の戦闘では、『Devil May Cry』のような華麗なコンボを出せるようにゲーム側がサポートします。イメージとしては『ストリートファイター6』のモダン操作にも少し近いです。初心者でも格好良く戦えるようにする。それがポイントですね。

『黒神話:悟空』が開いた「中国神話AAA」への扉

――特に『黒神話:悟空』以降、中国神話を題材にしたAAA級アクションへの世界的な注目は非常に高まっています。その変化を開発チームとしてどう感じていますか?

Young Lau氏:この10年間、私たちは『Blade of God』シリーズを3作品作ってきました。そこでは北欧神話やクトゥルフ神話を扱っています。なぜ中国神話ではなかったのかというと、当時は中国神話を題材にしても、海外の人々にはあまり関心を持ってもらえないと考えていたからです。

しかし、『Black Myth: Wukong』が登場したことで状況が変わりました。今なら、中国神話を題材にしたゲームを作れる。『Black Myth: Wukong』とはまた違い、私たちは哪吒になる以前を描く、新しい物語を作っています。

技術で描く“水”と巨大な神々

――ゲームはUnreal Engine 5を大幅にカスタマイズし、流体表現、動的天候、ML Deformerなどを使っているとのことです。技術面で特に“中国神話だからこそ必要だった”ものはありますか?

Young Lau氏:はい、とても重要だと思っています。作品を特別なものにするためには、独自の技術が必要です。私自身、グラフィックスを専門にしてきた人間なので、本作でも技術面を非常に重視しています。大きく2つあります。

ひとつは、アニメーション映画の制作チームと協力して、映画で使われているような水や流体のシミュレーションを、リアルタイムレンダリングへ落とし込むことです。オフラインで計算していたものをリアルタイムで動かすには、処理を非常に高速化する必要があります。

もうひとつは、中国で『God of War』のアウトソーシングに携わったチームと協力し、戦闘のリアクションをより魅力的にすることです。たとえば、敵を攻撃したときに、単に攻撃を受けた部分だけが動くのではなく、衝撃に合わせて全身が反応するようにしています。本作では高速で広い範囲を移動しながら戦い、敵を壁に叩きつけるような場面もあるので、こうした技術は非常に重要です。

――2028年発売予定ということで、まだかなり開発期間があります。今後2年で最も大きく磨き込みたい部分はどこでしょうか?

Young Lau氏:私と同じように、『God of War』1、2、3のようなクラシックなアクションが好きな人は多いと思います。プレイヤー自身が非常に強くて、20体ほどの敵を同時に相手にする。巨大なモンスターに乗って、ほかの敵と戦う。そして神々との戦いを、美しい映画のようなカットシーンで見せる。

私たちは、そうした部分をもっと磨いていきたいと思っています。キャラクターや水の表現、衣装などを美しくするだけではなく、戦闘そのものの興奮や、カットシーンと一体化したアクションもさらに洗練させたいです。

日本市場への期待、そしてゲームを通じた交流

――現時点では日本語対応が発表されていません。日本語ローカライズについて期待してもよいでしょうか?

Young Lau氏:現時点では、日本向けの対応について正式には発表していません。ただ、もちろん日本市場は私たちにとって重要です。PlayStationとも協力していますし、私自身も『FINAL FANTASY』をはじめ、たくさんの日本のゲームが好きです。日本のプレイヤーにも私たちのゲームを好きになってもらいたいと思っています。

また、現在は中国と日本の政府間の関係があまり近い状態ではありませんが、ゲームを通じて両国のプレイヤーが楽しく遊び、良い関係を築くことができればと思っています。それが私の願いです。

――最後に、日本のプレイヤーに『太古の神:哪吒』をどんな作品として体験してほしいですか?

Young Lau氏:私もそうですが、『ドラゴンボール』が好きな人はたくさんいると思います。『ドラゴンボール』では地上でも空中でも戦いますよね。ただ、ゲームでは地上戦と空中戦が別々になっていて、それらを本当に滑らかにつなげる仕組みは、まだあまりうまく実現されていないと思っています。ですから私たちは、地上戦と空中戦をひとつの戦闘システムとして融合することを目指しています。

それから、Nezhaのような魅力的な女性キャラクターも楽しんでほしいですね。もうひとつは、「水」の哲学です。たとえば『Dark Souls』では、「火」が世界や力の源として重要なものになっていますよね。私たちのゲームでは、力の源となるのは「水」です。そうした水の哲学や、それをゲームプレイへ落とし込んだ部分も、プレイヤーに体験してもらいたいと思っています。

『Genigods: Nezha』は、PS5/XBOX Series X|S/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売予定です。

ライター:みお


ライター/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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