【GDC 2014】PS4基本無料タイトルの成績は? メーカー担当者が一堂に会して振り返り | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

【GDC 2014】PS4基本無料タイトルの成績は? メーカー担当者が一堂に会して振り返り

気になる営業成績はどうだったのか? GDCで3月20日(現地時間)、SCEAがパネル「F2P on PlayStation -CAN IT WORK?」(プレステでF2P-機能したの?)で、その一端をあきらかにしました。

家庭用ゲーム PS4
PS4が過去のゲーム機と大きく異なる点の一つに、ローンチ時からF2P(基本プレイ無料)タイトルが3タイトルも登場していたことがあります。気になる営業成績はどうだったのか? GDCで3月20日(現地時間)、SCEAがパネル「F2P on PlayStation -CAN IT WORK?」(プレステでF2P-機能したの?)で、その一端をあきらかにしました。

パネリストはアクションMOゲーム『WarFrame』を手がけるデジタルエクストリームCEOのジェームズ・シュマルツ氏。オンラインFPS『Blacklight: Retribution』を手がけるゾンビスタジオのスタジオディレクター、ジャレド・ジェリツィン氏。そしてアメコミヒーローが大活躍するMMORPG『DC Universe Online (DCUO)』のパブリッシャーである、ソニー・オンラインエンタテインメントSVPグローバルマーケティング&セールスのローラ・ナビアクス女史と、ローンチタイトルが勢揃い。モデレータはSCEAのサラ・トマソン女史が務めました。

本セッションは個人的にも興味がありました。というのも、これらのタイトルはすでにPCなどで実績のあるタイトルだったからです。『DCUO』はPCとPS3向けで、すでに2年近く運営が経過している定番タイトル。『Blacklight: Retribution』も2012年4月にPCで運営が始まり、登録者が200万人を突破しています。『WarFrame』もPCでオープンβが始まっています。

つまり、ある意味で目新しさは乏しく、ローンチタイトル不足をこれらのF2Pタイトルで補ったという見方もできます。またコアユーザーの中には(特に北米では)F2Pゲームにネガティブな見方もあります。逆に成功すれば、今後PS4でもF2Pゲームの増加や、PCとのマルチプラットフォーム化が見込まれるでしょう。

はじめにトマソン女史が現状を簡単に説明しました。PS3は全世界で80万台、PS4は6万台を販売しており、F2PタイトルはPS3が12タイトル近く、PS4も上記3タイトルがリリースされています。

■おしなべてPCより成績の良かったPS4のF2Pタイトル

結論から言うと、このF2Pタイトル群はみな成功しました。トマソン女史はその理由を「PS4はゲーマーのためのハードだから」「ローンチ時はタイトルが少なく認知度が高かった」「他のプラットフォームより安かった」「コンソールの初期F2Pだった」「課金になれているPS3のユーザーが、PS4にそのまま流れ込んだ」という5つの理由を挙げました。

一方でさまざまな革新も求められたと言います。無限に続くかのようなQAテスト、半永久的に続くパッチやアップデート、販売の計測と分析、F2Pに即したマーケティングなどです。これらはソーシャルゲームなどでは当たり前のことですが、パッケージビジネスになれたコンソールの開発者には、やはり大変だったようです。特にPS3でF2Pが出始めた頃は、まだまだ(アメリカでは)F2Pが盛んではなく、運営も手探り状態でした。

ただし、営業的にはそれだけの効果がありました。まずPS3では、PS3版とPC版で同じタイトルが出ている場合(『DCUO』など)、おしなべてPS3の方がARPPUが高くなりました。F2PユーザーではPS3をプレイする時間が他のコンソールを上回る結果となり、長時間プレイするユーザーほど課金額も高いという結果が出ました。

しかもPS4ではPS3版より、さらにARRPUが上昇するという驚きの結果に。オンライン接続率が90%、アイテムをダウンロードした経験のあるユーザーが80%を記録するという、これまでのコンソールにない数値をたたき出しました。この結果、F2Pでの売上が昨年対比で50%上昇し、課金率も3%から15%を記録。F2Pユーザーの平均プレイ時間も1.5時間程度となっています。

タイトル別に見ると『Blacklight: Retribution』では85%のユーザーが自分のキャラクターをカスタマイズし、PC版よりPS4版の方が1.5倍も多いユーザーを獲得。課金率も順調に上がっており、ユーザーにF2Pが受け入れられたと言います。

また『WarFrame』ではPS4ユーザーはPCユーザーより2倍近く課金額が高いことが判明。課金率もPS4の方が2倍以上高い結果となりました。『DCUO』ではPS3とPS4で800万人近いユーザーが登録しており、トータルの課金額でもPS4版はPC版より70%増。デイリーアクティブユーザーあたりの課金額もPS4はPS3の2倍と、おしなべてPS4>PS3>PCという傾向がみられました。

■積極派? 慎重派? 手探りの続くメーカーの対応

現状に対してシュマルツ氏は「コンソールでのゲームを開発は初めてだったが、『WarFrame』のプレイヤー層とPS4の購買層がよくマッチしており、ローンチタイトルとして最適だった」とコメントしました。

ジェリツィン氏は「中国やロシアなどではユーザーがF2Pになれているが、欧米ではここ2年くらいで市場や開発者がF2Pになじんできた。プラットフォームがフレキシブルで、ユーザーからのフィードバックも早い。どんどん改善して、ユーザーエクスペリエンスを高めたい」と言います。

ナビアクス女史は「弊社では長くMMORPGを運営してきたが、2011年からポートフォリオを組み替え、F2Pタイトルを前面に押し出した。これはゲームの民主化という流れにも沿っている」と回答しました。

またF2Pゲームの将来について、シュマルツ氏は「FP2ゲームの市場はさらに拡大し、タイトルも大型になっていくだろう」とコメント。特に新興国市場に適しており、さらなるクオリティ向上が求められていくとして、自分たちもより優れたゲームを作っていく姿勢を示しました。

一方でジェリツィンシ氏は「ほとんどのユーザーは課金しない」と、現在のビジネスモデルが一握りのユーザーによって支えられている点を強調。「FP2ゲームは一つの選択肢にすぎない」として、若干慎重な姿勢を示しました。またナビアクス女史は「F2Pゲームはプレイヤーのライフサイクルにも関係している」として、よりユーザー分析を進めていく姿勢を示しました。

長くコンソールではパッケージの売り切りビジネスが主流でしたが、PS4ではパッケージ販売、ダウンロード販売、DLC、F2Pなど、さまざまなビジネスモデルが入り乱れています。はたしてスマホアプリのようにコンソールでもF2Pが主流になるのか。まだまだ現状は混沌としていますが、少なくとも新たな胎動が感じられた本セッションでした。

【GDC 2014】PS4のローンチF2Pの成績は? メーカー担当者が一堂に会して振り返りを披露

《小野憲史》
【注目の記事】[PR]
求人情報を読み込み中...
コメント欄を非表示
    ※一度コメントを投稿した後は約120秒間投稿することができません
    ※コメントを投稿する際は「利用規約」を必ずご確認ください

      編集部おすすめの記事

      特集

      家庭用ゲーム アクセスランキング

      1. 「PS Plus」2025年8月のフリープレイは『Lies of P』『僕のヒーローアカデミア One's Justice2』『DEATH NOTE Killer Within』

        「PS Plus」2025年8月のフリープレイは『Lies of P』『僕のヒーローアカデミア One's Justice2』『DEATH NOTE Killer Within』

      2. 「スイッチ2」難民はローソンへ!情報端末Loppiにて「スイッチ2」7月30日発売分が予約受付中

        「スイッチ2」難民はローソンへ!情報端末Loppiにて「スイッチ2」7月30日発売分が予約受付中

      3. 「スイッチ2」任天堂公式抽選第5回は7月30日午後以降にお知らせ!お届けは9月以降

        「スイッチ2」任天堂公式抽選第5回は7月30日午後以降にお知らせ!お届けは9月以降

      4. Xbox Game Studiosにて開発中の未発表タイトル2本が発覚!クロスプラットフォーム対応で2026年発売予定

      5. SFCマウス操作の名作、スイッチ2での復活に期待が集まる!『マリオペイント』だけじゃない…ゲーフリ開発の名作ACTパズル『マリオとワリオ』

      6. 『マリオペイント』スイッチで配信、ゲーマーの“思い出”爆発!当時のCMが「聖者の行進」オマージュって気付いてた?

      7. スイッチ2『WILD HEARTS S』4人でのマルチプレイを紹介する映像―「ジゴクザル」を相手に「からくり」の重要性を中心とした内容

      8. 『ポケモンレジェンズZ-A』スイッチ2同梱バージョンが10月16日に発売!価格は53,980円(税込)

      9. ソニーの初開発アケコン「FlexStrike ワイヤレスファイトスティック」が正式発表!EVO 2025で一般向け展示予定

      10. 名作お絵かきゲーム『マリオペイント』が「スーファミ Nintendo Switch Online」に追加!新機能「マウス操作」も同時実装

      アクセスランキングをもっと見る

      page top