吉田修平ビットサミット基調講演―「VRで日本でしか作れないコンテンツで勝負」 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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吉田修平ビットサミット基調講演―「VRで日本でしか作れないコンテンツで勝負」

みやこめっせにて開催中のBitSummit。本イベントにSCEWWSプレジデント吉田修平氏が初参加し、基調講演を実施しました。無類のインディーゲーム好きと自負する同氏の熱い思い、SCEのインディーでの活動など、興味深い話を披露しました。

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「みなさん、こんにちは。吉Pです(笑)」MCの「吉P」というおちゃめな紹介に応じる形で登場したSCEWWSプレジデント吉田修平氏。無類のインディーゲーム好きという吉田氏は、今回がBitSummit初参加。「何か喋ってください」と言われ、いつの間にか基調講演をすることになっていたそうです。

そんな吉田修平氏の基調講演ですが、これまでのプレイステーションとインディーゲームの関わり、自身のインディーゲームに対する活動と思い、そしてSCE取り組んできた事例など、興味深い話を披露しました。


まず吉田氏はPlayStationがインディーシーンでどのように活動してきたかを紹介しました。元々SCEはゲーム業界へは新規参入組。SEGAや任天堂といった先駆者がいた中で、新しく参入する同社はゲーム業界に新しい風をおこしたいと考えていたとのこと。初代PSの『パラッパラッパー』、『アクアノートの休日』、『キングスフィールド』など新しいタイプのゲーム、新しいクリエイターを呼び込んで、ゲームをそれまでのおもちゃ的なものから、だれでも楽しめるエンターテイメントにしていこうという気概があったと語りました。

そうした気概は現在も続いており、数年前には「ゲームやろうぜ」や「PlayStation C.A.M.P」などのクリエイター発掘プロジェクトも実施。『どこでもいっしょ』や最近だと『東京ジャングル』、海外で言えば吉田氏も担当した『時ノ旅ビト(Journey)』など、作り手が思いを込めて作る、新しいコンセプトのゲームを送り出せたと思うとこれまでを振り返っています。また、そうした経緯からPlayStationとしても、会社としても、インディーや新しいクリエイターへのサポートは自然な文化であるとのことです。


吉田氏の中での最近の流行はGDCやE3などのイベントで、空いた時間に、インディー開発者のストリーミング配信に飛び入り参加すること。今年3月に開催されたGDCでは『Volume』を開発しているMike Bithell氏に「俺、行くから!」と言って配信に参加。Mike Bithell氏が「僕のアシスタントを連れてきたんだよね。紹介するぜ!」と言って、吉田氏が登場するサプライズが行われたエピソードを紹介しました。


吉田氏も飛び入り参加したハバネロを食べてインタビューする企画Hot Pepper Gaming
ハバネロを食べると気分がハイになるという

同様にE3でも吉田氏が「BitSummitに出展されている中でトップ3に入る面白さ」と語る17bitの『Galak-Z』の配信にも飛び入り参加。世界的に知名度の高い吉田氏が、こうした活動をすることでそのゲームが注目され、個人的にプロモーションに貢献することが目的なのだそうです。


インディーを応援する活動はこれだけに留まらず、イベントなどで気に入ったインディーゲームを見つけたら開発者と写真を撮って自身のTwitterに投稿したり、吉田氏が出演するSCEの配信でインディーゲーム紹介コーナーを開設したりと、様々な形でプロモーションに貢献。そうしたインディーシーンに対する強い思いを語っていました。


インディーシーンにおけるSCEの活動としては、日米欧にDeveloper Relationsという部署があり、特にインディーゲーム担当として今までに100以上のイベントに参加しており、足を使って良いゲームの発掘を行っているとのこと。「PS Love Indies」を合言葉に、顔を見て対話することでデベロッパーとの信頼関係を深め、結果としてPSプラットフォームでのリリースに繋がっているそうです。


一方日本では、海外ゲームをローカライズする必要があるため、スパイク・チュンソフトやPlayismといった海外の面白いゲームを日本に持ってくるパブリッシャーパートナーを積極的に増やしており、上述したライブ配信でのインディーゲーム紹介などの総合的な活動で、日本においても沢山のゲームを発売していける状況が出来上がってきたと報告しました。


また、同氏はProject Morpheusの開発についても紹介。技術的なサポートを担当している秋山賢成氏が登壇し、開発は順調でデベロッパー向けの開発機も潤沢に準備が出来ていると報告。Project Morpheusを使ってゲームを開発したいデベロッパーには全力でサポートする姿勢を明らかにしています。


続けて吉田氏は日本でインディーゲームを盛り上げるための3つの戦略を披露。1つ目は「海外の良質なゲームをどんどん日本に持ってきて毎週のようにリリースすること」で、日本ではまだ主流ではないデジタルでのゲーム購入を習慣化することが狙いとのこと。

2つ目は「日本の著名なクリエイターを海外へと送り込む」ことで、『Mighty No.9』の稲船さんや『Bloodstained』の五十嵐さん、『シェンムー3』の鈴木さんのKickstarterでの成功は記憶に新しく、海外でも日本のゲームが受け入れられることの証明になっていると説明。このことから日本のクリエイターはもっと海外に挑戦してほしいと語りました。

3つ目は「VRで日本でしか作れないコンテンツで勝負する」こと。日本ではバーチャルアイドルやキャラクターを楽しむ文化がある一方で、海外ではそういう作品が少ないため、日本のクリエイターしか作れないコンテンツで、自信を持って世界に攻めていく姿勢が重要だと語っています。


最後にインディーの良さは「クリエイティブでフリーダム」と語った吉田氏。「大変だけどやりがいもある」と述べ、インディークリエイターにエールを送って基調講演は終了しました。
《水京》
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  • スパくんのお友達 2015-07-13 8:17:53
    日本しか作れない物...

    日本で産まれ日本で育ち日本で働き日本で結婚し日本で子育てし日本で仕事を引退し日本で土に還るみたいなゲームとか?

    外人が作ったら勘違い丸出しになるけど日本人が真面目に作ったら日本人にしか作れない物になりそうな感じがする。
    0 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 18:52:50
    アイドルやキャラ系は本気で前に進めようとするとかなりの開発力が要る。
    人間や擬人化されたものを題材にするんだから、半端なレベルで作れば違和感の根源になるかも。
    土台にできる高度なソフトや開発支援が出てくるまではインディにはむしろ不向きかもしれない。

    VRは完全に新分野と割り切ってアイデア出しや研究や模索を続けるしかないよ。
    まずは地道にステップアップして欲しい。最終的にやりたい事を実現させるにはそれなりの技術・開発リソースが必要な可能性が高いから、そのあたりが悩みどころだろうね。
    5 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 14:02:03
    日本のVRは、動画で済ませられるようなデモばっかりで
    まともな「ゲーム」を作ってるところが無さすぎる。
    同人サークル1つだけぐらいしか知らない。
    1 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 12:44:12
    アイディアもなにも、アクアノートやぼくなつみたいなものをVRとして作ればいいだけでしょう。
    昔はそこそこ売れたけど、今更出しても売れにくいこういうタイプのゲームはVRでこそ復権できる可能性がある
     
    つーか、日本独自つってもサマーレッスンみたいなのは女のグラを変えれば海外でも十分作れるからな
    本当に日本にしか作れないなんてものは殆どない
    8 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 12:35:13
    基調講演なんて素晴らしい舞台ですよ
    #iwatterやりましょうよ
    0 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 10:11:31
    サマーレッスンしか思いつかないっていうか
    映像としてモーフィアス未体験の人でも見られるデモがまだそれくらいしか無いからじゃないか?

    カプコンのキッチンとか怖くて面白いらしいけど
    映像がないからな。
    18 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 10:07:56
    VRは未知の分野だしソニーみたいな大手が頑張るのはいいことだと思う。

    けど俺も>>32みたいに現状サマーレッスンくらいしか
    VR対応の日本メーカーのゲームが思いつかないな。
    8 Good
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  • スパくんのお友達 2015-07-12 5:14:28
    今は、ある程度の成功を約束されたものを出しているだけなので、
    この人なりに良い!と思った実績ゼロのものも発掘して欲しい。

    そういった部分もあると新規開発者へのアピールとなると思う。
    4 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 4:42:22
    プレイズムって同人ばっかりじゃん
    評判の良いインディーゲーはことごとくシカトして、
    プレイズムの中の人の嗜好範囲内でしか日本語化されないし
    ほとんどアテにならん
    11 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-07-12 4:15:32
    まーでも現状、日本でVRでこういう事ををしますって明確に示しているのが、サマーレッスンとかのいわゆる萌みたいのしかないからなぁ。
    VR=サマーレッスンは間違えじゃない
    9 Good
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