先日、国内での発売が開始されたTPCastのHTC Vive無線化キット「TPCAST Wireless Adapter for VIVE」が筆者の手元に届いたので、本機の使用感をお伝えします。
「TPCAST Wireless Adapter for VIVE」は専用の送信機や受信機を用いることで、長いケーブルを介さずにVRゲームの映像をViveヘッドセットに送ることのできる機器です。デフォルトのViveの頭の後ろに垂れ下がるケーブルは没入感を阻害する要素の1つであったため、無線化キットはVRファンにとって非常に待ち望んでいた機器でもあります。早速ウキウキ気分で箱を開けてセットアップを始めた筆者ですが、そこから実際に使用可能になるまで数時間を要するとは思いもしませんでした…。
まず、付属ユーザーガイドの1つ目の項目で紹介されている、コネクションアシスタントのダウンロード先は繋がりません。そのためTPCast公式サイトのSupportページから「TPCAST VIVE v1.1.4 Setup.exe」(記事執筆時点での最新バージョン)をダウンロードする必要があります。また、各機器をセットアップした後もSteamVRが無線化したViveをなかなか認識してくれないなど、かなり足止めを食らってしまいました。結局PCの再起動やらケーブルの再接続などを繰り返していたら何とか認識。明確な原因と対処法は分からずじまいです。
ここからようやく本題の使用レポです。無線化されたViveは頭頂部にレシーバーが位置し、そしてそこから筆箱くらいのサイズのバッテリーへとケーブルが繋がっています。バッテリーは付属のベルトで腰にぶら下げる形になります。背中にケーブルが垂れる点は有線の時と変わらないものの、移動の際に引っ張られる感覚がないので快適さはグッと上がります。
いよいよ無線化されたViveでいくつかゲームをプレイ。期待と不安入り混じる中、筆者の感想は「これだよ、これ!」でした。自分の中で思い描いていたVRの感覚にかなり近づいています。振り返ったり後ろを向く動作の多いゲームが恩恵を受けやすく、今まではシャンプーのCMで髪をかきあげるかのようにケーブルを捌いて体を回転していましたが、無線化後は007映画のガンバレル・シークエンスばりに素早く回転することができます。
懸念していた遅延は一切感じず、有線の時と変わらぬゲーム体験が可能。むしろ自由に動けることで以前よりもレスポンスが良くなったような気がするほどです(あくまで筆者の体感)。1つ注意点としては知らない間にプレイエリア外に出ていて、机などに手をぶつけることがあるので気をつけましょう…。有線の時は無意識にケーブルの引っ張り具合で距離を把握していたようです。
筆者としては大満足の「TPCAST Wireless Adapter for VIVE」ですが、“興味がある”程度の方には購入をオススメできません。お値段もそこそこ(約3万8千円)しますし、セットアップも大変。なにより、既にアップグレード版の「TPCAST Plus」が発表されているため、そちらの発売を待った方が得策でしょう。どうしても待ちきれないというコアなVRファンは是非「TPCAST Wireless Adapter for VIVE」で無線化の快感をお楽しみ下さい。
それにしても、Viveの基本セットが約10万円(筆者の購入当時)、Viveデラックスオーディオストラップが約1万2千円、今回ご紹介したTPCAST Wireless Adapter for VIVEが約3万8千円、その他バッテリーの急速充電器や機器を固定するための雲台など、快適なVRプレイのために揃えた小物を合わせると…。
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