【ゲームで英語漬け:Game*Spark的学習術】第15回『Detroit: Become Human』アンドロイドは「他人の靴を履く」夢を見るか―Black Lives Matterに寄せて 【UPDATE】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【ゲームで英語漬け:Game*Spark的学習術】第15回『Detroit: Become Human』アンドロイドは「他人の靴を履く」夢を見るか―Black Lives Matterに寄せて 【UPDATE】

第15回は『Detroit: Become Human』を取り上げます。

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今回はSF的視点から歴史の闇を描いた『Detroit: Become Human』を取り上げます。ミシガン州デトロイトは映画「ロボコップ」、そしてデトロイト暴動に代表される、黒人の人権に関わる出来事の舞台となった場所。差別、奴隷、虐殺、革命――わたしたちが目を背けてしまう出来事を、プレイヤーはアンドロイドの立場から真正面に受け止めなければなりません。

練習問題の解答


【強制避難勧告】
アムヘルストカウンティ及び郊外エリアの住人は2013年10月17日 午後8時までに避難してください。
指定の機関の指示に従ってください。
・全ての避難者にはIDの掲示が求められます。また、現場での医療検査の対象となることがあります。
・指示に従わない避難者は拘束されます。

今回コメント欄にお寄せいただいたものが素晴らしく、こちらを模範解答とします。ありがとうございました。アメリカではハリケーン、竜巻、山火事など、大規模な自然災害が頻繁に発生します。避難場所、シェルターはあらかじめ指定されているので、危ないと思ったら早めに確認しておきましょう。

Let’s play in English:最高難度の読解レベル 犯罪からSFまで目指せオールラウンダー


「ブレードランナー 2049」も観てね!

時事問題から哲学的な問いまで、様々なエッセンスが盛り込まれた本作。第5回の『DEATH STRANDING』に負けず劣らず膨大な情報量があり、濃密で複雑な世界観を読み解くのには骨が折れます。特に事件現場で調査をするコナー編では、検死や尋問などで警察用語が次々に繰り出されるので、刑事ドラマの雰囲気を思い出しながら見ていきましょう。


また、知らないと分からないモチーフが多いので、文化面でも予備知識があるとさらなる深読みに役立ちます。物語冒頭に映し出されるものはテーマを象徴するアイテムが多数登場し、コナーのコインは25セント硬貨で初代大統領ジョージ・ワシントンが刻まれています。


こちらはボクサーのジョー・ルイスを讃えたモニュメント。黒人が参加を禁じられた時代、特例で認められてヘビー級チャンピオンとなり、現在も破られない25連防衛記録を達成しました。


コナー編でジェリコ捜索の際、唐突に出てきた地下鉄の地図。それまで何の言及もなかったので、意味が分からなかったにプレイヤーも多かったのではないでしょうか。これは『Fallout 4』でも登場した「Underground Railroad(地下鉄道)」を指しています。奴隷を脱走させる秘密組織のネットワークが実在し、デトロイトはカナダ越境を目指す拠点となっていました。市街地にあるモニュメントには見覚えのある文様が……?

(c) 2014 Ken Lund

引用を読み解く――初めに言葉ありき


「ペンは剣よりも強い」の文言が示す通り、言葉と思想は人間のあらゆる行いの根源となるものです。日本でも言霊信仰があるように、世界の歴史では転換点に必ず力強い言葉が残されています。『Detroit: Become Human』ではそれらに言及し、作品の内包するテーマを過去と現在、そして未来につなげる役目を果たしています。


コリント人の手紙2: 3章17節 -Spirit of Detroit

デトロイトの象徴として登場するこのモニュメント。最近ではスポーツのユニフォームを着ていたりしますが、神の像の後ろにはある文言が刻まれています。

"NOW THE LORD IS THAT SPIRIT
AND WHERE THE SPIRIT OF THE
LORD IS, THERE IS LIBERTY."
II CORINTHIANS 3:17

主は御霊であり、主の御霊在るところ、そこに自由がある。まさに、この『Detroit』は自由を巡る物語であることを暗示しているのです。ヨーロッパ史において、人権とは神が人間に与えた不可侵のもの、「天賦人権説」が唱えられています。しかしあらゆる差別の歴史を見れば分かるように、そもそも「人間」として社会が認めなかった場合、隷属や虐殺が平然と行われてきました。

悲しいことに「家畜に神はいないッ!」がまかり通る世の中です。差別との闘いは決して個対個の問題ではなく、それを生み出す社会構造との闘い。タイトルの「Become Human」とは、社会的に「人間として認められる」物語という意味なのです。


I HAVE A DREAM: マーティン・ルーサー・キング Jr.、ワシントン大行進の演説

言わずと知れた米国史に残る名言中の名言。20万人が参加したとされる1963年8月28日の「ワシントン大行進」で行われた演説です。

“I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.”

自由と平等とは何かを端的に表したこの一文は、アメリカのみならず、世界中の英語と歴史の教科書に載る名文句として有名です。文法の例文としてもよく出るので、教養として丸暗記しておきたいですね。また、キング牧師と対照的な人物としてマルコムXが挙げられます。彼の演説はより攻撃的な言葉で白人中心の社会を痛烈に批判しました。

I THINK THEREFORE I AM: ルネ・デカルト「方法序説」

人工的に作られた思考を持ちながら、自身のアイデンティティを探し続けるアンドロイド達。「我思う、故に我あり」は人工知能を巡るSF作品で頻繁に引用されてきました。これは哲学の重要な問題である「自我」について表した文です。ラテン語で“Cogito Ergo Sum”とも表記されます(なお、原文はフランス語)。
デカルトは自分の認識している世界が本当に確かなものだろうか、もしかしたら「私」さえも全て悪魔が作り出した幻ではないか、と仮定しました。その場合、「私」という存在を「私」から離れて「私を疑っている思考」そのものは確実に存在していて、そこに「自我」の本質が在るのではないか?という考え方です。

デモ、暴徒、反乱、革命――権利章典が守るもの



放送局ジャックでマーカスが出した声明は、アンドロイドの権利獲得が中心になっています。アメリカにおける基本的人権の根拠となっているのが、前回も扱った「合衆国憲法修正条項」のうち第1条から第10条、通称「Bill of Rights(権利章典)」です。このうち、本作で最も重要となる第1条を見ていきましょう。

連邦議会は、国教を定めまたは自由な宗教活動を禁止する法律、言論または出版の自由を制限する法律、ならびに国民が平穏に集会する権利および苦痛の救済を求めて政府に請願する権利を制限する法律は、これを制定してはならない。



信教・言論・出版・集会の自由、請願権、つまり「言論思想の自由」がこの条文で規定されています。「集会の自由」「請願権」を合わせて、「平和的にデモを行うこと」は絶対に公権力が止めることはできないのです。放送局ジャックとサイバーライフ襲撃はやったものの、その次の行進においては、強制的に解散させると確実に憲法違反となります。ましてや発砲など言語道断、命を奪うのみならず、彼らの求める権利さえ踏みにじるという最悪の返答をしたのです。


デモ行動が暴動に発展した場合、治安維持のためにまず警察、次に州兵の鎮圧部隊が動きます。悪質な場合はもちろん逮捕しますが、抗議の一形態と見なされるので「公権力が武力で弾圧」という格好にならないよう慎重に押さえ込みます。この時点で、連邦軍が鎮圧へ動員されることはありません。「民警団法(Posse Comitatus Act)」によって、連邦軍が国内の治安維持に加わることは禁じられているからです。

連邦軍が国内へ出動できるのは基本的に非常事態に限り、暴動鎮圧には「反乱法(Insurrection Act)」の発動が条件となります。現在は大統領の判断で発動できますが、優先される民警団法によって州知事の同意がなければまず通らないものです。あくまでも「最後の手段」であり、言論弾圧と見なされる可能性が高いのです。


劇中では、ジェリコ襲撃からは連邦軍が出動しています。ここからは虐殺の様相を呈しており、歴史上幾度も繰り返された恐ろしい光景を描写しています。アメリカでも1921年にタルサ虐殺が起きており、世界各地の紛争地域では未だに行われているということを忘れてはいけません。

もし弾圧が行われた場合、民衆はそれに抵抗する権利を持っている。社会に正義がないのなら、武力を以て破壊せねばならない。アメリカでは「抵抗権」「革命権」が独立宣言に明文化されており、前回扱った「武装権」はこれに付随するものと解釈されています。武力闘争を選んだ場合も、不条理な社会を壊す「革命」として、民衆の権利を行使しているのです。暴動鎮圧に政府が慎重になるのは、この革命権が影響しています。

4月30日、ミシガン州ランシングでロックダウンに反対する市民が武装デモを行いました。市民はライフルを抜き身で携えていましたが、警察は議事堂への入館を一部許可。大きな衝突は起きず、武装に関する逮捕者は報じられていません。このように、アメリカでは自由と銃は表裏一体の関係でもあるのです。

覚えておきたい英単語集:噛まずに言える? カッコいい警察用語


  • Lieutenant (Lt.):警部補、中尉
  • Homicide:殺人
  • Investigation:捜査
  • Evidence:証拠
  • Fingerprint:指紋
  • Hostage:人質
  • Interrogate:尋問
  • Reassure:安心させる
  • Decease:死亡
  • Deviant:変異体、異常者


今週のキーフレーズ:You put yourself in her shoes.



人気投票において見事一位を獲得した歩く科捜研ことコナー。任務遂行を第一としていた、彼の感情を強く揺さぶる場面が「カムスキー・テスト」でした。撃たない選択をした場合に、自分の矛盾に苦悩するコナーへハンクが諭す言葉です。

“Put in one’s shoes”「他人の靴を履いてみる」とは、「相手の立場に立ってみる」という意味の慣用句で、「Empathy」という言葉に表されます。日本では馴染みがなく、共感を表す「Sympathy」と似ていますが、両者は大きく違います。日本語訳は「自分を重ねちまったのか」「感情移入ってやつだ」と「Sympathy」の文脈に変えています。
この言葉はイギリスの差別と格差を扱った話題の書籍、ブレイディみかこ著「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」でもクローズアップされ、耳にしたことがあるかもしれません。

ブレイディ:(前略)…シンパシーは「かわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情」、つまり「感情的状態」ですが、エンパシーは「自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や経験を分かち合う能力」、つまり「知的作業であり、それができる能力」。「アビリティ(能力)」とはっきり英英辞典に書いてある。

(ブレイディみかこ×金原瑞人 「他人の靴」で常識を飛び越えろ!-考える人)


ネゴシエーターでもあるコナーは、相手の置かれている状況から心理状態を把握する能力を与えられています。「Empathy」の素養が元々備わっており、そこから感情が発生しても不思議ではありません。人間の脳の進化にこの「Empathy」が深く関わっているという説もあり、人間の自我を探る上で重要な鍵となるでしょう。

練習問題:次の言葉の引用元について調べなさい。


“ONE PLANET TWO RACE”

スローガン選択にあるこの言葉は、ある著名な人物の言葉から引用したものです。発言した人物、発表された場所を探り当ててください。短い文のため検索には少々テクニックが必要ですが、ファクトチェックの腕試しとしてやってみましょう。

これは……ブルーブラッド!


※UPDATE(2020/06/14 22:00):スペルミスを修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。
《Skollfang》

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