中世の封建君主になりきる歴史ストラテジー『Crusader Kings III』我が家の歴史がまた1ページ…【爆速プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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中世の封建君主になりきる歴史ストラテジー『Crusader Kings III』我が家の歴史がまた1ページ…【爆速プレイレポ】

中世の封建君主になりきり人生を体験する歴史ストラテジー『Crusader Kings III』の爆速プレイレポを物語風にお届けします。

連載・特集 プレイレポート
『Crusader Kings III』
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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。

今回は、2020年9月2日にParadox InteractiveよりPC(Steam、Microsoft Store、Paradox Store)向けでリリースされた『Crusader Kings III』について、生の内容をお届けしたいと思います。なお、本記事ではSteam版を使用します。



『Crusader Kings III』とは



Paradox Interactiveの社内スタジオParadox Development Studioが手掛ける本作は、RPG風の歴史ストラテジーです。プレイヤーは中世ヨーロッパを中心とした広大な世界を舞台に、封建君主としての人生を体験し、戦争、外交、陰謀などを通じて一族の繁栄を目指します。

本作の基本は歴史ストラテジーですが、主人公は国ではなくキャラクターで、役割を演じるRPGとしての側面もあります。明確な目的や勝利条件、あらかじめ定められた筋書きはなく、イベントはキャラクターの行動や性格に応じて動的に生成されます。

開始年代はヴァイキングが活躍した867年と、ノルマン・コンクエスト直前の1066年が用意され、当時のあらゆる君主から好きなキャラクターを選んでプレイできます。ゲームの舞台はヨーロッパ、中東、インド、アフリカの一部を含みます。日本や中国は含まれません。

シリーズ作品としては、前作『Crusader Kings II』の自然な進化形です。インターフェイスが大幅に改善されており、シリーズを知らない方にも遊びやすくなっています。また、本作はシングルプレイだけでなく、マルチプレイにも対応しています。

1066年シナリオの世界地図―この中にいるどの人物でもプレイ可能

本稿ではゲームの雰囲気をより良くお伝えするため、実際のプレイ内容を物語風に再構成してお届けします。ゲームのシステムについては青枠内で詳しく解説します。

『Crusader Kings III』の実内容に迫る!


物語の主人公はノルマン人のロベルト・グイスカルド。ノルマン人とはフランス北部に住み着いたヴァイキングの呼び名です。イングランドを征服したノルマンディー公ウィリアムが有名ですが、同じ時期に傭兵から身を起こし、南イタリアを征服したのがロベルトです。プレイ開始時に51歳のロベルトは妻と3人の息子を持ち、プーリア公爵領を治めていました。

中世の封建制では、領主や領地はピラミッド構造をしています。その構造は本作でも再現されており、男爵の上には伯爵が、伯爵の上には公爵が、公爵の上には王がいます。ロベルトは独立勢力なので王には仕えていませんが、家臣として多くの伯爵や男爵を従えています。
ロベルト(左上)とプーリア公爵領(中央のApuliaと書かれている国)

百戦錬磨の戦士で“狡猾”の異名を持つロベルトに挑戦する者が現れました。北イタリアを治めるトスカーナ辺境伯(ゲーム上は公爵)マティルデが戦争を仕掛けてきたのです。マティルデは若き女性でした。

ロベルトの率いる軍はわずかに敵の半数でしたが、戦場を知り尽くす彼は川を挟んだ小高い丘に布陣し、数で勝る敵に勝利を収めます。激戦の中、ロベルトは戦場で一人の女性を見かけました。彼女こそマティルデでした。

本作は歴史ストラテジーなので戦争は重要な要素です。しかし、戦争だけのゲームではありません。政略結婚や暗殺で領地を広げられますし、必ずしも領地拡大を目指す必要はありません。また、本作で戦争を始めるには大義名分となる理由が必要です。典型的な理由は、その領地を要求する正当な権利があると主張することです。
マティルデとの出会い―中央下の戦闘情報の右端にいるのがマティルデ

ロベルトとマティルデは和平を結びました。戦場で出会ったマティルデに一目惚れしたロベルトは、妻がいる身にもかかわらず彼女と愛を語りたいと思うようになります。しかし、懐疑的な性格のロベルトは敬虔な信徒であるマティルデと話が合いませんでした。

キャラクターにはその人物の個性を表す特性があり、能力値や他の人物から受ける評価、発生するイベントに影響します。能力値はキャラクターの能力を数値で表したもので、外交、軍事、管理、策略、学識に分かれています。不世出の戦略家という特性を持つロベルトは非常に高い軍事能力を有する優れた指揮官です。

各キャラクターは他のすべてのキャラクターに対して、どのくらい快く思っているかの評価値を持っています。評価が高ければ好き、低ければ嫌いです。マティルデは当初ロベルトを低く評価していました。評価は多くの要素を足し合わせて計算されますが、正反対の性格は評価を下げます。評価は家臣を統率する上でも重要で、評価の低い家臣は非協力的になり、陰謀や反乱に加担することがあります。

キャラクターは様々な策略を弄することができます。策略には暗殺といったものから、相手の評価を改善したり、恋愛関係になるものまであります。ロベルトはマティルデを誘惑しようとしましたが、正反対の性格が災いしてこの時点での成功率はゼロでした。

マティルデ(左上)は有名な“カノッサの屈辱”の関係者としても知られる

同族の絆


長男が成人すると、ロベルトはノルマンディー公ウィリアムに使者を送り、ウィリアムの娘を長男の嫁に迎えました。この時、ウィリアムは征服したイングランドを失い、同盟相手を探していたのです。この政略結婚により、ロベルトとウィリアムは同盟関係になりました。

キャラクター間の同盟は親族同士の政略結婚で実現します。本作における結婚は非常に重要で、結婚によって領地の継承や戦争の理由が生まれることもあります。また、本作には遺伝の概念があり、キャラクターの見た目や一部の特性は親から子に遺伝します。

キャラクターは自分の生きざま、ライフスタイルを選べます。ライフスタイルごとに経験値が蓄積され、一定の経験値が貯まるごとにパークと呼ばれる特殊能力を獲得できます。ロベルトは軍事のライフスタイルを選択し、政略結婚や恋愛の策略を有利に進められるパークを獲得していました。

ライフスタイルに応じて獲得できるパークは一種のスキルツリー

ロベルトは聖地巡礼の旅に出ることを決意しました。この時代の巡礼は命がけです。旅の途中、見知らぬ土地で風土病にかかりました。しかし、ロベルトは病を押して旅を続け、無事聖地に到着します。

一定の条件を満たすと、キャラクターは様々な決断を行えます。巡礼の旅に出たり、腕の立つ騎士を集めたり、まったく新しい王国を創設することも可能です。

本作において健康は重要です。健康は数値で表されませんが、病気になったり怪我をすると健康に悪影響を与える特性を獲得します。健康の悪化は能力値を減少させるだけでなく、キャラクターが死ぬ確率を上昇させます。

旅の途中で出会った裸の異端者は民衆に原罪を説いていた

病を得たことで自分の命はそう長くないと悟ったロベルトは、プーリア公爵領の分裂を避けるため、次男と三男から相続権を奪いました。息子たちは猛反発しますが、ロベルトは当主として最善の判断をしたつもりでした。ところが、苦渋の決断から間もなくして病気は全快します。

それぞれの国には継承法と呼ばれる相続のルールがあり、君主が死亡したときはそのルールに従って次の後継者と領地の相続が決まります。プーリア公爵領の継承法は、男性の年長者(この場合は長男)が後継者となり、領地は兄弟間で分割するというものでした。相続権を奪わなければ、ロベルトの死後、国は分裂するのです。なお、継承法は条件を満たすと変更できます。
病を得たロベルト―キャラクターは置かれた状況によりポーズを変える

ロマンスのはじまり


病が癒えたロベルトは気持ちも若返り、ついにマティルデに告白する決心をしました。マティルデの前で愛のバラッドを歌い彼女の心をつかむと、立ちはだかった恋敵に一対一の決闘を申し込み、華々しく打ち破ります。二人は騎士道物語のような恋に落ちました。

プレイ中にはキャラクターの行動や特性、ライフスタイルなどを反映してランダムイベントが発生します。この場合は恋愛の策略を使用した結果として複数のイベントが発生しました。多くのイベントには選択肢があり、選んだ選択肢によって発生する効果が変わります。
愛の告白イベントの選択肢には手紙を忍ばせるほか、ポエムを書くなんてものも。

教皇からの援助を得て、ロベルトはシチリア王国の誕生を宣言しました。ロベルトはついに王となったのです。しかし、その直後に長年彼を支えてきた妻が世を去りました。

本作には金、威信、信仰といったリソース(資源)があり、他のストラテジーと同じくリソースのやりくりが重要になります。王国の創設には十分な領地を支配していることに加えて、大量の金が必要です。相続権の取り消しには大量の威信と信仰が必要で、聖地巡礼の旅に出たのは信仰を獲得するのが目的でした。
シチリア王国の誕生(中央のSicilyと書かれている国)

寝ても覚めてもマティルデのことが頭から離れないロベルトは、彼女の城を訪れました。そこで彼が見たのは彼女の寝室に忍び込もうとする怪しい影です。愛しい人を救いたい一心で寝室に飛び込んだロベルトでしたが、驚いたマティルデは彼にナイフを向けました。ロマンスは終わりを告げたのです。

恋愛の成否を決める最終イベント―この時の成功率は50%だった

恋に破れて


次にマティルデに相まみえたのは戦場でした。両国の間で再び戦争が起きたのです。ロベルトは3倍の敵に囲まれ、味方は次々と討ち死にしていきます。さすがの彼も死を覚悟しますが、そこに援軍が現れました。ノルマンディー公ウィリアムがはるばるフランスから兵を引き連れて戦場に到着したのです。味方の士気は大いに高まりますが、敵の優勢は変わりません。その後の戦いは凄惨を極め、ロベルトは敗走を余儀なくされました。

戦場に駆けつけたノルマンディー公ウィリアム(中央やや右下)

この戦いで騎士として従軍していたロベルトの次男と三男が戦死しました。息子の死に大きな衝撃を受けたロベルトは戦争を続ける意欲をなくし、マティルデに降伏。長年の係争地を譲り渡しました。相続権を取り上げて以来、親子の仲は悪くなっていましたが、彼は息子を心から愛していたのです。悲しみから逃れるため、ロベルトは酒に溺れるようになります。

精神的ダメージを受けたり、キャラクターの性格に反する選択肢を選ぶと、ストレスが溜まっていきます。ストレスが一定値を超えるとメンタルブレイクという状態になり、悪い効果をもらたす様々なイベントが発生します。ロベルトの場合は息子の死によりストレスが限界に達し、酒浸りの特性を獲得しました。
ストレスが溜まりすぎるとメンタルブレイクのイベントが発生する

程なくして、シチリア王ロベルトは天に召されました。享年71。晩年の彼はすっかり酒浸りになり、死の直前まで酒を飲んでいました。ロベルトの跡を継いだのは長男のボエモンです。王位継承により失われた領地はありませんでしたが、偉大な王の死に家臣の忠誠心は薄れ始めました。家臣をまとめ上げることが新たな王の最初の仕事になるでしょう。

主人公のキャラクターが死ぬと、その後継者となってプレイを継続します。後継者が自分の一族の人間でない場合はゲームオーバーです。継承法によってはキャラクターの死亡時に領地が失われます。
初代シチリア王ロベルト死す―王国の運命は次の王に託された

前作との比較


最後にシリーズ経験者に向けて前作との大きな違いをまとめます。
  • 威信や信仰は消費しても構わないリソースになりました。
  • ライフスタイルは一新され、経験値を貯めてパークを獲得するようになりました。
  • 宗教のシステムは一新され、教義を組み合わせて宗派が作れるようになりました。
  • 家系のシステムは一新され、本家や分家という概念が追加されました。
  • ストレスが溜まるとメンタルブレイクが起きるシステムが追加されました。
  • 他人を自分の思い通りに操るフックや、秘密という概念が追加されました。


自分だけの王朝史を作る楽しさが味わえる作品


本作は中世封建君主の人生を体験できるRPG風の歴史ストラテジーです。舞台となる世界は広大で、数え切れないほどのキャラクターが世代交代しながら、それぞれの人生を歩んでいます。決められた目標や筋書きはなく、プレイするたびに変化する歴史に心を躍らせることでしょう。その歴史に足跡を記すのは、あなたです。

本作は記事執筆時点で日本語に対応していません。現在、有志による日本語化Modが開発中です。

中世の世界史が好きな方、国ではなく人が主役になる歴史ストラテジーに興味がある方にお勧めします。

タイトル:Crusader Kings III
対応機種:PC(SteamMicrosoft StoreParadox Store
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2020年9月2日
記事執筆時の著者プレイ時間:18時間
価格:5,150円(Royal Editionは7,850円、ともにSteam価格)

《FUN》

遊ぶより創る時間の方が長いかも FUN

元ゲームプログラマー。得意分野はストラテジーゲーム。ゲームライターとして活動する傍ら、Modの制作や有志日本語化に携わっています。代表作は『Crusader Kings III』の戦国Mod「Shogunate」。

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