行き詰まるというよりは、ベストなアイデアをどう選ぶかが課題―『LoL』のスキンを開発するスタジオ「Sparx*」ジェネラル・マネージャーへ独占インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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行き詰まるというよりは、ベストなアイデアをどう選ぶかが課題―『LoL』のスキンを開発するスタジオ「Sparx*」ジェネラル・マネージャーへ独占インタビュー

Game*Sparkは、ライアットゲームズとパートナーシップを結び『リーグ・オブ・レジェンド』のスキン開発を手掛けるアニメーション制作スタジオ「Sparx*」のジェネラル・マネージャー、サミュエル・ステヴナン氏へ独占インタビューを実施しました。

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行き詰まるというよりは、ベストなアイデアをどう選ぶかが課題―『LoL』のスキンを開発するスタジオ「Sparx*」ジェネラル・マネージャーへ独占インタビュー
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Sparx*の『リーグ・オブ・レジェンド』スキン制作チーム

2019年9月、ライアットゲームズが手掛けるMOBA『リーグ・オブ・レジェンド』に登場するチャンピオンたちの新しいスキンの開発を、ベトナム・ホーチミン市を拠点とするアニメーション制作スタジオ「Sparx*」が担当することが発表されました。ライアットゲームズとのパートナーシップを締結したSparx*は、人気テーマ“インファーナル”をはじめとして多数のスキンを開発。また、2020年6月には同社の新作シューター『VALORANT』のスキン開発の担当も発表されています。

インファーナル 2019

そこで今回は、Sparx*のジェネラル・マネージャーであるサミュエル・ステヴナン氏に独占インタビュー。今年で創立25周年を迎える同スタジオがライアットゲームズとパートナーシップを結ぶに至った経緯や、スキン開発の制作フロー、アイデアやインスピレーションをどのように得ているかといった部分について、お話を伺いました。

インタビュイー

サミュエル・ステヴナン氏(Samuel Stevenin)Sparx*スタジオ ジェネラル・マネージャー

アーティスト、スーパーバイザー、スタジオマネージャー等のポジションを経験し、ゲームと映画の業界において20年以上の経験を有する。2008年Sparx*に入社。これまでの様々な経験、知見、スキルを活用し、スタジオを牽引する。

テーマ:ライアットゲームズとのパートナーシップおよび『リーグ・オブ・レジェンド』におけるスキン開発

プールパーティー 2020

――Sparx*について教えてください。

サミュエル・ステヴナン氏(以下、ステヴナン氏):Sparx*(スパークス)は、3Dアート、VFX(ビジュアル・エフェクツ)、アニメーション制作に特化した、アジアトップラスのスタジオです。2011年より、ゲーム開発と3Dアート制作におけるリーディングカンパニー、Virtuos(ヴァーチャス)のグループの一員になりました。現在はベトナムのホーチミン市を拠点に、約400名のスタッフと共に最新のツール、エンジン、プラットフォームを駆使して、制作に励んでいます。

――ライアットゲームズとパートナーシップを結んで開発をしていますが、 その経緯や決定的なきっかけは何でしょうか?

ステヴナン氏:以前より、世界でトップレベルのデベロッパーであるライアットゲームズ(Riot Games、以下ライアット)と仕事をしたいと思っていました。当社に所属するアーティストの多くは『リーグ・オブ・レジェンド』のファンであり、ハードコアなプレイヤーです。ライアットが『リーグ・オブ・レジェンド』のスキン開発強化のためのパートナーとして外部開発スタジオとの協業を検討していると聞いた時、絶好のチャンスが巡ってきたと感じました。その後のテストプロセスで認められ、晴れてパートナーに決まった時のチームは喜びもひとしおでした。

宇宙飛行士 2020

――1体のチャンピオンスキンの開発にはどのくらいの期間が必要ですか?何名体制で対応しているのでしょうか?

ステヴナン氏:開発のタイムラインは、スキンごとに、また、複数の要件によって大きく異なります。たとえば、スキンのティア、チャンピオンの複雑さ、スキンのライン、テーマ、構想によって変わってきます。1体のチャンピオンスキンを、アイデアから最終的に洗練されたキャラクターにするためには、Sparx*とライアットの双方で数十人のアーティスト、開発者、マネージャが関わり、数カ月の期間が必要です。

――スキン開発の制作フローについて教えてください。プロジェクトはどのように進行されますか?

ステヴナン氏:プロジェクトにおける私たちの役割は、キャラクターモデリング、リギング(3Dキャラクターに動きを付ける際の仕組みやコントローラー)、リコールアニメーション、VFXセットを活用して、スキンの3Dモデルを完成させることです。VFXは、新しいキャラクターとしてのエフェクツ、例えば武器を手にした際の動き、攻撃の際の火花の飛び散り方などの、アクションやリアクションを意味します。

スキンの開発は、第一に、ライアットからスキンブリーフを受け取ることから始まります。ブリーフには、コンセプト、スキンの情報、テーマ別のアートスタイルガイド、ビジュアルリファレンス、そして最も重要なスキンの具体的な成果物に関する情報が記載されています。ライアットには、プロジェクトが順調に進んでいることを確認するために、頻繁なチェックライン、定期的なフィードバックミーティング、日々のコミュニケーションなど、プロセス全体を通じて密接に連携する専任チームがあります。

非常に優れたアートの品質基準を有するゲームブランド『リーグ・オブ・レジェンド』に取り組みながら、品質アセスメントの観点からスキンが承認されるまで、アセスメントを複数回繰り返します。このプロセスは厳しいものではありますが、私たちSparx*にとって非常にやりがいのある仕事です。スキンのハンドリングは、最終的にシッピング(出荷)される前までライアットによって継続されます。

パルスファイア 2020

ブラッドムーン 2020

――厳しいプロセスもある中で、スキン開発のアイデアやインスピレーションはどのように得ているのでしょうか?モチベーションはどのように持続させているのですか?

ステヴナン氏:前述のように、Sparx*チームの多くのアーティストが『リーグ・オブ・レジェンド』の大ファンです。私たちはゲームが大好きで、このプロジェクトでの経験は、やりがいのあるクリエイティブなチャレンジだと考えています。ライアットはスキンのコンセプトを監督し、私たちのクリエイティブなインプットは、主にスキンのVFXのアイデアと、時にはリコールアニメーションに基づいています。

私たちのアイデアは、主にチャンピオンやテーマ別の情報、ルーンテラ・ユニバースなどから明確なインスピレーションを得ています。また、現実の文化や世相、ポップカルチャーからも着想を得ています。実際、アイデアに行き詰まるというよりは、ベストなアイデアをどう選ぶかが私たちの課題です。ゲームプレイの明快さとエキサイトメントを維持しながら、チャンピオンを認識し、親しみやすくする方法、与えられたリソースと時間に合わせて、スキンの目標を達成するようにアイデアを洗練する方法を常に考えています。

すべてのスキンは、考慮すべき多くの要件を持つ、複雑な方程式のようなものです。チームの『リーグ・オブ・レジェンド』に対する愛情により、常にオープンで前向きな考え方で困難な状況にも立ち向かうことが出来ます。それが私たちの最大の強みです。

漆黒の霧氷 2020

――『リーグ・オブ・レジェンド』は2019年だけで14のスキンが開発されました。あなたのお気に入りのスキンはありますか?

ステヴナン氏:Sparx*からライアットへシップメントされたスキンは50近くあり、現在生産されているスキン全体の数はそれよりもはるかに多いです。私は直接の開発に関わっていないため、お気に入りのスキンを選ぶのは難しいですが、スタッフ全員が仕事を楽しみ、多くの意味を見出せていることは、私だけでなくチーム全体にとっても素晴らしいことだと感じています。

――ライアットとのパートナーシップで、印象的なエピソードを教えてください。

ステヴナン氏:『リーグ・オブ・レジェンド』は、さまざまな高度な制作段階からマルチレベルのコミュニケーションや複雑なチーム管理まで、Sparx*のすべての本質的な能力を組み合わせたプロジェクトです。特にお互いのロサンゼルスとホーチミンのオフィスの訪問では、双方の知識と経験を共有し、チーム間の相互理解、つながり、そして信頼を気づくために素晴らしい時間を過ごすことができました。

また、この期間に克服した課題は、私たちがこれまでになく大きなチャレンジへの糧になっています。『リーグ・オブ・レジェンド』のビジョンと夢をSparx*に託し、私たちの能力を信じてくれたライアットに感謝します。

ヘクステック 2020

龍殺し 2020

――Sparx*は今年で創立25周年を迎えたそうですが、これまでの歩みをどのように振り返りますか?

ステヴナン氏:Sparx*は当初、アニメーションやTV番組の分野でストーリーテリングに強みがあるスタジオとして始まりました。作品作りへの情熱を持った、献身的で優秀なメンバーで構成されたチームは25年の歴史の中で、自分たちの強みを活かしながら、ビデオゲームや映画などの新しいメディアを含め、専門分野を拡大してきました。Sparx*は今後もスタイルやテクノロジーを問わず、ストリーテリングとゲームプレイで最高のユーザーエクスペリエンスを生み出すことを目指していきます。

RPG 2020

《Game*Spark》
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