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「コレ、ほんっと大好き...」ゲムスパライターが選ぶ偏ったSteamサマーセールおすすめADVタイトルが胸焼けするレベルな件【特集】

2021年もやってまいりましたサマーセール。今回はライターの偏った、ねっとりした、そして単純には抱えきれない想いを乗せて、特におすすめなADVタイトル3本をご紹介します。

連載・特集 特集
「コレ、ほんっと大好き...」ゲムスパライターが選ぶ偏ったSteamサマーセールおすすめADVタイトルが胸焼けするレベルな件【特集】
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それは2015年の夏のこと。全世界のSteamユーザーおよそ500万人が、打倒セールモンスターのためマウスクリックに燃え上がっていました。そのうち一部の玄人たちがごにょごにょなアレやそれをやり始めた結果、戦闘力のインフレはとどまるところを知らず、ドラゴンボールも真っ青。最終的に張り倒されたモンスターの数はおよそ2億弱にまで上りました。

楽しかったですね!

信じられねえ……地獄だった……戦いの中で家計が死んでいった……それを、楽しかっただとっっ!

当時あの灼熱の地獄を生き延びた小学校1年生の子ども達が、そろそろ中学生くらいになるかなという年月が経ち、ついに迎えたるは2021年夏。ぼくらのサマーウォーズはまだ終わっちゃいねぇんだ!さあ今年は一体どんなモンスターをしばき倒すのでしょうか!!……と、思っていたら「自らの運命を築き上げる14の新しい物語!」とな。この文学的なアプローチ……なんでいなんでい、ずいぶん大人しい夏じゃないの。もっと熱いカード決済で口座残高を溶かしながらお前は男だ、と“多々買い”たいところ。

回想(捏造)

編集部「そしたらライブラリにあるセール対象タイトルを紹介してみては?」
筆者 「ちょっと偏っちゃうかもしれませんが良いですか?」
編集部「大丈夫、多少偏っても良いですよ」
筆者 「言ったな?(ありがとうございます)」

そういう訳で(?)今回は、旧正月セール特集で味を占めたライターが再びお届けする、個人的な偏りによったサマーセールおすすめタイトル特集第一弾。率直に言って、選ぶ作品その並び、偏り著しく、世人素直に首肯すること能わず。選ぶ当人も「アレぇ?」と首を傾げるばかりなりけり。まずはアドベンチャー系の3タイトルに的を絞り、サマーセールで高まったまま持って行き場を無くした闘争本能を解き放ってまいりましょう。

VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action

個人ブログでやれ、と言われてもしょうがないほど、僕の本作への想いは深く重く……そして粘ついています。あまりにも好きすぎて、「おすすめだよぉ……(はぁと」と友人たちにぶつけたところ狂人扱いされました。何故だ。

本作はテキストアドベンチャーで、主人公のジルはディストピア溢れる都市の一角にあるバー「VA-11 Hall-A」のバーテンダー。タイトスカートが似合うアラサー女性で、ツインテールがきっつ……じゃなかった可愛い。Wi-Fi付きディルドー購入のせいで家賃を支払えなくなったりする新規軸のヒロインですが、人気投票では堂々の一位。それぐらい魅力的な女性キャラクターといえましょう。何より吐きそうになってる姿もまた可愛い。マジでかわいい。かわいいいいい!!!!!!!(カルモトリン過剰摂取)

……正気に戻ります。ゲームは彼女を操作することで進行し、キャラクター同士の会話によってストーリーが展開します。まさにこの「会話」が、本作の肝であり、一番の魅力といっても過言ではありません。何故なら主人公含めてどのキャラクターも密度が濃く、それぞれの人生におけるこれまでの、いまの、これからの苦労があり、それらが互いのセリフから滲み出てくるからです。単純に設定が凝っているというだけでなく「この世界に生きるこのキャラクターだからこそ、こういう言葉遣いや会話運びをするんだな」という手触りがスッ……と心にくる。エンディングまで遊ぶ頃には全員好きになっていることでしょう。

この魅力的な会話を引き出し、ゲームを進行させるためのシステムが、これまた本作最大の特徴である「バーテンシステム」。客の要望を聞いて、レシピ通りに数種類の材料を混ぜてドリンクを提供する……操作自体はいたってシンプルです。しかしレシピは20種類以上あり、それらが味付けまたは雰囲気などで属性分けされています。客は飲みたいものを伝えてくれますが、プレイヤーはしばしば相手の会話から、好みやその時の気分を推測し、属性に当たりをつけつつドリンクを作っていきます。これが意外と奥深く、時には親愛なる友人でもある客のために、要望とは違うものを提供したり……。

たいていのテキストアドベンチャーの進行は会話選択肢に終始するものの、本作はそういった選択肢の代わりにドリンクを提供することで進行します。そしてネタバレになるので、ややボカした言い方をしますが、登場人物の客たちはほぼ全員、何かしらの形や出来事を通じて繋がりがあり、中には現在進行形で事件に巻き込まれていたりします。その中で、主人公のジルだけは彼らの物語に対して傍観者寄りで、あくまで個人的な過去の不始末に対して頭を悩ませている。この様子の違いが、カウンターを挟んで話をする客と、話を聞くバーテンダーという立ち位置の違いにもよく表れていますね。

バーテンダーとしてドリンクを客に提供することが、彼らの話を聞くことに繋がる呼び水になる……ゲームシステムが、物語を進行させる歯車として違和感なく溶け込んでいるため、プレイしていて非常に気持ちよく楽しめました。

またゲーム全体の雰囲気を包むような、サイバーパンクめいたビジュアルデザインとBGMも素晴らしい。特にBGMはゲーム中、バーのジュークボックスでジル(プレイヤー)の操作によって再生されるのですが、ランダム再生にしてもほぼ間違いなく会話の雰囲気と噛み合うのは一体何なんだ。なんなんだアーミテイジ!!(アルマです)

……ともあれ、これらがシナリオの味つけとびっくりするくらい合うこと合うこと。テーマソングはもう、冬の都会の夜景を眺める気持ちそのものでした。例えるなら寒い夜に内堀通りを大手町、東京、日比谷と抜けていく感じ……という極めて個人的なイメージ。おかげでサントラを揃えた時は、しばらく聞きながら夜の街を歩いていました。

あ!!セイ可愛い!!本音を言うと包帯巻いてるときが一番好き!!!立ち絵の三角筋と上腕三頭筋の段差が作る影!ぜひ本編を見て楽しんで!!(バッドタッチ)

……正気に戻ります。何度目かの自分の話になってしまい申し訳ないのですが、本作をプレイすると、数年前のクリスマスシーズンを思い出します。あの頃は国外で地獄を見ていました。窓の外に積もる雪がむしろ心を曇らせ、それを紛らわすかのように冷めたピザをビールで流し込んでいた年末。

そんなとき本作に出会い、ちょっとした気分転換にとプレイを始めたら、主人公ジルの心に共感して泣いている自分が。人生の岐路で、重大な選択することに恐怖を覚えた結果、決定的なチャンスとタイミングを取り逃して転がり落ちていく……これをこんな……こんな見事に「まさにそれ」レベルで表現した雰囲気を持つゲームは他に見たことがありません。大げさなのはもちろん承知していますが、それくらい大好きでオススメな作品です。

YIIK: A Postmodern RPG

個人ブログで(以下略)

出ました、賛否両論の問題作。なかには蛇蝎の如く嫌う人も散見されます。僕は本作については好感度高めですが、いざその感情を解像度高く表現しようとすると、たちまち複雑怪奇を極めてしまい非常に難しい。あくまで個人的な感想ですと断りを入れて、語弊を恐れず申し上げるのであれば、「作者がメタ視点を入れつつ、好きな要素をたっぷり詰め込んだ結果バランスが崩壊し、ねっとりした感触でプレイヤーを殴りつけてくるゲーム」です。そこへたまに発生するバグがゲーム世界をよりカオスなものにしていました。

ネタバレなので詳細は伏せますが、僕は、動く歩道を後ろ向きに乗りながら人生に溜息ついているようなアレックスのモノローグに悪い意味で共感してしまい「くそが!」とフラストレーションを溜め、ラスボス登場からエンディングに至るまでの流れにやや納得がいかず毒づいていました。ところが、それほど感情をあちこち揺さぶられてきたのに、全体で見ると「ああ……最っ高に面白いゲームだった……好き……」となります。あの人はロクデナシだけど、私がいないとダメな可愛い人なの……的な心境ってこんな感じじゃないでしょうか(自律神経の乱れ)

……正気に戻ります。本作はタイトルにもある通りRPGスタイルで進行します。大学を卒業したもののモラトリアムから抜け出せず、ただひたすらエゴの塊な言動をする主人公アレックス。片田舎の実家に戻ってきたは良いが、就職するでもなく具体的な活動もないまま、心のどこかにある焦りに蓋をして日々を無駄に過ごし……やっべぇ自分の事のように刺されるんですけど。

ともあれひょんなことから世界を揺るがす超常現象の一端に触れ、アレックスの自分を見つめる旅が始まります。同じように苦しむ仲間たちも集まり、時には選択に悩みながらも、ゆっくりと一歩ずつ旅を進めていきます。

基本的な進行はマップを探索、エンカウントした敵と戦闘を繰り返してボスを倒すという王道RPG。ただし特徴的なのはその戦闘方法で、キャラクター達が各々の戦い方をします。しかも攻撃でダメージを出すためには、コマンド選択後に発生する「ミニゲーム」をその都度成功させないといけません。

これがまた曲者で、「タイミングよくボタンを押す」という唯一の共通部分以外てんでバラバラ。まっっっっっっったく統一されていない上に一部は説明不足。鬼みたいなタイミングで始まって線香花火みたいに終わります。もちろん失敗すれば与えるダメージもしょっぱい。これを体験した時の動揺は『メイドインワリオ』で種類の違うミニゲームが連続した時に近いかもしれません。でもアレックスのディスク攻撃は好き……コンボが続くと気持ち良すぎて飛びそうになる……。

おそらくこの戦闘システムにとてもストレスを感じるプレイヤーも多いと思います。僕も最初は「……?」という状態のまま攻撃失敗を繰り返していました。しかしコツを掴んで理解したら「ははぁ……なるほどなるほど……やりづれえな!」となりました。誤解しないでいただきたいのは、口ではこう言いつつも、戦闘BGMのリズムが気持ち良すぎてモニタの前で身体を揺らしてプレイしていた点。この矛盾っぷりに「お前は何を言っているんだ(例の画像)」となるのは理解しています。自分ですらそう思います。そのはずなのにキャラクターと攻撃のモーションが噛み合ってて……触れるのが気持ち良いんですよね……。ともあれ単純に攻撃の種類が剣、拳、飛び道具…と分類されて云々というものではなく、攻撃の操作方法それ自体が異なるというのは斬新でした。

あと実は『VA-11 Hall-A』ともコラボしており、両作品でそれぞれのキャラクターがゲスト出演しています。さらに一部のBGMも同じ作曲家だったり。しかもさりげなく『Undertale』の開発者で知られるToby Fox氏も楽曲提供者。粒ぞろいの名曲が並びますが、個人的に好きな戦闘BGMは「Pushing Through (Michael Kelly​/​Allanson)」です。ボス戦以外ランダム再生される中で、この曲がここぞという時でかかると、スパロボDで「HEATS」が流れた時並みにテンションが上がりましたね!

The Red Strings Club

個(以下略)

テキストよりのアドベンチャーとして、面白い要素がいっぱいの本作。全体としてひとつのトーンにまとまってはいるものの、これも人を選ぶとんがったゲームだと個人的に思います。もちろん僕は大好き。

本作の舞台はサイバーパンクかつディストピアめいた世界。この世界では科学技術が発達しており、インプラントで人の精神を方向づけも可能なレベル。それをさらに発展させ、ネガティブな感情を消し去る「ソーシャル・メンタル・ケア」なる技術が、人類の幸福を謳う企業スーパーコンチネンタル社によって世に出ようとしていました。そんなキナ臭い雰囲気が横たわる街にあるバー「The Red Strings Club」から物語が始まります。そこには相手の気分に合わせたカクテルを提供するという妙技で客を楽しませるオーナーがいました。彼の名はドノヴァン。そして彼の相棒である優秀なハッカーのブランダイス。彼らはコンビとして、この世界の裏側における情報屋としても活動しています。そんなある日の晩、転がり込んできたアンドロイドのアカラ-184との出会いが、後の結末へとつながるシナリオのトリガーとなります。

基本的に話はドノヴァンから始まり、その合間にアカラ、締めにブランダイスが置かれます。それぞれに操作パートがあり、会話などの選択肢によって展開が分岐する……のですが、道筋に影響が出る程度で最終的な結末が変ることはありません。これ以上はネタバレになるので深く触れずにおきます。

一連の分岐は時系列順に並べられ、全体で見るとまるで赤い糸(Red Strings)が絡まっているかのようで、それらに一種の美しさすら感じます。

操作パートがまた良いんですよ……。その都度、客の感情に合わせて材料を混ぜてカクテルを提供する……一見すると『VA-11 Hall-A』めいたバーテンシステムなものの、より視覚的なアプローチです。酒瓶の傾け感度だけややピーキー。

そこへアカラはインプラントの形を整えるという、さらに細やかな操作が求められます。それはまるで陶芸品を作ろうと、繊細に表面を削るようでした。個人的にはドノヴァンとアカラの操作パートが特に好きで、本編とは独立したエンドレスモードみたいなものが実装されないかと願ってやみません。

一方で、そんな彼らと比較すると、ブランダイスの操作パートはほぼダイヤルを押して電話をかけることだけに終始するので、人によっては退屈に感じるかもしれません。しかし結末を見届けるにあたって、彼の操作パートこそ、ドノヴァンとアカラの選択がどのように収束するかを確認できる一番の見どころ。地味な操作に反して、シナリオ的には山場ですね。

本作の楽しみ方としては繰り返しプレイによって、そこに至るまでの裏側で、世界で何が起きていたのかを知ることにあると思います。ドノヴァン、ブランダイス、アカラー184のそれぞれの操作パートにおける選択肢を吟味しながら、シナリオが違う展開を見せる時、一種の達成感すら覚えます。また日本語訳も良い味を出していて良いのですよ……。何度でも味わいたくなる。今回の記事で取り上げた三作品は、原文と比較しても違和感が無く、どれも一級品の翻訳だと感じます。本当におすすめです。

おわりに

執筆を始めた当初、本当は10本ほどジャンル分けして一つの記事にまとめてかる~く紹介するつもりだったんです。それが上記3タイトルを終える頃に「文字数が……文字数が多い……!」となったので、急遽編集部に相談し、この3本だけ独立して記事化していただくことに相成りました。

もし皆様がこの記事をいま読んでいるということは、編集部がOKしてくれたということです……いや本当に懐深くほぼなんでもGOサイン出してくださるのでむしろ恐縮ですよ……。ともあれ問題なければ、次の記事でこそ、他タイトルもまとめてご紹介できたらと思います。お楽しみに!


《麦秋》

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