90年代からゼロ年代日本の「洋ゲー」販売事情を振り返る。『GTA』『XCOM』『ディアブロ』など人気ゲームの20年前の姿は?【年末年始特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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90年代からゼロ年代日本の「洋ゲー」販売事情を振り返る。『GTA』『XCOM』『ディアブロ』など人気ゲームの20年前の姿は?【年末年始特集】

洋ゲーは初代PSに集う?全5本を調査。

連載・特集 特集

20年ほど前と比べると、海外産のゲームは日本でも非常にポピュラーなものになりました。大手のタイトルは高品質なローカライズで発売されることも多く、インディーや中規模ほどのタイトルでも日本語字幕がついている作品は少なくありません。

現代では「たまにゲームで遊ぶ」というライト層にもその名が届いている海外ゲームが数多く存在します。しかし、その全てが最初から有名だったわけではありません。

そこで本稿では、特に知名度の高い「古くから続く人気海外ゲームシリーズ」を5本厳選。パブリッシャーやプラットフォーム、ローカライズの具合などを、ゲーム内容の軽い紹介とあわせて、過去にどのような形態で発売されていたのか迫ります。

『グランド・セフト・オート』

今では世界でもトップクラスのIPとなった『グランド・セフト・オート』の第1作目です。発売プラットフォームは初代PlayStationで、「GTA」は当初見下ろし視点のゲームだった……というのは改めて語るまでもないほど有名な話ですね。なお、2014年にはガンホー・オンライン・エンターテイメントがPS3/PSP向けの「ゲームアーカイブス」で期間限定で配信していたほか、北米版プレイステーション クラシックに英語版が収録されました。

開発はDMA Design(現Rockstar North)で、日本語版の発売元はシスコン エンタテイメント(SYSCOM Entertainment)。発売時期は1998年です。シスコンは1998年から2002年にかけてゲームのパブリッシングを行っていたようですが、現在は撤退済みで、ベルコグループの中でパチンコ・パチスロ機の開発や製造を行っています。

パッケージは海外版と異なったデザインになっています。ビル街や都市の写真を背景に、自由の女神が写されています。タイトルロゴも日本オリジナルのものです。

パッケージ裏です。キャッチコピーは「感動?勇気?そんなもん問題じゃないね…」。当時はJRPG人気が高かったこともあり、そのアンチテーゼ的なスタイルを意識しているのでしょうか。

基本的なゲーム内容は、「電話ボックスで仕事を受けてミッションをこなす」というサイクルをこなしていくというものになります。操作は×で前進、◯で後退、□で攻撃と少し特殊ですが、一部の操作はPS2版の『GTA:SA』などでも踏襲されています。また、シリーズとしては異色の主人公選択制というのも特徴の一つと言えるでしょう。

ところで昨今では『グランド・セフト・オート』次回作が「初の女性主人公」と報じられることがありますが、実はこの1作目時点で「Ulrika」という女性キャラが登場しています。ただ、選んでもゲームプレイどころか主人公のグラフィックすら変わらないので、正しく“初の女性主人公”とは言いにくいところです。

ローカライズは基本的に「〇〇しろ!」というような命令口調に訳されています。後に発売されるカプコン版『III』~『SA』でもシステムメッセージなどの方向性が似ているため、こちらも踏襲しているのかもしれません。

なお、死亡時のWASTEDは「おだぶつだ!」という珍訳に。BUSTEDは「ブタ箱行きだ!」となっています。『III』以降は変に訳されなくて良かった……!と思いますが、これはこれで味がありますね。

『X-COM 未知なる侵略者』

Firaxis Gamesが『XCOM: Enemy Unknown』でリブートしたターン制戦略SLGの金字塔『XCOM』は日本でも有名なシリーズになりましたが、実は旧シリーズ第1作目の国内版が過去に発売されていました。プラットフォームはPlayStationです。

開発元は『Civilization』で知られるシド・マイヤー氏がかつて在籍したMicroProseで、日本での発売元は株式会社マイピックのゲーム開発・販売部門「メディアクエスト」です。メディアクエストは2002年にマイピックからキッズステーションへ譲渡されました(参考: Game Watch)。しかし、現在は活動を行っていません。

パッケージアートです。日本オリジナルかは不明ですが、海外版とは異なるアートが採用されています。PS版は国内外問わずPC版1作目のロゴとは異なり、シリーズ2作目の殴り書いたようなものになっています。

パッケージ裏と盤面です。ゲーム内容の説明はなく、ストーリー設定のみ書かれています。

左が『X-COM: 未知なる侵略者』の説明書。

本作でもっとも特徴的なのは、マニュアルが非常に分厚いこと。合計132ページもあります。PS1のゲームではトップクラスくらいの厚さなのではないでしょうか。

地球を守る組織「X-COM」を統括し、宇宙人の侵略から地球を守る……というのが本作の目標。オープニングムービーやキャラクターグラフィックは、リブート版2作と比べるとアメコミ調な印象です。

プレイを開始すると、プレイヤーは地球上のどこかに基地を建設することになります。その後はUFOの飛来に備えて待機させ、飛んできたらそこに向かって出撃し、空中戦へ突入。UFOを撃墜するとどこかに墜落するので、そこに向かって地上戦が始まります。

説明書を見ずにプレイしようとしたら、インターフェースにアイコンしか描かれていないこともあり、まったくプレイ方法がわかりませんでした。しかし先ほど紹介した分厚い説明書は本作のプレイを一連の流れに沿って詳しく解説してくれているため、しっかり読み込みさえすれば充分に遊べます。

1匹だけで地球に来ていたエイリアンを殺しました。サノスのような見た目をしていますね。

次ページ:新作発売日決定の『ディアブロ』1作目の日本版はどんな感じ?
《みお》

取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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  • スパくんのお友達 2023-01-05 14:36:45
    AOEにBFも無しとかマジかよ
    1 Good
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  • スパくんのお友達 2023-01-05 4:24:28
    パブリッシャーの行く末を調べてみても楽しい事は少ないと思うが…。
    2 Good
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  • スパくんのお友達 2023-01-04 23:26:23
    今とは比べ物にならないくらいの不親切なゲームばかり。
    2 Good
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    2件の返信を表示 返信を非表示
  • スパくんのお友達 2023-01-04 22:51:55
    GTA6の初女性主人公の名前が初代GTAの主人公選択に出た女性キャラの名前になってたりして。
    3 Good
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  • スパくんのお友達 2023-01-04 16:10:55
    ファークライのグラフィック良いね
    7 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2023-01-04 14:24:39
    GTA1のPC版は昔のTGSで体験版配布しててそれで遊んだけど
    PS版もおだぶつだ!健在だったのね。
    GTA5のMODでおだぶつだ!ブタ箱行きだ!に差し替えるMODってあるのかな
    2 Good
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  • スパくんのお友達 2023-01-04 12:45:22
    PS版X-COM持ってたよ、ロードが長かったなあ
    最終ミッションの開始方法がわからなくて(条件は整えていたけど出現したのに気付かず)長年未クリアだったけど、後になってDOSBox版でクリアしたよ
    Psi-Ampの「テレパシーアンプ」って訳が好きだった
    5 Good
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  • スパくんのお友達 2023-01-04 11:26:57
    デカイ箱にCD1枚と紙ぺら数枚の日本語マニュアル付き英語版とかの話もしよう
    8 Good
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  • スパくんのお友達 2023-01-04 9:45:10
    GTAの「おだぶつだ!」「ブタ箱行きだ!」「ナムアミダブツ!」みたいな訳はZOOが手掛けたPC日本語版からの踏襲で、こっちに先に馴染んでたから、ローカライズがカプコンに移った当初は「翻訳のノリが悪くなった」と感じてた、ZOO版の日曜洋画劇場みたいなノリが好きだったわ、ボスの指令のテキストもいちいち頭が悪そうで

    PS版DIABLOは日本語で遊ぶための唯一の手段だったから当時買ったし遊んだけど、PC版から解像度が1/4になってるせいでオーバーレイ型のミニマップが見辛くてしょうがなかった、主人公の位置と向きを示す矢印が数ドットしかない上に潰れて矢印の形じゃなくなってるし、あれさえなければ文句なしだった
    ネットワークマルチプレイが無い代わりにPS版独自要素として入ってた固定画面二人同時プレイもやりづらいけど楽しかったし。
    25 Good
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