気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Ancient CorporationとBitwave Games開発、PC向けに7月31日にリリースされたレトロ2Dシューティング『アーシオン』開発者へのミニインタビューをお届けします。(スイッチ/PS4/PS5/Xbox Series X|S版は2025年9月発売予定(ダウンロード版)。スイッチ/PS5向けのパッケージ版は2025年10月30日発売予定。メガドライブ版は2026年発売予定)
本作は、サウンドクリエイター古代祐三氏が設立し、『ベアナックル』『ストーリー オブ トア ~光を継ぐ者~』『アクトレイザー』などの16bit時代の人気シリーズ作品の生みの親としても知られるエインシャントが開発を手掛ける、レトロ2Dシューティング。プレイヤーは、地球の環境調査員の小鳥遊アズサとなり、攻撃を受けた地球を守るため徹底抗戦を展開します。発売前にも開発者インタビューを実施しています。
『アーシオン』は、2,980円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
和田氏エインシャントの和田誠と申します。本作ではディレクター・プログラマ・グラフィック・企画を担当しています。好きなシューティングは『ダライアス エクストラバージョン』です。数年間仲間内でハイスコアを競い合っておりました。
古代氏古代祐三です。開発プロデューサーと音楽、効果音を担当しました。好きなゲームはシューティングでしたら『グラディウス』シリーズ、特に1と2ですね。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
和田氏本作では、セガの名ハード「メガドライブ」の仕様に則ってシューティングを本気で作っています。現代の開発環境と、大容量で当時では実現できなかったゲームをお届けするのが本作の魅力となっています。また、シューティングが苦手な方でも楽しめるよう、工夫を凝らしています。具体的にはパスワードを使うことで、強化された状態で最初から遊ぶことができます。パスワードはゲームクリアやゲームオーバー時に手に入りますので、繰り返し遊ぶことで徐々に難度を下げて楽しんだり、より高難度のモードへ手軽に挑戦できるようになっています。
古代氏アイデアは基本的な部分は和田にお任せですが、提示されたもの(特に武器や敵の設定)に対していろいろとリクエストはしていましたね。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
和田氏80年代後半から90年代初頭のシューティングゲームを念頭に、できるだけ遊びやすいゲームシステムに仕上げました。この時代のシューティングゲームは1発死が多いですが、本作では遊びやすさを考慮して自動回復するシールド制となっています。昨今のFPSなどでよくみられるシステムですね。
古代氏私個人としては、やはり『グラディウス』シリーズの影響が大きいです。アーシオンの企画が立ち上がった際、最初に和田へリクエストしたのは、いわゆる「細胞面」でした(笑)。 そのほかにも、定番の母艦や要塞といった設定も盛り込んでいます。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
和田氏元々は半年程度の期間で小さなゲームを作るつもりだったのですが、Xで公開したところ予想以上の反響をいただきました。さすがに半年で作るレベルでは満足いただけるとは思えなくなり、方針変更してガチ仕様のシューティングゲームを作ることとなりました。文字通り、皆様の声援のおかげでここまでたどり着けたゲームだと実感しました。
古代氏やはり、Xで最初に動画を公開した際のウォッチャーの反応が非常に印象的でした。公開直後から「これがMDで動くなんて信じられない」という声が多く寄せられました。 その直後、Limited Run Gamesから製品化のオファーをいただきましたが、このゲームを世界中のシューティングファンに届けたいという思いがあったため、その販売網に期待して快諾しました。また、ほぼ同時期にexA-Arcadia社からもアーケード版の制作を提案されました。アーケードゲームを作ることは私の夢でもありましたので、こちらも迷わず快諾しました。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
和田氏遊んでいただいた方々からのご意見はほぼご満足いただけたと感じました。特に低難度モードでのプレイフィーリングが良かったことが嬉しかったです。シューティングゲームの低難度モードはどうしてもメリハリのないゲーム展開になりやすいものです。本作は自動回復のあるシールド制ですので、多少難度の起伏があってもプレイヤーの死に繋がりにくく、緊張感ある展開に感じていただけたようです。
古代氏音楽や効果音については、当時のシューティングゲームのBGMから受けたインスピレーションを込め、自信を持って送り出しました。その思いがユーザーの皆さんにしっかりと伝わっていたことが、何より嬉しかったです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
和田氏本作の目標はMD・互換機向けのカートリッジの販売となります。皆様のご意見をもとにゲームバランスやシステム、見た目などの向上、及び取りこぼしたバグの解消も行っています。同時にチャレンジモードの追加は継続的に行っていく予定です。
古代氏まずはSteam版をリリースしましたが、「早くメガドライブのカートリッジ版で遊びたい」という声を多くいただきました。カートリッジ版の発売は来年を予定していますが、それまでに寄せられたフィードバックやバグ修正をしっかり反映させ、万全の状態でお届けしたいと考えています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
古代氏攻略動画やプレイの感想(インプレッション)などの配信であれば、収益化を含めて問題ありません。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
和田氏ガンガン敵を破壊していく気持ちよさ、熱い演出、FM音源の古代サウンド、昭和最後の家庭用ゲーム向けに作り込んだ完全新作シューティングです。ぜひ最後までお楽しみください!
古代氏本作は、メガドライブというクラシックなハードの限界に挑戦しながら作り上げた作品です。シューティングファンの方はもちろん、当時を知らない世代の方にも、新鮮な驚きとワクワクを感じてもらえたら嬉しいです。ぜひ遊んでみてください!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。










