
自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今回の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第35回では、Kygua Techが開発し、Gamersky Gamesがパブリッシャーを手がける三国志系デッキ構築型ローグライト『蜀末:三国血月伝』をご紹介します。
『蜀末:三国血月伝』とは

本作は、中国のいわゆる「三国志」の時代を舞台にしたデッキ構築型ローグライトです。プレイヤーはステージを進み、ツリー状のエリアを選択しながらステージボスを倒し、全3ステージをクリアすると*勝利*……という、基本的なデッキ構築型ローグライトを踏襲しています。
「三国志演義」を舞台にしたゲームと言えばコーエーテクモゲームスの『三國志』や『真・三國無双』シリーズはもちろんのこと、ローグライク/ローグライトに限った分野でも本連載第9回で取り上げた『三国・帰途』が該当します。第16回で取り上げた『無双アビス』も三国志の武将が登場するという意味で言えばこれに含まれるかもしれません。
しかしながら『三国・帰途』がラスボスを「董卓」とした、三国志演義序盤の流れを踏襲したものだったのに対し、本作『蜀末:三国血月伝』は三国志演義の終盤も終盤、(横山光輝先生のマンガ「三国志」全60巻のうち最終巻で片付けられたような)蜀の末期の武将の戦いを描いたifモノです。

まずは本作のプレイアブルキャラクター4人を見ていきましょう。最初のキャラクターは「関興」。今でも世界各地の中華街で祀られる軍神「関羽」の息子で、攻撃と防御のバランスのいい安定したキャラクターです。関索?知らない子ですね……

次は紅一点の「張星彩」。劉備・関羽と共に桃園の誓いを結んだ英傑・張飛の娘です。無双シリーズでの「星彩」の呼称の方がなじみ深いかもしれません。弓と敵の回避の攻撃に長けますが、敵の複数攻撃の対処は苦手です。

3人目は「姜維」。かの大軍師・諸葛亮孔明に才能を見出され、孔明の遺志を継ぐものとして終わりなき戦いへと挑みます。本作ではビームは出しませんが、羽扇ファンネルやメテオは使います。

4人目は「劉諶」。三国志演義では蜀の首都・成都に迫る魏の軍勢に対して君主の劉禅が降伏へと向かう中、劉禅の息子である彼はたった1人徹底抗戦を主張し、それが退けられると家族を道連れに劉備の霊廟の前で憤死した……という悲運のキャラクターですが、本作では幼い姿で登場しています。
本作においては何故か猫への変身や、一定ターン後に敵にダメージを与えるといった特殊なギミックが数多く用意されたキャラクターとなっており、攻撃力は向上するが防御カードが使えなくなる猫の姿とすべてのカードを扱える人間の姿のフォームチェンジをテクニカルに切り替えて戦うキャラクターです。
劉備も孔明も、五虎大将軍(関羽・張飛・趙雲・馬超・黄忠)もこの世を去った後の蜀の英傑たちがプレイアブルキャラクターという、かなり変わり種の三国志ゲームが本作『蜀末:三国血月伝』なのです。
カードのコストもない!HPやダメージの数値表示もない!変わり種のデッキ構築型ローグライト

『Slay the Spire』に代表されるデッキ構築型ローグライトでは、「カードにコストが設定され、毎ターン支給される特定のリソースに対しコストを消費してカードを使用する」というものが大半です。しかしながら、本作にはカードに「使用コスト」が一切存在しません。
では、カードが出し放題なのか……というとそんなことはなく、自分のターンでは「攻撃」カードは基本的に1枚しか出せないという制限がついています。この辺りのコストの概念の違いは、カードにマナ・コストがある『マジック:ザ・ギャザリング』と、カードに基本的にコストがない『遊戯王OCG』のようなものだ……と言えばカードゲーマーの皆様には伝わりやすいかもしれません。

「防御」カードは基本的に敵ターンに敵の攻撃に合わせて使います。なお敵の攻撃に合わせて攻撃カードを使うことも可能で、この場合基本的に敵より先にダメージを与えられるので、残り僅かなライフの敵は防御カードでなく攻撃カードで潰すこともできます。また、攻撃・防御カードのいずれにも属さない「技」カードもあり、これは自ターンなら基本的に何枚でも、敵ターンでは敵の行動に合わせて使うことができます。

また、本作の特色として「ライフやダメージ、シールドなどが数値ではなくアイコンで表される」という点が挙げられます。どれだけのダメージを相手に与えれば倒せるのか、相手の攻撃にどれだけ耐えられるのかが一目でわかる仕組みになっており、何かと複雑なダメージ計算になりやすいデッキ構築型ローグライトにおいて、本作の仕組みはわかりやすい印象です。

表示がシンプルな分、本作の特に序盤ではプレイヤーのライフが特に少ない……という印象を受けがちです。しかしながらすべてのキャラクターが戦闘時に2回HPを全回復できる酒を持っている(戦闘不能時に自動使用・ステージをまたぐと使用回数回復)を持っているので、実際のライフは見た目よりも結構あります(それでも油断すると一気に持っていかれるのが本作ですが)。

本作の「三国志」としての世界観は、かなり奇妙なものになっています。本作のプレイヤーキャラクターはいずれも蜀末期の英傑たちですが、敵のボスには黄巾党の頭領・張角など、時代を無視した武将たちが立ちはだかります。

蜀を建国した劉備の妻であるはずの、孫尚香までもがボス敵として登場します。


三国志最強の武将・呂布とその恋人の貂蝉、そして魏王・曹操までもが歴史を越えてプレイヤーキャラクターの前へと立ちはだかります。いったいこのゲームの世界では、何が起こっているのでしょうか?

本ゲームの初回クリア時には、「司馬昭」(魏の大都督にして諸葛孔明のライバルとして知られる「司馬懿仲達」の息子で、後に晋を建国して三国統一を果たす「司馬炎」の父)が意味深に顔見せしてきますが……はたして彼こそがこの時代の混乱の黒幕なのでしょうか?

本作は「血月」と言われる縛りプレイレベル(いわゆる「アセンション」)があり、「血月九」まで至ると司馬昭がその姿を現します。彼の目的はいったい何なのか?それは是非ともゲームをプレイして、皆様の目で確かめて頂きたいと思います。
『蜀末:三国血月伝』は、PC(Steam)にて1,000円で配信中です。














