任天堂は、『あつまれ どうぶつの森』Ver.3.0 無料アップデートを配信しました。同時に、ニンテンドースイッチ2向けに『あつまれ どうぶつの森 Nintendo Switch 2 Edition』も発売しています。
配信前の告知では「リゾートホテル」が中心になりそうな印象のあったこれらの追加要素ですが、実際にプレイを進めていくにつれて、これまで『あつ森』を楽しんだことのあるプレイヤーなら心を動かされること間違いなしの大きな魅力を秘めていることが分かってきました。
本稿では、今回のアップデートの2本柱である「リゾートホテル」と「夢の島」を中心に、本作を4,000時間以上プレイした筆者がさらに惹きつけられたその魅力を実体験を交えながらレポートします。

手軽にコーディネートが楽しめる「リゾートホテル」
筆者の『どうぶつの森』歴は比較的浅く、シリーズに触れたのはニンテンドー3DSの『とびだせ どうぶつの森』からです。当時は特に強い関心があったわけではなく、「有名シリーズだから一度は遊んでみよう」程度の軽い気持ちで手に取ったことを覚えています。しかし、細部まで丁寧に作り込まれた世界に魅了され、以来13年間にわたってすっかりハマってしまいました。
そんな筆者がアップデートの直後に向かったのは、新要素の「リゾートホテル」です。島の桟橋に突然建設されたこのホテルは客室の内装が未完成とのことで、プレイヤーが部屋のコーディネートを任されることになってしまいます。

コーディネートの手順は、2021年に発売された有料追加コンテンツ『あつまれ どうぶつの森 ハッピーホームパラダイス』と同様です。指定されたテーマごとにおすすめの家具が用意されているので、家具選びに迷うこともありません。
それらの家具をそのまま並べていけば、すぐに終わるはずのコーディネート。しかし、初めて目にする家具をどこに並べようかと思い描くだけで心が弾み、気がつけば1部屋作る間に1時間半が経過していました。
デザインセンスに自信のない筆者でもコーディネートが楽しめたのは、登場する家具の系統や色合いが入念に調整されているおかげです。

客室のコーディネートだけでも十分に魅力的な追加要素ですが、ここまではアップデートの配信前から大々的に告知されていた内容です。リゾートホテルの本当の価値が明らかになったのは、客室の準備が整い、観光客が島を訪れるようになってからのことでした。
マルチプレイで開拓することも可能な「夢の島」
リゾートホテルの真価を語る前に、もうひとつの追加要素である「夢の島」にも触れていきます。夢の島は「Nintendo Switch Online」加入者限定の新要素で、普段生活している島とは別に、自由に開拓できる島を3個まで持てる機能です。
夢の島はマルチプレイの舞台としても利用できます。注目すべき点は、これまでマルチプレイ中には禁止されていた家具の設置や島クリエイターが可能になることでしょう。夢の島では島の持ち主だけでなく、プレイヤー全員が同時に同じ島を開拓できるのです。

夢の島では、これまで一度でも手に入れたことのあるアイテムを何でも呼び出して配置できます。同じ手順でどうぶつを呼び出すこともできるので、初めてこの機能に気づいた時、筆者は喜びのあまり思わずコントローラーを落としそうになりました。
と言うのも、呼び出せるどうぶつは現在島に住んでいる住民だけでなく、これまで島で一緒に暮らしたことのある住民全員だったからです。

何年も前に島から引っ越していった懐かしい顔にまた会える……。筆者の脳裏には、発展途上の島で同じ時間を共にした当時のかけがえのない思い出が蘇りました。これは事前の告知になかったサプライズです。
しかし、その感動はすぐに失望へと変わりました。夢の島に現れたどうぶつは島の中をただ歩き回るだけで、話しかけても返事をしてくれません。まさに、夢の中でのつかの間の再会。
目の前にいるのにコミュニケーションできないもどかしさは、失望を通り越して物悲しさすらありました。

観光客が島にもたらした「変化」
ここで話はリゾートホテルに戻ります。今回のアップデートが発表された当初、筆者はこの追加要素を過小評価していました。既存の有料追加コンテンツにおける別荘コーディネートの簡易版に過ぎないと考えていたのです。
しかし、リゾートホテルの真の狙いは客室のコーディネートではありませんでした。ホテルの宿泊客が島を歩き回るようになるにつれて、出会えるどうぶつの幅が一気に広がったのです。

『あつまれ どうぶつの森』に登場するどうぶつは総勢400人を超えますが、一度に島に住める住民は10人までに制限されています。そのため、従来は新しい住民を迎えるためにそれまで時間をかけて仲良くなった住民と別れる必要がありました。
しかし、リゾートホテルが登場したおかげで、仲良しの住民と別れることなく毎日新しい顔ぶれに出会えるようになったのです。
これまでにも島の外から時折どうぶつが訪れる「キャンプサイト」という要素はありましたが、訪問者がテントの外に出ることはありません。一方、ホテルに宿泊している観光客は島の中を自由に歩き回り、商店や博物館といった施設を利用することもあります。専用のセリフも用意されており、住民と同じように性格や周囲の環境によってセリフの内容が細かく変化します。

嬉しい驚きはこれにとどまりません。数日後、偶然道ですれ違った観光客は、なんと数年前まで同じ島で暮らしていた顔見知りの住民でした。しかも、以前この島に住んでいたこともプレイヤーの名前もしっかり覚えていたのです。
その記憶が仮初めのものだと頭では分かっていても、一緒に過ごした日々がまざまざと脳裏に浮かび、心を大きく動かされました。ゲームの中で現実と同じ時間が流れ、昼夜や季節の変化を共にする作品だからこそ、そう感じるのでしょう。夢の島では叶わなかった再会が、思いもよらぬ形で果たされた瞬間でした。

懐かしい住民との再会をきっかけに、筆者は久しぶりに昔の「島しんぶん」を振り返ってみました。島しんぶんは任天堂が提供するスマートフォン向けアプリ『Nintendo Switch App』内の「タヌポータル」で提供されているサービスで、島で起きた出来事を新聞記事の形式で自動的に記録してくれる機能です。
4年以上前に始まった島しんぶんには、筆者の予想を超える古い記事まで保存されていました。過去の記事を辿っていくと、当時の出来事とその時抱いていた感情がありありと思い出され、まるで昔の日記を読んでいるかのよう。これも本作ならではの心の動きかもしれません。以前から島しんぶんを設定している方は、ぜひお試しください。

リゾートホテルが繁盛するにつれて島を歩き回る観光客の数も次第に増えていき、ついには観光客と住民がほぼ同数という状態になってしまいました。宿の予約が取れない観光客や、リピーターまで現れるようになり、かつて無人島だった島は今やすっかり人気観光地の仲間入りです。
任天堂が日本有数の観光地・京都に本社を置くメーカーだからというわけでもないのでしょうが、人気観光地の日常的な悲喜こもごもが作品の中に登場するのは面白い体験です。アップデート前にはこんな展開は想像もつきませんでした。

自然に生まれる「遊び」と「コミュニケーション」
ここで話は再び夢の島に戻ります。筆者が初めて夢の島を訪れた時はソロプレイでしたが、しばらく1人で遊んでみて、やはりこの機能はマルチプレイでこそ活きると感じました。
そこで、アップデートの配信から数日後、筆者はネット上の友人と2人で小規模なマルチプレイを開催。この時、スイッチ2の「ゲームチャット」機能は利用していたものの、ボイスチャットは有効にしなかったため、意思疎通の手段はゲーム内のテキストチャットと「リアクション」(エモート機能)だけでした。

夢の島に到着した2人は特に目的も決めず、あうんの呼吸で思い思いに島を改造し始めました。1人が崖を作ればもう1人が滝を作り、1人が家具を置けばもう1人が隣に別の家具を置くといった調子です。

ひとしきり島を作り変え、そろそろできることもなくなってきたかと思われた頃、アイテムの中に「タイマー」が用意されていることに気づきました。タイマーは文字通り時間を計る道具で、さらに制限時間内に捕まえた魚や虫の数をカウントする機能もついています。
タイマーを使って突然始まった釣り大会は白熱し、勝負は引き分けに終わりました。夢の島での遊びは島づくりが中心とはいえ、サンドボックス的に好きな遊びを楽しむことも可能です。たとえば、夢の島にはタイマーの他にも遊び道具として「おとしあなのタネ」が用意されています。

釣りに熱中した2人は次に、夢の島でも自宅の内装がコーディネートできることに気づきました。家の中では2人同時に作業できない制限があったため、おのずと家の中と外に1人ずつ分かれて作業する形になり、気がつけば2人ともすっかりコーディネートに夢中です。
ゲームチャット機能で互いの画面を共有しているため、相手がコーディネートしていく過程をリアルタイムで観察できるのが楽しく、いつの間にか「相手のテーマに合わせてコーディネートする」という新しい遊びが生まれていました。

一緒にプレイした友人は、今回のマルチプレイを総括して「『あつ森』プレイヤーは何も決められていなくても勝手に創り出してしまう」と評していました。
筆者も同感です。島や家の飾り付けだけでなく、「遊び」そのものを創り出してしまうのです。

あまり知られていませんが、『どうぶつの森』シリーズの根底には「コミュニケーション」というテーマが貫かれています。おそらく、今回のアップデートで最もこのテーマに近いのは夢の島でしょう。
今回ご紹介したのは少人数での体験ですが、最大12人までに拡張されたマルチプレイで夢の島を訪れたら、一体何が起きるのか想像もつきません。ぜひ一度体験してみたいものです。
『あつまれ どうぶつの森』は、4,000時間以上遊んでいても新しい発見が尽きない奥の深い作品です。アップデート後に本作を遊んだことがある方も、まだ遊んでいない方も、本稿をきっかけにひとつでも新しい遊びを発見していただければ幸いです。
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