2026年4月24日(金)より全国ロードショーされる「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」。
今回はヨッシーやロゼッタ、クッパJr.といった人気キュラクターから、おもしろいところでいうと、『スーパーマリオUSA』からマムー(英語名:ワート)まで登場しており、世界観が大幅に拡張されます。
2023年に公開された、前作「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が世界的にヒットしたことで、とんとん拍子にシリーズ化が決定し、急ピッチで当初の予定よりも早く制作されました。
一時期は『ドンキーコング』のスピンオフや『マリオカート』に焦点を当てた作品を制作する企画も模索されていましたが、今は「ザ・スーパーマリオブラザーズ」シリーズのなかに集約する方向性になったようです。
実写ではありますが、2027年には『ゼルダの伝説』の公開も控えており、ずっと消極的だった任天堂の映画展開が、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の成功によって、本格化したことがわかります。
今回は、任天堂が映画やアニメ制作にずっと消極的であったのかについて深堀していきながら、『スーパーマリオ』アニメ化の歴史について探求していきます!!

『スーパーマリオ』が初めてアニメ化されたのは、松竹が制作し、1986年に公開された「スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!」まで遡ります。
クッパ大王の声優は和田アキ子が務めたとこでも知られている作品ですが、日本が制作した『スーパーマリオ』の長編アニメとしては、後にも先にも同作のみです。ちなみに和田アキ子さんがアニメの声優を務めた作品は、「ザ・シンプソンズ MOVIE」(2007)と2本のみです。
その後はというと、デパートのおもちゃ売り場などで販売するVHSとして、1989年に「アマダアニメシリーズ スーパーマリオ」の「しらゆきひめ編」「ももたろう編」「いっすんぼうし編」が制作され、1480円で販売されていました。
また、同年に「ドラゴンボール 悟空の交通安全」などを制作した東映の教育映像部が「スーパーマリオの消防隊」、「スーパーマリオの交通安全」といった教育アニメを制作しました。
1991年に電話型おもちゃのてれびっこ用VHS「スーパーマリオワールド マリオとヨッシーの冒険ランド」も制作されましたが、短編ばかりです。ちなみに同作の声優は、マリオ役に古谷徹さんとルイージ役に水島裕さんが「スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!」から続投しています。
1994年に小学館・小学一年生の応募者全員サービスの「マリオ・カービィ 名作ビデオ」に収録された短編作品を最後に、日本で『スーパーマリオ』のアニメは制作されていません。

一方、海外で制作されたアニメとしては、「ウゴウゴルーガ」や「おはスタ!」のような実写バラエティと短編アニメが合体した子供向け番組として1989年に放送されていた「The Super Mario Bros. Super Show!」の中で放送されていたものが初めてのアニメとなります。ちなみに同番組では『ゼルダの伝説』のアニメも放送されていました。

その後、クッパを主人公としたスピンオフ番組「King Koopa's Kool Kartoons」が制作されましたが、この番組は、パブリックドメインの古いアニメを紹介する番組で、『スーパーマリオ』に関係するものが放送されるというわけではありませんでした。ここで気になるのがタイトル名です。“クッパ”というのは、種族の名前であるため、英語名では「Bowser」(バウザー)なのですが、この頃は、まだ日本と同じくクッパ大王と呼ばれていました。
のちに「The Super Mario Bros. Super Show!」の続編アニメとして、番組からは独立するかたちで、1990年に「The Adventures of Super Mario Bros. 3」が制作されます。

そして翌年には、スーパーファミコン用ソフト『スーパーマリオワールド』の発売にあわせて、全13話の「Super Mario World」も制作されましたが、それが海外でのアニメ化としては最後になりました。
このように『スーパーマリオ』のアニメ化は、基本的に80年代後半~90年代前半に集中しており、その後は日本と海外、どちらでも制作されていません。
実は欧米ではコミック展開もほとんどされていません。『バイオハザード』や『サイレントヒル』、『ラチェット&クランク』などなど、何でもコミック化するアメリカであっても、キラーコンテンツともいえる『スーパーマリオ』をスルーしているのです。
マリオやルイージが登場するコミック寄りの絵本やコロコロコミックで現在も連載中の「スーパーマリオくん」を英語翻訳版などはありましたが、リーフタイプのコミックは、どこからも出版されていません。
これには、コミック化したくてもできなかった理由があるようです。

実は、『ロックマン』や『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、レアなところでいうと『ナイツ』のコミックシリーズを手掛けてきたアーチー・コミックスのクリエイター、イアン・フリンが脚本、ベン・ベイツとトレイシー・ヤードリーが作画を手掛けて、『スーパーマリオ』のコミックシリーズを2015年頃に企画し、実際に試作コミックを執筆しました。
それを任天堂に売り込みに行き、任天堂アメリカでは好評だったものの、日本の任天堂は、この企画を却下したという経緯を、イアンが「聞いている」とSNSで明らかにしていました。その後も何らかのかたちで『スーパーマリオ』のキャラクターを登場させようと試みたそうですが、どれも実現しませんでした。

ところが今年になって、アーチー・コミックス85周年記念として、4月に「Archie Game Galaxy」というコミックを発売することが決定しています。オフィシャルサイトにある、このコミックの説明文には、マリオが登場するとは書かれていませんが、”「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」の公開を記念して~”とは書かれています。
おそらく、2025年に出版された『マインクラフト』や『パックマン』などの複数ゲームをオマージュした「Archie & Friends : Level Up!」みたく、アーチーやジャグヘッドといった、キャラクターたちが、ゲームの世界に迷い込むマルチバース的な物語だとは思いますが、こういった企画の裏には、まだ『スーパーマリオ』のコミック化を諦めきれない想いがあるのかもしれません……。
少し話を戻すと、どうして日本の任天堂は『スーパーマリオ』の映像化やコミック化に消極的だったのでしょうか。それには実写映画「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」(1993)の商業的失敗が影響しているようです。1990年代後半から映像化が途絶えたことを考慮すると、時期的にも一致してきます。
おそらく『スーパーマリオ』の再映画化やアニメ化企画は、それ以降も何度かされていたのでしょう。2000年代に「任天堂ユニバース」的な企画として『スーパーマリオ』、『メトロイド』、『ゼルダの伝説』を映画化しようとしていた動きもありましたし、実際に2010年代には、ソニー・ピクチャーズが『スーパーマリオ』の映画化権を取得しようとしていたことが明らかになっています。
では、どうして「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の制作が実現したかというと、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクション「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の開発時期に、任天堂の宮本茂がユニバーサル・ピクチャーズから、「グリンチ」(2018)、「ロラックスおじさんの秘密の種」(2012)などのドクター・スースの絵本を原作としたアニメ映画や「ミニオンズ」シリーズなどで知られるイルミネーション・アニメーション部門の創設者兼CEOであるクリス・メレダンドリを紹介されたことで『スーパーマリオ』映画化の窓口が再度広がったことが要因とされています。

そして実際に「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、世界的に成功したこともあって、一度は消極的になっていた映画化の窓口が開きつつあることは間違いありません。
つまり『ゼルダの伝説』の映画化にゴーサインが出たことにも、大きく影響しているのです。
すでに公開前から、超話題作として注目を集めている「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」ですが、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」同様、もしくはそれ以上に世界的なヒットを記録すれば、企画段階で足止め状態となっている映画やアニメの制作がさらに活発化する可能性は高いです。
次はどの任天堂ゲームが映像化されるでしょうか......。













