自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今回の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第46回では、Mega Critが開発・販売を手がける現在早期アクセス中のデッキ構築型ローグライト『Slay the Spire 2』をご紹介します。
『Slay the Spire 2』とは

「カードを収集してデッキを組む」トレーディングカードゲームの要素、そして「毎回環境がランダムで構成され、同じ冒険が1つとない」ローグライクゲームの要素を融合させた、2019年リリースの『Slay the Spire』(以下、『StS』)はその斬新なゲーム性が評価され、「デッキ構築型ローグライク/ローグライト」というジャンルを生み出しました。『StS』の登場以降、多数のフォロワー作が現れたことは本記事をお読みの皆様はご存じのことかと思います。
フォロワー作が多数現れても、『StS』は独自のバランス調整で「本家」としての存在感を強いものとしていましたが、2026年3月6日についに待望の続編『Slay the Spire 2』(以下、『StS2』)の早期アクセスが始まりました。なお、本記事は2026年3月29日時点の早期アクセスバージョン(v0.101.0)に基づいて製作されており、今後の早期アクセスでのバランス調整次第によっては記事内容から大きくゲームが変更される可能性があることをご了承ください。



物理攻撃と強靭な肉体を武器とし、攻撃力のためなら多少の自傷やデッキ破壊も厭わない「アイアンクラッド」、ナイフや毒、手札操作などさまざまな掠め手を得意とする「サイレント」、いろいろな特殊効果を発揮するオーブをコントロールし、テクニカルに戦う「ディフェクト」の3キャラクターは前作より続投しています。


さらに『StS2』ではエネルギーとは別のリソース(◆)を使用した魔法や、巨大浮遊剣ソヴリン・ブレードを駆使する「リージェント」、自らの配下であり、盾代わりにもなる左手や一定HP以下になると敵が即死する呪いを操る「ネクロバインダー」の2キャラクターが新たに追加されています。この5キャラクターで、再び「スパイア(尖塔)」へと挑みます。


ゲームシステムや進行の流れ自体は前作『StS』からほとんど変更はありません。さまざまなイベントが配置されたツリー状のマップを下から上に進み、モンスターとの戦闘に入れば毎ターン支給される3エネルギーと5枚の手札を使い、できるだけダメージを受けないように敵を倒していきます。マップの終わりにはボスが待ち受けており、計3マップを踏破するとゲームクリアです。

戦闘終了時には3枚の候補のうちから1枚のカードを入手することができます。一見使い道がなさそうなカードでも、他のカードや道中で手に入るレリック(さまざまな特殊効果をもたらすアイテム)との組み合わせ次第ではビックリするような効果をもたらすことがあり、こういった組み合わせを発見していくのも本シリーズの魅力の1つです。

とはいえ、『StS2』の難易度は前作と同様、なかなか一筋縄ではいかない歯ごたえのある難易度を誇っています。ボスやエリート敵だけでなく、通常の敵も中盤以降はなかなか無被弾で倒すことは難しくなってきます。力及ばず、道中で死を迎えてしまうこともあるでしょう。

しかしながら冒険を繰り返すことで、さまざまな新規カードやレリックなどがアンロックされていき、キャラクターの能力の底上げこそはありませんがゲームは有利になっていきます。

2回目プレイ以降に初期ボーナスをくれるネオーさんも健在です。今回は正面からの見下ろし視点になったことで圧がアップ。

新キャラクターやマルチプレイといった新要素はありますが、おおむね『StS2』は前作からの正当進化と言ってよいでしょう。なお、マルチプレイは筆者が試していないためどんなものか語れないことをご了承ください。
厳しいけどついもう1回遊びたくなる魅力は健在、だけどその厳しさが多くのフォロワーを生み出したのかも?

『StS2』は前作の正当進化と書きましたが、「ゲームとしての難易度の高さ」も前作を引き継いでいます。しかしこれは決して理不尽な難易度の高さではなく、「悔しいけどもう一度プレイしたくなる」タイプの難易度の高さです。


方向性が定まったデッキをしっかり構築できればしっかりクリアできるような難易度調整にはなっていますし、さらなる高難易度を求める人のために「アセンション」(縛りプレイの追加、『StS2』では現在10段階まで)も用意されています。
しかし逆に言えば「方向性が定まらないデッキではクリアがままならない」「デッキ圧縮の重要性」など、プレイングのコツを知っていないとビギナーはどうしていいか戸惑う……というのが本作の欠点ではあります。こうしたプレイングのコツをプレイを通じて学んでいくのがローグライク・ローグライトの醍醐味……ではあるのですが、筆者はこの「『StS』シリーズの難易度の高さ」こそが多くのフォロワー作品を生み出した要因ではないのかと思っています。
本連載の過去の記事から、デッキ構築型ローグライトをピックアップしてみると……
『NEOVERSE』は『StS』フォロワーのもっとも早期の作品であり、初期はほぼ『StS』クローンでしたが数度のバージョンアップを経てコンボ・パリイといった独自システムや、多数のカードを一気にぶん回せる爽快なプレイ感覚、そしてプレイヤーキャラクターが全員美女という点でで『StS』との差別化に成功した作品でした。
『クロノアーク』はジャンルこそ『StS』と同じくデッキ構築型ローグライトですが、パーティ編成で使えるカードが変わる、そして何よりゲームシステムまでも巻き込んだストーリーに重点が置かれているという点が光ります。
『三国・帰途』は基本ルールこそ『StS』を踏襲していながら、「三国志」の序盤をベースにした世界観、武将や兵士をカードとする発想、魏・呉・蜀の三国ごとの独自システムなど、これもまたアイデアが光る一品です。
『Roguebook』はマップがツリー型ではなく「インク」を使って切り拓き探索する、2人タッグのデッキを組む、そして何より「デッキ圧縮の否定(デッキの枚数を多くすれば強力なパッシブスキルが入手できる)」と、これもまた独自システムが光ります。
『コマンダークエスト』はマップのツリーやカードシステムこそ『StS』を踏襲していますが、ゲームシステムはセミリアルタイムストラテジーです。
『神魔狩りのツクヨミ』(2026年4月23日サービス終了予定、同日に後続作『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』発売)もカードコストの概念こそ『StS』と類似するものの、手札3枚の位置を操作しながら攻撃や防御を切り替える……という独自のシステムはシンプルながら高い戦術性を持っています。
『忍び寄る恐怖:クトゥルフ選集』の基本戦闘システムはほぼ『StS』の踏襲ながら、1950~1970年代が舞台という設定、クトゥルー神話を背景としたコズミックホラーの雰囲気や「正気度」の概念、燃料も重要な独自のステージ進行システム、プレイの積み重ねで施設のアップデートなどが行われ遊びやすくなる……など、これもまた『StS』とうまく差別化できています。
『蜀末:三国血月伝』は『三国・帰途』と同じく「三国志」を舞台にした『StS』風ゲームですが、こちらは蜀末期の登場人物が三国時代の英傑たちと戦っていくというパラレル要素が強いストーリー進行と、「カードにコストがない」独自の特色を出しています。
『リーサルダンジョン』に至ってはもはや「デッキ構築型ローグライト」というジャンルしか共通していない、すべての敵を1ターンで倒すというゲームになっています。
ここまで取り上げた「デッキ構築型ローグライト」作品に共通することは、「いずれもデフォルトの難易度は『StS』シリーズよりも低く抑えられている」ということです(あ、『クロノアーク』はちょっと別方面で難易度高いかも)。
こうしたフォロワー作品の情熱の源泉は、おそらく「『StS』は難しすぎるからちょうどいいデッキ構築型ローグライトを俺らが作ろう」というところからきているのではないかと筆者は思います。もちろんこれらのフォロワー作品は単なるクローンではなく、独自のシステムもきちんと盛り込んでおり最終的には『StS』とは別物に仕上がっています。
しかしながらこうした『StS』フォロワーの動きが、かえって『StS』シリーズの絶妙な難易度の高さを唯一無二にしているのは間違いないでしょう。

先述した通り、『StS』シリーズの難易度は確かに高いのですが、それは決して理不尽な難易度ではなく、何度でもチャレンジ心を掻き立てられる絶妙な難易度の高さです。「うわ、またやられた……もう1回!」が止まらない、絶妙なプレイ感覚。筆者もプレイを始めた日に十数時間が解けてました。『StS2』は早期アクセスでまだ未完成とのことですが、それでもプレイし応えは充分にあります。「沼に堕ちる」体験がしたい人にはおススメです。
『Slay the Spire 2』は、PC(Steam)にて2,800円で早期アクセス実施中です。




















