
未知の惑星を舞台にした高難度ローグライトTPS『Returnal』を開発したHousemarqueから、新作『SAROS』が登場します。今回もまた未知の惑星で繰り広げられるシリアスでハードなTPSであり、たしかな手応えのあるゲームプレイに没頭することができました。
陰鬱ながらグラフィックは美しく、スキルツリーやモディファイアで自由に難易度を変えられる点も魅力的です。一方で、メインシナリオについては賛否が分かれるかもしれません。
※レビュー執筆に際して、SIEよりDLキーを提供いただいています。
死ぬたびに、君に近づく。変容する惑星カルコサを舞台にしたハードTPS
舞台は惑星カルコサ。地球の大企業ソルタリは、カルコサにある天然鉱物のルセナイトを求め、エシュロンという調査船を送っていました。
しかしながら、常に姿形を変えるカルコサのせいで、エシュロンI~IIIは行方不明になってしまいます。そして調査と先遣隊の救助を兼ねて、エシュロンIVが指揮されました。主人公のアルジュン・デヴラジは、そのメンバーのひとりです。
あまりに過酷な環境で、メンバーがひとりまたひとりと脱落もしくは発狂していくなか、彼は正気を保ちながら任務に就いていました。かつて失くした女の影を追い求めながら……。

本作のゲーム性や世界観は『Returnal』と似通っており、ほぼ後継作といっていいような作りです。
プレイヤーは常に形を変える謎めいた惑星を舞台に、何度も死にながら奥へ奥へと進む冒険を繰り広げます。プロシージャル生成のマップを巡り、銃や資源を入手しながら、奥地で待つボスに挑むのです。

今回も歯ごたえのある難易度は健在で、気を抜くと一瞬でやられてしまいます。しかしながら、あらゆる点で前作よりもハードルが低く、万人が遊べるように調整されていました。それらの点についてチェックしていきましょう。

まず「アーマーマトリクス」という名前のスキルツリーが導入されています。ボスごとに天井は設けられていますが、ランの途中で手に入れる資源を使えば、アルジュンを恒久的に強くしていくことができます。
一度に手に入る資源も豊富で、頑張った割に全然強くならない……という経験は皆無でした。『Returnal』では武器の熟練度くらいしか引き継がれませんでしたが、それに比べると大幅な易化だと感じます。

他には「カルコサ・モディファイア」という概念が途中から登場します。これはカルコサ全体に負荷をかけたり、あるいはヌルくしたりする設定です。こちらの与ダメージを上げたり、一方で復活能力を一時的に制限したりすることができます。
これは単に難易度オプションというわけではなく、制限をかけすぎるのも易しくしすぎることはできず、メーターの針が枠内に収まるように調整せねばなりません。
これにより、資源を集めるためにわざと負荷を強めにかけて、資源効率を上げるランを作れたり、逆に全然勝てないボスを倒すために資源を拾わずズンズン進めるランにできたりするわけです(流石に耐久力を限界まで上げるとほとんどの攻撃がかすり傷になってしまいますが)。
ただ単にイージー、ノーマル、ハードでは負けた気がするという筆者のようなめんどくさいアクションゲーマーにとって、このモディファイアは素敵な仕様だと感じました。

戦闘システムにも調整が入っています。前作ではただ敵の弾を回避するしか対策がありませんでしたが、今回は敵の弾の色に対して、パリイ・防御(吸収)・回避とさまざまに対処法が用意されています。
チュートリアルが不親切で最初のうちは何が何やらという感じなのが残念でしたが、慣れてくると敵弾を完璧に捌くことができるようになり、積極的に敵を倒していくアグレッシブなプレイができるようになります。
もちろん、この点もスキルツリーやモディファイで調整可能で、懐の深さに驚きます。

『Returnal』で培った撃ち合いの面白さはそのままに、よりプレイヤー側が介入できる余地が増え、間口も広くなった印象です。それでいて、手応えのある難易度は健在であり、ただ簡単にしました~みたいな雑な調整ではないというところに美学を感じました。
何となくTPSを遊びたいというプレイヤーから、地獄のようなステージを制覇したいというプレイヤーまで、誰でも遊べるシューターに仕上がっております。

仰ぐのは、永遠の太陽……思わせぶりに語られる、半径数メートル以内のストーリー
本作はエシュロンIVという調査船のクルーが登場し、徐々に正気を失っていくさまが描かれます。
時間感覚の狂った惑星で、生きてるかどうかもわからない先遣隊を探しながら、頭上に輝く黒い太陽に見張られる日々……そんなしんどすぎる状況を、たっぷりと時間をかけて描写するわけです。
翻訳文学のような文体で、恐ろしい太陽を崇めるセリフを吐いていく面々。さっきまで人間性を保っていた友人が、いきなり瞳孔を開いておぞましいことを喋りだすホラー感がありました。ソルタリから連れてきたAIのプライマリがまったく融通が利かないのもヤな感じで良いですね。

一方で、アルジュンの目的や動機に関するメインプロットについては、疑問が残ります。
彼が対面する問題は、ここ10年あまりのPlayStation Studiosタイトルが扱ってきたような、身勝手な中年男性が経験するありがちなミドルエイジクライシスの範疇であり、わざわざこんな惑星に来てまで語る内容ではない気もします(ある意味古典的な海外SFのプロットらしくもありますが)。

そこから明後日の方向にシナリオが爆走するのは好みではありましたが、納得できる内容ではありませんでした。

また、前作同様に、道中で手に入るロア(世界観設定を語る文章)にマスクがかかっており、誕生日などの大事なところが読めなかったり、まだ解析が必要だと、じらされる演出があってワクワクするのですが、いざ進めてみると、どうとでも取れる詩的なテキストが追加されるだけだったのはがっかりしました。

メインプロットはやや残念ではあったものの、TPSとしての完成度にはさらに磨きがかかりました。敵の弾を華麗にさばき、より強くなるローグライト体験を味わいたいなら間違いなく『SAROS』を遊ぶべきでしょう。

Game*Spark レビュー『SAROS』 PlayStation5 2026年4月30日
TPSと取捨選択の面白さがギュッと詰まったローグライト体験
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GOOD
- 自由な難易度調整と手応えのあるゲームデザインの両立
- 詩的でカッコいいフレーバーテキストやカットシーン
- アグレッシブに進化した戦闘システム
BAD
- 難解なだけで驚きがないメインストーリー
- 不親切なチュートリアル
- 一部武器の取り回しの悪さ
¥54,251
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













