2026年の5月22日からビジネスデイと一般開放日の3日間にわたって行われた「BitSummit PUNCH」。本記事では、独特なプレイ感を持った音楽ゲーム『Arcaea』の開発元であるlowiroの最新作『In Falsus』の開発者インタビューをお届けします。
lowiroの総プロデューサー プリダツコ・アントン氏と ビジネスマーケティング担当の杉戸勇太氏に詳しく話を伺いました。

――お二人の自己紹介をお願いします。
Guy氏:lowiroの総合ディレクター、ならびに『In Falsus』と『Arcaea』のプロデューサーを務めているアントンです。「Guy」とも呼ばれています。
杉戸氏:lowiroでビジネスとマーケティング全般を担当しております、杉戸と申します。弊社の事業開発まわり全般を担当しています。
――前作『Arcaea』で音楽ゲームの開発経験を積まれていると思いますが、本作ならではの特徴や、独自の要素、推したいポイントはどのような部分でしょうか?
杉戸氏:lowiroは、1作目の『Arcaea』、2作目の『In Falsus』を開発しているスタジオです。もともと音楽ゲーム、そしてシナリオと音楽ゲームが融合した作品を得意とするメンバーが集まって制作しています。
本作では、シナリオにかなり重点を置いており、フルボイスの長編ビジュアルノベルを搭載しています。『Arcaea』では、どちらかというと音楽ゲームが中心にあり、その次にシナリオがあるという形でした。一方で『In Falsus』では、シナリオとキャラクターを中心に置きつつ、ゲームプレイの一部として音楽ゲームが融合している点を、これまでとは少し違う魅力として打ち出していきたいと考えています。
――シナリオ重視ということでしたが、今回のBit Summitのデモではストーリーモードを紹介しなかった理由というのはあるのでしょうか?

杉戸氏: シナリオやノベル、キャラクターたちを楽しんでいただきたいという思いはもちろんあります。ただ、イベントに出展している都合上、時間的な理由から今回のデモビルドでは省いています。Steamで配信中のデモ版ではシナリオの序盤がボイス付きでプレイ可能ですので、是非遊んでみてください。
――前作『Arcaea』では元々リリース当初は、特にストーリーモードがなく、後から買い切りの形でストーリーが足された形でしたが、 本作は最初からストーリーを軸に据えた理由というのはあるのでしょうか?
Guy氏: 前作はモバイル向けの運営タイトルだったこともあり、最初はどちらかというと音楽ゲームが中心にあって、そこにシナリオが追加されていく形になっていました。運営が進むにつれて、ユーザーの皆さまにもシナリオを楽しんでいただける要素が増えていき、最終章まで展開させていただきました。
最後の方では、シナリオを待ち望みながら音楽ゲームのプレイも楽しんでいただく、という形に進化していったと思っています。
『In Falsus』は、その前作の最終形からのステップアップです。売り切りのゲームではありますが、シナリオを中心に据えつつ、そこにリズムゲームが入っているという体験を、最初から味わっていただきたいという思いがあります。
――今回は買い切りで、最初からフルで出す形になるとのことですが、この形に決めた理由はあるのでしょうか?
Guy氏:我々はインディースタジオなので、基本的には自分たちが作りたいもの、かつユーザーの皆さまに楽しんでもらえるものを作っていく、というのが基本的な考え方です。
今回、長編のシナリオをすべて収録し、音楽ゲーム部分も同時に遊んでいただける形でゲームデザインを考えた際に、売り切りという形がユーザーの皆さまに楽しんでいただくうえで合っているのではないかと思いました。
――試遊の際に他のスタッフの方にも伺ったのですが、もともとモバイルゲームでも採用されていた3Dノーツを、本作ではキーボードとマウスで操作する形になっています。今後、スマートフォンやタブレットデバイス向けに販売される予定はあるのでしょうか?
杉戸氏:現状でお話しできることはありません。まずはSteamでリリースしていきたいと考えています。
ゲームデザイン自体も、6キーとマウス操作など、PCで遊ぶことに注力して作っています。他のデバイスでも機能するようであれば検討したいとは思っていますが、現時点では予定しておりません。
――日本支社を設立した経緯についてお聞きできますでしょうか?
Guy氏: ゲームを見ていただくと分かる通り、本作は日本のビジュアルノベルやアニメ、サブカルチャー文化をリスペクトして作っている部分が大きいです。社員も、ほぼ全員がそういった要素を好きなメンバーで構成されています。
加えて、一緒に働いているアーティストやアートまわりのクリエイターの方々も、日本を中心に活動している方が多いです。その中で、全員で集まってゲームを作るならどこがいいのかと考えた時、自然と「日本で集まって作った方がいいよね」という流れになりました。
我々自身も、個人的な理由も含めて東京や日本に住みたいという社員が多かったため、日本にオフィスを置いて制作しています。
――どうしても聞きたかった個人的な質問ではあるのですが......Steamではビジュアルノベルがすごく珍しい時代に、『Dysfunctional Systems: Learning to Manage Chaos』、『Juniper's Knot』という作品で関わっていたスタッフの作品と伺って、リリース初期の『Arcaea』をプレイさせていただきました。当時ビジュアルノベルを制作されていた経験は今でも生きてらっしゃるんでしょうか?

Guy氏:よくご存知でびっくりしました(笑)。もともとそちらでシナリオライターをしていたSwiff (Terrence Smith)という者がいまして、彼が『In Falsus』にも同じくシナリオライターとして参加しています。
長年一緒に働いてきたメンバーですので、挙げていただいたタイトルとまさに同じスタッフが制作している形です。
lowiroはビジュアルノベルだけでなく、ビジュアルノベルをシステム面、つまり音楽ゲームにどう組み込んでいくかという部分にも長けています。特に我々は、ただのビジュアルノベルではなく、他のゲームプレイとも融合した形で楽しんでいただけるところがチームの強みだと思っています。

――最後に、本誌の読者の方にメッセージをお願いいたします。
Guy氏:難しそうに見えるかもしれませんが、『In Falsus』をぜひ楽しんでいただきたいという思いがあります。音楽ゲームの部分以外にも、長編のゲームとしてしっかり楽しんでいただける内容になっています。ぜひチャレンジしてみていただきたいですし、遊んでいただきたいなと思っています。
――本日は、ありがとうございました。
独特なプレイスタイルや、前作でも話題となったシナリオなど、過去に音楽ゲームをヘビーに遊んでいた筆者としても追っていきたいタイトルです。発売まで待ちきれないユーザーは、ぜひウィッシュリストに入れて続報を待ちましょう。
『In Falsus』は、PC(Steam)にて2026年9月9日に発売予定です。












