海賊と言えば歌が付きもの。酒場でも洋上でも、船乗りと声を合わせて陽気に歌っているイメージがありますよね。
『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』においても30曲以上が収録されており、帆に風を受けながら聴く歌にはそれだけで心が動きます。
歌のレパートリーは「Sea Shanty」という労働歌で、海賊に限らず商船などの船乗りに歌い継がれてきました。近年ではにわかにSNSで注目が集まり、「Wellerman」などオリジナルの動画に合唱を重ねていく「Sea Shanty Challenge」なるものが流行しています。
シーシャンティがジャンルとして形になったのは、海賊時代より後の19世紀と言われています。船の仕事は錨の揚げ降ろしやセイリングなど、複数人が労力を合わせる場面が多いため、そのリズムを合わせて効率を上げるために労働歌は自ずと必要です。
民謡や流行歌の替え歌も多く、コールアンドレスポンスで誰にでも歌いやすいレパートリーが伝えられてきました。

シーシャンティは監督者がソロで音頭を取り、作業員がコーラス部分で応えます。作業によって大まかにレパートリーが変わり、水の汲みだしなら「Pumping Shanty」、錨の揚げ降ろしなら「Heaving Shanty」、帆の操作なら「Halyard Shanty」といったカテゴリーがあります。
コーラス部分に注目するとわかるのですが、基本的に旋律のア
クセントがある部分で強く引きます。「Billy Riley」のように素早く2拍取ったり、「Leave her Johnny」「'Way me Suisiana」で3拍目に力を込めるなど、引くものの重さやスピードによって使い分けられてきました。作業ではない休憩中に歌われるものは「Forebitter」として区別され、こちらは楽器で伴奏することもよくありました。
シーシャンティの多くには「Johnny(Johnie, John)」という人名が出てきますが、これは特定の誰かではなく日本で言うところの「太郎」みたいなものです。
女性のSallyや「Hauley Hauley Ho」の“Paddy, Jock and Jackie”も同様で、それぞれアイルランド、スコットランド、イングランドに対応しています。この曲ではシャムロック(アイルランド)、アザミ(スコットランド)、薔薇(イングランド)とそれぞれの国の象徴も織り込まれているので、併せて覚えると良いでしょう。
出てくる地名はキューバ、セントジョンズなど新天地もありますが、やはり多いのは故郷のブリテンのほう。リバプールやパドストウなど、数年は戻れず、下手をすれば生きて帰れない状況では、本国へ戻る希望を頼りに耐えるしかありませんでした。
先述した、本作でも聞くことができる「Wellerman」は本作の海賊時代から1世紀後、シーシャンティがまとめられた産業革命頃のニュージーランドが発祥です。
「Wellerman」とは物資補給を行う捕鯨基地からの輸送船のことで、鯨を仕留めるために数か月無援で戦う船団の様子を描写しました。
「The Coast of High Barbary」は実在の事件を題材にしており、1595年に起きた商船ジョージ・アロエ号とスイープステーク号が、フランスの私掠船を撃退した武勇伝を伝えています。常に襲撃を恐れていた船乗りたちは、こうした歌で自分たちを奮い立たせていたのでしょうか。
「Spanish Ladies」はシーシャンティの中でも特に有名な曲で、映画で取り上げられることも多い1曲。
スペインと戦火を交えた時代の海兵が主題と言われており、いわゆる「現地妻」を置いて本国に帰還する行程が歌詞にされました。配信のサウンドトラックでは、酒場のアイリッシュセッションやフラメンコも収録されているので、ぜひグロッグのお供に聴いてみてください。






