2026年8月26日から30日にかけて、ドイツ・ケルンで世界最大級のゲームイベント「gamescom 2026」が開催されました。
今回筆者が見てきたのは、『ウィッチャー3 ワイルドハント』の第3弾拡張パック『追憶の調べ』です。本作はCD PROJEKT REDとFool's Theoryが共同開発する新たな拡張パックで、怪物退治の専門家リヴィアのゲラルトが新天地「レッテン」を訪れ、新たなクエストや登場人物、土地に秘められた謎へと足を踏み入れます。
今回の取材は一般的な試遊とは少々異なり、CD PROJEKT REDのブース内に設けられた映画館のようなシアタースペースで実施。Fool's Theoryの開発者による解説を聞きながら、別のスタッフが約45分にわたって実際にゲームをプレイする様子を見る形式となっていました。披露されたのは物語の比較的早い段階にあたるメインクエストで、一般向けに公開されたプレゼンよりも長い内容とのこと。使用されていたのは開発中のプレリリース版で、会場では写真・映像の撮影も禁止されていました。
では、10年以上ぶりとなる『ウィッチャー3』の新たな冒険は、どんなものになっているのでしょうか。
世界の危機ではなく、ダンディリオンの“家族の事情”から始まる
プレゼン冒頭、開発者はまず「引退したウィッチャーを再び〈道〉へ戻すものは何なのか」と問いかけます。
政治的な陰謀か、戦争か、あるいは天球の合のような大事件なのか。しかし答えはもっと身近なものでした。ゲラルトの旧友ダンディリオンが、家族にまつわる事情で助けを必要としていたのです。

その依頼をきっかけに、ゲラルトはダンディリオンが生まれ育った新地域「レッテン」へ向かいます。公式でもレッテンは『追憶の調べ』の新たな舞台として紹介されており、一見穏やかな土地でありながら、その裏側には不穏な秘密が隠されているとされています。
ゲームは、豊穣などを祝うベルテインの祭りが行われた翌朝からスタート。伝統衣装に身を包んだゲラルトが目を覚ますと、周囲の住民たちは前夜の宴の余韻を引きずっています。開発者いわく、ゲラルトはウィッチャーの変異のおかげで二日酔いにも強い様子。一方のダンディリオンとは家で落ち合う予定になっています。
新天地レッテンは、戦争から切り離された“豊穣の地”
序盤で特に時間をかけて紹介されていたのが、新地域レッテンそのものです。
緑の丘陵や農地、水辺、遠くを囲む山々などが広がる牧歌的な土地で、開発者はレッテンを「Land of Plenty(豊穣の地)」とも表現していました。周囲を山々に囲まれているため、大陸各地を巻き込んだ戦争から比較的隔絶されており、住民たちは昔ながらの風習や伝統を守りながら暮らしています。景観や文化については、ポーランドとイングランドの田園地方から強く影響を受けているそうです。
単に新しい背景を用意しただけではなく、NPCの生活表現にも手が入っています。既存のNPCシステムを拡張し、住民が船を操って釣りをしたり、荷馬車を動かしたりするようになったほか、養蜂や馬の飼育などレッテン固有の仕事も存在。地元で作られている蜂蜜とビールを組み合わせた飲料のためにホップを育て、それを荷馬車で醸造所へ運ぶといった、土地の産業がつながって見える作りも意識されています。
道中では鍛冶屋で装備を整えたり、ウィッチャーへの依頼を探したり、グウェントを遊んだりすることも可能。そして犬も撫でられます。
ダンディリオンのリュートを持っている知らない男。どうする?「今日はボコボコにしよう」
そんな穏やかな旅の途中、ゲラルトは聞き覚えのあるリュートの音を耳にします。ダンディリオンかと思いきや、そこにいたのは彼のリュートを持った見知らぬ酔っ払い男。ゲラルトは当然返却を求めます。
ここでは穏便な方法を選ぶこともできるようですが、この日の開発者は「いつもなら平和的な選択をするんだけど……今日はこいつをボコボコにしよう」と宣言。実際に拳で相手を倒してリュートを回収していました。その後向かうのが、丘の上に建つレッテンホーヴ家の屋敷です。
ダンディリオンの本名はレッテンホーヴ子爵ジュリアン・アルフレッド・パンクラッツ。由緒ある裕福な一族の出身で、『追憶の調べ』では彼の家族や過去、そしてゲラルトとの関係を掘り下げていくことも大きなテーマになっているとのことです。
屋敷では一族を取り仕切る祖母とリラがゲラルトを迎えますが、肝心のダンディリオンは姿を見せません。
ダンディリオンが朝食に遅刻するだけなら、さほど不思議ではない。しかしゲラルトが拾ったリュートを見ると空気が変わります。どれほど酔っていても手放さないほど大切にしていた楽器を残し、本人だけが消えてしまったからです。
さらにゲラルトは、前夜に見た奇妙な夢について語ります。血、茨、スミレの香り、謎の井戸。そして井戸の中から聞こえてきたダンディリオンの声。その話を聞いたリラが思い当たったのが、レッテンホーヴ家に伝わる「Garden of Thorns(茨の庭)」でした。
明るい田園風景が、徐々に異様な森へ変わっていく
ここでプレゼンはゲーム内時間を約2時間進めま製品版では、この時間をどう過ごすかはプレイヤー次第とのこと。すぐにダンディリオンの捜索を続けてもよければ、レッテンを探索したり、サイドクエストへ寄り道したりすることもできます。
装備を整えたゲラルトはリラとともにGarden of Thornsへ向かいますが、ここから景色が大きく変化していきます。

明るかったレッテンの田園地帯から森へ入るにつれ、木々は密集して歪み、光も弱くなっていきます。そして入口付近では、動物の死骸に絡みつき、血を吸っているらしい茨も確認できました。そのそばには、ゲラルトが夢で感じたスミレも咲いています。
約45分のプレゼンを通して特に印象に残ったのが、このレッテンの明暗です。
前半では戦争から隔絶された豊かな田園地方として土地をじっくり見せ、後半では同じ地域の中に血や死体、古い伝承と結びついた怪異を出してくる。新エリアの紹介とメインクエストの不穏さが、風景そのものの変化によって結びつけられていました。
リマスターでスキルツリーや戦闘も刷新
今回のデモでは、『追憶の調べ』そのものだけでなく、2026年9月29日配信予定の『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』による変更点も確認できました。
リマスター版ではライティングや植生、レイトレーシングなどのビジュアル面に加えて、戦闘や操作性、スキルシステムなども強化されます。既存所有者には対象プラットフォームで無料アップグレードが提供される予定です。
プレゼンでは能力画面も開かれ、従来より本格的なスキルツリー形式になっていることを確認できました。新たな能力や調整された能力に加え、従来人気だったものも一部残しているとのことで、開発者は新しい戦闘ビルドを作ってほしいと説明しています。戦闘アニメーションやターゲティングも改善されているそうです。
もちろんウィッチャーらしく、戦いの前には霊薬を用意し、爆弾を作ることも重要です。Garden of Thornsでも「イャーデン」の印を使って敵を拘束するなど、既存の戦闘手段を活用する様子が見られました。
ゲラルトの新武器は「鎖」!蜂の群れをまとった新モンスターも
そして『追憶の調べ』独自の新要素として披露されたのが、ゲラルトの新たな鎖状の武器です。Garden of Thornsでは、この地域特有の新モンスター「Swarmion」が登場しました。人型の怪物ですが、大量の蜂をまとって自身を守るという特徴を持っています。

これに対してゲラルトが使用したのが新武器の鎖。開発者によれば、この武器には専用の戦闘システムや独自アビリティが用意されているとのことです。
このほか、今回の場面ではまず見覚えのある怪物たちも登場。『ウィッチャー3』らしく、怪しい場所では周囲を調べ、手掛かりを探し、何が起きているのかを推理していくことも重要になります。
プレゼンでは時間の都合から、調査を省いて強引に進む場面もありましたが、開発者は「ウィッチャーにとって調査は非常に重要」と説明。状況によって複数のアプローチを取れることも改めて強調していました。
そして井戸の底へ……いいところで終わる約45分
探索を進めたゲラルトたちは、やがて夢に登場したものとよく似た井戸へ到着します。
この地に残されたレッテンホーヴ家の伝承、謎の人物、Garden of Thornsの怪異。そして行方不明になったダンディリオン。それぞれの謎が少しずつつながり始めます。
ゲラルトは井戸の中を調べるため、装備を整えてそのまま中へ飛び込み――そこで今回のデモは終了。
開発側も物語については意図的に情報を伏せており、今回見せたのはストーリー序盤の一部にすぎないと説明しています。ダンディリオンの失踪や井戸の底に潜む存在については、2027年の発売までのお楽しみというわけです。
『ウィッチャー3』未プレイの筆者として見ても、今回の45分でわかりやすかったのは、新地域レッテンを単なる「追加マップ」として見せていなかったことです。
まず祭りや産業、NPCの生活などを通して土地の日常を紹介し、そこからダンディリオンの家族、一族の伝承、怪異へと徐々に踏み込んでいく。さらにリマスター版で刷新された戦闘やスキルシステム、新武器まで一連のクエストの中で自然に披露されていました。
『ウィッチャー3:ワイルドハント』リマスター版は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG)/PS5/XBOX Series X|S/ニンテンドースイッチ2向けに2026年9月29日配信予定です。『追憶の調べ』も、同プラットフォームにて2027年配信予定です。












