ゲームプレイ―ゲームスピードが遅くなり、行動選択や敵機との読み合いが重要となる戦闘に
本作のHUDや機体の3Dモデルなど、見た目の部分は機体が高精細になったことを除けば、大きく変わっていないように見えます。しかし、バトルバランスは前作から大きく変化しました。
その筆頭と言えるのが機体の挙動です。機体のロール(回転)やピッチアップ(機首上げ)をした際、最大角速度に到達するまで若干時間がかかるため、体感として少し重い動作になっています。
この挙動は、過去作で例えると『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』や『エースコンバット6』に近く、機動発生から数フレームは角速度が遅いものの、入力が数十フレーム持続した時に最大角速度へ到達するような挙動です。

これによってドッグファイトで機体をロールさせた時や、加減速した時の回避動作の始まりに、硬直にも似た一瞬の溜めが生まれるようになり、プレイヤーに対して適切にリスクを負わせるようになりました。こうした、行動してから結果が出るまでの時間というリスクは、機体の加減速にも表れています。
例えば本作の「F-14D」は、『ACE7』より加速性能が低下しており、速度を落としてしまった際に元の速度へ戻すまでの時間が長くなっています。そのため、低速状態からのリカバリーも難しくなっています。
また敵機も同様に弱体化しているため、プレイヤーは旋回を行う時の隙というリスクを管理しつつ、相手を追いつめるといった空戦が楽しめるようになりました。特に敵機を追いかけていると、敵機はプレイヤー機からの攻撃を避けるために、バレルロールやシザース、加速など様々な空戦機動を駆使しながらこちらの追撃を払いのけようとします。
多くのミッションをプレイしていると複数の敵機に襲いかかられるシーンもあるため、不利と感じたら一度敵機から離れて態勢を整える立ち回りも要求されるように。
また、細かな検証を行ったわけではありませんが、敵機の後方にしっかり位置してミサイルを撃った場合は、従来よりも明確に命中しやすくなったように感じました。

前作では、雑魚敵やボスがなぜ撃破できたのか不可解と感じる場面が多く、納得しにくい状況が多かったことと対照的です。特に低速域での操作は若干難しく、ガンキルには機体を制御するテクニックが要求されます。しかし、こうして明確にリスクを与えても操作しづらいという感触はありませんでした。
プレイヤーが行動ミスをした時に即リカバリーできるわけでなく、若干時間を要するため一つ一つの行動選択に慎重さが求められます。つまり、機体を急激に操作しても即座にリカバリーできないため、本作ではトンネルくぐり的な要素は極力抑えられており(あるにはある)、突入するにしても距離が短くマイルドな内容となっています。
加えて、敵機とのドッグファイトだけでなく地上攻撃になると、その難しさは顕著に表れます。目標に対して攻撃侵入ルートを誤ればリカバリーに時間がかかり、ダメージや目標破壊の効率を最大化できません。そうした難しさをカバーできるのが、特殊兵装の2種類搭載です。
特殊兵装を2種類搭載できる仕様は、これまでエースコンバットファンの間で様々な形で議論されてきた要素であり、今回の『ACE8』で初めて実装された機能でした。対空・対地の両方に対応するマルチロール運用ができるだけでなく、対空や対地用に装備を固めて対応力を高め、ほとんどターゲットを一掃できるような兵装構成にもできます。
なお、兵装切り替えボタンを押すたびに標準ミサイル→特殊兵装1→特殊兵装2と切り替わり、長押しすれば標準ミサイルへ戻せます。

機体とパーツ選びだけでなく、僚機の選択など、戦況に応じたリスクを想定し、それをテクニックや指示で抑え込む。プレイヤー機が強すぎず万能ではないからこそ、どのリスクを受け入れ、どのように損害を小さくしてリターンを得るか。
その判断こそがプレイヤーの腕の見せどころであり、本作の核となる面白さです。正直、ここまで踏み込んだバランスに仕上げられたことが驚きでした。
加えて、このバトルバランスからミッションによっては以前に使っていた機体へ乗り換えた方が攻略しやすい場面も多々ありました。機体ツリー右寄りにいるような高性能機体一辺倒にならないバランスにできたことは素晴らしいことです。そのことから、どの機体にも何らかの強みと弱みがあることを強く実感しました。
空戦の感触に関わる細かな改良点といえば、照準の未来予測のON/OFFです。未来予測ON状態は敵機の動きにも照準が反応するため、狙いを定めている最中にも照準が動いてしまいますが、未来予測をOFFにすると自機の動きのみに対して反応するために、狙いやすさが著しく向上します。
本作の機銃が狙いやすいのは、こうした照準の補正方法を選択できるだけでなく、機銃に曳光弾が表示されたことで偏差射撃がしやすくなったことも理由の一つとして挙げられます。

そのため、敵機の動きに対してミサイルのロックオンだけでない牽制方法が取れるようになりました。
こうした結果から、逃げ回る敵機に対して機銃を使ってじわじわとダメージを与えることで、結果的に相手の動きを変えるように機能しています。このことからドッグファイトの牽制として機能するだけでなく、ミサイルで撃ち損じた時の追撃に有効な武器としても存在感を放つようになりました。

また、直接ゲームプレイへの影響があるわけではないですがサウンド関係に耳を凝らしてみると、スロットルの開閉音や、ロール・ピッチアップ時の風切り音などが、前作以上に細かく鳴るようになったことがわかるでしょう。作り込みやこだわりという点では、前述の機体バランスも含めて向上しており、その個性を探し出すのが面白く研究し甲斐があります。
このように変化した要素を並べてみると、これまでの作品とは一線を画すほどバトルバランスが変わったことが分かります。この変化自体は、空戦におけるリスクやペナルティが明確になり、プレイヤーにどんな空戦を行いたいのかを強く問いかける形となりました。
筆者としては、敵の動きが分かりやすく、攻撃のチャンスも明確になったことで、これまでにない奥深い空戦設計になっています。非常に良い調整だと感じました。
しかし、マルチロール枠最上位機体のF-35Cが本作の挙動方針にしっかり乗っている一方で、ファイター枠最上位機体のF-22Aは確かに『ACE8』的な調整が施された機体ですが、どことなく『ACE7』的な感触が強い機体です。ロールやピッチアップをすると他の機体より早くに最大角速度へ到達するため、対地攻撃が不向き以上のリスクが的確に与えられていないと思える場面が目立っていました。

これまでの人気機体であり、過去の『エースコンバット』を象徴する機体であるからF-22Aの強すぎる部分を弱くできない、そんな恐れを抱いているのではないかと感じてしまいました。
見た目は大きく変わらなくとも、その内部は大きく変わっている。本作のゲームプレイは、前作までにあった問題に正面から向き合い、その解決にしっかり取り組んだ結果と言えるでしょう。
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