『Hollow Knight』の名手から鮎川麻弥の歌うアニソンまで―有名コンポーザーがそろった9月のゲーム音楽6選【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #6】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『Hollow Knight』の名手から鮎川麻弥の歌うアニソンまで―有名コンポーザーがそろった9月のゲーム音楽6選【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #6】

サウンドトラックにウクレレが使われていると非常に嬉しい

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『Hollow Knight』の名手から鮎川麻弥の歌うアニソンまで―有名コンポーザーがそろった9月のゲーム音楽6選【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #6】
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「ゲームをプレイしていなくても、サウンドトラックだけを聴いていい」。この連載は、そう言い切るところから始まりました。

ゲームの音楽を作るコンポーザーにも、ゲーム開発者と同じように確固たる作家性が存在します。そして、彼ら/彼女らが生み出す特有のサウンドが、ゲームのトーンやシステムそのものを大きく左右することも決して珍しくありません。

お気に入りの開発者やスタジオを追うのと同じように、「コンポーザー」を一つの選択基準に据えてみる。その面白さを、今回もたっぷりとお届けします。

第6回(2026年9月分)は、名うての作り手がずらりと顔をそろえた、豪華な一か月になりました。『Hollow Knight』で知られるChristopher Larkin、BAFTA受賞のJamal Green、「機動戦士Zガンダム」のアニソンで知られる鮎川麻弥、そして『Terra Nil』のMeydän。

普段はそれぞれの場所で鳴らしているサウンドが、商店経営アクションから写真アドベンチャー、ドレス仕立て屋シミュレーションまで、さまざまな作品で花開いています。

誰もが知るヒット作から、多くの人が取りこぼしてしまった作品まで、「ゲーム音楽」という評価軸で紹介していきます。Steamではなく、Bandcampからゲームを探す面白さを是非ご堪能下さい。

(※もし、さらに深くゲーム音楽のディグに勤しみたいという方がいらっしゃいましたら、筆者の著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』もぜひお手に取っていただけると幸いです。)

『Moonlighter 2: The Endless Vault』(9月2日発売)

昼は商店を営み、夜はダンジョンに潜って戦利品を集める——前作『Moonlighter』のユニークな「ショップ経営×ダンジョン探索」ループを3Dへと拡張した続編『Moonlighter 2: The Endless Vault』。開発はスペインのDigital Sun、パブリッシングは『Frostpunk』で知られるポーランドの11 bit studios。

サウンドトラックを手がけるのは『Hollow Knight』『Hollow Knight: Silksong』で知られるChristopher Larkin。『Hollow Knight』で大きく名をあげ、インディーゲーム音楽を代表する作家のひとりとなり、その名前だけで多くのファンが色めき立つ存在です。

開発元のDigital Sunから「前作の音楽的スコープを超えてほしい」と後押しされたと本人が語る通り、今作ではフォーク、エレクトロニックな音響、そしてインダストリアルメタルまでを横断する、温かくも冒険的なスコアに仕上がっています。

全31曲。ヴァイオリン、ナイロン弦/スチール弦ギター、マンドリンといった生楽器も織り込まれ、主人公が次元を渡り歩く旅路に彩りを添えています。温かなヴィジュアルとは裏腹に、あまりにも壮大で複雑なトラックも随所に盛り込まれ、何度も聴き返したくなる情報量の凄まじい一作です。

『Orbitals』(9月3日発売)

崩れゆく宇宙ステーションを救うため、二人の探検家MakiとOmuraが力を合わせて宇宙の彼方を目指す、非対称型2人協力パズルアドベンチャー『Orbitals』。開発は東京を拠点とするShapefarm(Kepler Interactiveの創設メンバーの一つ)。

ゲームディレクターのJakob LundgrenはHazelight(『It Takes Two』『Split Fiction』)出身で、あの協力ゲームならではの物語とゲームデザインの血筋を汲んでいます。手描きのシネマティックカットシーンとフルボイスで、80年代SFアニメへのオマージュに満ちた世界を立ち上げる一作となっています。

サウンドトラックを手がけるのはスウェーデンのデュオFalk & Klou。Fredrik Segerfalk(Falk)はコモドール64時代から活動し、ヴィンテージシンセ専門のベンチャー「Analog Sweden」を営むシンセの達人。Carl-Johan Fogelklou(Klou)は、母国スウェーデンで複数のプラチナ認定を持つロックバンドMando Diaoのベーシストとしても知られています。

二人は4年以上をかけて本作の音楽を作り上げ、伸びやかなメロディときらめくシンセワークで、懐かしい80年代アニメ美学を現代によみがえらせています。

そして最大の目玉が、主題歌「加速する運命」とエンディングテーマ「Heart To Heart」を、「機動戦士Zガンダム」「重戦機エルガイム」などの主題歌で知られるレジェンド・鮎川麻弥が歌唱している点。レトロフューチャーなスコアに本物の80年代アニソンの歌声が乗るという80年代アニメファン垂涎の座組となっています。

『Dressmaker』(9月21日発売)

布を選び、型紙を並べて裁断し、ミシンで縫い合わせ、ボタンやリボンで仕上げる。ドレス作りのあらゆる工程をプレイヤーの手に委ねるコージーな仕立て屋シミュレーション『Dressmaker』。

開発は『Broforce』『GORN』『Terra Nil』で知られる南アフリカのスタジオFree Livesのコージー部門・Cozy Lives。itch.ioのプロトタイプが15万以上ダウンロードされた人気企画が、40万以上のウィッシュリストを集めて製品化に至った一作で、実際のヴィンテージミシンを思わせる仕立ての手触りが核となっています。

サウンドトラックを手がけるのはMeydän。同じくFree Livesの環境再生シミュレーション『Terra Nil』の音楽も手がけた作家で、瞑想的なゲームプレイを邪魔せず、しっかりと作品のコンセプトを反映させた空気を作る作風に定評があります。美しく軽やかなピアノとヴァイオリン、フルートのサウンド。ゆったりと優雅なVGMを楽しみたい方にとって、うってつけの一作です。

注目したいのはサウンドトラックだけではありません。音響へのこだわりも見どころで、サウンドデザイナーのJason Sutherlandが、スタッフのヴィンテージミシンや裁縫道具の音を実際に録音し、ゲーム内のオーディオに使用しています。縫い合わせの手仕事そのものが、音の素材になっているわけです。

『井戸の鳥(Well Dweller)』(9月22日発売)

朽ちた王国の底、井戸の最深部から、火のついたマッチ棒を携えた小さな鳥・Glimmerが、家族を救うため邪悪な女王のもとへと昇っていく。ダークなおとぎ話のメトロイドヴァニア『井戸の鳥(Well Dweller)』。開発は『Crypt Custodian』『Islets』『Sheepo』で知られる一人開発者のKyle Thompson、パブリッシングはTop Hat Studios。

井戸という縦穴を舞台にしているだけあって、本作のアクションは「昇っていく」感覚が核にあります。風に乗ってふわりと滞空し、トゲを避けながら上へ上へと進んでいく。その浮遊感のある操作性と、おとぎ話をモチーフにした幻想的な世界が静かな高揚感を生み出します。

サウンドトラックを手がけるのは、開発者であるKyleの実兄弟・Eric Thompson。過去3作すべての音楽を担当してきた文字通りの「家族ぐるみ」の制作です。兄弟で作り上げた作品が「家族を救う物語」であるという符合も出来すぎていて素晴らしい。

冒険を上へ上へと推進させるアグレッシブで力強い音楽、そしてメランコリックでありながら常にメロディアスなその音楽のメリハリは、風に乗って漂うように進む探索パートで独特なプレイ体験を生み出します。

『ドンキーコング』シリーズで知られるデビッド・ワイズ(特に「とげとげタルめいろ」のような音楽)を彷彿とさせる、浮遊感のあるアンビエントが好みの方は一聴の価値ありです。

『Minecraft Dungeons II』(9月29日発売)

『マインクラフト』の世界を舞台にしたハックアンドスラッシュ・ダンジョンクローラーの続編『Minecraft Dungeons II』。開発はMojang Studiosとダブルイレブン、パブリッシングはXbox Game Studios。

前作同様、戦利品を集めて強化しながらダンジョンを攻略していく、協力プレイ対応の作品になっており、ハクスラ初心者でも楽しめる明快でシンプル、それでいて奥深いゲームプレイが特徴です。本連載で扱うなかでは珍しい大型タイトルですが、今回取り上げるのには音楽の規模で特筆すべき理由があります。

サウンドトラックを手がけるのは、Mojangのオーディオディレクターでシリーズの音楽を一貫して担当してきたPeter Hont。なんと全210曲・総尺およそ10時間51分という、2026年で(恐らく)最長のゲームサウンドトラックとなっています。

本編の動的な演出に対応するため、バリエーションやレイヤーを含めて200曲超が書き下ろされました。『Minecraft』の代名詞であるコンポーザーC418を思わせるチルなアンビエントから、ダンジョン探索にふさわしいゴシックで陰鬱な楽曲まで、その振れ幅も桁外れ。

聴き通すだけで一本のインディーゲームを遊び切ってしまうほどの一仕事ですが、それ自体がこのサウンドトラックの異常性でもあり、注目すべきポイントとなるでしょう。

『TOEM 2』(9月29日発売)

カメラを片手に色鮮やかな世界を旅し、風変わりな住民たちと出会い、クエストをこなしていく。白黒写真アドベンチャーの続編『TOEM 2』。開発はスウェーデンのSomething We Made。

前作『TOEM』は英国アカデミー賞ゲーム部門(BAFTA)を受賞した名作で、本作は数年後の同じ写真家を主人公に、より大きな開発チームで作られました。カメラは単なる撮影機能ではなく、世界に働きかけて問題を解く主要なメカニクスとして機能します。

住民の頼みごとを聞き、風景のなかに答えを探しシャッターを切る。その穏やかなループを包み込むのが本作のサウンドトラック。

音楽は、前作から続投のJamal GreenとLaunchable Socksのコンビ。Jamal Greenは2023年にBAFTAのBreakthrough賞を受賞したイギリスの作家で、アンビエント/ネオクラシカルな作風を持ち味とします。

一方のLaunchable Socksは、エレクトロなサウンドにアコースティックギターやウクレレを織り交ぜる温かなスタイル。この二人の個性が溶け合うことで、ネオクラシカルの端正さと手作りの素朴さが同居する独特の音像が生まれています。

全36曲、1曲あたり2分前後の小品が、エリアを移動するごとにゆったりと表情を変えていきます。短い曲を数珠つなぎにしながら世界の移ろいに寄り添っていく構成は、エリアごとに景色が変わる旅そのもの。チルでローファイ、そして聴く者の心をそっと持ち上げてくれるその音楽は、前作でも高く評価されたシリーズの財産です。

《ライター:タナカハルカ,編集:みお》

ライター/気さく タナカハルカ

インディーゲームデベロッパー・よんとんトマチンのメンバー(ヤムニャン学園)として『ふりかけ☆スペイシー』を開発。著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』。寄稿『ユリイカ2025年12月臨時増刊号 総特集=大貫妙子』『DAWN N°2』など。毎週新高円寺で会える。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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