
2026年8月20日にPS5、PS4、ニンテンドースイッチ2、ニンテンドースイッチ、Steamで、そしてXBOX Series X|Sでは10月29日にリリースされる『STEINS;GATE RE:BOOT』(シュタインズ・ゲート リブート/以下『RE:BOOT』)は、2009年にリリースされ、その後TVアニメ化された『STEINS;GATE』(以下『シュタゲ』)を現在の水準で作り直したものです。
この『RE:BOOT』は、グラフィックを一新し、ボイスとサウンドが新録されただけでなく、新たな世界線が登場するということでファンをザワつかせています。
しかし「タイトルは聞いたことはあるけど、アニメも未試聴だしゲームも未プレイ」という人にとっては、どこが衝撃的なのか、そもそも『シュタゲ』ってどう面白いのか?と思っている人もいるはず。
そこでオリジナル版の頃から『シュタゲ』を追っていた筆者が、ライターならではの経験から、当時のADV(アドベンチャーゲーム)事情やそのムーブメントを振り返りつつ『RE:BOOT』の注目ポイントを語りたいと思います。
◆きっかけは「コンプティーク」
『シュタゲ』のオリジナル版がリリースされた2009年は、戦隊ヒーローで言えば「侍戦隊シンケンジャー」が放送されていた頃。仮面ライダーなら「仮面ライダーディケイド」、プリキュアなら「フレッシュプリキュア!」です。筆者はその年に、KADOKAWA刊の雑誌「コンプティーク」で『シュタゲ』と出逢いました。
若干、記憶が曖昧なのですが、2007年にPS2でリリースされたアドベンチャーゲームの攻略本を他のライター陣とともに担当したのがきっかけで「コンプティーク」編集部のお世話になることに。以降、新作ゲームの紹介ページを担当しました。
当時はPCの18禁美少女ゲームが一大ジャンルを形成しており、新たなサンプルカットが発表されるたびに「新キャラ登場!」「新カット登場!!」と記事を構成していました。
ファミコンなどで人気だったADVは「いどう」「はなす」「しらべる」などの行動を選択してゲームを進めていたのですが、1990年代の「泣きゲー」ブーム(※「18禁ゲームなのに泣ける!!」と盛り上がったブーム)あたりからストーリーに没頭させるために選択肢が減り、必要最低限のフラグと分岐によってゲームを構成するようになっていきました。プレイヤーはその選択肢の結果によって、各ヒロインをメインとした個別ルートへと進むわけです。
当初は泣ける物語が主流でしたが、時代を経ると美少女ゲームも多彩になり、「三国志」がモチーフのものや、フルアニメーションで展開されるものなど、さまざまなタイトルが話題となりました。
また一般層に売るため、18禁要素を外し、新要素を加えてPSPなどの携帯機や各種コンシューマーに移植するなんてケースもよく見られました。
そんな中、新作紹介記事で担当したのが2008年にリリースされた『CHAOS;HEAD』(カオスヘッド)でした。

『CHAOS;HEAD』は渋谷を舞台にした連続猟奇事件を扱う物語。後にシリーズ化される「科学ADVシリーズ」の第1弾です。5pb.(後のMAGES.)とヒットメーカーの「ニトロプラス」がコラボした作品ということで、編集部判断で取り上げることになりました。それも一度や二度ではなく、何度「謎の集団飛び降り事件発生!」と書いたことか……。
そして2009年にその『CHAOS;HEAD』の開発チームが手がけるコラボ第2弾として誌面で扱ったのが『シュタゲ』でした。ただ当時は口コミで人気になる以前のこと。リリース資料をもとに記事を構成するのですが、資料には「秋葉原のオタクサークルがおかしな発明をした。そのせいでタイムマシンに関わる重大事件が起きる(意訳)」としか記述がなく、正直なところ「リリースにはタイムマシンらしい要素がないけど、どこがおもしろいのだろうか……?」と首をひねった記憶があります。

しかし発売されるや否や、口コミ効果もあってたちまち話題に! すでに『CHAOS;HEAD』の残酷で奥深いストーリーが高い評価を受けていたこともあって、Xbox360ユーザーを中心に爆発的なヒットとなりました。
その頃ははまだプレイしていなかった筆者でしたが、「メガミマガジン」の別冊シリーズ「メガミマガジンクリエイターズ」で『シュタゲ』を特集するということで慌ててXbox360本体と『シュタゲ』を購入することに。原作の志倉千代丸さん、プロデューサーの松原達也さん、シナリオライターの林直孝さんにインタビューをするため、時間もなかったことから、攻略サイトを見ながらエンディングまで到達しました。
しかし後に、これが大きな間違いだったことに気付かされます。

『シュタゲ』は「記憶を消してもう一度プレイしたい」と評判のゲームです。肝心なのは初見でのプレイ。プレイヤーは主人公の岡部倫太郎となって登場人物たちの想いや運命を背負い、失敗を繰り返しながら、ようやく目指す未来を掴み取ります。本作も美少女ゲームのようにマルチエンディング方式になっているのですが、そのマルチエンディングどころか失敗のひとつひとつに至るすべての要素が大きな感動を得るための舞台装置となっていたのでした。
つまり苦労せずに到達した未来など、何の意味もなかったのです。
「みんな、オレみたいには……なるな!!」
『シュタゲ』をまったく知らない人にオススメしたいのは「楽しむならぜひゲームで」「前情報を断て」ということ。自分の手でひとつひとつの選択肢を選び、失敗し、それでも未来を掴むためにトゥルーエンドを目指す。その先にはきっと、この作品でしか接種できない感動があります。
またアニメ版しか知らない人には「まだ未体験の物語がある」こともあわせて訴えたいところです。
アニメ版は全24話に集約されたストーリー構成の素晴らしさがありますが、原作ゲームには、そこに収まり切れなかった多くの物語、描写、さらには岡部の視点で進めるプレイ体験があります。マルチエンディングの各ルートがまさにその典型例。
このたびリリースされる『RE:BOOT』はすべての要素を一新しつつ、プレイヤーが一番長く見ることになる会話画面には、「E-mote」という技術を使った、これまでのADVとは異なるアニメーション表現があります。会話している相手が、より身近に感じられるような繊細な表情や仕草が表現され、科学ADVチームが考える「より没入感あるADV」が楽しめます。
志倉さんはよく「ADVはシナリオが命」と発言していましたが、そのシナリオを活かす環境もまた楽しむための大切な要素。「2度目のシュタゲ」では、きっと異なる雰囲気が味わえ、改めてラボメンのことを好きになるでしょう。
久しぶりに『シュタゲ』を摂取したい、新規ルートを楽しみたい、初めて『シュタゲ』を履修したいという方にとっては、まさにうってつけのタイミングなタイトルです。



◆このキャラクター、めっちゃ動くぞ!!
『シュタゲ』のおもしろさは、プレイ体験に紐づく物語とカタルシスにその秘密があります。そのためどれだけ没入感を演出できるか? かつて「メガミマガジンクリエイターズ」の取材でプロデューサーの松原さんは、「没入させるために選択肢を排除してフォーントリガーシステムを実装しました」と答えてくれました。
「フォーントリガー」とは『シュタゲ』ならではのシステムで、従来の選択肢分岐ではなく、ケータイメールに返信することによって物語が変化するという画期的なシステムでした。着信に出るのか出ないのか、メールを返信するのか既読スルーするのか、返信内容にもいくつか種類があり、その時の行動によってシナリオが分岐していきます。

しかし、当時は画期的すぎてシナリオ分岐がよく分からないという声もありました。そのため『RE:BOOT』では、既読ストーリーの全体図を表示する「OBSERVER」機能を搭載して、プレイヤーに物語の現在地を提示してくれるようになりました。このあたりは実際にプレイしていて「めっちゃ分かりやすい!」となったポイントです。リトライ時のヒントになります。


またボイスとサウンドは新規で収録。ボイスについて紅莉栖役の今井麻美さんは、「今井麻美のニコニコSSG第265回」の番組内で以下のようなことを話していました。
ゲームのボイス収録は個別に収録し、それを素材としてゲーム内に実装するため、相手がどのようなキャラクターを演じるか想像しながら収録することが多々あります。しかし『シュタゲ』は長年アニメ・ボイスドラマ・イベントなどで肩を並べて芝居してきましたから、個別収録でも共演者がどのような芝居をするのか直感的に想像しながら収録できたそうです。
つまり個別収録なのに、アニメのアフレコのように「かけあい」に近い感覚で収録できたということ。そのため実際にプレイしてみると、各キャラクターが「現在の芝居」になっているばかりか、オリジナル版よりも熱がこもった表現になっていたように感じられました。とくに岡部を演じる宮野真守さんの存在感は増し増しです!







シナリオは、『シュタゲ』をアニメ素材で再構成したフルアニメーション版の『STEINS;GATE ELITE』をベースに調整。これは主にアニメ映像で視覚的に理解できる部分を整理して、テンポよく読み進められるようにオリジナル版のシナリオから調整していますが、今作では、そのテンポ感を大切にしながら、前述の「E-mote」による表現にマッチしたテキストとして調整を重ねています。
なお「E-mote」とは次世代アニメーションツールのことで、立ち絵やイベントCGを自然に動かすものです。従来のADVと言えば、表情差分のみでキャラクターの感情を表現してきましたが、この機能を搭載することによって顔の角度、まばたき、表情変化、ポーズの微妙な変化なども表現できるようになりました。これによって会話相手の存在感が増し、物語への没入感を高めてくれます。
とくに桐生萌郁は、「閃光の指圧師(シャイニング・フィンガー)」と呼ばれるほどメールを打つ指が速いキャラクターとして有名です。そのため思わず笑ってしまうほど指の動きが早く、我が目を疑いました。
『シュタゲ』を含む一連のシリーズ「科学ADVシリーズ」を手がける科学ADVチームでは、かねてからアニメ作品の演出手法を取り入れる形で臨場感ある物語を構築しようと研究を続けてきました。人物のみならず、細かなカットの切り替えや、主人公が目にしたショッキングな物や光景などの随所に挿入されるカットの効果もあり、従来のADVゲームのような静的な画面から脱却し、『RE:BOOT』はまさに「アニメ作品との親和性を保ちながら、科学ADVシリーズならではの臨場感を持ったゲーム」となっていました。
アニメ版を視聴していても楽しめる要素はまさにこの部分です。画面の切り替えや主人公の内面などの情報量がうまく調節されており、従来のADVとは異なった感覚で楽しめました。

◆衝撃的な物語を描く新要素「γ世界線」
そして『RE:BOOT』に追加された新要素で、もっともファンをザワつかせたのが「γ世界線」です。
「γ世界線」は従来のマルチエンディングに追加される新ルートとなっており、これまでの『シュタゲ』とは一線を画すストーリーや雰囲気となっています。詳しくはネタバレになってしまうため控えますが、世界線の初出は2010年6月にリリースされたドラマCD“STEINS;GATE ドラマCD γ「暗黒次元のハイド」”でした。

同時期に3枚のドラマCDがリリースされ、その1枚目と2枚目がミッシングリンクを埋めるストーリーだったことから、3枚目(γ)は「前後のつながりに関係なく楽しめる、エンタメに全振りしたシナリオ」として、まったく新しい世界線が描かれました。注目キャラクターは桐生萌郁。ただし他のラボメンも“ちょっと違う状況”になっており、岡部に至ってはとんでもない立場になっています。
ドラマCD γのリリース当時といえば、まだテレビアニメ版も、最初のスピンオフである『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』も登場していない頃。「What if」をやるには若干早すぎるタイミングではありましたが、インパクトのある設定で、ドラマCDというややニッチな媒体でありながらファンの記憶に残る物語となりました。
そのような経緯があったことから、すでにあの物語を体験したファンからは、新規で「γ世界線」が追加されると発表されると同時に「あれはヤバい」「まさかのγ!?」と大きな驚きをもって迎えられたのでした。
もちろんドラマCDの内容とは異なる部分もあり、両方楽しめるでしょう。



また『RE:BOOT』では2009年当時の秋葉原が舞台になっていることから、まるでタイムマシンで過去世界へ旅行したような楽しみが味わえます。今と異なるラジ館に、今と異なる秋葉原駅……。今はもう失われた景色ながら、現在の秋葉原と見比べる楽しさも味わえます。
『STEINS;GATE RE:BOOT』の発売日は2026年8月20日。
パッケージ版には初回生産限定としてDLコードが、Steam版には期間限定の購入特典として80年代PC風の『STEINS;GATE 変移空間のオクテット』が付属するので、そちらでも“ちょっと違う『シュタゲ』”を味わってみてはいかがでしょうか。なお、ダウンロードが可能になるのは11月予定になっています。
それでは発売日まで、エル・プサイ・コングルゥ……。



<商品概要>
■タイトル:STEINS;GATE RE:BOOT(シュタインズ・ゲート RE:BOOT)
■ジャンル:想定科学アドベンチャー
■発売日:2026年8月20日発売
※XBOX Series X|Sは10月29日発売
■機種:PlayStation®5/PlayStation®4/ニンテンドースイッチ2/ニンテンドースイッチ/XBOX Series X|S/Steam®
※PlayStation®4、XBOX Series X|Sはダウンロードのみとなります。
※XBOX Series X|S、Steam®はスパイク・チュンソフトより発売
■価格:通常版(PS5、Switch)7,480円(税込)
通常版(Switch 2)8,580円(税込)
限定版(PS5、Switch)12,980円(税込)
限定版(Switch 2)14,080円(税込)
超限定版(PS5、Switch)34,980円(税込)
超限定版(Switch 2)36,080円(税込)
ダウンロード版6,380円(税込)
デジタルデラックスエディション11,880円(税込)
■レーティング:「C」(15才以上対象)
■発売:MAGES.
©MAGES./Chiyo St. Inc. ©MAGES./NITRO PLUS
※画面はすべて開発中のものです

※UPDATE(2026/08/20 14:00):XBOX版発売日に誤りがあったため、修正しました。コメント欄・SNSでのご指摘ありがとうございました。











