【不良ゲームブック】『翔が征く!―春のクーデター編』第一話 17ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【不良ゲームブック】『翔が征く!―春のクーデター編』第一話

クイズありパズルありチキンレースあり……何でもありのゲームブックが始まった!

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チャプター1:入学式

ここは柏原海運高校――埼玉県南東部にある太平洋に面した港町「かいばら市」唯一の進学校だ。

この街で生まれた男には、ふたつの選択肢しか用意されていない――海の男として太平洋に出向くか、柏原海運高校に入学して出世道を往くか。

俺は後者を選んだ。だが、選んだ理由は敷かれたレールの上を進むためじゃない。俺が尊敬する柏原海運高校の番長・藤田のおっさんがいたからだ。いつかあの人みたいな強い男になるため、この学校に入学したんだ。

ここに入るために必死で勉強したさ。物理学を学ぶためにHavokについて調べたり、Wikipediaをいっぱい読んだり、Yahoo!知恵袋で「ググれカス」と言われた事もあった。まあそんな努力が実って俺は今体育館で校長のつまらない話を聞いているわけだが……。

「翔。知ってるか?もうすぐ有名人が登壇するらしいぞ」
「有名人か、あまり興味がねーな」
「おいおい、今回はすげーらしいぞ。Game*Sparkのマスコットアイドルだってよ」
「ゲームスパーク?知らねぇな……それよりトシカズ。情報は集まったのか?この学校は今どんな状況なんだよ」
「……このガッコーには旧校舎があるんだが……、どうやらクーデターを起こした奴らはそこをアジトにしているらしい」
「おい、それだけか?ボスはどんな奴なんだ?」
「あぁ、なんでもグ……」

トシカズが口を開こうとした瞬間、甲高い声が鳴り響いた。

「みんなーー!ぼくスパ!Game*Sparkのマスコットアイドル……スパくんスパよ!」


「なっ……か、可愛い……可愛いじゃねぇか……!」
「あぁ、翔!これまで見てきたどのマスコットアイドルより可愛らしいぜ!」


サファイアを彷彿させるつぶらな瞳、天使のようなキュートな声、この世のものとは思えない純白な肌、そして官能的フォルム……そのどれもが愛らしい。なるほど、このスパくんがGame*Sparkの1200万以上の月間PVを支えているってわけだ。

「みんなは!これから!高校生なんだけど!ぼく、高校生ってもう大人だと思うんだスパ!だからそういう自覚を君たちも持ってほしいなって!」

自然と首を縦に振ってしまった。スパくんは可愛いだけじゃない。しっかりとした考えを持っている。言葉の端々からそれがわかった。

「そんなわけで貴重な高校生活を送ってすぱぎゃああああああああああああああああああ!!!!」


事態は一変。体育館に断末魔が響き渡った。

「スパくん!?」
「きゃあああああ!!」
「Oh……WTF」
「終わった……ゲムスパが終わった……」

どよめきが沸き起こる。スパくんの腹からチェンソーが突き出ていれば当然だ。俺も唖然としていたし、トシカズにいたっては失禁していた。

スパくんの腹にチェーンソーを突き刺したヤツは、やべぇ雰囲気を漂わせていた。……ヤツは相当なワルだ。学ランを着ているところからしてここの生徒のようだな。

俺様の名は、原刻寺ワタル……この体育館に爆弾をしかけた

マイクで話したのはこの一言だけだったが、全校生徒を震撼させるには十分だった。

「この中に“あのお方”に反旗を翻す不逞な新入生がいると聞いてな……ちょっと教育しよーと思ってよ……?爆弾を仕掛けたってわけよ。おい、出てこい!愚連翔!

あぁ、正直に言うぜ。入学式早々、体育館に爆弾を仕掛ける高校の不良レベルの高さにビビっちまっている。俺の情けないビビりように膝が笑ってるんだ。

「……翔、あいつは『裏切りの原刻寺』。藤田のおっさん不在のガッコーでクーデターが起きたのは話したよな?はじめは藤田派が優勢だった。だが、藤田派の幹部・原刻寺の裏切りによってそのパワーバランスは一変したんだ。やつが……クデーターの功労者といっても過言ではなかろうよ……反吐が出るぜ」
「あぁ、原刻寺の名前なら俺も聞いたことがある。藤田のおっさんがよく話してたからな。『あいつは信用できるやつだ。原刻寺はクイズ好きだ。クイズ好きに悪い奴はいない』って笑いながらな。それなのに、それなのに裏切ったのかぁぁぁ!俺が愚連翔だ!ドチクショウ!

俺はパイプ椅子から立ち上がり、原刻寺にガンをつけた。

「テメーが愚連か。確かに、藤田さんと同じ……良い目をしてやがる……。だがな。お前みたいな男はもう時代遅れなんだよ」
「全校生徒を人質に取って御山の大将か?いいご身分だなぁ。裏切り者のクソ野郎がよぉ……」
「おーっととと。俺様がこのスイッチを押せば、体育館は大爆発どかーんだぜ。わかってんのか愚連ちゃんよぉ」
「クッ……オメーの目的はなんだ?」
「テメーとのタイマンだよ。時代遅れのお前が……このつれぇ時代に革命を起こせるかどうか、見定めるためのなぁ……」
「上等だコノヤロウ!大先輩のアンタに俺の力を見せつけてやるよ!」
「フッ……おもしれぇ……俺様のクイズについてこられるかな……?いくぜ!第一問!」


《真ゲマ&HIKARU》
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