高校生不良ACT『The friends of Ringo Ishikawa』「キャラを描く人が見つからなかった時、名乗り出たのは58歳の父でした」【注目インディーミニ問答】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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高校生不良ACT『The friends of Ringo Ishikawa』「キャラを描く人が見つからなかった時、名乗り出たのは58歳の父でした」【注目インディーミニ問答】

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、yeo開発、PC向けに5月17日リリースされた高校生不良アクション『The friends of Ringo Ishikawa』開発者へのミニインタビューをお届けします。

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高校生不良ACT『The friends of Ringo Ishikawa』「キャラを描く人が見つからなかった時、名乗り出たのは58歳の父でした」【注目インディーミニ問答】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、yeo開発、PC向けに5月17日リリースされた高校生不良アクション『The friends of Ringo Ishikawa』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、『くにおくん』シリーズを思い出させる、「イシカワ リンゴ」とその親友を描いたアクションゲーム。2Dのドット絵で表現されており、街の探索、昼夜サイクル、生活を送るNPC、トレーニング、勉強、ミニゲームなどを特色としています。ゲームはライバルの不良グループとの縄張り争いなどではない、物語を感じさせるようデザインされており、プレイヤーの好きなように楽しむことができるのが特徴です。

『The friends of Ringo Ishikawa』は1,490円(5月25日までは10%オフ)で配信中





――まずは自己紹介をお願いします。

Vadim Gilyazetdinov氏(以下Gilyazetdinov氏):ロシアに住むVadim Gilyazetdinovです。36歳です。まず、ありがとうございますと言わせてください!

私は子供の頃から『くにおくん』シリーズの大ファンでしたが、当時はもちろん翻訳されていませんでした。それでも、私のお気に入りである『ダウンタウン熱血物語』を箱庭ゲームとしてプレイしたのです。友達と一緒にプレイしたのですが、話は勝手に想像し、この学生たちはヤ○ザなのだと信じていました。結局ゲームは一度もクリアできませんでした(あるキャラクターを追跡しなくてはいけなかったのですが、理解できませんでした)。

箱庭ゲームが好きで、数多くプレイしてきました。『忍者龍剣伝』もその一つで、とても難しく、最初の3面しかクリアできなかったのですが、自分はもうサニー・千葉(千葉真一)になりきっていました。二番目に好きなファミコンソフトは『熱血格闘伝説』で、これも同じようにプレイしました。

――本作はいつどのようにして開発が始まったのですか?

Gilyazetdinov氏:大きくなってから、私たちは『くにおくん』シリーズのファンサイトをロシアで開設しました。数年後、私はテクノスジャパンのスプライトを使用し、同人ゲームの製作も始めたのです。どれもとてもローカルな小さなゲームでした。しかし小さなゲームを作るかたわら、より大きなゲームの開発にも取り組んでおり、それは『Ryuichi no Blues』、のちに『Friends of Riki Samejima』というタイトルになりました。ずっとオリジナルのゲームを開発したいと思っていましたが、機会に恵まれず、仲間もおらず、モチベーションもありませんでした。

端的に言うと(読者様を退屈にさせないために)、それから3年後、もう既存のスプライトを使用することをやめ、自分自身でゲームを作ろうと決心したのです。絵が描けないものですから、まずはアーティスト探しを始めました。

それはもう地獄でした。みんな上手くいかないって言いますし、コンセプトはクソだとか舞台がクソだとかゲームがクソだとか……これがロシアのゲーム開発者たちなんです。タダでアーティストを探しているわけじゃありませんでしたし、ちゃんとお金も払うと言ってたのに……。

そんな中、Artem “Wedmak2” Belovがリスクを知った上で背景を協力してくれることとなりました。そしてお分かりのように、彼は素晴らしい仕事をしてくれたのです。彼のアートにより、本作が豪華なものになっています。私が作り出したいと思っていた雰囲気を見事に表現してくれました。私は彼に場所の説明と、2~3行の説明文を送るだけで、次の日には完璧な作品を仕上げてくるのです。本当にシンプルでした。例えば「公園が欲しい。遠くには街がある感じで」と言うだけで、次の日には見た目最高の公園が私の手にあるのです。


話しすぎちゃってすいません。ただ、このゲームが実現したのは、私たちのチームワークによるものだと言うことをわかっていただきたいのです。

このように、背景のアーティストを見つけたものの、次はキャラクターのアーティストを探すと言う地獄が待っていました。実に2ヶ月も探しましたよ。ツイッターにも書いているのですが、あまりに見つからなく、私が希望を失っていた時、私の58歳の父が名乗りを上げてくれたのです。彼はウィンドウズのペイントを初めて起動し、絵の描き方を勉強し始めました。本当の話です。

最初、父が私たちの目指すクオリティに到達できるのか正直わかりませんでした。しかし父はやり遂げたのです。そして父と一緒に仕事をすると言うのはとても楽しいことでした。父は熱心に取り組むものを手に入れたのです。そのことにも、私はとても嬉しくなりました。

キックボクシングをやっていたこともあり、武道の熱烈なファンである私は(サモ・ハン・キンポーは世界最高の武術家ですね)、あらゆる戦いの動きを知っていたので、私が実際にした動きを動画で撮影し、父がゲーム用の絵に落とし込んでいきました。私は同人ゲームを作っていたこともあり、アニメーションの制作は慣れたものでした。

音楽の90%はフリー素材を使っています。これ以上奇跡の人を見つけることはできなかったためです。

次にDmitry Ostrozhskiyです。彼は英語翻訳を担当し、とても素晴らしいプロフェッショナルな仕事をしてくれました。

そしてオンラインフレンドのstray_stoatとMr.Chelnoqueは、過去3年間、私とディスカッションをしてくれたり、テストプレイなどのサポートをしてくれたりしました。私の家族以外、誰もが興味を示してくれなかった本作の開発において、彼らと言う友達の存在はとても大きなものだったのです。

長くなってしまい本当にすいません。

――本作の特徴を教えてください。影響を受けた作品などはありますか?

Gilyazetdinov氏:本作のゲームデザインでは、プレイヤーはゲームの中で生活することとなりますが、多くのシステムが見えないようになっています。例えば、まだほとんどのプレイヤーは気づいていないと思いますが、食事を十分にしないとリンゴの体重が減っていきます。そして体重が落ちすぎると、力も下がってしまうのです。隠しメッセージを見るためには特定の本を持っていなくてはいけなかったり、酔っぱらっている必要があるなど、様々です。簡単には発見できないでしょうが、それが本作を面白いものにしているのではないでしょうか。


プレイヤーの方には、好きなようにプレイしていただきたいと思っています。もし『ペルソナ』シリーズのようなプレイをしたいなら(私は『ペルソナ3』のファンです)、学校に行き、人々と交流し、まったく戦わないことも可能です。

もし昔ながらの『くにおくん』スタイルの格闘をしたいなら、まさにそれがここです。面白い戦闘システムを採用しており、誇りに思っています。

そして『シェンムー』シリーズのようなNPCやゲームの流れも採用していますし、美しさと言う意味でも同様かもしれません。

ゲームプレイは過程と結果が重要です。人生もそう言うものですよね。

ストーリーに関しては、完全に自分自身で考えたものになります。プレイヤーの皆さんには、それをゲームプレイと雰囲気を通して感じていただけたらと思います。すでにいくつか本作のレビューを見たのですが、中には心に響いたと言う声もあり、とても嬉しいです。ただ、本作をクリアしないとその意味はわからないでしょう。

――本作の日本語対応予定はありますか?

Gilyazetdinov氏:日本語ローカライズが出来たら素晴らしいとは思います。しかし良い翻訳者を見つけるのにはお金もかかりますし、かろうじて本作を完成させられた状況です。実は本作に全力投球するため、11月に仕事をやめてしまったのです(結構いい仕事だったのですが)。辞める必要はなかったかもしれませんが、何かを勝ち取るためには、リスクは取らなくてはいけないのです。ですので、もし本作がある程度売れましたら、日本語には喜んで対応させたいと思っています。日本語は本作の母国語ですからね。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Gilyazetdinov氏:北野武監督は、『キル・ビル』で服部半蔵がバーにいるシーンは日本人に失礼だと言ったと言います。私はどちらも大好きなので、悲しくなりました。タランティーノ監督は、すべての人に敬意を払って『キル・ビル』を製作したと、私は思っています。もし日本人の方が、本作の中で何か日本人の方や日本にとって失礼に当たるものを見つけましたら、心からお詫びいたします。

――ありがとうございました。



《SEKI》
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